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第52話 王女の憂鬱
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本当に不味い事になったのかも知れない。
私は直ぐに、数人しか居ない天馬騎士(ペガサスナイト)に頼んで、理人や月子と仲が良かった美瑠子と和也を招集しました。
彼等二人にはしっかり異世界人として支援していますから、問題なく話せるはずです。
まだ、遠くに行ってなかったので、すぐに戻ってきたのですが…
「なんですって! 理人という少年には『異世界の女神』が宿っている可能性がある…そう言うのですか?」
「そうですよ! 最低でも天使クラスの実力はある『ナニカ』が宿っていますね? この世界の女神様には及ばないですが『下級神』すら恐れて逃げ出す位の実力はありますね…前の世界で私、いや私達が目視した中ではまさに最強の存在です」
「その様な存在がこの世界に来てくださったと言うのか?」
「お父様…」
「今は儂が話しておる! 詳しく話しをして下され」
ああっ、お父様の顔が歪まれた。
基本、余程の事が無い限り、自分では動かないお父様が、自分自ら話を聞く姿勢だ。
話を聞けば聞くほど…理人、いや理人様に宿っている存在は凄すぎた。
月子に宿っていた犬神という神すら退けたという話しを含み…まるで伝説に語られる様な事を平然と行っている。
聞く話が本当であれば…こんな凄い存在二人と居ない。
「それで美瑠子殿、もし勇者である大樹殿、もしくは指導騎士と比べたら、その宿っている女神様の力はどの位強いと思われる」
千…万、その位は…
「無礼を承知でいわせて頂いて良いかしら」
「構わぬ不問に致す」
「そんな、おもちゃみたいな存在と比べられるわけないですよ…大樹? 1万人居ても勝てないんじゃないですか? 騎士、ご冗談を…多分、この城に居る騎士全員、いえこの国にいる騎士が全員で戦っても多分無理なんじゃないですか…それ位に凄い存在ですね」
「貴方がいう事が本当なら魔王にすら勝てる…そう聞こえますが…」
「あの…ライア姫さま『私は神の力』について話しているのですよ? 魔王なんて存在は対比になりません。 私の考えでは月子についていた犬神にすら劣る存在です…もし、この世界で理人の中に眠る存在に勝てる存在が居るのだとしたら…それは女神イシュタル様とそれこそ、魔族の神である邪神だけです…最も、流石に世界を司っている二柱の神には勝てないと思いますが」
「本当にそうなのじゃな」
確かに突拍子もない話し…笑うのは簡単です。
ですが…今までの話しから考えるに、辻褄が合ってしまいます。
魔物や魔族に襲われない人間。
突如として去っていった四天王のコーネリア。
神託を降ろしてくれなくなったイシュタル様。
弱い勇者達に…突如弱くなった『聖』『光』の力。
…そこから考えだされる答えは。
『異世界の女神』を此処に送って下さったから…今は保護する必要が無い。
そうイシュタル様が判断した…だから神託すら要らない。
そう考えた可能性が高い。
女神の騎士なんて存在すら遥かに超える『女神を宿した存在』そんな存在がこの世界に来たのなら…人類側の勝利は確定。
最早『何もすることは無い』だから干渉しない…そういう事だわ。
「お父様…」
「ライア、何て事をしてくれたんだ…そんな存在を追い出してしまった、急ぎ手を打たないと取り返しがつかない事になる…こんな事が教皇様に知れたら」
「不味いです…すぐに支度金を渡して此処に招かなければ、最悪、私との婚姻も視野に入れて」
「お恐れながら幾ら支度金を用意するつもりですか?」
「この際ですから金貨1000枚(約1億円)用意します! 美瑠子殿に和也殿、ご足労かけますが…」
「全然足りませんよね、ねぇ和也」
「ああっ、その位の金額なら今の理人なら1~2週間で稼いでしまう、そもそも多分彼奴一生遊んで暮らせる位のお金を持ってそうだ、それに質素だから普段からお金は使わないから『要らない』と断りそうだ」
「ならライアはどうだ! 我が娘ながら王国一と名高い美姫だ、なんなら異世界人の憧れ、エルフの側室つきで…」
「お父様…そんな」
「失礼を承知で申し上げる…理人は凄い美形だぞ、女にモテる、まぁこの国の基準じゃ解らないがな」
ジョブが余りに酷いから顔を余り見ていませんでしたが…言われてみれば、そうかも知れません。
「令和の撃墜王理人…それが前の世界の理人のあだ名です…あの塔子すら振った位モテてますよ…まぁ怖い女神のコブ付きですけどね…それに」
「それにまだ何かあるのですか?」
「そんな理人が手元に置いている月子ですがライア姫様にはどの様に見えますか?」
月子…?
「余り、パッとしない感じに見えましたが」
「はい、その通りですね…クラスで真ん中の普通の子です」
「だったら…」
「まだ解りませんか? もしかしたら理人は『女性の外見』にそんな価値を求めないのかも知れません」
正直、もうどうして良いのか解りません。
「それでは、どうすれば良いのだ」
「理人はあれで温情深い人間ですから謝れば良いかと思います」
「まぁな…彼奴は優しいからきっと謝れば許してくれる…そう思うな」
「この度は世話になった…もう下がって良いぞ」
「「はっ」」
◆◆◆
「お父様…」
「何をしている! 今すぐ馬車を出させろ!」
「お父様、一体何を」
「謝罪は早い方が良い…今から一緒に謝りに行こう」
「王であるお父様が頭を下げるのですか?」
「良いから行くぞ…取返しが付かなくなる前に行動、それしかあるまい」
こうして私は…再び異世界人、理人に会いに行く事になりました。
私は直ぐに、数人しか居ない天馬騎士(ペガサスナイト)に頼んで、理人や月子と仲が良かった美瑠子と和也を招集しました。
彼等二人にはしっかり異世界人として支援していますから、問題なく話せるはずです。
まだ、遠くに行ってなかったので、すぐに戻ってきたのですが…
「なんですって! 理人という少年には『異世界の女神』が宿っている可能性がある…そう言うのですか?」
「そうですよ! 最低でも天使クラスの実力はある『ナニカ』が宿っていますね? この世界の女神様には及ばないですが『下級神』すら恐れて逃げ出す位の実力はありますね…前の世界で私、いや私達が目視した中ではまさに最強の存在です」
「その様な存在がこの世界に来てくださったと言うのか?」
「お父様…」
「今は儂が話しておる! 詳しく話しをして下され」
ああっ、お父様の顔が歪まれた。
基本、余程の事が無い限り、自分では動かないお父様が、自分自ら話を聞く姿勢だ。
話を聞けば聞くほど…理人、いや理人様に宿っている存在は凄すぎた。
月子に宿っていた犬神という神すら退けたという話しを含み…まるで伝説に語られる様な事を平然と行っている。
聞く話が本当であれば…こんな凄い存在二人と居ない。
「それで美瑠子殿、もし勇者である大樹殿、もしくは指導騎士と比べたら、その宿っている女神様の力はどの位強いと思われる」
千…万、その位は…
「無礼を承知でいわせて頂いて良いかしら」
「構わぬ不問に致す」
「そんな、おもちゃみたいな存在と比べられるわけないですよ…大樹? 1万人居ても勝てないんじゃないですか? 騎士、ご冗談を…多分、この城に居る騎士全員、いえこの国にいる騎士が全員で戦っても多分無理なんじゃないですか…それ位に凄い存在ですね」
「貴方がいう事が本当なら魔王にすら勝てる…そう聞こえますが…」
「あの…ライア姫さま『私は神の力』について話しているのですよ? 魔王なんて存在は対比になりません。 私の考えでは月子についていた犬神にすら劣る存在です…もし、この世界で理人の中に眠る存在に勝てる存在が居るのだとしたら…それは女神イシュタル様とそれこそ、魔族の神である邪神だけです…最も、流石に世界を司っている二柱の神には勝てないと思いますが」
「本当にそうなのじゃな」
確かに突拍子もない話し…笑うのは簡単です。
ですが…今までの話しから考えるに、辻褄が合ってしまいます。
魔物や魔族に襲われない人間。
突如として去っていった四天王のコーネリア。
神託を降ろしてくれなくなったイシュタル様。
弱い勇者達に…突如弱くなった『聖』『光』の力。
…そこから考えだされる答えは。
『異世界の女神』を此処に送って下さったから…今は保護する必要が無い。
そうイシュタル様が判断した…だから神託すら要らない。
そう考えた可能性が高い。
女神の騎士なんて存在すら遥かに超える『女神を宿した存在』そんな存在がこの世界に来たのなら…人類側の勝利は確定。
最早『何もすることは無い』だから干渉しない…そういう事だわ。
「お父様…」
「ライア、何て事をしてくれたんだ…そんな存在を追い出してしまった、急ぎ手を打たないと取り返しがつかない事になる…こんな事が教皇様に知れたら」
「不味いです…すぐに支度金を渡して此処に招かなければ、最悪、私との婚姻も視野に入れて」
「お恐れながら幾ら支度金を用意するつもりですか?」
「この際ですから金貨1000枚(約1億円)用意します! 美瑠子殿に和也殿、ご足労かけますが…」
「全然足りませんよね、ねぇ和也」
「ああっ、その位の金額なら今の理人なら1~2週間で稼いでしまう、そもそも多分彼奴一生遊んで暮らせる位のお金を持ってそうだ、それに質素だから普段からお金は使わないから『要らない』と断りそうだ」
「ならライアはどうだ! 我が娘ながら王国一と名高い美姫だ、なんなら異世界人の憧れ、エルフの側室つきで…」
「お父様…そんな」
「失礼を承知で申し上げる…理人は凄い美形だぞ、女にモテる、まぁこの国の基準じゃ解らないがな」
ジョブが余りに酷いから顔を余り見ていませんでしたが…言われてみれば、そうかも知れません。
「令和の撃墜王理人…それが前の世界の理人のあだ名です…あの塔子すら振った位モテてますよ…まぁ怖い女神のコブ付きですけどね…それに」
「それにまだ何かあるのですか?」
「そんな理人が手元に置いている月子ですがライア姫様にはどの様に見えますか?」
月子…?
「余り、パッとしない感じに見えましたが」
「はい、その通りですね…クラスで真ん中の普通の子です」
「だったら…」
「まだ解りませんか? もしかしたら理人は『女性の外見』にそんな価値を求めないのかも知れません」
正直、もうどうして良いのか解りません。
「それでは、どうすれば良いのだ」
「理人はあれで温情深い人間ですから謝れば良いかと思います」
「まぁな…彼奴は優しいからきっと謝れば許してくれる…そう思うな」
「この度は世話になった…もう下がって良いぞ」
「「はっ」」
◆◆◆
「お父様…」
「何をしている! 今すぐ馬車を出させろ!」
「お父様、一体何を」
「謝罪は早い方が良い…今から一緒に謝りに行こう」
「王であるお父様が頭を下げるのですか?」
「良いから行くぞ…取返しが付かなくなる前に行動、それしかあるまい」
こうして私は…再び異世界人、理人に会いに行く事になりました。
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