53 / 76
第53話 聖教国の悲劇
しおりを挟む
まさか、こんな事になるなんて思わなかった。
この国の最後の教皇に私がなるのかも知れない。
「教皇様、魔族の四天王の一人…死霊の女王コーネリアが死霊を率いてこちらに向かってきています」
「数は?」
死霊の怖いのはその数です…死霊の女王コーネリアの死の軍勢は…見た者は瞬時に死に…その死んだ者はその軍勢に加わる、最悪の軍勢…女限定ではある物の死んだ者は全てコーネリアの者になる。
そればかりじゃなく、恨みを持っていた者の魂もまた遺体から抜け出し軍勢に加わる。
ある意味、最悪の軍勢です。
「数万を超えて向かってきています」
「勇者、勇者達がこちらに来るのは、いつになりますか?」
「どう急いでも1週間以上はかかりそうです」
これじゃエリクサールを使って勇者達を治療して戦って貰う。
それすら出来ない。
何でこうなった。
魔王は『死霊を攻撃で使わない』そういう矜持があった筈だ。
それを使えば『最後はこの世界は死霊だらけになる』死んだ者が全て死霊になり人類の敵になるなら…人類の勝利は無い。
ある意味、最低最悪の兵器…それが『死霊』だ。
だが、今まで魔族側が死霊を攻撃に使ったことは無い。
魔王城の防御…それ以外でコーネリアが軍を使ったことは無い。
『使わない』そう思っていたのは…人類の間違いだったのか?
「この国はもうじき終わる…『聖』と『光』の力が弱まり、結界に亀裂が入った今、もう防ぐ手段は無い…終わりだ…聖教国ホムラがこれから終わる」
教皇であるロディマス三世は死を受け入れるしか無かった。
◆◆◆
「人がゴミのようじゃのう…愉快じゃ、愉快じゃ」
「コーネリア様も健気ですね~ ララア様を先回りするために、空竜の死霊まで使うなんて」
「当たり前じゃ! 我れがエリクサールを手に入れて『お兄ちゃん』に頭を…違う! 大切な新たな邪神様の器の為なのじゃ」
「はいはい…恋愛の為に大量に人を殺しまくるコーネリア様も素敵ですね!」
「違う! 大体、メアリーこの間から、我れへの口の利き方はなんなのじゃ…」
「コーネリア様、これが私の素ですよ! この間、理人様に出会ってから何故か体の調子が良いんですよね…これも愛なんですかね? 死霊になり果てた私を…死霊ですが素直に…」
もう良い…
これが『愛』なのか?
ようわからんが、あの理人の為なら『人なんて何人死んでも良い』そう思えるのじゃ。
難儀な物じゃな。
「何となく我れも解るからもう良いのじゃ」
力を抑えずに空竜から降りてから行進してきたからもうこの軍団は10万を超える…これだけ居れば一国を落とすのも容易いわい。
「それでコーネリア様、何故ここ迄の死霊を集めたのですか?」
「それはこれから聖教国を攻める為なのじゃ」
「あの…コーネリア様、基本的に我々には剣も通じませんし、魔法も『聖』と『光』しか通じません…それなのに10万超え、皆殺しにでもするつもりですか?」
「そうなのじゃ」
「あの…私はもう何も言いません…シリアルキラーと言われた殺人鬼の私ですが…」
「それでは、早速結界を…結界が無いのじゃ…何かの罠かのう」
「さぁ…ですがこの数の死霊を入れて得になることは無いと思いますが…」
なんなのじゃ、結界が無いなんて可笑しいのじゃ。
「まぁ良い、門を破ったら2000人は我れと来るのじゃ…他はこの聖都をせん滅するのじゃ」
《真面に…そんな事を、死霊を使って国を亡ぼすのは『卑怯』とされ過去の魔王様も誰一人しませんでした…ある意味チートとも言える卑怯な方法な筈です》
「あの…一つ聞いても良いでしょうか?」
「なんじゃ?」
「コーネリア様のその力、魔王様はおろか…神にすら近い、そう思えるのですが? 死んでしまえば、それが勇者であってもコーネリア様の物ですよね」
「そうじゃな! 男は我れを化け物を見る目で死んでからも見るから嫌いじゃから死霊にせんが、死ねば魔王様でも我れの者じゃ…まぁ死んだ魔王等数少ないがのぉ」
「それ、聞こえ方によっては『冥界の支配者』に近く思えるのですが」
「なんじゃ…そんな事か? そうじゃよ…まぁ転生者が語る神話のパーデスとかに我れは近いのかのぉ」
「それハーデスですよ…それが何で魔王様に従っているのですか?」
《なんですか? きょとんとして》
「したがっておらぬ、我れは自由にしておる…魔王様と言っておるが我れに本気で文句なんて言わぬよ」
「はぁ~なら何で」
「世界を支配するなんてメンドクサイのじゃ…それだけじゃ」
「あの…それじゃ…理人の中に居る邪神様より…」
「あれには絶対に勝てんのじゃ」
《冥界の支配者…なのにですか》
「なぜです」
「我が、そう星を支配する位の力じゃとしたら、あれは宇宙規模をどうにかしかねない恐ろしい存在じゃ」
「そこ迄の存在なのですか…」
「正直言えば、魔王様が仕える邪神なら、我れは戦えるかもしれんが、あれは別物じゃ…あっ我れは魔王様も邪神様も好きだから謀反は起こさんよ」
「そうですか…では『お兄ちゃん』とどっちが好きなのですかね?」
「お前!…また我れを馬鹿にしてるのか?…『おにい…ちゃんじゃ』」
「はぁ~それじゃさっさと国滅ぼして、エリクサールを分捕りますか」
「そうじゃな」
コーネリア達が攻めつつづけて数時間…女神の国、聖教国ホムラは壊滅して事実上『死霊の国』になった。
この国の最後の教皇に私がなるのかも知れない。
「教皇様、魔族の四天王の一人…死霊の女王コーネリアが死霊を率いてこちらに向かってきています」
「数は?」
死霊の怖いのはその数です…死霊の女王コーネリアの死の軍勢は…見た者は瞬時に死に…その死んだ者はその軍勢に加わる、最悪の軍勢…女限定ではある物の死んだ者は全てコーネリアの者になる。
そればかりじゃなく、恨みを持っていた者の魂もまた遺体から抜け出し軍勢に加わる。
ある意味、最悪の軍勢です。
「数万を超えて向かってきています」
「勇者、勇者達がこちらに来るのは、いつになりますか?」
「どう急いでも1週間以上はかかりそうです」
これじゃエリクサールを使って勇者達を治療して戦って貰う。
それすら出来ない。
何でこうなった。
魔王は『死霊を攻撃で使わない』そういう矜持があった筈だ。
それを使えば『最後はこの世界は死霊だらけになる』死んだ者が全て死霊になり人類の敵になるなら…人類の勝利は無い。
ある意味、最低最悪の兵器…それが『死霊』だ。
だが、今まで魔族側が死霊を攻撃に使ったことは無い。
魔王城の防御…それ以外でコーネリアが軍を使ったことは無い。
『使わない』そう思っていたのは…人類の間違いだったのか?
「この国はもうじき終わる…『聖』と『光』の力が弱まり、結界に亀裂が入った今、もう防ぐ手段は無い…終わりだ…聖教国ホムラがこれから終わる」
教皇であるロディマス三世は死を受け入れるしか無かった。
◆◆◆
「人がゴミのようじゃのう…愉快じゃ、愉快じゃ」
「コーネリア様も健気ですね~ ララア様を先回りするために、空竜の死霊まで使うなんて」
「当たり前じゃ! 我れがエリクサールを手に入れて『お兄ちゃん』に頭を…違う! 大切な新たな邪神様の器の為なのじゃ」
「はいはい…恋愛の為に大量に人を殺しまくるコーネリア様も素敵ですね!」
「違う! 大体、メアリーこの間から、我れへの口の利き方はなんなのじゃ…」
「コーネリア様、これが私の素ですよ! この間、理人様に出会ってから何故か体の調子が良いんですよね…これも愛なんですかね? 死霊になり果てた私を…死霊ですが素直に…」
もう良い…
これが『愛』なのか?
ようわからんが、あの理人の為なら『人なんて何人死んでも良い』そう思えるのじゃ。
難儀な物じゃな。
「何となく我れも解るからもう良いのじゃ」
力を抑えずに空竜から降りてから行進してきたからもうこの軍団は10万を超える…これだけ居れば一国を落とすのも容易いわい。
「それでコーネリア様、何故ここ迄の死霊を集めたのですか?」
「それはこれから聖教国を攻める為なのじゃ」
「あの…コーネリア様、基本的に我々には剣も通じませんし、魔法も『聖』と『光』しか通じません…それなのに10万超え、皆殺しにでもするつもりですか?」
「そうなのじゃ」
「あの…私はもう何も言いません…シリアルキラーと言われた殺人鬼の私ですが…」
「それでは、早速結界を…結界が無いのじゃ…何かの罠かのう」
「さぁ…ですがこの数の死霊を入れて得になることは無いと思いますが…」
なんなのじゃ、結界が無いなんて可笑しいのじゃ。
「まぁ良い、門を破ったら2000人は我れと来るのじゃ…他はこの聖都をせん滅するのじゃ」
《真面に…そんな事を、死霊を使って国を亡ぼすのは『卑怯』とされ過去の魔王様も誰一人しませんでした…ある意味チートとも言える卑怯な方法な筈です》
「あの…一つ聞いても良いでしょうか?」
「なんじゃ?」
「コーネリア様のその力、魔王様はおろか…神にすら近い、そう思えるのですが? 死んでしまえば、それが勇者であってもコーネリア様の物ですよね」
「そうじゃな! 男は我れを化け物を見る目で死んでからも見るから嫌いじゃから死霊にせんが、死ねば魔王様でも我れの者じゃ…まぁ死んだ魔王等数少ないがのぉ」
「それ、聞こえ方によっては『冥界の支配者』に近く思えるのですが」
「なんじゃ…そんな事か? そうじゃよ…まぁ転生者が語る神話のパーデスとかに我れは近いのかのぉ」
「それハーデスですよ…それが何で魔王様に従っているのですか?」
《なんですか? きょとんとして》
「したがっておらぬ、我れは自由にしておる…魔王様と言っておるが我れに本気で文句なんて言わぬよ」
「はぁ~なら何で」
「世界を支配するなんてメンドクサイのじゃ…それだけじゃ」
「あの…それじゃ…理人の中に居る邪神様より…」
「あれには絶対に勝てんのじゃ」
《冥界の支配者…なのにですか》
「なぜです」
「我が、そう星を支配する位の力じゃとしたら、あれは宇宙規模をどうにかしかねない恐ろしい存在じゃ」
「そこ迄の存在なのですか…」
「正直言えば、魔王様が仕える邪神なら、我れは戦えるかもしれんが、あれは別物じゃ…あっ我れは魔王様も邪神様も好きだから謀反は起こさんよ」
「そうですか…では『お兄ちゃん』とどっちが好きなのですかね?」
「お前!…また我れを馬鹿にしてるのか?…『おにい…ちゃんじゃ』」
「はぁ~それじゃさっさと国滅ぼして、エリクサールを分捕りますか」
「そうじゃな」
コーネリア達が攻めつつづけて数時間…女神の国、聖教国ホムラは壊滅して事実上『死霊の国』になった。
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる