『体の中にナニカが居る』 1人だけ安全な異世界転移

石のやっさん

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第60話 月子とミランダ

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「あれ、塔子さんもしかして月子の所に遊びに来たの?」

塔子は勇者パーティで聖女、こんな所に居ていいのか?

「それも少しありますが、一番の目的は理人様と一緒に此処で暮らしたい、それがメインですわ」

「此処で暮らしたいの? だけど、場合によっては此処を出て行こうかと思って、月子に相談しようと思っていたんだ」

『ご主人様駄目です、此処から出て行かないで下さい』

「ミランダさん…そうかミランダさんは此処から移動がしづらいんだよな」


「えーとミランダさん、そこに居るんだ」

「ええっ居ますわ」

「そうか月子には見えないんだっけ」

「うん、そうんだけど? まずどうして此処から出て行くなんて考えているの?」

「いや、途中から覚えていないんだけど、王様とお姫様が城に戻って来いって言うんだ…俺は正直戻りたくない」

「そうだよね、人を馬鹿にするのも程があるよ」

「だから、ララアさんが戻ったら出ていく事を考えようと思っていたんだが、月子はどう思う?」

「私は理人くんに任せるよ」

「そう、解った…ただ困った事にミランダさんが、この屋敷から離れられないらしんだ」

『そうですよ…別れたくないんです、何があっても守りますから此処に居て下さい』

「え~とミランダさんはそこに居るのよね…試したい事があるからついてきてくれる」

『なんでしょうか?』

「何か考えがあるみたいだから月子に付き合ってやって欲しい」

『解りました』

二人はそのままドアを開けて出て行った。


「それで塔子さん、俺たちもしかしたら出て行くから、もし、そうなったらこの家あげようか?」

「違います、私は大好きな理人様と一緒に暮らしたいのですわ」

「あのさぁ、前の世界からずっと言っているけど良く飽きないね…余りそういう冗談は好きじゃないんだ、揶揄われてばかり嫌な思いでばかりなんだ」

「私は本気でしてよ!」

大体、クラスで人気者の塔子さんが俺を好きになるわけがない。

嫌いではないけど、こういう冗談は俺は嫌いだ。

「本気だと言うなら、塔子さんは俺の何処が好きなんだ、3つで良いから上げて見て!」

「それは解りませんわ…そうDNA、DNAが惹かれているのですわ」

はぁ~やはりいたずらだな。

大体、月子一人が傍に居てくれるのだって有難い位だ。

まぁララアさんやコーネリアちゃんは仲間だろう。

何となく女性ばかりだが、誤解しちゃ不味いな。

「ほら、言えない…別に良いよ、数少ない月子の友達だし、仲良くして貰っている事には変わらないから、それで塔子さんは勇者パーティだろう? 大樹達と一緒じゃなくて良いの?」

「それだけど…」

勇者パーティが全滅、この世界は不味いんじゃないか。

オーガにすら歯が立たないなんて、まるで無理ゲーの世界だ。

ギルドで聞いた噂では魔王以外にも四天王のコーネリアっていう恐ろしい奴が居て、国が一つ滅んだと聞く。

万の軍勢を従える死霊の女王…魔王以外にもそんな恐ろしい奴が居る

この世界は本当に恐ろしく感じる。

「確かに女の子1人じゃ心もとないし、危ないな、行く所がないなら、一緒に居ても構わない…まぁ俺も月子も戦力外だけどな」

「その割には立派な家に住んでますわね」

「ああっ、採取専門で頑張っているんだ、不思議な事に魔物に襲われないんだよな、目が合うと何時も逃げていく」

「本当ですの?」

「ああっおかげで助かっているよ…ただ熊には偶に襲われるけどね」

《そんな事ってありますの?…やはり本当に理人様こそがおじい様のいうパンドラの箱なのかもしれませんわ、その箱が開くとき三千世界が変わるという…魔物すら避ける、何かがあるのかも知れません》

「凄いですわね…」

「ああっ、案外魔物も人間を恐れていて警戒していのかもな」

「確かにそうかも知れませんわね」

《絶対にそんな事はありませんわ》


◆◆◆

「ミランダさん、私の声が聞こえていたら聞いて欲しいの」

『聞こえていますが私の声は聞こえないのですよね』

「私はこの世界に来る前は、犬神憑き…まぁ下級な神の一種に憑りつかれていたのよ…それで提案なんだけど…私に憑りついてみない? 私、なにかあった時に理人くんを助ける力が欲しいの…私に憑りつけば貴方だって移動出来て助かるんじゃない」

そうか…この子に大して嫌な気分が無かったのは『憑かれやすい』からだったのかも知れません。

憑りつくと言うのは相性が合えば良い事もあります。

挑戦位はしても良いのかも知れませんね。

どうせ聞こえてないでしょうが…

『良いでしょう、その提案にのりますよ』

私はそのまま月子に憑りつきました。

『うそ…相性が合うみたいです…快適です』

『ミランダさんってそういう声なんですね』

『貴方と私はどうやら相性に問題は無いみたいですね、共存という形で良いと思います』

『ええっ』

『それじゃ離れますね』

『うん』

『これでもう』

「へぇ~ミランダさんって、そんなに綺麗な人だったんだ」

『えっ見えるんですか?』

「さっき憑いて貰ったせいか見えるし話せるみたい」

『良かった、これならもう家からも出られます…あっその代り月子さんの傍に居ないと不味いみたいですね…芯が繋がってしまったみたいです』

「まさか、お風呂やトイレまでとは…」

『それは大丈夫ですよ、大体100メートル以内が範囲だと思います』

「それじゃ問題ないね…それじゃこれからお願いしますねミランダさん」

『こちらこそ宜しくお願いします』

まさか自分から憑りついて欲しいなんて言われると思いませんでした。

お互いWINWINみたいな関係みたいだから良いですよね。



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