悪徳貴族になろうとしたが

石のやっさん

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英雄殺し 何故か勝手に死んだ。

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その日は朝から騒がしかった。

アマンダの髪を撫でながら寝ていると、けたたましくノックがされた。

「アマンダ様、ルディウス様起きて下さい」


最近ではアマンダは周りを気にすることなく僕と寝ている。

周りはそれに何も言わない。

それと同時に、俺の事は昔の様に《様》を付けて呼ぶ者が多くなった。

理由は二つある。

貴族籍が残っている事に気がついた。

そしてアマンダが俺を最近可愛がっている事から、俺をぞんざいに扱うと不味いと気がついた。

そんな所だ。

特にアマンダが俺を自分の子(笑)の様に扱っているから《使用人として扱う》その話は事実上無くなってしまった。


近い者はもしかしたら本当の関係に気がついているかも知れないが、殆どの者は《仲が良い親子になった》そう思っているはずだ。



「何事ですか?」

アマンダが、貴族らしく返事をすると..

「アベル様が、アベル様が死にました」

「嘘、アベル様が死ぬなんて...」

「嘘よアベルが死ぬなんて..っ直ぐに行きます」


俺は驚きを隠しきれない。

昨日までアベルはピンピンしていた。

しかもどうやって殺したら良いのか、真剣に考えていた。

だが、その方法が思いつかなかったのに...いきなり死ぬなんて、凄く都合が良いが...

何故死んだんだ?

英雄と言われた男、しかもどう考えても健康だった。

昨日も日課の木刀の素振り1000回をこなしていたのに。



兎も角、俺たちは、服を着て急いでアベルの部屋に向かった。

そこには安らかに眠るように死んだアベルの死体があった。

「医者は呼んだのですか?」

「はい、間もなく来ると思います」

「そうですか...誰もこの異変に気が付かなかったのですか?」

「はい、朝来た時にはもう、旦那様はもう」

「アベル、アベル、死んでしまうなんて...私はこれからどうすれば良いのでしょう」

正直僕は悲しくはない..だが、お芝居をしなくては不味い。

「アベル..いえお父様が亡くなるなんて..どうして」

その後、医者が来てアベルの死体を診た。

「何が原因かは解りませんが..心臓の発作が原因かと思われます」

「そうですか...確かにアベルは最近、体が弱くなってたのかも知れません」


アマンダはそう言ったが、そんな事は俺は知らない...見落としていたのか?


「お気になさらない事です..人は何時かは死ぬのですから」


医者はそれだけ伝えると去っていった。

恐らく永く話すのは苦手なのだろう。


そのまま死体はアベルの部屋に安置した。

流石にアマンダも俺も今日は喪に服してやっていない。

まぁ寝るのは一緒だったが、アマンダは結婚相手だから悲しそうな顔をしていた。

俺も一応は子供だから、ならって、悲しそうな顔をした。


翌日には神父が呼ばれ静かに葬儀が行われた。

アマンダが悲しそうな顔をして涙を流していたのでそっとハンカチを差しだした。


あっけなかった、俺はアベルを殺す方法を色々考えていたのに..何もしないうちにアベルが死んでしまった。

これで俺の当座の立場は確率出来た。


ここから何をするか、何を成すか考えなければならない。


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