悪徳貴族になろうとしたが

石のやっさん

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【閑話】邪神と女神と創造神...そして女神顕現

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魔族からの悲痛な声が聞こえて来る。

魔王の祈りが此処まで聞こえて来る。

こうまで聞こえて来るのであれば神託を卸さなければならない。

《我の使徒たる魔王に悪魔神官よ、何事だ》

「邪神様、それが女神側はこの世界に、天使を降臨させました...それにより、スカルと死霊軍団が死滅しました」


死霊は本来、禁じ手だ...あんな物使ったら勝利はほぼ確定してしまう、ましてそれを倒すなど、確かに天界の住人で無ければ無理だ。


《天使だと》

「はい、しかもかなりの実力のある天使のようで僅かな時間で、スカルと死霊の軍団が昇天してしまいました」


そんな天使が居るのか? あの女神はそこ迄強力な女神では無い。

あんな女神に、そんな強力な天使をこの世に送り出す事は出来ないはずだ。

力のない天使ならいざ知らず、強い天界の住人や悪魔は余程の対価を払わないと顕現では出来ない。

少なくとも爵位のある悪魔を召喚するなら魔族200名位の生贄が必要だ。

それの対になる天界の住民である天使を召喚するなら同じような対価が必要だ。

だが、あの女神は《その様な物》を嫌う。

だから、生贄を使った召喚は考えられない。

では、突然現れた《天使》は何者なのだろうか?


《我の方でも調べて見よう...本当にその存在が《天使》であるなら、こちらも爵位を持つ悪魔、公爵級を送り込む事も考えねばならぬ》

「はっ考えて頂けるので」

《送るのは良い、だが、その為の膨大な対価は必要になる...それは我とてしたくは無い、暫く待つが良い》

「はっ全ては邪神様にお任せ致します」




【神界にて】(神々が集う場所)


邪神も流石にこれを見逃せないから、神界に報告に向った。

「ほう、女神イスタリアが...だがイスタリアにそんな強力な天使を送り込む事など出来ぬ筈だ」

「ですが、創造神様...天使が存在してわが陣営が莫大な損害を被ったのは真実です...このままだと魔王まで単騎で倒されるでしょう」

「だが、邪神ゲストリアよ、天界から人間界、魔界から人間界に行く場合は大きな代償無くて《力のある存在は顕現不可能だ》」

「そうは言われても、存在しているのです」

「イスタリアは強い女神では無い、そんな天使が味方に居る等聞いた事は無い、正直な所、あの世界は魔王が本気になれば勇者パーティーが殺され世界は魔族の物になる...それが確定された程、差がある世界だった筈だ」

「幾ら言われても存在している者は存在しているのです」

「そこ迄言うなら、今見て終わりにしよう...だだ、もし謀りであった場合は責任をとって貰うぞ」

「構いません」

「ああああーーーーーっああん」

「どうかなさいましたか創造神様」


嘘だ...本当にいるぞ。

しかも、とんでもなく強力な天使が 能天使で中級天使だと...あんな奴が居たらあの世界、最早勝敗は決した様な物じゃないか。

あれをどうにかしろと言うなら、それこそ、公爵級の悪魔、場合によっては邪神ゲストリアが出向かなければどうにもならんわい。

しかし、あのイスタリアの女狐め、儂を謀ったのか?

本当はあんな強力な天使を産みだし、人間界に顕現させる力を隠していたのか。

「確かに存在した...あんな力を持っている存在を送り込むなどあってはならぬことだ...今直ぐイスタリアを呼び出して話を聞かねばならぬ」



【それから30分後】


「お呼びでございますか、創造神様...げっ、ゲストリア」

「イスタリアよくもやってくれたな」

「何の事でしょうか?」


「これだ、これ」

創造神は、ルディウスを映し出し見せた。


「素晴らしい天使ですね、こんな美しくて綺麗な天使に仕えて貰えたら女神として凄く幸せですね...えっこれは私の世界、いや嘘、あの創造神様、これは私へのプレゼントですか? こんな美少年で強力な天使...素晴らしいですわね」


「これはイスタリアが作った存在では無いのか?」

「嫌ですわ、創造神様、私にあんな強力な天使を作る様な力があると思いますか?」


よく考えたら、イスタリアにそんな優れた能力は無い。

だからこそ、魔王側には《死霊を使わない》などハンデを指示した。

では彼奴は何者なのだろうか?

創造神たる私が知らない存在がこの世界に居るのだろうか?

少なくともあんなに力のある天使なら名前位は知っている筈だ。

では、あの者は一体。


「ねぇ、あの素晴らしい天使は、私の世界に居るんだから私の者で良いんだよね、はわぁぁぁぁっ見れば見る程綺麗な子ね~早く神にまで登って来ないかな? 」


「ゲストリア...イスタリアには...」

「はぁ。思い出しました..あのポンコツ女神にあんな存在作る事も顕現させる事も出来ませんね」

「そうじゃな」


「だけど、本当に凄いわ、誰がくれたのかな? 私の所まで昇ってくるのが楽しみ...待ちきれないからちょっとだけ顕現しちゃおうかな? えい」


「「おい」」


ほんの少しでも疑った自分達が恥ずかしくなってきたわい。




【現世にて】


教会に眩い光が降り注ぐ。

《天使よ...私に仕える美しき使徒よ...こちらに来なさい》

全てを祝福する様な音色が鳴り響いていた。


教会に居る、全ての者が、嫌この世界に居る全ての存在が、彼女を知っている。

心から崇め、慕い全ての者が信仰する存在、女神イスタリア、それが顕現した。

神託ならまだしも女神の顕現など...誰もが見たことが無い。



「あっああああれは女神様ーーーーっ まさか顕現なさるとは」


《私を信心する者よ、早く私の天使を連れて来るのです》


凄い力を感じて来てみれば...女神イスタリア様が何で此処にいるのか...こんな事ってあるのか?

《おお、我が愛しい天使よ、よくぞ我が世界に存在してくれました、このイスタリア感謝しますよ...この力無き女神の代わりに世界を救って下さい...そして何時か神になり私の前に...現れるのを楽しみにしていますよ...すみませんそう長くは存在....では、くれぐれも我が愛しい天使をお願いします...》

何か聞く前に消えてしまった。



【宗教者たち】



「ああああっーーールディウス様とはそこ迄の存在だったのですかーーっ! 天使である姿も仮の姿、やがては神に至る存在だったなんて、しかも、女神様が顕現してまで頼むとはーーーっ」


「これはやはり、イスタリア様の像の横にルディウス様の像を作らなければなりませんね」

「女神様に頼まれたのです、これまで以上に仕えなければ」



「これ、絶対に内緒でお願いしますね」

もう何がなんだか解らないな。

少なくとも教会全部への口止めを頼まないと...不味いだろう...これ。





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