俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん

文字の大きさ
30 / 34

第30話 リヒトの戦い①

しおりを挟む

「リヒト殿だな…我々は聖教国の聖騎士だ、ちょっと来て貰おうか?」

やはり来たか。

しかし、京姉が居ないこのタイミングを狙って来た…という事はカイト絡みだな。

「断る…そういう訳にはいかないんだよな?」

「すまない、これは強制だ…ついて来てくれないなら、あの女がどうなるか考えろ」

脅し…今の俺には尤も痛い脅迫だ。

「解った!着いて行く…」

悪いがこれで聖教国も俺は敵とみなすからな…

◆◆◆

態々中央教会にまで俺を連れてくるって事は…かなりの大物が動いている…そう言う事だ。

面倒だな…最低でも大司教…場合によっては教皇絡みだ…

不味いな…

「これは、これはリヒト殿、よくぞ参られた」

最悪だ、ロマーニ教皇だ。

考えられる最悪のパターンだ。

実質この国のトップ…いや考え方によってはこの世界のトップだ。

「教皇様、私は自ら此処に来たのではありません。無理やり連れて来られたのです」

「まぁまぁ、固い事言わずとも…察しの良い貴方なら此処に連れて来られた意味も解っているのではないですか?」

ハァ~どうせカイト絡みだ。

「さぁ~なんの事か解りません…勇者パーティの離隊の事であれば円満離隊ですから問題ない筈です…王国にも書類を提出しています」

「確かに…書類上不備はありません…ですが、勇者様達が困っているのです、助けてあげて貰えませんか? 勿論、無料じゃありません、ローアン記録水晶を…」

「はい、教皇様…」

「この映像を…これこそが教会が貴方に払う対価です」

そこには故郷の村人が虐殺されていく映像があった。

「これは…」

「貴方の大切な人を迫害し汚した者は教会の名の元に全てこの世から消しました…どうですこの対価なら、納得して頂けると思います」

これは確かに好ましい事だが…対価として成立していない。

京姉の事を知っている人間は他に最低5人居る。

カイト達勇者パーティと他ならぬ教皇だ。

俺が京姉と離れる事は考えられない。

その状態で勇者パーティと行動を共にしたら…京姉の事を知る4人と一緒に行動する事になる。

最悪だ…

3人は兎も角カイトは女癖が悪い…

全てがマイナスだ。

やるしかない…此処が俺にとっての魔王城だ。

失敗したら全てを失う。

京姉を地獄の生活に戻す位なら…命を懸ける。

頭の中に意味もなく『死ぬのには良い日だ』それが浮かんだ。

多分、意味は違う。

大きく息を吸い込み…叫んだ。

「勇者の里を皆殺しにした逆賊ロマーニーーーッ! 成敗致すーーっ」

そのまま一足飛びに近づきロマーニ教皇の首を跳ねた。

「「「「「貴様ぁぁぁぁぁぁーーーーー」」」」」

聖騎士が動くが、間に合わず…ロマーニは悲鳴を上げる暇もなく首がこぼれる様に落ちた。

此処からが勝負だ。

「ローアン大司教…教皇ロマーニは気が触れて勇者の里を皆殺しにした…その証拠がこれだーーーっ! 勇者の母は居ないが他の三職の親は健在だった…映像で異教徒として殺されていたが…女神が四職の親に異教徒を選ぶわけがない…女神の目が曇っているか、教皇が気が触れたかしか考えられないーーっ」

周りは黙っている。

そのまま走っていき、ローアン大司教に近づく。

此奴は聖教国で2番目の地位があり『勇者絶対主義者』でもある。

此処をつく。

『教皇になるチャンス…勇者の里を襲撃した犯罪者を見逃すのか』

耳元で小さな声で囁いた。

俺がやれるのは此処迄だ。

「貴様、教皇様を殺すなど…生きて此処を出られると思うなよ」

「万死に値する」

どう動くローアン大司教…動かないなら『斬り殺す』しかない。

流石の俺でも…死ぬしかない…

「俺は逆賊を斬っただけだーーーーっ」

頼むから動いてくれ...

「静まれーーーっ…リヒト殿は無罪だ…私達はそこの者に騙されて勇者の里を襲ってしまった…それを正してくれたのだ…寧ろ感謝を言うべきだ」

勝った。

ローアンは…

彼奴も『勇者絶対主義』だ、勇者の故郷を襲った事で勇者に嫌われたくない筈だ…これでそれをロマーニにそれを押つける事が出来る。

そしてその討伐をに自分が加わったとも言える。

更にこれで『次期教皇』につける。

これに気がつくか…食いつくか…賭けだったが…どうやら勝ったようだ。

「「「「「「「「「「はっ」」」」」」」」」」

「ハッ」

聖騎士が剣を下げたのでこちらも剣を下げた。


しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

処理中です...