【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん

文字の大きさ
99 / 104

第99話 異世界人SIDE:異世界から帰った後 ある少女の物語。

しおりを挟む



あはははっ惨めなものね。

異世界に行って全てを失ってしまったわ。

異世界に行くまでの私は優等生だった。

お父さんは上場企業の役員でお母さんは専業主婦。

私は有名私立大学を目指していた、模試ではA判定だから多分行けたはずだ。

そんな私が異世界転移に巻き込まれた。

正直怖くて仕方が無かった。

だって幾らチートだと言った所で、死なない可能性はゼロじゃない。

だから、お見合いには進んで参加したのよ…

そうしたらね..居たのよ、リアル王子様…

本当は王子じゃない。

子爵だけど、ランスロット様。

風で靡く金髪にすらっとした足…映画のスターにだってこんな人は居ない。

気がつくと私は恋に落ちていた。

こんな素敵な方が私を好きになるなんて信じられなかった。

彼は何処までも優しく…

「子供の頃の夢は白馬の王子様と結婚する事でした」

そういう私に…

本当の白馬に乗って迎えにきてくれたの。

「はははっ僕は王子じゃ無くて子爵だけど結婚してくれるかい」

勿論「はい」と答えましたよ。

それからは甘い毎日でした。

なんでもランスロット様の家では決まりがあり、結婚したら1か月間部屋にこもりっきりで子作りしなくてはならないそうです。

食事とトイレ、お風呂以外は部屋から出る事も叶わないそうです。

男性経験が無い私は顔を赤面してしまいましたが…お義母様も優しく…

「貴族の家に嫁ぐと言う事は跡取りを作る事が重要なの、貴方とランスロットの子供が見たいのよ。孫を私に抱かせて欲しいわ」

といわれ了承する事に。

なんでもお義母様は、あと少しでこの家を親戚に取られそうだったらしいの。

夫を亡くして困っていたが、運よく子供が居たから取り上げられず家を守れた。

そういう話をきかされました。

恥ずかしいけど、幸せな日々を過ごしてから暫くして、大変な事が起きてしまいました。

それは神代君が反旗を翻し国が大変な事になっている。

そういう話でした。

マリン王女から招集が掛かり、クラスの皆が集められました。

行きたくは無いけど、ランスロットの立場が悪くなるから行きました。

その時に酸が掛かって手に大きな火傷を負う事に。

神代君はその時に刺されて死にました。

正直可哀想だと思いましたが、私はランスロット様との生活を取り戻せたので満足だったのですが…

何故か、神代君が神として蘇り、多数決で日本に帰る事が決まってしまったのです。

私は…私は帰りたく無かった…ランスロット様。

そんな願いは叶わなった。


◆◆◆

「神谷順子…いい加減吐け、神代の殺害現場からお前のハンカチが見つかった。お前も殺しに関わったのか?」

何がなんだか解らない。

ランスロット様と離れて、家に帰り両親に泣かれた後、私に待っていたのは警察の事情調書でした。

神代君が死んだのは異世界だ、この世界じゃない。

だが、そんな事は言えない。

死んで神様になったし、私は関係ない。

そんな事は言えないし、言ったらキチガイ扱いされるでしょう。

結局、警察の話では私は傍観していただけという事で釈放さました。

だが、ここからが地獄だった。

「警察から聞いたわよ、貴方、危ないグループと付き合っているんだって」

「この面汚しが」

お母さまに泣かれ、お父さまにビンタをされ、暫く私は部屋で反省しろと出して貰えませんでした。

私の不幸はそれで終わりませんでした。

暫くして私は良く吐くようになり、気になって検査薬を使ったら。

「嘘…妊娠している、そんな…」

どうして良いか解らない。

こんな事両親に相談出来ない。

どうしよう…

相談が出来ないまま時間が経ち…お腹が大きくなっていきました。

『もう誤魔化せない』

私は母親に話しました。

「あんたって子は一体何をしているの? 父親は誰なの?」

ランスロット様はこの世界に居ない。

「知らない…」

パン、パン、パン

えっ

「なんてふしだらな女に育ったのよーーーっ母さんは母さんはハァハァ」

「痛いよ…お母さん、お母さん」

顔が腫れても、お母さんは止めてくれなかった。

泣きながらのビンタが終わった後、私は産婦人科に連れていかれた。

「おめでとうございます、妊娠しています」

そんなのは知っていた。

だが、ここからが問題だった。

お母さんが堕胎について聞いていたが…

「もう周期的に降ろせません」

そういう風にお医者さんが説明していた。

家に帰るまで、家に帰ってからもお母さんは黙っていた。

そして私は部屋に引き籠った。

夜にお父さんが帰ってきてお母さんと話した。

お父さんにも殴られる。

そう思っていたが違った。

「お前には失望した。子供が産まれるまでは面倒見てやるが、産んで暫くしたら出て行け」

そう言うなり…お母さんと部屋に引っ込んでしまった。


なんでこうなるの…

ただ、異世界に行っただけでこんな事になるなんて。

ランスロット様、私を助けて。


そこからが地獄だった。

私をまるで汚物を見る様な目で見る両親との暮らし。

高校は自主的に退学した。

この子が生まれたらこの家も出なければいけないから、コンビニでバイトも始めた。

憧れのキャンパスライフはもう夢になってしまった。

これなら…帰って来たく無かった。

私は残りたかったのに…


神頼みをしようと神社に行った。

だが…可笑しいな、ちゃんとお賽銭を入れたのに弾かれるように入らない。

幾らやってもお賽銭が入らない…そうか神様にも嫌われちゃったのか

なんでこうなっちゃったのかな。

◆◆◆

やがて子供が産まれた。

金髪に青い目の可愛い子だった。

だが、更に両親は…

「なんてふしだらな女なの、よりによって外人だなんて」

「お前、やっぱり危ない奴と付き合っていたのか。噂で聞いた通りだ顔も見たくない出て行け!」

「お父さん、お母さん!」

「もうお母さんなんて呼ばないで頂戴」

「私の娘じゃない」

駄目だ…当たり前だよね、外人の子を産んだんだし父親の名前すら言えないんだから。

「今迄お世話になりました…」

それしか言えなかった。

◆◆◆

どうしよう…どうしたら良いの。

今の私は親から貰った手切れ金の50万円しかない。

これが無くなったら終わりだ。

神様すら私を拒むんだから…もう終わりだよね、あはははっ死のうかな。

赤ちゃんごめんね。

うん…神様?

そうだ、私は本物の神様の居場所を知っている。

『神代神社』

神代君は神になった。

あの場所なら、もしかしたら神代君に会えるかも知れない。

そんな資格は私には無い。

だけど…縋るしかない。

夜だったけど構わずに神社に行った。

『神代君…神代君、私が悪かったわ…謝る、謝ります…だから助けてよ…お願いよ、お願い』

どれ位、祈ったか解らない。

だけど、私は知っている。

神代君は神様になった…だから、居るんだ。

『呼んだかな』

『嘘、神代君の声が聞こえる…』

『違うよ…僕の名前はリヒト、リヒトちゃんって呼んで』

『神代君と違うの?』

『う~ん、簡単に言えば眷属って感じかな、君は…僕と波長があうね』

『そうなの…それで助けてくれるの?』

『そうだね、君は神の加護を捨てて異世界に行って、神殺しに携わっていた、大罪人だよね』

『やはり無理だよね、助けて貰えないよね』

『いや、罪は償えば良いんだよ…今僕は探しているんだ』

『何を?』

『この地域にテラス教を広めてくれる人を』

『神代君の宗教』

『それだよ…僕と一緒に日本にテラス教を広めない? そうすればやがて罪は許され、幸せになれるよ…テラス教は現世での幸せを約束するから』

『本当?』

『うん、まず最初は…はい』

嘘でしょう、私の前に札束が現れたよ。

『これだけあれば、生活に困らないでしょう』

『この子の為にも頑張るわ』


やがて世界に

「貴方はテラス様をしんじますか?』

の声がこだました。

そして彼女は『神聖テラス教の教祖』神谷順子として世界に名を広めた。

しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる

まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。 そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

処理中です...