【旧作】勇者お前だけは許さない。僕が考えた最大の復讐 【復刻版】

石のやっさん

文字の大きさ
14 / 26

閑話:ある騎士の死

しおりを挟む
私は騎士団の団員だ。
勇者と共に魔王を打倒した事により、その未来は光輝く物になった。
魔王を倒すと言うのは尋常ではない。私たちは勇者や王女達と違って女神の加護は無い。
だから、本当の所は余り活躍の場はない。
騎士と言えばかっこ良いかも知れない。
平民の子にはなりたい職業ナンバー1だろう。
だが、実際は違う。
勇者が戦う時に邪魔にならない様に雑魚魔族を複数で倒すのが仕事だ。
団長クラスなら、少しは違うかも知れない。
だが団員なら複数人で勇者なら一瞬で殺せる魔物を長い時間を掛けて倒す程度の力しかない。
だから、勇者や王女には逆らえないのだ、、だから王女や勇者に嫌われた貴族の少女を命じられるままに犯した。
最初は躊躇した。可哀想だと思った。だが犯さないと確実に勇者や王女に嫌われる。
だから犯すしかない。そう心に言い訳をした。
だが、本当は違ったのだろう、美しい少女を自由にできる。本来なら触れる事も出来ない貴族の女を自由にできる。そんな心に酔ったのだろう。
そして、綺麗な少女をゴミの様に扱える、それすら楽しんでいた。
自分が勇者の仲間だと思い、選ばれた人間だと思いおかしくなっていた。
そしてその少女を殺す時も要らない物を壊す程度に殺してしまった。
もし、自分の妻が、娘があんな事をされたら私は必ず復讐する。
日常に戻り、家族と過ごすようになって初めて自分が犯した罪に気が付いた。
後に、セレス様に呼ばれた時は怖かった。何もかもが解っていて殺されるのではないか?
そう思った。他の仲間も気が気で無いのだろう。 自分たちは王族では無い、勇者でもない。
普通に侯爵家の人間を怒らせたら死ぬしかない。
だが、違ったセレス様は我々を労ってくれたのだ。騎士が評価されないのは可笑しい。そのように他の貴族と違い我々を高く評価してくれていたのだ。 それなのに、騎士を一番理解してくれた方の最愛の人を我々は犯し辱め殺してしまった。自分は何故あの時に彼女を逃がしてあげなかったのだろう? それ位は出来たはずだ。言い訳はしない、犯す事を楽しんだんだ。 
それなのに、この方は笑いながら自分たちに騎士なんかではめったにお目に掛かれないご馳走とお酒を用意してくれた。 仲間の何人かは影で笑っていたが、自分には良心の呵責しかなかった。 しかも、この方はそんな我々に、一般人では決して手に触れられない高級娼婦まであてがってくれた。 これには驚いた。だが、この人は解っているのだ、「英雄色を好む」我々騎士は性欲が高いのを知っていたのだ。 もし、勇者の遠征をセレス様が組んでいたら、恐らく娼婦等も用意されたのかも知れない。我々は野獣になどならなかっただろう。
この方は本当に我々の為に動いてくれている。王に働き掛けて剣武会まで開いてくれた。
一生遊んで暮らせるような莫大な賞金。優秀者には団長や副団長、騎士爵まで。
騎士なら夢見るような栄光だ。そしてセレス様はその一人はこの中から出るそう思ってくれていたのかも知れない。 そして、全員に剣武会に出て欲しいと言い金貨まで頂いた。 
だが、私は腐っていたのだ。せっかくくれた金貨を家族に使わず。剣や武具も買わずに娼婦に使った。
あの、高級娼婦の事が忘れられずに娼館に通った。それは騎士団の殆どの者がそうだった。 あの儚げなのに献身的な娼婦が忘れられなかった。だが、どこの娼館にいってもあんな凄いサービスはなかった。





だから、私たちは呪われてしまった。噂では性病に掛かった少女を犯した呪いと言われているが違う。
私達を呪い殺したい程、憎む少女など一人しか居ない。
マリアいやマリア様だ。マリア様の呪いは凄まじく一人一人と死んでいく。しかも皆んな性病でだ。
あの少女にした事を考えたら、ただ死ぬだけでは償いにならないだろう。これでもかと辱め苦痛の中で殺したのだから「セレス、セレス」と狂ったように泣いていた彼女を犯した。、、、、そして殺したんだ。
そして、その彼女が最後まで愛した。我々を理解してくれたお人よしのセレス様がくれたお金で娼婦まで買ったんだ。憎まれても呪われても仕方ない。仲間も皆んな諦めている。

マリア様、だけど聞いて欲しい。俺は変わろうとしたんだ。お人よしのセレス様にあってから少しは少しはまともな騎士になろうと思ったんだ。なのに、遅かったのか。俺は貴方を汚し犯し殺した。死ぬのは仕方ない。だが、なぜ妻まで呪うんだ。あれはただ、単に家事が好きな家庭的な女だ悪い事なんてしてないんだ。いつも一生懸命に明るく生きただけの女だ、、、だがもう助からないのは知っている。俺も妻ももう死ぬのだ。 俺は死ぬまで神に祈る。懺悔する、妻と娘と一緒に謝り続ける。 だから娘だけは助けてくれ。、、、、、、頼むから、、、


騎士は死ぬまで神に祈り、マリアに謝り続けた。
だが、その思いは叶わなかった。娘は金貨3枚の形に奴隷として売り飛ばされる。
娘は両親を生涯恨み続けるだろう。何故なら、自分はこれからマリアと同じ地獄を
歩むのだから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...