36 / 85
第36話 修羅場⑧ この世界の男は…
しおりを挟む取り敢えずは明日だな。
「それじゃリヒト帰ろうか?」
そう言うとエルザは俺の腕に腕を絡めてきた。
本来ならプニプニした心地よい感触が味わえる筈なのだが、サラシのせいで固い感触しかない。
これは、これでまぁ嬉しいんだけど。
んっ? 帰ろうか?
「エルザ、帰ろうかって?」
「嫌だなぁ、僕とリヒトは今日から一緒に暮らすんじゃないか?もしかして忘れていたのかな? うん実質あれはプロポーズだよね?」
「いきなり今日から…なのか?」
「こう言うのは早い方が良いんだよ! まさか嫌とか言わないよね?嘘じゃ無いよね!」
『一緒に暮らすか?』
そう言ったのは俺だな。
だが、さっき話したばかりで今日から…とは思わなかったな。
「まぁ良いか…ガイアの所には皆報告して無いけど良いのかな」
「この状況で、報告は無理だよ! 流石に勇者のガイアでも1人で魔王とは戦えないからね、どうせ宿屋に居るから大丈夫だよ!」
「まぁ確かにな…1日だけだし放っておくか?」
「そうそう、頭冷やさせた方が良いよ?」
問題はアイカとエルザだ。
話もする前にいきなり合わせるんだ…一騒動位は覚悟が必要だな。
◆◆◆
「リヒトさん…なんで横に剣聖様が居るんですか? もしかして、私の事からかっていたんですか? 腕迄組んで…恋人がいるのに私にあんな事言って…酷いですよ…今迄デートしていたんですよね? だからこんな遅くに帰って来たんですよね?私を騙して楽しいですか…そんな美乳で可愛い恋人が要るのに…グスッ、ヒクッ、スンスン化け乳女を好きになるわけ無いですよね…私、馬鹿みたいですね…あはっ本当に馬鹿ですね…」
ヤバい、アイカが泣きだした。
「任せてリヒト! 僕の事は知っているよね! はじめましてアイカちゃん…リヒトの『夫』になったんだよ!宜しくね」
「やっぱりそうじゃないですか? リヒトさんの嘘つき…馬鹿ぁぁぁぁー-っ」
アイカの目からは大きな涙がぽろぽろと流れ落ちていた。
「ちょっと待って!アイカちゃん、僕は君の恋人にもなるつもりで此処に来たんだ!話を聞いて!」
アイカが俺の方を見て口をパクパクさせている。
傍から見ていてもうん、何を言っているのか解らない。
「まぁ話を聞いてくれ…」
「解りましたが…私が恋人ってどういう意味でしょうか?」
「それは余り気にしなくて良いが、エルザは『男より女が好き』なんだ…あと此奴はアイカが思っている程カッコ良くない…『残念剣聖』なんだ」
「リヒト…それは余りに酷いよ! アイカちゃん違うよ!僕はカッコ良い『麗しの剣聖エルザ』だからね」
世間ではそう言われているが…放って置くと宿屋なのに汚部屋にしてしまうし…料理をやらせれば塩味ワイルド。
俺からしたら変人の『残念系』の人間だな。
「あの…今の話から考えると…剣聖様はリヒトさんの『嫁』じゃなくて『夫』でしかも…私と恋人関係になりたい…そう聞こえるのですが…私の聞き間違いでしょうか?」
聞き間違いじゃないのが怖いな。
「うんうん、それで間違いないよ! 僕はね、男の子以上に女の子が好きなんだよね! まぁリヒトは別格で1番好きなんだけど…それでアイカちゃんとも仲良くしたいな…そう思ったの、駄目かな?」
「駄目じゃありませんが…私はノーマルで好きなのは男性ですよ…それに幾ら剣聖様が」
「エルザで良いよ!」
「幾らエルザ様が女好きでも…私は醜い『化け乳』ですよ…誰も相手にしない位ブサイクで醜い『化け乳女』なんです…そんな女相手なんてするわけ無いですよ…」
「そんなの気にしないよ…ほれっ! 僕も同じだよ!」
そう言いながらエルザは服を脱いでサラシをほどき始めた。
「嘘…エルザ様も『化け乳』なんですね…私程じゃないですが…」
「そうなんだよね! 僕も化け乳なんだよ! だけどねリヒトはそんな化け乳の僕でも受け入れてくれたから、僕もねリヒトを『嫁』にする気なんだ…勿論、アイカちゃんも『嫁』として扱うから、受け入れてくれないかな」
「あの…私は化け乳ですが…そっちはノーマルですよ?変態じゃありません! そうですね姉妹みたいな関係じゃ駄目ですか?一緒に暮らすのも…そのリヒトさんを一緒に好きになるのは…問題ありませんから…」
しかし、エルザもさっきから上半身裸で大きな胸がタプタプ動いていて目のやり場に困るな。
「そう? それは残念だなぁ~だけどまぁ『今は良いや』取り敢えず僕もそれで良いよ…だけど? それは脱いじゃおうか?」
いきなりエルザがアイカの服に手を掛けたぞ…なにするんだ?
「きゃぁぁぁぁ――っ!エルザ様止めて下さい!」
「アイカちゃんは試してみたくない? 本当にリヒトが『化け乳』を嫌いじゃないのかどうか? さっきから僕の胸から目を逸らして見てくれないんだよね? 嫌いじゃ無いなら『ちゃんと見れる筈なんだ』だから、僕だけじゃなくアイカちゃんも一緒に見て貰おう…本当に気にならないのかどうかさぁ…」
アイカは服をエルザに剝かれてしまい…大きなメロンの大きさの胸がポロンと剥き出しになった。
「ううっ…そう言う事なら…リヒトさん、目を逸らさずにちゃんと見て下さい」
目の前で大きな物体4つが丸見えになっている。
本能でつい目を逸らしてしまう。
「リヒトはこの化け乳が気にならないんだよね? なら何で目を逸らすの? 嫌いじゃ無いなら僕の方見られるよね!」
「リヒトさん、なんで私からも目を逸らすんですか! 本当は化け乳なんて醜い物見たくないんじゃないですか?」
「何度も言うが、俺はその…大きな胸が嫌いじゃない、寧ろ好きだ…だが見ていると触りたくなるから、見ないようにしているだけなんだよ…柔らかくて触ると気持ちよさそうだから…悪い」
「へぇ~リヒトそうなんだ」
「リヒトさん…そうなんですか」
なんで二人して目を合わせて頷いているんだ。
「なんだ、そういう事なんだ…へぇ~リヒトは僕のこれ触りたいんだ」
「リヒトさん、そうだったんですか? そうならそう言って下さい」
そう言いながら二人は俺の手を掴み自分の胸にあてがった。
「良いよ、じゃんじゃん触って」
「何時でも好きなだけ触って下さい」
折角我慢していたのにな…
此処で我慢して断ったらまた泣くかも知れないし…
「それじゃ遠慮なく…そうするよ」
「ちょっとリヒト…そんな、あっなっあん」
「リヒトさん、そのなんだか胸があっ変ですあっあっあん」
しかし、こんな触り心地が良い物を『気持ち悪い』なんて、この世界の男は絶対に損しているよな。
俺は優しく二人の大きな胸を揉み続けた。
37
あなたにおすすめの小説
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる