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第43話 二人 本当の恋
しおりを挟む「ねぇ、リラ…」
「どうかしたの? マリアン…」
「リヒトって昔からああだったのかな?」
「そうね…多分、あんな感じ…う~んだけど、更に大人っぽくなった気がする」
あれが本当にリヒトなの?
別人じゃ無いのかな?
ただでさえ、凄いと思っては居たのよ…
だけど、面と向かって話したから解るわ。
凄く大人で…うんカッコ良いわ。
見比べるとガイアがまるで子供にしか思えないわ。
私は、これでもガイア一筋だったから気がつかなかったわ。
リヒトはなんであんなに優しく出来るのかな?
散々世話して貰ったのにただ恋人とイチャつきたいからと『ただそれだけで』追放した馬鹿な奴。
それが、ガイアも含む私達だ。
普通なら恨まれても仕方が無い。
なのに、彼奴は…私が思い切ってミニスカ―ト履いたら…『マリアンやリラの綺麗な足を見られて男としては嬉しいけど、そういうのは本当に好きな男が出来た時に見せてあげれば良いと思うよ!』
だって。
普通ならもっとギラギラした目で見る筈なのに。
最悪『大人の関係』も視野に入れての誘惑だったのに。
皆、足を見せたら、凄い反応なのに…リヒトは違う。
このままじゃいけない。
そう思って二人して落とすつもりで告白までしようとしたら…
『嘘だー-っ』と遮って『間違った感情だからね。口にして欲しく無かったんだよ。今の二人は昔の俺に似ているんだ。 恐らく、大好きなガイアに裏切られ、半分自暴自棄になって喪失感があって、とても寂しくて、心が傷ついているから、正常な判断が出来なくなっているんだよ』
『本当に俺が好きだっていうなら嬉しいし、本気で考える…だが今の二人は傷ついているだけだ…そこに付け込んで『自分の物にしよう』なんてクズみたいな事は俺はしたく無い。』
あはははっ、私はリヒトの何を見て来てのかな?
凄く大切にされているじゃない?
「ねぇリラ、リヒトってあんな風に私達を大切に思ってくれていたんだね…私知らなかったな」
「私だって知らなかったよ…だけど今ちゃんと考えれば納得だよ…『大切に思ってなければ』あんなお世話出来ないよね…女物の下着の洗濯から全ての家事を全部押し付けていたんだから、きっとあんな事はリヒトじゃなくちゃ男でやる人は居ない…と思う」
「本当にそうだよね! 失恋したばかりだから、傷ついているから。それに付けこみたく無い…本当に大切にしてくれていたんだ…良く解ったわ…それでね困った事になったのよ」
「困った事? それ私も同じかも知れない」
優しくて暖かくて…自分の心よりも、私が傷ついているからって、癒える迄待とうとする人。
『本当に優しい』
それが解ったから、もう駄目だわ。
心臓のドキドキが止まらない。
此処迄優しくされて大切にされたのが解ったら、もう駄目だわ。
『私の負け! 負けだわ』
「私は、多分リヒトを本気で好きになったのかも知れないわ」
「そうね、私も同じ…あれが本気だから凄いわよね。カッコよすぎる…リヒトって、優しくて、家事は完璧だし、仕事だってしっかりするし、どう考えても優良株だよ…それに地味だけど顔だって悪くないし、好きにならない要素なんてないよ…本当になんで私は『追放』したのか解らないわ…私も同じ…リヒトの事私も好きになっちゃったわ」
「そうね、あれは反則だわ」
ガイアみたいにギラギラしていないし、優しいし本当に大人だわ。
此処迄大切にしてくれて、好きにならない訳ないじゃない。
「そう、本当に反則だわ」
「それじゃ頑張るしか無いよね? リヒトを手中に収める為、一緒に頑張ろうよ」
「うん、頑張ろう」
多分、今の私の気持ちが本当の恋なのかも知れない。
これが多分、私の初恋なのかも知れないわ。
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