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第36話 お別れ
しおりを挟む『楽しかった』
胸を張って言える人生だ。
あれから後、王国や帝国、果ては聖教国まで使いが来たが、俺達は戦いに参加しなかった。
『粘着男と3つの肉便器』まさにそれに相応しい対応をした。
使者に対して明らかに『今行為が終わったばかり』の着衣が乱れた格好で応対したり、平気でキスをしながら相手をし『断った』
この世界は別に露出狂を咎める法律は無いから、人前でも街中でもエッチな事をしていたら醜聞が広まり…
『色ボケした』
『聖女じゃなくてあれは性女だ』
『あれを戦わせるのは人類の恥だ』
そう言われる様になり、使者は途中から、文句言う奴や説教する奴が来始めたが、それでも乱れた生活を続けたら最後には『依頼』しか来なくなった。
まぁ、当たり前だ。
人前で男のあれを咥えて奉仕する様な聖女。
人前で椅子に座っている俺に跨り半裸で腰を振る様な賢者。
人前でくちゃくちゃと俺が食べている飯を口移しで喜んで食べる剣聖。
そう言った醜聞が世界中に広まったから、諦めたのだと思う。
尤も、冒険者だから『依頼』が来ても気に入らない物や危ない物は全て断った。
此処迄すれば、全世界から嫌われそうだが…違った。
俺達はコハネの街や領主に好かれていた。
馬鹿みたいな話だが
『粘着男と3つの肉便器の性行為は手助けをし邪魔はしない事』
そんな法律がコハネに出来た。
理由は、俺達が腐ってもS級で、こんな馬鹿な生活をしていても、その実力から『抑止力』になっていたからだ。
俺はよく狩りをしたし、セシリアは聖女だからよく治療もした。
色ボケしたとは言え、S級4人の元勇者パーティが住んでいるから、盗賊も近隣に居なくなり、魔族もこの近隣にはこない。
『物凄く強いが倒しても手柄にならないで笑い者』
そんな奴と、まぁ戦う馬鹿は居ないよな。
その有用性が商人から広まり、貴族に話が行き、領主の耳に入り。
こんな馬鹿な法律がマジで出来てしまった。
最後の方には街中に、前世で言う公衆便所の大きさの俺達が犯る場所専用の小型の施設が20か所でき、宿屋は宿賃が無料になり、普通に人前で犯っていると『精が出ますな』と挨拶をされ、冷たい飲み物まで渡されるようになった。
三人は恥ずかしそうにしながらも、淫乱、雌犬、雌ブタ、そう呼ばれても可笑しくない位に人前でも俺を抱いたし、俺からも抱いた。
俺はクズでDQNだが、三人を本当に愛していた。
それだけは確実に言える。
女好きの俺が4人しかこの世界で抱いた女は居ない。
しかも、3人以外で抱いた女は一夜だけだ。
BBAになっても回数は減っても抱いた。
歪んではいるが、そこには愛があった。
そう言い切れる。
イザベルが死んだとき。
エルザが死んだとき。
心が張り裂けるんじゃないか…そう思える程悲しく泣き喚いた。
そして…
◆◆◆
「あなた、私は凄く幸せだったわ」
「そうか…」
「本当に、可笑しな恋愛だけど、最後まで愛してくれてありがとうね…ほうら、泣かないの」
「俺は泣いてなんて…いない」
「そう、なら良いわ…もうすぐ私駄目みたい、どうせ死ぬなら…最後もSEXしながら死にたいわ…ほら」
「解ったよ」
聖女の自分でも治せない、病にかかり、その死の間際、セシリアが望んだのは俺とのSEXだった。
最後まで俺に抱かれる事を望んだ。
そのまま二人で眠り…翌朝、セシリアは俺の横で冷たくなっていた。
◆◆◆
セシリアを二人の墓の横に埋め…俺は…俺は涙が止まらなくなった。
目の前が霞み、景色がグチャグチャになり、辺りが暗くなっても俺は此処から離れたく無かった。
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