勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん

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外伝 ある村の運命

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「誰か村を、村を助けて下さい」

私の名前はジルバ、村長の息子をしている。

村を代表して王国のギルドに助けを求めてきた。

平和な農村であったが、最近はオークが現れ蹂躙されるようになった。

領主に頼むも小さな村に騎士団等出してくれずに放置された。

恐らく、大した物産も無い村だ、騎士を出す位なら滅んでも良い、そう思ったのかも知れない。

最初は隣町のギルドに行ったのだが、

「無理ですね小さいギルドだから、Aランクは1パーティーしか居ない、だがそのパーティーは他の場所に遠征中だ、Bランクではこの案件は任せられない」

「そこを何とか」

「無理だな、行っても無数のオークが居るんじゃ、下手すればオークキングやオークジェネラルも居る可能性が高い、Aランク以下で行っても死にに行くような物だ」

「そこを何とか」

「仕方ない、王都から来て貰うか? だが、恐らくオーク1体辺り金貨2枚...話によると最低20体、それだけでも金貨40枚だ、それにもしオークキングが居たら単独で金貨12枚、金貨52枚が必要だが用意はあるか?」

そんな、ある訳は無い..村でかき集めて用意出来たのは金貨15枚...これが限界だった。

「ありません」

「なら、どうする事も出来ないな...諦めな、冒険者は商売なんだから..」

「そこを何とか」

「だったら王都にでも行ってみな、村中の女を抱かせてやるとか? 気に行った女の2人も奴隷として差し出せば受けるような奴もいるかもな? まぁ此処じゃ小さな街だからそんな奴はいないが、王都には女好きな有名な冒険者が居るって聞いたぜ」

「そうか...」


最悪、村長と相談だが、その位の犠牲で村が救われるなら...仕方ない。


そして、王都のギルドで相談するも

「これは正式の依頼じゃ無理ですね...本当はいけないんですが、冒険者と直接交渉しかないですね...」

お金が無いからギルドじゃ受けられない、かといってそれは死ねって言う様なもんだ。

だから、「見逃す」それがギリギリ出来るギルドの善意だった。


「あれが、勇者パーティーを除く、最短Sランク到達者のシエスタか」

「自由の翼...羨ましい」


凄い人が居たもんだ...あれっ...あれはシエスタじゃないか?

彼女ならきっと...

「シエスタさん、お久しぶりです」

「お久しぶりです...ジルバさん」


「恥を忍んで頼みます、村を救ってください」

「どういう事ですか?」

ジルバは村の現状を話した。

「そうですか、大変ですね頑張って下さい!」

「あの、シエスタさん、お願いです...助けて下さい」


幾ら言われても、自由の翼はワイバーン以下の魔物を狩る事は禁じられています。

これはギルドの決定だから私達にはどうする事も出来ないと聞きました。

無理に頼むとケイン様に迷惑が掛ります。

奴隷の私に此処まで優しいケイン様に迷惑なんて掛けれません...

ごめんなさい...此処は王都だから他に冒険者もいますから大丈夫でしょう?

Sランクに頼む位だから資金もあるでしょうし...


「ごめんなさい、自由の翼ではこのお仕事は受けられません」

「そんな..貴方だけが頼りなんです」

「ごめんなさい」




ヒソヒソ

「嘘、自由の翼でも受けない位危ないの」

「なら、無理だな」

「地雷依頼だから受けない様に仲間に言わなくちゃな」


彼らは知らなかった。

自由の翼はワイバーン以下は狩ってはならない、そのルールを。





シエスタさんが助けてくれる訳がないじゃないか!

あの乱暴者とその母親に牛馬の様にこき使われて虐められていた。

その時に、彼女に手を差しだした者は居ない。

散々こき使われた挙句「子供が出来ない」という理由で二束三文の奴隷として売られていった。

本来なら、借金も無い状態で夫婦と言えど勝手に奴隷として人を売るなど出来ない。

村長なら止める立場の親父も、黒目黒髪の彼女を嫌い、あの家と揉めるのが嫌で止めなかった。

自分達が彼女を助けなかった、なら彼女が私達を助けなくても文句など言えない。



「あのジルバさん、何でギルドに頼まず、直接冒険者に頼むんですか?」

知っていて言っているのか...意地が悪いな、村に金が無いんだよ。

「お金が足りないんだ」

「幾ら、足りないんですか?」

「金貨37枚足りない..」

「そうですか?なら行きましょう」

「何処に」

「受付にですよ!」



嘘だろう...足りない分をシエスタさんが出してくれた。

これで村は助かる。

私達はシエスタさんを見捨てたのに...この人は救ってくれたんだ。

「ありがとう...本当にありがとう」

「無料じゃありませんよ! ちゃんと働いて貰います、そうですね、私の両親のお墓の掃除をして月に1回お花を上げて下さい、それをして下さい」

「そんな事か、必ず綺麗にしておくよ」

「なら、良いです、それじゃ!」



引き留めて、シエスタさんに話を聞けば、英雄ケインと剣聖ケイトのパーティーに居るそうだ。

そうか...頑張ったんだな。




シエスタさんが間に入ってくれたせいか、村まで一緒にAランクパーティー銀翼の狼がついて来てくれた。

そして、着くなり直ぐに行動を起こして、次々とオークを駆逐していった。

実際には少し払った依頼料より数が多かったのだがそれはサービスしてくれた。


シエスタさんが足りないお金を出してくれた事を親父に話した。

「そうか、あのシエスタさんが...」

その話を聞いた親父は直ぐにシエスタさんの元夫マルコフと元義母のサンドラを呼び出した。

「どうしたんだ、村長!」

「儂に何かようかの?」

あらかじめ屈強な村の男に頼んで押さえつける準備をしている。

「いやな、お前等、村民を勝手に奴隷として売っておったな」

「あん、シエスタの事か?」

「嫁を売っても問題は無かろう」


「ああ貧乏で子供や嫁を手放すのは問題は無い、だがお前等、親子は裕福だ、しかも土地の一部はシエスタさんが親から貰った土地の筈じゃが」


「結婚したんだから俺のもんだろう」

「そうじゃ」




「まだ、解らないのか...良いか、家は充分裕福なのにシエスタさんを売った。 そして財産である土地の一部はシエスタさんの物だ、これはどう考えても、シエスタさんの土地を取り上げた挙句、売り飛ばした...そういう事じゃないかのう...この村では、田畑を盗む様な事をした者は死刑じゃ..」


「そんな...今迄何も言わなかったじゃないか?」

「そうじゃ、おかしい」



「甘い顔するのを止めた、それだけじゃ、犯罪をしていたのは間違いない事じゃないか?」

二人は火あぶりにされ処刑された。




「親父此処までする必要があったのか? 幾ら何でもシエスタさんが怒っても居ないのにやり過ぎじゃ」

「良いか、良く聞くのじゃ、もしあの二人に罰を与えてシエスタさんに逆恨みして何かしたら、村が潰れる」

「まさか、そんな」

「それだけじゃない、墓を掃除しろと言う事は村に先々来るかもしれん、その時にあの二人を見て気に障ったら村が潰れる」

「そんな訳無いだろう、シエスタさんだよ」

「確かに優しい人だからしないかも知れん、だがな考えてもみぃ...領主様に逆らったら死刑じゃ」

「当たり前だろうそんなの」


「英雄ケイン様と剣聖ケイト様は王とも面識があるのじゃ、しかも両者ともに国の宝と言われておる、その方の仲間じゃぞ...そう考えたらどうじゃ? 領主様以上じゃよ」


「えーと」


「当人にその気が無くとも、シエスタさん、ええい様、シエスタ様がもしこの村の悪口を言ってそれがケイン様を通して王様にでも伝わったら、そして領主様が王様よりお叱りを受けたら、怖くないかの...」


「そうですね、もう元のシエスタさんじゃない、そう思わないといけない、そう言う事ですか?」

「その通りじゃ...良いな、今回のお金の件を含み、皆には後でしっかり、この事を伝える、もしシエスタ様が帰ってきたら、必ず「様」を付けて敬うようにしなければのう」

「解りました」


こうしてシエスタは自分が知らないうちに 村で村長以上に扱われる事になってしまった。





いきなり、領主様がこの村、ハズナ村に来る事になった。

領主様がこの村に来るなんて、私が村長になって初めての事だ。

何かこの村の人間が粗相をしたのだろうか? 

いずれにしても、領主様が来るなんて碌な事ではない。

少なくともこの村の人間で表彰される様な者は居ないだろう。

先に騎士達二人がこの村に来た。

この事から考えても大事だ。

手紙で無く、騎士がきた、これだけで重要性が物凄く高い事が解る。

「村長は、村長はおるか!」

私は直ぐに跪いて首を垂れた。

「はい、私が村長のゾルべです」

「1週間後に、領主であるマルチフ男爵様が寄り親であらせられるフリーダ―伯爵様と一緒にこの村を訪れる、歓迎の準備をされるように、あと村人は全員この村から出ない様に、以上だ!」

「あの、どの様なご用向きなのでしょうか?」

「一つは観光、もう一つはまだ喋れぬ」

「そうですか...これを」

こういう時にはさらっと賄賂を渡すのが正しい。

「これは、独り言だが「戦メイド様」絡みだ」

「戦メイド様?」

戦メイド様? 一体何の事だろうか? そんな仕事についている者はこの村には居ない。

一体、誰の事で何の為に領主様がくるんだ、待てよ、寄り親の伯爵まで来るとなるとただ事ではない。

いずれにしても、村総出で歓迎しなくちゃならないだろう。

「ああっ、こんな田舎ではその名も解らぬか! 英雄パーティーS級ランク冒険者で私達と同じで騎士のシエスタ様の事だ」

「シエスタが」

「無礼であろう、村長、今のシエスタ様は騎士爵を持つ貴族だ、敬称を付けぬ等無礼であるぞ」

「騎士様、申し訳ございません、ですが同じ騎士である貴方様が何故「様」を付けられるのですか」


「騎士の世界は実力が全てだ、女でありながら最短でS級ランクに駆け上がり、その実力で英雄ケイン男爵様や剣聖のケイト男爵様と肩を並べ魔族の四天王の一角を崩したのだ、騎士である私が敬意を払わぬ訳がなかろうが」


「シエスタ様はそこ迄の手柄をたてられたのですね」

「うむ、良いか、もう村人や冒険者だと思ってはならぬ、良いな」

「はっ肝に命じて置きます」

「では1週間後に来る、そうだこれは領主様から預かった金子だ、今回の歓迎に使う様に、くれぐれも「恥をかかせてくれぬな」と言っておられた、良いな」

「肝に命じます」

革袋を開けると金貨が20枚入っていた、普通はこんな事は無い。

歓迎のお金は村が出すのが当たり前だ、こんなお金を領主様が出すという事はそれ程までに重要、そういう事だ。

騎士達は去っていった。

何がなんだか解らないが「少なくとも大変な事になった」それだけは解る。

「ジルバ、これから村人全員集めてくれ」

「親父、解った」

直ぐにジルバは家を出て村人を集めにいった。


金貨20枚も領主様が渡すと言う事は凄く慎重にしなければならない。

寄り親のフリーダー伯爵様が来ると言う事は大変な事だ。

領主様でも滅多に来ないのに更にその上のフリーダー伯爵様まで来るなんて前代未聞だ。

ジルバに頼んで村中の人間を集めて貰っている。

やはり、マルコフとサンドラは火炙りにして正解だった。

シエスタ様から土地や家を取り上げお金があるのに奴隷として売り飛ばしたのだから「村の掟」に照らし合わせても正しい。

それ以前にもし生かして置いたら、大変な事になっただろう。

先程の騎士様にシエスタ様を売り飛ばした人間が「この村で生活して生きている」それを知られるだけで間違いなく不興を買うだろう、ましてその上である領主様や伯爵様も何かしらシエスタ様に思う事がありそうだ、本当にあの時の判断は正しかった。

だが、まだ大きな問題がある、時間だ。

本来ならシエスタ様が売り飛ばされる前に阻止しなければなかった。

更にそれに間に合わなくても、その事を知った上で直ぐに行動を起こさなかった。

本来なら直ぐに買い戻しに行かなくてはならなかった。

何も起きなければ問題無い。

だが、儂は村の長だ、最悪の事態も考えなければならない。




「親父、村人は全員集めて来たぞ」

「そうか? 子供まで全員集めてあるか?」

「間違いなく」

「それなら、良い、これから全員で話合わなければならぬからな」

村人全員が村長の家に集まってきた。


「ゾルべ村長、これは一体何なのですかな? いきなり全員集まれとは、今日の農作業に差し支えますぞ」


「済まないが今日の話は全てに優先する、1週間後に領主様とその寄り親であるフリーダ―伯爵様がこの村に来られる、だから直ぐにでも歓迎の準備をしなくてはならない」


「なっ!今迄この村には領主様すら来た事は無い筈だ、それがフリーダ―伯爵様まで参られると言うのか」

「そうだ、それで歓迎の準備と相談があって今日は集まって貰った」

「村長、何の相談だ、今回の領主様が来られる事と何か関係があるのか?」

「それが、儂にも詳しい事は解らなぬがシエスタ様絡みらしいのだ」

「シエスタ絡み」


「言葉に気をつけえぃ、シエスタ様じゃ、元は村民とはいえ、騎士様のお話しでは既に騎士、ちゃんと「様」を付けるように、もし、つけずに話して不興を買ったら大変な事になる...解ったか、これは最低限、徹底するんじゃ、解ったな!」

「シエスタはそんなに出世したんか?」

ゾルべは杖で、発言した村人を殴った。

「何をするんじゃ、村長!」

「儂だからこれで済んだのじゃ! 馬鹿者が! 良いか、もし騎士様や領主様じゃったら、杖でなく剣であった可能性もある、だから、これから1週間、「シエスタ様」そう間違いなく話せるように訓練する、もし「シエスタ」と呼んだのを見つけたら、殴って良い、勿論儂や息子もな! 解ったか」

「そこまで気をつける必要があるのか! 幾ら何でも気の使い過ぎだろう?」

「英雄のケイン様や剣聖のケイト様のパーティーメンバーで自身もS級冒険者、そして騎士の地位もある、何故雑に扱ってよいと思うのか不思議でならん」


「あのシエスタがか」

「おい、言葉に気をつけろと言った筈じゃ」

ゾルべは杖で殴った。

「痛っ 村長いきなり何をするんだ」

「良いか! 言葉には気をつけるのじゃ、それ以前に金貨37枚も出して貰って村を助けて頂いた、その恩もあるんじゃぞ」

「俺も親父に賛成だ、村の者はシエスタ様を助けなかった、だがシエスタ様は村を助けた、それなのに文句あるのか?」

「いや、無い」


「ならば良い、1週間で この事を徹底して領主様達の歓迎の準備をする必要がある、その支度金として金貨20枚貰っておる、この意味が解るか?」

「親父それは」

「その際に「恥はかかせてくれぬな」と言伝があった、領主様の寄り親のフリーダー伯爵様も来られる、場合によっては無礼討ちもありゆる、肝に銘じるように」


ただならぬ村長の話に村人達は全員顔が青ざめ引き攣っていた。



「はっはっはっ、まさかあの「戦メイドシエスタ」の生まれた地がマルチフの領地だったとはな」

「お父様、凄く楽しみです、公爵令嬢のシャルロット様もお好きなお話しですから、凄く羨ましがっていました」

「ならば、何かシエスタ縁の品をプレゼントしてあげれば良いんじゃないかな? 喜ぶと思うぞ」

「はい、だけど、私もシエスタ様の縁の品があるなら欲しいです」

「そうだな、生まれた土地なら何かあるだろう、お父様が買ってあげよう、だがシエスタ様か?」

「いけませんか? だって凄く凛々しいんですもの」

「まぁ良い、芝居などで役者に様を付ける事もあるし、英雄ケインや勇者リヒトを同じく様づけで呼ぶ者もいる、公式の場じゃ無ければ良い」

「解りました、でしたら公式の場ではどの様に呼べば良いのでしょうか?」

「さて、そうだ「殿」をつけてシエスタ殿でどうだ」

「それなら、良いですわ、流石お父様です」


「所で、マルチフ男爵、シエスタ殿が生まれた、ハズナとはどんな村なんだ!」

「それが、小さな村なので私も実は訪れた事はありません」

「そうか、我が娘フランソワーズが気に入る様な場所なら良いのだがな」


「はっ、緑豊かな田舎村と聞いておりますのでご期待に沿えるかどうか」


「なぁに、娘はシエスタ殿に夢中だ、シエスタ殿の昔話等、話せる人間が居ればそれだけで充分だ」

「それなら、沢山居ると思います」

「それは良かった、儂はフランソワーズが可愛くてな、王家に同い年の人間が居ない以上、実質同世代の令嬢はシャルロット様が仕切っておられる、仲良くなる口実には「戦メイドシエスタ」は丁度良い、マスチフ男爵感謝するぞ」


「有難うございます」

「良い良い、場合によってはハズナを観光地にして行くのも良い、良い観光資源になるのではないか?」


「そうでございますな!」



「そろそろハズナの村に着きます」


「そうか」


「お父様、私凄く楽しみです」


それから、程なくしてハズナの村についた。



「ハズナの村に着きました」


村長を始め、村人全員が村の入口に居た。


「ようこそハズナの村へ、村民全員で歓迎致します」


「うむ、出迎いご苦労、こちらにおられるのは、フリーダー伯爵さまにその令嬢フランソワーズ様だ粗相がないように頼む」

「畏まりました、マスチフ様、狭苦しい所でございますが、宿も無い村ですので滞在中は私の屋敷をお使い下さいませ、とりあえずお休みくださいませ」

「お父様、私シエスタ様縁の場所を見てみたい」

「そうか、それじゃ騎士を1人つける、誰か案内を付けて貰えるか?」

「解りました、だれか、シエスタ殿に詳しい者をフランソワーズ様の伴に付けてくれ」

「畏まりました、ジルバ、フランソワーズ様の案内を頼む、それではフリーダー様とマスチフ様はこちらへ」

「うむ宜しく頼む」



(案内中)


「フランソワーズ様、こちらがシエスタ様のご両親のお墓です」

「案外、綺麗にしているのね」

「はい、村の恩人のお墓ですから」

「村の恩人のお墓?」

「はい」

「その話詳しく教えてくれる、私はシエスタ様のファンなのよお願いよ!」

「はい」

ジルバは、この村が救われた話を熱心に話した。


「ふーん、随分、酷い話ね」


「あの」

「良いわ、他の場所に案内して」

「解りました」


ジルバは、マルコフとサンドラとシエスタが住んで居た家に案内した。

「此処が、シエスタ様が住んでいた家なの? 思ったよりは良い家ね」

「マルコフ達は裕福でしたから」

「そう、中には入れるのね」

「はい」

玄関を入ると靴があった。

「あら、靴まであるのね、もしかして、この中にシエスタ様の靴もあるのかしら」

「多分、そこのがそうだと思います」


「嘘、このボロボロのが...他のはまだ綺麗なのに...これ貰っても良いかしら?」

「この家の物であれば、後で村長に言えば大丈夫です」

「そう、ありがとう、それじゃあ、頂くわね、袋出して」

「はい、フランソワーズ様」


「あの、どれがシエスタ様の食器なのかしら」

「これです」

「他の二つの食器は綺麗なのに...」

酷すぎますわ、他の二つは新しく綺麗な食器なのに、シエスタ様のだけがまるで犬の食器みたいです。

「もしかして、あの雑巾みたいに汚い服が..」

「はい、シエスタ様のです」

他の服はまだ綺麗なのにシエスタ様のだけが、これは平民じゃない、まるでスラムの乞食みたいですわ

「もう結構です、この部屋の汚い女性用の物は全部回収しなさい」

「解りました」

なんで、シエスタ様の物全部集めても、こんな小さな袋の半分も無い..

「何で、シエスタ様の貴金属が無いの? 銀細工の一つ位は村民でもあるでしょう」

「その、若い頃はシエスタ様も指輪を幾つか持っていましたが、旦那や義母が全部売り払ってしまいました」

「売り払った? 少なくともこの家の住民なら、そこまでしなくても生活は出来ていた筈です」

「すみません、僕には解りません」


やはり、シエスタ様の伴侶や義母はろくでなしでしたのね。

「それで、この家の住民は?」

「シエスタ様に酷い事をしたので火炙りになりました」


「そう、それなら、その二人のお墓に案内しなさい」

「畏まりました」

フランソワーズがついて行くと、先程のシエスタの両親のお墓の近くに案内された。

「あの、何でお墓があるんですの?」

「火炙りとはいえ、この村の住民ですので...」

「何を言っているのですか?「戦メイドのシエスタ」様は英雄パーティーですのよ! 英雄ケイン様に剣聖ケイト様と肩を並べる方なのです! そんな方に意地悪した人間は、人間の皮を被った悪魔です、お墓なんて要りませんわ、魔族の手先みたいな者ですわ、後でこのお墓は壊して死体は森に捨ててしまいなさい」

「はっ、それは村人にやらせましょう」

「あの、死んでしまった者は」

「何を言っておるのだ! フランソワーズ様の言う通りだ! 騎士の鏡の様なシエスタ様を虐げていた外道、決して女神様も許さないだろう、人類の敵だ」

「わ、解りました、父である村長と話し合い、そうさせて頂きます」

「そう、解れば良いわ、次は、そうねシエスタ様が幼少の頃過ごした家とかあるかしら」

「はい、御座います」

「それじゃ、案内してくれる?」

「はい」

ジルバはシエスタの両親が住んでいた家に案内した。


「この廃墟がそうなのね」

「はい」

「何もないわね」

「はい」

「もしかして此処にあった物もその伴侶と義母が全部奪ったの?」

「はい」

「まさか、シエスタ様の持っていた土地迄奪っていたりしないわよね?」

「あの、奪われていました」

「奪われた!」

「はい」


「そう、所で貴方は村長の何なの? 村人にしては身なりが良い方だけど!」

「はい、息子です」

「あのさぁ、さっきから他人事の様に話しているけど、貴方はシエスタ様が酷い事されていたのを知っていたのよね!」

「はい」

「それで、何で助けなかったの?」

「...」

「貴方は村長の息子なのよね、ジェイコブ、村長の息子って村でどの位偉いのかな?」

「フランソワーズ様、通常は村で、村長の次の立場の筈です」

「貴方、名前は?」

「はい、ジルバです」

「では、ジルバ、フランソワーズ、ブリーダーとして聞きます、何故貴方はシエスタ様を助けなかったのですか? シエスタ様の財産を取り上げ、奴隷として売り飛ばした外道を何故見逃したのでしょうか? 今迄の話では随分前から見ていたようですが!」

「あの、それは」

「私が貴族として家名まで出したのに答えないのですか?」

「マルコフとサンドラは粗暴なので」

「粗暴だから、恐れて見逃した、そういう事なのですか? 幾ら粗暴でもたった二人、数人いれば押さえつける事も出来るでしょう?」


「はい、ですが...」

「もう良いわ、ジルバ、貴方はそんな小さな勇気も無いのね、まぁ村民じゃ仕方ないわ、もう良いわ、お父様の元へ送って下さい」



「ジェイコブ」

「何でしょうか? フランソワーズ様」

「この村に、貴族や騎士が居なかったから、シエスタ様は不幸になったのね、貴方1人居たら多分違った」

「そうですね、所詮は村人、平民ですから仕方ありませんね」

「これはお父様にも相談が必要だと思います」

「ええっ由々しき問題になりそうですね」

「気がつきましたか?」

「はい」

「この村、どうにかしないと大変な事になりますわ」


ジルバは自分が大変な事をしてしまった事にまだ気がついていない。



「どうした、フランソワーズ、早速シエスタ殿縁の場所を見た感想は? その分だと何か戦利品を手に入れたようだが!」

だが、フリーダ―伯爵は自分の娘の顔色が青いのを見逃さなかった。

「......」

「どうした、黙っているなんて、何かあったのか?」

「はい、お父様、これは凄く大事なお話です、マスチフ様に進言をしても宜しいですか?」

「進言とは、貴族の娘としての発言と言う事か? そこまで重要な事なのか?」

「はい」

「フリーダ伯爵様、私なら構いませんよ、フランソワーズ様も気楽にお話しして下さい」

「はい、率直に申し上げますと、このままではこの村の者は、他の貴族に皆殺しにされてしまいます、何か手を打たなければ不味いですわ」

「流石にその話はフランソワーズ、冗談では済まないぞ、進言するのだな」

「フリーダ―伯爵様 そこまで気にしなくても構いませんよ、間違いや勘違いなら、この場だけの話にしましょう」

「そう言ってくれると助かる」


此処は、マスチフ男爵の治める村だ、基本的には上下があっても独立した領地、余程の事が無い限り、勝手に口出しするなんて事は出来ない、ましてフランソワーズは伯爵の娘であるが、爵位はまだないのだから


「さぁ、フランソワーズ様、お話しを聞きましょうか?」

「はい」

フランソワーズは、シエスタがまるで牛馬の様にこき使われて、奴隷並みに酷い扱いを受け、不当に財産を奪われた話をした。

「確かに酷いと思います、教えて頂き有難うございます、だが、それが村民が殺される話になるのでしょうか?」

「問題は、その事を村人は見て見ぬ振りをした事ですわ、村長の息子ですら不当に土地や財産を奪われ、奴隷として売られて行った事は知っていました。 つまり、シエスタ様が犯罪に巻き込まれて奴隷になるまで、悪人を野放しにしたのです...どう思いますか? その事をもし、シャルロット様が知ったら、いえ、他の方でも構いません、シエスタ様をお好きな貴族が知ったら何か行動を起こさないと思いますか?」


「進言、有難うございます、これではシエスタ殿の生まれた土地よりも、苛め抜いた村と言われてしまうかも知れない、大変な事になる所でした」


「確かに、娘の言う通りになっても可笑しくないな、同行したジェイコブにも話を聞いて見よう、ジェイコブを呼んでくれ」


「はっ」

暫くしてジェイコブが現れた。

「お呼びでございますか!」

「うむ、娘から話を聞いたのだが、これは本当の事か? またお前の意見も聞きたい」

フリーダ―は掻い摘んで、フランソワーズから聞いた話を話した。


「全て本当の事でございます、正直言いまして私も聞いていて愉快な話ではありませんでした、私は殺そうとまでは思いませんでしたが、私は温厚な方です、もし温厚で無い方であれば、そういう風に行動を起こす者も居るかと思います」

「そうか、下がって良いぞ」

「はっ!」


「マスチフ男爵よ、どうやら娘の言う事は正しそうだ、何か手を打たないと不味い事になるぞ」

「確かに、その様ですな、早急に手を打たなければなりません、何か手を考えなければ」

「マスチフ男爵、村人を始末してはどうかな? 恨みの矛先はそこにある! 村人を始末して街を作れば良い観光名所になりそうだ」


「そうですな、確かにそれも一考の価値が御座います」

「ああっ、シエスタ殿は、英雄ケイン殿のパーティー、場合によっては王族も此処に来るかも知れぬ、急ぎする必要がある」

「解りました、直ぐに考え、早急に手を打ちます」


村人の運命には大きな暗雲が立ち込めていた。




ゾルべは急にマスチフ男爵とフリーダ―伯爵に呼ばれたので驚いていた。

「あの、急にどうかされましたか」


「フリーダ―伯爵と話し合ったのだが、お前達にはこの村を出て行って貰う」

「あの...何故そうなるのですか、この村には代々住んでいます、儂も、他の人間もです、余りに酷いと思います」


「これは別に撤回しても構わん、だがその場合はお前達の命を保証が出来なくなる」

「それはどういう事ですか」

フランソワーズから聞いた事を元にマスチフは話した。

「この村の人々はシエスタ殿が酷い思いをしていた時に誰1人庇わなかった、それどころか、村長やその息子もその事を知って居ながら、村長としての義務を果たさずに、その悪行に目を瞑っていた、なぁ、貴方は村長貴族では無いが裁く立場だ、他人の財産を奪い尚且つ、裕福でありながら奴隷の様にこき使い、そして最後には奴隷として売り飛ばした、何故すぐに裁かなかった」


「いえ、裁きました、もう火炙りにしております」


「そんな事も見抜けぬと思うのか? それはシエスタ殿が有名になったから行った事であろう? 何故財産を奪われそうになった時に助けぬ、何故奴隷にされそうになった時に助けぬ、そして何故奴隷になった時に買い戻さぬ」

「それは...」


「どう見ても見捨てたとしか思えぬ、更に言うなら、村長、お前は職務放棄したんだぞ」

この村がオークに襲われた時に見捨てたのは男爵じゃないかと言いたかったかゾルべは我慢した。

「そうですな、ならば私が責任をとり」

「そういう話ではない、騎士を数人呼ぶから反応を見て欲しい」

「解りました」


マスチフはジェイコブや他の騎士を呼んだ。

「ジェイコブよ、今回の事をきいてどう思った」

「前にも話しましたが、余り愉快な話ではありません、私は自他共に温厚な人間ですが、怒りを覚えました、温厚で無い者なら斬り殺す事もあるかも知れません」

「ソラチはどうかな」

「はっ、私も不愉快に思いました、正直腸が煮えくりかえっております」


「良いか? これが普通の貴族の感情だ、私はお前を見逃す、大切な住民だからな、だが、この地はシエスタ殿の生誕の地だ、他の貴族や王族もくる、そしてその人間はお前達が嫌いだ、これがどういう事か解るか?」

「我々が嫌われているという事ですか...」

「そうだ、シエスタ殿は今やこの国の人気者だ、その人間を迫害した者の仲間、命の保証何か誰も出来ん、更に言うなら私は男爵だ、此処には私より上の者も来る、シエスタ殿に心頭している方には公爵家の人間もいる」


「それでは、我々は」

「今やこの国で嫌われている存在なのは間違いない」

「本当に、本当に我々は何時殺されても可笑しくない状況にあるのですか?」

「なら、逆に聞こう、お前の息子を私が虐待して財産を取り上げて奴隷にしたら恨まぬか?」

「恨みます」

「そうであろう、そこでだ、運よく今回は私とフリーダ―伯爵様できた、フリーダ―伯爵様の土地で空いている土地があると聞く、そこで名前を変えて新たな人生をスタートされては如何かな?」


「宜しいのですか?」


「ああっフリーダー様には特別に私が頭を下げた、これで命だけは守れる、どうだ?」


この話を蹴れば、いずれは貴族に殺される運命しかない、ゾルべには断る事等出来なかった。


「村人にこれから話して決めますが、儂としてはお願いする方針です」


「直ぐにでも話すが良いぞ」

「はい」




【村人SIDE】


大変な事になった。

確かにそうだ、自分達はどう考えても悪役だった。

健気に生きようとした人間が財産を奪われ、馬車馬の様にこき使われて、全てを失い奴隷になった。

それを見過ごした。

だが、こんな事は村では普通にある事だ。

実際に近隣の村でも飢饉があれば普通に女子供が売られて行く。

だが、今回の問題は裕福な人間がそれをやった、これは犯罪だ。

本来なら村長がそれを裁かないといけない。

だが、儂はその判断を誤った、そのつけがこれだ、だがまだこれでも運が良かったそう思うしかない。

運が悪ければ村民全員が死ぬかも知れない。

それなら、領主様が頭を下げてまで移民させてくれるなら、それに乗るしかない。

名前も住む場所も変るなら、命は助かる。

儂は、村人全員を集め、経緯を伝えた。


「そんな、代々生きてきたこの村を出ないといけないの?」

「儂は嫌じゃ、死ぬまでこの村に居るんだ」


「私も嫌よ」

「お母さん、私達この村を出ないといけないの?」

「うん、そうみたいごめんね」


「いやだよー」


だが、村長が命の保証が無いという事を伝えたら、渋々ながら村人全員が出て行く事に賛同した。


「マスチフ男爵様、ブリーダー伯爵様、村人全員が出て行く事に決まりました、宜しくお願い致します」

「うむ、ならば我々は2週間此処に滞在する、その間は守ってやるから早々に出て行くが良い、ブリーダー伯爵様から書簡を渡すから、ちゃんと土地も貰える」

「有難うございます」


こうして、この村から住民が全員居なくなる事が決まった。





【マスチフ、ブリーダーSIDE】



「上手くいきましたな」

「うむ」

「これで、我が領地から咎人が居なくなり、この村を、シエスタ殿のエピソードを中心とした街に作り替えられる」

「そうであろうな、咎人さえ居なければ、良い街になるだろう、貴族も王族も度々来るだろうしな、こちらは、開拓地を開墾させる良い人材が村一個分手に入るから、これはこれで濡れ手に粟だ」

「良い方向に話が進みましたな」

「フランソワーズの為の旅行で、こんなに利益の有る話になるとは思わなかったぞ」

「何もない村ですが、2週間骨休めしては如何ですかな?」

「うむ、そうさせて貰う」


村は無くなり、街に変っていった。

そして街の中心にはシエスタの銅像が飾られ、ハズナ村は、街になりこの街の名前はそれにあやかり「シエスタ」となった。

だが、それはまた別の話。

シエスタがこの事を知るの更に数年先だった。






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