『俺の代わりに死んでくれないか?』 死んでくれたら復讐してやるからさぁ……

石のやっさん

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第27話 なんだ、地獄じゃないじゃないか?

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俺は省吾に地獄に落としてやる。

そう約束をした……これで本当に終わりで良いのだろうか?

省吾は自殺を選び……死んだ。

だが……弘毅はのうのうと生きている。

ボディガードの3人もそうだ……

クラスの奴らだって今は俺が居るから怯えているが、居なくなったら楽しく暮すにちげーねぇな。

山上は確実にこれで貧乏にはなる。

恐らく、暫くしたら親にしても失脚するか、会社ごと他人の物になるし、不動産も無くなる。

だが、それは貧乏になるだけだ。

結局……弘毅もその親も貧乏になるだけで、その後も生きていく。

取り巻きもそうだ……

例え体が不自由でも、それだけ……

クラスの奴らも同じだ。

これで俺は省吾のリクエストに答えた事になるのか……ならねーな。

「う~ううっ……」

よく考えたら、合鍵は預かっている訳で……一番の黒幕は勝手に帰ってくる。

此処で待っていれば良かったんだ……

「さてとおっさんよぉ~ 良くもまぁやってくれたもんだ!」

結束バンドで拘束して口はガムテープでふさいである。

これじゃ話せないよな……俺はベリッとガムテープを剥がした。

「お前は誰だ……こんな事してタダで済むと……うぐっ」

俺は黙って頬を叩いた。

「うるせーな! 黙れよ……お前のガキがよぉーー俺を襲ってコレもんよぉーー! 俺の体傷だらけだぜ……これを見てどう思う!」

「金か……幾ら欲しい……1千万か? 2千万か……愚民、払ってやる……ううっ」

「金の問題じゃねーんだよ! これは面子の問題だ! 女を人質にとり、俺の体を此処まで傷つけてよぉー! 俺が手を出さなければ、女に手を出さねー約束をあの弘毅、お前のガキは破ったんだぜぇーー! それで報復したら、今度は沢木とかいう奴がよぉーー半グレ連れて報復しやがったぜーー! どう責任取るんだ!」

少し顔色が変わったな。

「解った……解った1億……1億……1億出す……それで手打ちだ……どうだ!」

「ほう……なかなか豪勢な話だな……それはすぐに用意出来るのか?」

「用意出来る……」

危ねーな!

そんな金が残ったら地獄に突き落とした事になんねーな!

貧乏にすら成らなかったじゃねーか。

全然、地獄じゃねーじゃないか!

このまま俺が去ったら……その金で再起。

そして、万が一俺の正体がバレたら、今度は俺が追われる。

何時から俺はそんな甘くなったんだ。

追っても無く安心して生きていけるのは省吾が死んでくれたからだろうが......

ちゃんと地獄に落とせよ......

「だったら、その金は何処にある! 殺されないうちにサッサと渡すんだな!」

「この拘束を解いてくれたらぁーーぎゃぁぁぁぁぁーーっ」

ビキッ。

俺は懐からナイフを取り出し、孝蔵の右耳を裂くように削いだ。

耳はナイフ、下手したら手でも簡単にもぎ取れる。

「舐めた事言ってるんじゃねーよ! お前の息子は約束を破った。 お前の手下の沢木はなかなか優秀だったよ! 戦力を見誤らなければ俺は死んでいたかもな……約束を破る息子に、殺人を厭わない親父、そんな奴の拘束を解いたら、なにされるか解らねーからできるかよ!」

そうだ……俺は此奴らに地獄を見せるんだった。

俺は残ったもう片方の耳に手を掛け、ナイフで切れ目を作り引き千切る。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁーーーーっ」

「良いか……お前が俺に出来る、唯一の事は命乞いだけだ。それ以外喋るな……それで金は何処にある? 1億と言わず、あるだけ吐き出した方が良い……額によって助かり方が変わる」

「ううっ……ううっ命の保証は……ぎゃぁぁぁぁぁぁーーーっ」

グサッ……

容赦なく俺は孝蔵の左目を抉った。

地獄を見せる……そういう約束だからな。

これ位はやらないといけなかった。

クックック……忘れていたよ。

あんなの地獄じゃねーや。

俺の日常じゃねーか。

「俺は命乞い以外は受け付けねーと言ったよな? 早く金の場所を教えろ……まだ片目だから良いけど……両目無くなったら一生メクラで何も見えねーんだぞ! 金があっても人生詰まらねーぞ……ほら早くしろ……」

「ううっ……貴様……覚えてハァハァ……ぎゃぁぁぁぁぁーー」

サクッ……ボトリ。

本当は目をやりたい所だったが、それじゃ吐かなくなりそうだから、鼻にした。

「そういうのは助かってからにした方が良い……人に命を握られた状態で言うセリフじゃない……早く金を払った方が良いんじゃねーか? 次はお前の……そうだな右手の指を全部切断する……その次は左手だ。それで無理なら最後に残った目……その次は命だ。 早く払って楽になった方が良いんじゃねーか」

「解った……隠し場所があって……そこに現金がある」

「そうか……それじゃ案内しろ」

「ううっ……」

孝蔵を突き飛ばしながら隠し場所に向かった。

◆◆◆

金庫から全て奪った筈だが、そんな現金は無かった。

何処にあると言うんだ……

なんだ、同じリビングだ、俺がもう中身を貰った金庫か……

それじゃ、意味がねーな。

「この金庫か……それじゃ……」

「ハァハァ……違う……そこにあるのは書類だ。現金じゃない……金庫をどけた下に床下収納がある……そこに現金がある」

この金庫の下……それは盲点だったな。

床が傷つくのも構わず……金庫をずらすと床下収納になっていた。

そこを開けると……うん札束があった。

確かに言う通り1億位はあるかも知れない。

近くにあったスーツケースに片端から放り込む。

さて……

「それじゃ、金も貰った事だしな……悪いが……死んで貰おうか」

「約束が違う……ハァハァ」

「お前みたいな奴は生かしておくと再び俺に危害を加えるだろう? よく考えたら殺して置かないと俺が安心していられないからな……」

「助けて……くれ」

此処で殺しても……地獄とは言えないな。

まだ夜はながい……

「そうだな、約束したから……助けてやるよ」

そう伝え……他のスーツケースに孝蔵を詰め、俺は山上の家を後にした。

◆◆◆

孝蔵の家にあった車にスーツケース2つを積み走りだす。

「約束は守る……だが一度でも話したら殺す」

そう大きな声でスーツケースに言った。

普段は余り使わない、腕が悪い方の闇医者に行き、孝蔵の手当を頼んだ。

「随分と痛めつけたんだな……これつけるのは大変だぞ」

「死ななければ良い」

孝蔵は殺されると思っていたのか……喋らない。

まぁ喋っても無駄だ。

此処は闇医者だから……決して警察も呼ばない。

消毒をし血止めをして貰う。

まぁ両耳もついてないし、鼻も片目も無い。

ただ止血して死なない様にしただけだ。

その足で、俺は……麻薬の売人の所へ行き、最悪の覚せい剤を買った。

そして……

再び車を走らせ……山奥へと向かった。

山奥で孝蔵を入れていたスーツケースを取り出す。

「金を貰ったからチャンスをやるよ……」

「何を……」

それだけ伝えると俺は孝蔵に、手に入れた覚せい剤を注射した。

「お前の息子と違い、俺は約束は守る……命は助ける。 ここから頑張って戻るんだな」

俺が孝蔵に打った覚せい剤は、最悪と言われる物で通常の覚せい剤の数倍の作用がある。

これは1回打ったら最後、簡単には抜け出せない。

それ以前に、幻覚作用が強く……常用すると血管を溶かし脳にすら影響がある。

だが、それは今は関係ない。

通常の数倍の量を打ったから……今現在から孝蔵は幻覚の中に居る。

口から涎を垂らし、目の焦点があっていない。

暫く様子を見ていると……フラフラしながら、崖から落ちていった。

この高さから落ちたなら確実に死ぬだろう。

もし、万が一助かっていても真面な判断がつかない状態だから病院へもいけない。

これで終わりで良いだろう。

問題は弘毅をこれからどうするかだ……

……省吾は死んだ。

だが、弘毅は、権力も金も親も無くしても……これからも生き続ける。

案外親類に引き取られ……今後幸せに暮らせる可能性すらある。

なんだ、まだまだ地獄じゃないじゃないか?

学生に化けていたせいか随分俺も丸くなってしまっていたのかもな。







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