『俺の代わりに死んでくれないか?』 死んでくれたら復讐してやるからさぁ……

石のやっさん

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第26話 久保田SIDE 逃げる事ができる。

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「なぁ、哲也……これからどうすればいいんだ!?」

「もう、どうでも良いんじゃねぇか? どうせ弘毅と俺達は、友達じゃないんだから! お互いに利用し合う仲だっただけだ! 向こうから、お払い箱にしてきたんだ! あんな奴死のうが生きようが関係ねぇよ……」

「そうだな、浩二、哲也の言う通りだ……」

「哲也と浩二が良いならそれで良いや、流石に退学にはならないだろうから……これまで通り、三人で仲良くやれば良いか」

「それで良いんじゃねーか! 親父の事があるから仕方なく守ってやったけど! 親父は窓際に飛ばされたみたいだし、うちの親父はそのうち山上建設辞めるってよ」

「うちも似たようなもんだな……俺達がやられた事は腹が立つが、省吾のあの傷を見たら……」

「哲也も浩二も知らないんだよな」

「「ああっ」」

そう考えたら、弘毅の周りの大人が動いた事になる。

きっと、山本さん辺りに泣きついて、本物の半グレやヤクザが動いたに違いない。

俺達は弘毅の行動を知らなかった。

俺達の知らない所で弘毅が動き、山本さんが動き、危ない人間が動いた。

そういう事だろう……

あの省吾の姿……

体中が切り刻まれ、顔だって切られていた。

それでも省吾は『我慢していた』

俺達が殴ろうと蹴ろうと、お金を脅し取ろうと……彼奴は耐えていた。

クラスの人気者が、クラス中に馬鹿にされ……パシリをさせられ、嫌がらせをされ……『何をしても良い存在』にまで成り下がった。

そこ迄でも悲惨だが……あの体の傷。

弘毅が半グレを使ったのに違いない。

それでも彼奴は耐えていたんだ……

理由は『祥子』だ。

幼馴染を守る為に、彼奴は耐えていた。

『祥子』という幼馴染を助けるために……

ただただ、耐えていた……

ある意味、家族の為に弘毅のお守りをしている俺達に似ている。

だが、弘毅は約束を破った。

その結果、省吾は鬼になった。

屋上で戦った時、あいつは、昔と違っていた。

祥子を守っていた時も武道の心得があって抵抗したが……怖いと思わなかった。

彼奴のは綺麗な武道。

相手を傷つけない……そういう物だった。

だが、屋上であった彼奴は……別人だった。

まるで獣。

俺達を見る目は……

まるでゴミクズを見る様な目で見ていて『殺しても良い』そんな目で見ていた。

喧嘩の仕方も変わった。

急所だろうとお構いなしだ。

事実、俺達はもう、真面じゃない。

後遺症が残るこの体で生きて行かなくてはならない。

だが、これで多分良かったんだ……

正直、ほっとしている。

省吾は化け物だ。

俺達が、弘毅が……作ってしまった復讐の鬼。

俺達や弘毅が省吾を追い詰めた結果、化け物にしてしまった。

あれだけの拷問に近い仕打ちをしながら『女に手を出さない』そういう約束をしながら守らなかった。

だから……省吾は悪魔になった。

もし、次にやりあったら、今度は殺す気で来るかも知れない。

「流石に、死にたくないな……」

「ああっ」

「そうですね……」

つい口から出た言葉に浩二も俊夫も頷いた。

お払い箱になった俺達には弘毅を守る義務はない。

逃げる事が出来る。

あの化け物と喧嘩しなくて良い……正直ほっとしている。
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