俺が死んでから始まる物語

石のやっさん

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第1話 俺が死ぬ少し前

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パーティーリーダーであり勇者のジョブを持つリヒトが告げる。

「悪いが今日でクビだ」

「いきなり、何故俺がクビにならなくちゃいけないんだ」

 リヒトとは幼なじみだ。

 「今迄ずっと仲間で支え合いながらやっとここまで来た」俺はそう思っていた。

俺は幼馴染4人の様に優れたジョブは持っていない。

だけど、その分は家事や他の事で貢献して来た筈だ。

 そんな風に思っているのは、俺だけなのか?

 剣聖のエルザ

 聖女のクラリス

 賢者のリタ

 五人揃って勇者パーティー『光の翼』そう呼ばれていた。

やや中二病な名前だがまぁリヒトは勇者だし、剣聖や、聖女、賢者まで居るから可笑しくないな..

本当に俺は4人と比べれば能力は無い。

この世界は女神から貰ったジョブで半分人生は決まる。

4人のジョブは4職(勇者、聖女、賢者、剣聖)

それに対して俺はポーター(荷物運び)だ。

ジョブの差で成長した3人に能力が追いついていないのは当たり前だし仕方がない。

だから、その分は雑用で賄っていた。

素材の解体、料理、各種手配…全部俺が行ってきた。

更にお金だって俺は他のメンバーの1/3も貰ってない。

それなのに…なんでクビになるんだ…

俺が居なければ、ギルドの交渉や雑用で困る筈だ。

「ついて来れないのは分かっているだろセレス!」

「そうだな、確かにポーターの俺じゃ普通にはついていけない、だけど悪までポーターという事なら優秀な筈だよ。」

勇者パーティについて行けるポーターなんて俺しか居ない筈だ。

リヒトの狙いは解っている、このパーティをハーレムにしたいんだ。

勇者パーティだからと言って4人はいつも高級ホテルに泊まる。

俺はお金が無いから安い宿に泊まっている。

リヒトの首筋や他の3人にキスマークがついていたのを見た事があるから、間違いないよな。

「勇者とし大きく飛躍するには大きな手柄が必要なんだ。残念ながらお前を連れてじゃ無理なんだ。なぁ分かってくれよ、パーティを抜けてもお前が親友なのは変わりないからな。」


「そんな事を言って俺を捨てるつもりなんだろう? なぁ雑用は必要な筈だ、俺はポーターとしては優秀な筈だ…考え直してくれないか…なぁ親友だろう」

「お前、俺がオブラートに包んで言っているのが解らないのか? なぁ…余りキツイことは言いたくは無いんだ」

他の仲間、他の仲間はどうなんだ?

俺は幼馴染であり、兄妹のように過ごしていたリタの目を見た、彼女ももう昔の優しい目をして居ないしリヒトの女になっているのも知っている。

だが、それでも追放には反対してくれると思っていた。

「私もリヒトの意見に賛成だわ!貴方はもうこのパーティについていけないじゃない。きっと近いうちに死ぬか大怪我をするわ..さっさと辞めた方が良い...これは貴方の事を思って言っているのよ! セレス」

「リタ...お前も俺が要らないって言うのかよ」

俺と目も合わせないのか…

ふと、リタの左手に目が行く。

薬指には見覚えのない指輪があった、これは多分リヒトが買い与えた物だろう。

俺の側につく訳がないな。

他の2人も同じ指輪をはめていた。

ハーレムパーティに俺は要らない、そう言う事なのかよ。

「なぁ、エルザにクラリスも同じなのか?」

「私は嘘は嫌いだ、だから本当の事を言うよ? お金が溜まって魔法の収納袋を昨日買ったから荷物持ちはもう要らないんだよ! 気の毒だと思うが本当に要らない、もうセレスは役立たずなんだよ」

「俺は荷物持ちだけしていたわけじゃないだろう、エルザ」

「女々しいですわよ!セレス…全員が要らない、そう言っているのよ!いい加減にして欲しいですわ」

そうかよ…
このパーティで俺が不必要というのは解った。

だが、このタイミングは無いだろう。

此処は死の森、4人なら兎も角俺には凄く危険な場所だ。

しかも近くの街は、高ランクの冒険者のみが集まる街、ゼノン。

 ゼノンの街に戻ってもポーターの俺じゃ仕事も少ないし、お金を貯める事も出来ないから、安全な村や街に行けない。

だから、此処でパーティを追い出される訳にはどうしてもいかない。

「なぁ、俺は、ポーターなんだよ、ここで追放されたら街に帰る前に死ぬかも知れないし街に帰っても仕事も無い、せめて平和な街に着くまで手伝わせて貰えないかな..幼馴染じゃないか」

「それは、幾ら何でも出来ませんわね、ゼノンの街までならいざしらず、図々しいですわ!」

「クラリス、幼馴染じゃないか?この通り頭を下げるから頼むよ…なぁ」

「そんな頭、下げられてもね意味ありませんわ」

「そんな事言うなよ…なぁ本当に頼むよ」

「頭をあげなよ! 男がそんな事しちゃ駄目だ!」

「エルザ...ありがとう」

「頭を下げても何も変わらないんだから無駄なんだから下げても意味は無い」

「リヒト、親友だろう! 昔何度も助けてあげたじゃないか、なぁ、なぁ助けてくれよ」

「ハァ~だから、役立たずのお前を使ってやってただろう?、もう充分借りは返した筈だ」

「だけど、こんな所で置いていかれたら俺は終わりじゃないか? 本当に何でもするから安全な場所まで頼むよ…この通りだ」

土下座の状態で、俺はリヒトの足に縋りついた。

「辞めろ、汚いな」

リヒトが剣で俺を殴ってきた。

だが、止める訳にはいかない。

「今迄、無料同然で幼馴染だから手伝ってきたんだ、最後の我儘くらい聞いてくれても良いだろう..お願だ、お願いしますから」

「やめろよ、汚いな離せよ」

ゴッ..鈍い音がした。

「不味いよ、リヒト! 荷物持ちは簡単に死んじゃうんだから、あっ」

リタが青い顔で此方を見ている。

「リヒト...」


「本当に不味いですわ、これじゃ回復魔法を掛けても無理ですわね」

クラリス、何を言っているんだ…

「たすけ...てくれ」

なぁ、リヒトこれで良いのか?

なぁ…本当に。

「助からないんじゃ仕方ない、それにもし治ってもギルドにでも言われたら不味い、幸い此処は人気が無い、横の林に放り込んでいこう」

そうか…『お前も俺を殺すんだな』

「もう助からない捨てていくしかないな」

「それしかなよね」

リヒト、お前は友達だと思っていたんだぜ…

それなのに『俺を殺した』

お前の人生はもう終わりだ。

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