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料理と母の思い
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俺は今、近所のスーパーのニコマートに来ている。
ニコマートは地域密着型の大型スーパーで規模で言うならデパート並みに大きい。
2万円もお金があるから、食材以外にも色々買いたい。
「しかし、ゲームの世界は凄いな、この街には此処しか大きなお店は無いけど..何でもあるじゃん此処...」
まず、俺は数日分の食材を購入した、1人暮らしが長かったからメニューを考えたら食材を揃える事は簡単だった。
お金に余裕があったから、洗剤や柔軟剤、入浴剤を購入した。
他に何かないか見ていたら、何とタイムセールで圧力鍋が2980円で出ていた、少々小ぶりだが二人の生活なら充分だ。
《何だか新婚の嫁さんになった気分だな...主夫って奴はこんな感じなのか》
必要な物は全部揃えたので自転車に乗って家に帰る。
さぁ、今日は何を作ろうか? 昨日はカレーだったから今日はシチューでも作ろうかな
色々考えて、結局俺はビーフシチューを作る事にした。
ビーフシチューに、ローストビーフを使ったサラダ、それにご飯でなくパンで良いだろう。
茜さんにとって俺は子供だ、社会に出て働いても居ない...まず最初の一歩は胃袋を掴む事からスタートだ。
「ただいま...うーん良い匂い...本当に作ってくれたんだね!」
「そりゃ約束だからね、昨日と違い充分に食材が用意出来たから、今日はビーフシチューにしたよ? ローストビーフのサラダはワインのあてににもいけると思う...それで、今日はお風呂と食事どっちを先にする? 一郎は無しで!」
「そうね、美味しそうだけど、さっぱりしたいからお風呂から先にするわ」
「そう? それじゃせっかくだから温め直しておくよ」
あの子...本当にどうしちゃったんだろう?
さっき、チラっと見たけど..料理はかなり手の込んだ物だった気がする。
私が思い出す限りでは、あの子が料理が旨かったそんな記憶はない、父親と一緒で苦手だったはずだ。
このお風呂だって私が帰って来て直ぐに温め直して、疲労回復と美肌の入浴剤が入っている。
しかも、私と余り時間を共有するような子じゃ無かったはずだ。
簡単な会話をしたら直ぐに部屋に帰ってしまうそんな息子だった。
夫が亡くなってからの生活は正直虚しかった。
「家族がいるのは幸せか?」
そう誰かに聞かれたら幸せって答える自信は無かった。
朝から晩まで働いて、家事まで全部やってそれでも息子には邪魔者みたいな扱われる。
男の子ってそんな物だ、母親はそういう物だ、そう言い聞かせて頑張ってきた。
これがこれからもずうっと続くのか?
そう思ったら虚しさしかない...
それがどうだろうか?
昨日と今日の一郎は可笑しな位、理想の息子だ。
私の事を考え、家事を完ぺきにこなしている...あの汚かった家が見違えるほど綺麗になっていた...
しかも、今迄、私には無関心な目を向けていたのに...今の一郎の目は違う。
話す時はしっかりと私の目を覗き込むように話すし...逆にあそこまで見つめられるとこっちの方が照れてしまう。
晩酌の時も傍に居てそんな目で見られるながら話すから、一瞬、息子では無く、好きな人と話してるような錯覚を覚えてしまう。
はっきり言って私はかなりの面食いだ、それなりにモテた私が認めた唯一の男性が一郎の父親、つまり死んでしまった私の旦那、光秀さんだった。
余りに私の理想だったから未成年なのに積極的にアプローチして自分が大人になるのを待たずして既成事実を作り結婚までした位だ。
息子の名前が一郎なのは旦那との間に沢山子供が欲しかったからだし...全てにおいて理想の男性だった。
そんなだから到底、私は次の恋なんて出来ない、だって光秀さんより素敵な人なんて現れないし居ないと思っていたから。
だけど...今の一郎を見ていると...若い頃の光秀さんを思い出してしまう。
残念な事に光秀さんは私より年上だったから、一郎位の年齢の時の事は写真でしか知らない。
だからこそ、怖い、今の一郎は私が見る事が無かった光秀さんの若い頃そのままの姿だし...
しかも、この二日間はまるで、自分の理想を反映した「理想の男性」に近い...
多分、一時的な物だと思うけど...この状態が続いたら、きっと私は子離れできなくなるかも知れない。
一郎に彼女でも出来たらきっと意地悪な事をしてしまう様な気がする。
「きっと三日坊主で終わる..何も考える必要も無いわ」
そう考え湯船を出た。
ニコマートは地域密着型の大型スーパーで規模で言うならデパート並みに大きい。
2万円もお金があるから、食材以外にも色々買いたい。
「しかし、ゲームの世界は凄いな、この街には此処しか大きなお店は無いけど..何でもあるじゃん此処...」
まず、俺は数日分の食材を購入した、1人暮らしが長かったからメニューを考えたら食材を揃える事は簡単だった。
お金に余裕があったから、洗剤や柔軟剤、入浴剤を購入した。
他に何かないか見ていたら、何とタイムセールで圧力鍋が2980円で出ていた、少々小ぶりだが二人の生活なら充分だ。
《何だか新婚の嫁さんになった気分だな...主夫って奴はこんな感じなのか》
必要な物は全部揃えたので自転車に乗って家に帰る。
さぁ、今日は何を作ろうか? 昨日はカレーだったから今日はシチューでも作ろうかな
色々考えて、結局俺はビーフシチューを作る事にした。
ビーフシチューに、ローストビーフを使ったサラダ、それにご飯でなくパンで良いだろう。
茜さんにとって俺は子供だ、社会に出て働いても居ない...まず最初の一歩は胃袋を掴む事からスタートだ。
「ただいま...うーん良い匂い...本当に作ってくれたんだね!」
「そりゃ約束だからね、昨日と違い充分に食材が用意出来たから、今日はビーフシチューにしたよ? ローストビーフのサラダはワインのあてににもいけると思う...それで、今日はお風呂と食事どっちを先にする? 一郎は無しで!」
「そうね、美味しそうだけど、さっぱりしたいからお風呂から先にするわ」
「そう? それじゃせっかくだから温め直しておくよ」
あの子...本当にどうしちゃったんだろう?
さっき、チラっと見たけど..料理はかなり手の込んだ物だった気がする。
私が思い出す限りでは、あの子が料理が旨かったそんな記憶はない、父親と一緒で苦手だったはずだ。
このお風呂だって私が帰って来て直ぐに温め直して、疲労回復と美肌の入浴剤が入っている。
しかも、私と余り時間を共有するような子じゃ無かったはずだ。
簡単な会話をしたら直ぐに部屋に帰ってしまうそんな息子だった。
夫が亡くなってからの生活は正直虚しかった。
「家族がいるのは幸せか?」
そう誰かに聞かれたら幸せって答える自信は無かった。
朝から晩まで働いて、家事まで全部やってそれでも息子には邪魔者みたいな扱われる。
男の子ってそんな物だ、母親はそういう物だ、そう言い聞かせて頑張ってきた。
これがこれからもずうっと続くのか?
そう思ったら虚しさしかない...
それがどうだろうか?
昨日と今日の一郎は可笑しな位、理想の息子だ。
私の事を考え、家事を完ぺきにこなしている...あの汚かった家が見違えるほど綺麗になっていた...
しかも、今迄、私には無関心な目を向けていたのに...今の一郎の目は違う。
話す時はしっかりと私の目を覗き込むように話すし...逆にあそこまで見つめられるとこっちの方が照れてしまう。
晩酌の時も傍に居てそんな目で見られるながら話すから、一瞬、息子では無く、好きな人と話してるような錯覚を覚えてしまう。
はっきり言って私はかなりの面食いだ、それなりにモテた私が認めた唯一の男性が一郎の父親、つまり死んでしまった私の旦那、光秀さんだった。
余りに私の理想だったから未成年なのに積極的にアプローチして自分が大人になるのを待たずして既成事実を作り結婚までした位だ。
息子の名前が一郎なのは旦那との間に沢山子供が欲しかったからだし...全てにおいて理想の男性だった。
そんなだから到底、私は次の恋なんて出来ない、だって光秀さんより素敵な人なんて現れないし居ないと思っていたから。
だけど...今の一郎を見ていると...若い頃の光秀さんを思い出してしまう。
残念な事に光秀さんは私より年上だったから、一郎位の年齢の時の事は写真でしか知らない。
だからこそ、怖い、今の一郎は私が見る事が無かった光秀さんの若い頃そのままの姿だし...
しかも、この二日間はまるで、自分の理想を反映した「理想の男性」に近い...
多分、一時的な物だと思うけど...この状態が続いたら、きっと私は子離れできなくなるかも知れない。
一郎に彼女でも出来たらきっと意地悪な事をしてしまう様な気がする。
「きっと三日坊主で終わる..何も考える必要も無いわ」
そう考え湯船を出た。
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