Death Gods＆Devil

第三章

忍びよる心

「こんな奴ら、私一人でも十分よ。」
現世の霊魔の数は軽く百を超えていたが、伊藤は微動だにせず斬り捨てていく。それはまるで赤子の手をひねるような感じだと、伊藤は思っていた。
光霊長、いや光。あんたと最初に会った時には、あんたは私達より下だった。でも、本当はあんたは実力を隠して、
徐々に上に登っていた。それが気に入らなかった。
美穂と一緒にいたあの頃から、あんたは【代理長】という特別な地位にいたけど、それでも実力をどこかに隠していた。美穂と離れて、本来なら下級の地位にいるはずだった私を、掬い上げてくれたのはあんただった。それには、感謝してるけど、一緒にいても、決して隙を見せないあんたに、実力は広がっていくばかりだった。
「いつも手柄はあんただった。だからここで手柄の一つでもあげなきゃ、あんたには辿り着けない！」
伊藤は刀を振り上げていく。

「さすがに…無茶だったかな…」
肩で息をしながら、伊藤は膝をつく。ずいぶん霊魔の群を倒したが、一向に減らない。気づけば体中は、擦り傷だけじゃなく、傷だらけだった。
「光なんかに…私は…」

「その願い、叶えてやろうか？」
「誰？！」
背後からの声に伊藤は振り向いた。そして伊藤の視界は闇に包まれた。