Believe me

高遠 加奈

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信じて

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「早く仕事終わらせて帰ろう」

「どこに? 」

「オレんち」


 嬉しそうな声が頭の横で弾ける。ぎゅつと抱きしめてみたり、髪をすいてみたり、ひとしきり名残を惜しんでから体が離れる。

  手を引かれて行った机のパソコンを確認すると検査結果が上がっていたので、上司に送り返答を待ってから先方に結果を送った。

  その様子を忠犬のように見守る奴は、隣の机を陣取ってメール確認をしていた。終わったと告げるとまた嬉しそうに破顔する。


「行こう。引っ越しで散らかってるけど、ベットは使えるから」


 ワンルームにひしめくダンボールを想像して顔をしかめると、にやりと笑われた。


「オレさあ、すぐ引っ越ししなくていいようにファミリー向けの賃貸なんだよね。いつでも越しておいで」


 会社の前からタクシーでアパートに乗り付けると、すぐに部屋まで連れ込まれた。固く握った指を解くよりもキスを先に降らせてきて、玄関を上がった先から動けない。

  色気のある吐息が玄関に満ちて、熱を持って温度をあげていく。離れた唇につられて目を開けると、じっと自分を見つめる眼差しがあった。


「寂しい思いも不安にさせることも、もうない。だからオレを信じて。好きだよ」


 ひとつ頷くと、涙がぽろりとこぼれた。なんども頷きながら繋がれていない指で涙を拭う。優しい目で抱き寄せて、耳元で何度も好きだと言ってくれる。


「長くかかったけど、お前にはそれだけの価値があるんだよ」


 抱きしめられてあやされながら、髪をなでられる。


「……信じていい? 」

「信じて」

  もう一度唇を重ねると、荒々しいキスになった。貪る唇と舌は、それだけ自分を求めているようで、胸が苦しくなるほどの嬉しさがつのる。キスしながら長い指がもどかしげにボタンを外す。

  露わになったブラシャーのホックをはずして胸をこねる。寄せてあげながら、下がる親指が立ち上がっている先端をかすめる。何度も繰り返す動きに耐えきれず、背中がそる。


「……あ……んぅ」

「気持ちいい? いっぱい可愛がってやるよ」


 とろんとした視線を向けると、欲情した顔が獲物を狙っていた。立っているのが辛くて腕にすがると、うっとりと頬をゆるめた。


「ベットいこ」


 抱き上げられ、髪に顔をうずめて熱い吐息をかけられる。

それだけで腕のなかでふるえた。

ベットに座らされ頬を撫でられる。髪を撫で、服の上からも撫でられる。膝立ちで足の間に割り込んできて、ぎゅつと抱きついてきた。


「ずっとお前が好きだった」


 切ない告白は顔を見せてくれない。自分では情けないと思っているんだろう。そんなことないのに。首筋に熱い吐息が落ちてきて、舐めまわし歯をたてられた。


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