八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー

文字の大きさ
6 / 24

第5章 街道の試練と絆の芽生え

しおりを挟む
第5章

街道の試練と絆の芽生え

馬車の車輪がガタゴトと音を立て、街道を進む。オシロの村を出て数日、リオ・バレンシアを乗せたシャデラン侯爵の一行は、エルニア王国の王都を目指していた。サワラの町まではあと1日、広大な丘陵地帯を抜け、宿場町をいくつか通り過ぎながらの旅だ。リオは馬車の窓から見える景色に目を輝かせ、初めて見る世界に心を躍らせていた。

前世のブラック企業の雑踏とは違い、果てしなく広がる青い空、風に揺れる草原、遠くに見える山脈――すべてが新鮮だった。リオは膝に置いた本を時折読みつつ、窓の外を眺めるのに忙しかった。シャデラン侯爵はそんなリオを見て、穏やかに微笑む。  
「リオ君、旅の景色はどうだ? 王都まであと少し、楽しんでくれよ。」  
「めっちゃ楽しいよ! サワラの町も楽しみだけど、王都ってどんなかな!」リオの声は弾んでいた。

護衛のカイルとロランを始めとする騎士たちは、馬車を囲むように馬を進め、街道の安全を確保していた。カイルはリオに木剣で完敗したことをまだ少し根に持っているようだが、リオの気さくな態度に徐々に打ち解けつつあった。  



レッドグリズリーの襲撃

街道を進む中、リオが突然馬車の窓から身を乗り出した。「あっ! 近くに牛グマがいる!」  
その声に、カイルが馬上から怪訝な顔で振り返った。「牛グマ? なんだそれ?」  

リオはニヤニヤしながら馬車の中から叫んだ。「とりあえず、でっかい魔獣だよ! 戦闘ってことで間違いないよね!」  

「は!? またお前の魔力探知か! よし、馬車止めろ! 戦闘準備だ!」カイルの号令で、馬車が停まり、護衛たちが一斉に剣を抜いた。シャデラン侯爵も馬車から降り、珍しく剣を握った。彼は聖都の騎士団で幹部を務めた魔法の使い手だが、実戦からはしばらく離れている。それでも、鋭い眼光で周囲を警戒していた。

街道の茂みから姿を現したのは、巨大な赤毛の魔獣――レッドグリズリーだった。体長3メートルを超え、鋭い爪と牙を持つこの魔獣は、冒険者ランクB以上の猛者が相手にする凶悪な存在だ。護衛たちは聖都屈指の騎士団員だが、レッドグリズリーの登場に一瞬緊張が走った。

「リオ! レッドグリズリーなんて聞いてねぇぞ! 牛グマってなんだよ!」カイルが叫びながら剣を構えた。  

「え、だって、牛みたいな味するから牛グマって呼んでるだけじゃん!」リオは無邪気に笑いながら、馬車から飛び降りた。  

「味!? んな話どうでもいい! 気をつけろ、こいつは――」カイルの言葉が終わる前に、リオが動いた。  

「早い者勝ちでいいよねー!」  
リオはガルドから譲られた短剣を手に、まるで風のようにレッドグリズリーに突進した。次の瞬間、キラリと光る刃が一閃。レッドグリズリーの首が、まるで紙でも切るようにスパッと斬り落とされた。巨体が地面にドシンと倒れ、戦闘は一瞬で終わった。

「な、なに!?」カイルが目を丸くし、呆然とリオを見つめた。  
「何してんだ、お前!」他の護衛たちも、剣を構えたまま固まっていた。  

リオは短剣をくるっと回し、鞘に収めながら笑った。「あー、ごめんごめん! 俺、こいつの肉、めっちゃ好きでさ! 熊なのに牛の味するんだもん!」  

「するんだもんじゃねぇ!」  
カイル、ロラン、そして他の護衛たちが一斉にツッコんだ。シャデラン侯爵まで、剣を下ろしながら苦笑いを浮かべた。「いやはや、リオ君は本当に規格外だな……。」  

リオはレッドグリズリーの死体を見ながら、ちょっと申し訳なさそうに言った。「わかったよ、最初から独り占めするつもりないよ。でも、俺が討伐したんだから、三分の一は俺がもらうぞ!」  

「肉の話じゃねぇよ!」カイルが頭を抱えながら叫んだ。「お前、なんで10歳のガキがレッドグリズリーを一撃で仕留められるんだよ! ありえねぇだろ!」  

「ハハハ、だって、じいちゃんの稽古の方がよっぽどキツいもん!」リオはケラケラ笑いながら、異空間収納用の水晶を取り出した。「ほら、こいつの肉、持ってくよ! 聖都で美味しく食べるから!」  
水晶に魔力を込めると、レッドグリズリーの巨体が光に包まれて消えた。護衛たちはその光景に再び唖然とした。  

「異空間収納まで……マジかよ……」カイルが呟き、ロランが感心したように言った。「リオ君、聖都の魔法学院のエリートでも、ここまで完璧に使いこなせねぇぞ。」  

シャデランは静かにリオを見つめ、呟いた。「ガルド閣下とミリア導師の孫とはいえ、この力……エレナの治療も、君なら本当にできるかもしれないな。」  



川辺の休憩と新たな絆

その後も一行は街道を進み、宿場町をいくつか通り過ぎた。川のほとりで馬を休ませるために馬車を停めた時、カイルがリオに近づいてきた。  
「なあ、リオ、剣の構えについてなんだが……」カイルは少し照れくさそうに、腰の剣を握りながら言った。「あの時のレッドグリズリーの一撃、すげぇ動きだったな。あの構え、どうやってんだ?」  

リオは水辺で石を投げながら、気軽に答えた。「カイルの構え、悪くないけどさ、ちょっとここに隙ができるんだよね。」  
彼は近くにあった枝を拾い、剣の構えを模倣して見せた。「ほら、こうやって脇を締めすぎると、横からの攻撃に対応しづらくなる。もうちょっと肩をこう……」  

カイルは真剣にリオの動きを見つめ、試しに同じ構えをしてみた。「なるほど、こうか?」  
「うん、でもまだ固いな。もっとリラックスして、剣を流れるように持つ感じ!」リオは楽しそうに指導し、カイルも熱心に真似した。  

別の日、川辺で野営している時、カイルがまたリオに質問してきた。「なあ、あの時の魔力探知、どうやって1キロも先を探れたんだ? 俺もやってみたけど、せいぜい100メートルくらいしかわかんねぇ。」  

リオは焚き火にあたりながら、気軽に答えた。「あれ、普通に魔力を遠くまで飛ばしてるだけだよ。ほら、こう!」  
彼は掌に魔力を集中させ、薄く広げるようにして放った。まるで水が地面に広がるように、魔力が見えない波となって遠くへ伸びていく。  

カイルは目を輝かせ、試しに真似してみた。「こうか?」  
「まだまだ! もっと薄く、遠くまで! 地面に水が流れるみたいに、滑らかに!」リオは笑いながら指導した。  

カイルは額に汗を浮かべながら、何度も試したが、すぐに魔力が途切れてしまう。「ダメだ、魔力が途切れる……。」  
「それは魔力制御がまだ甘いからだよ。もっとこう、細かくコントロールする感じ!」リオは再び掌で魔力を操り、まるで生き物のように滑らかに動かしてみせた。  

カイルは目を丸くした。「何だよ、その魔力! まるで水みたいに自由じゃねぇか! 毎日訓練しても、こんなのできねぇぞ!」  
「ハハ、毎日やればできるようになるよ! じいちゃんもばあちゃんも、こうやって教えてくれたし!」リオは無邪気に笑った。  

護衛たちやシャデラン侯爵は、そんな二人のやりとりを見て笑っていた。  
「まるで兄弟みたいだな。だが、リオが兄貴って感じか?」ロランがニヤニヤしながら言うと、他の護衛たちも「確かに!」と笑い合った。  
シャデランも微笑みながら呟いた。「リオ君とカイル、いいコンビだ。聖都に着いたら、もっと面白いことが起こりそうだな。」  




一行は宿場町をいくつか通り過ぎ、王都への道を着実に進んでいた。リオはカイルや護衛たちとの交流を通じて、旅の楽しさをますます感じていた。前世の閉塞感とは違い、この世界での冒険は彼の心を自由にしていた。  

「王都、どんなところかな。エレナちゃん、どんな子かな……」  
リオは馬車の窓から星空を見上げながら、胸の高鳴りを抑えきれなかった。レッドグリズリーを一撃で仕留めた剣技、広範囲の魔力探知、完璧な異空間収納――リオの力は、彼自身が気づかないうちに、護衛たちを圧倒していた。  

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。  その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。  世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。  そして何故かハンターになって、王様に即位!?  この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。 注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。   R指定は念の為です。   登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。   「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。   一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

処理中です...