八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー

文字の大きさ
20 / 24
冒険者の道

第19章 新たな剣の輝き

しおりを挟む
第19章  

新たな剣の輝き

サワラの街:冒険者の日常

サワラの街は、朝の陽光に照らされて活気づいていた。石畳の道には商人の呼び声が響き、市場では新鮮な野菜や工芸品が並ぶ。冒険者ギルドの木造看板がそよ風に揺れ、剣士や魔法使いの笑い声が漏れ聞こえる。14歳のリオ・バレンシアは、この小さな街でCランク冒険者として名を馳せつつあった。背はぐんと伸び、金髪が肩まで伸びて風に揺れる姿は、少年の無邪気さと大人びた落ち着きを併せ持っていた。革の軽鎧が体に馴染み、腰のポーチには薬草や道具が詰まっている。

だが、最近、リオには気になることがあった。「この短剣、なんか手に合わなくなってきたな……。」彼は腰に差した短剣を手に取り、つぶやいた。ガルドから10歳の時に贈られた短剣だ。かつてはショートソードのように感じたその刃も、成長した今では小さく、振り回すたびにバランスが悪い気がしていた。グランドボアを倒した戦闘でも、剣の軽さが気になった。「新しい剣、必要かも。」

リオは冒険者ギルドの扉をくぐった。ギルド内はいつもの喧騒に満ちていた。剣士が武器を磨き、魔法使いが呪文を練習し、酒杯を打ち鳴らす笑い声が響く。受付のサラ(28歳、明るい笑顔の女性)がリオを見つけ、目を輝かせた。「おはよう、リオ君! またクエスト? グランドボアの話、まだギルドで噂になってるよ!」

「おはよう、サラさん!」リオは照れ笑いを浮かべ、カウンターに近づいた。「あの、ちょっと相談。短剣が最近使いづらくて……新しい剣を新調しようかなって。いい鍛冶屋さん、知らない?」

サラは少し考え、ニコリと笑った。「鍛冶屋なら、裏通りのガボンの工房が一番よ。ドワーフの職人で、腕はピカイチだけど、職人気質でこだわりが強いんだよね。リオ君なら、いい剣作ってもらえるよ!」彼女は地図を指でなぞった。「市場を抜けて、細い路地を左に曲がったとこ。看板出てないから、気をつけてね!」

「こだわりが強い? ふふ、面白そう。ありがとう、サラさん!」リオは笑顔で手を振ると、ギルドを出て市場へ向かった。ガボンの職人気質を想像し、どんな剣が手に入るのか、胸が高鳴った。



裏通りの鍛冶工房

サワラの市場を抜け、細い路地に入ると、喧騒が遠ざかり、ひんやりした空気が漂った。石畳の隙間に草が生え、古びた木の扉が並ぶ裏通り。リオはサラの指示通り左に曲がり、小さな工房を見つけた。看板はないが、煙突から薄い煙が立ち上り、カンカンと金属を叩く音が響いていた。「こんなところに工房があったんだ……。」

リオが扉を押すと、錆びた蝶番がキィと鳴った。工房の中は、暖炉の火が赤く揺れ、鉄と炭の匂いが鼻をついた。壁には剣や斧が無造作に掛けられ、床には金属片が散らばっている。カウンターの奥で、小柄な少女が木箱を整理していた。12歳くらい、赤い髪をツインテールにした、ドワーフ特有の丸い目と頑健な体つきの少女だ。

「いらっしゃい!」少女が振り返り、元気よく叫んだ。声は工房に響き、楽しげなエネルギーが溢れていた。「お客さん、初めて? あたし、リン! この工房の店番だよ!」

「あ、うん。俺、リオ。ギルドのサラさんに聞いて来たんだけど……剣を見せてほしいな。」リオは少し緊張しながら答えた。ドワーフの少女は初めてで、彼女の明るさに少し圧倒されそうだった。

リンはいそいそとカウンターから出て、棚を指差した。「剣はそこにあるだけだよ! 父ちゃんの作った一品ばっかだから、じっくり見てって、リオさん!」

リオは棚に並ぶ剣に目をやった。鉄の長剣、細身のレイピア、装飾された短剣――どれも丁寧に鍛えられた輝きを放っていた。その中でも、一振りの剣がひときわ目を引いた。鋼の剣身は滑らかで、柄は黒革で巻かれ、シンプルながら鋭い気配を漂わせていた。リオは思わず手に取った。「これ、すごいな……!」

リンも目を輝かせ、カウンターに身を乗り出した。「リオさん、いい目してる! その剣、父ちゃんの自信作だよ! 一番いい剣! 金貨10枚でどう?」

「金貨10枚!?」リオは思わず声を上げ、苦笑した。「めっちゃいい剣だけど、ちょっと高いな、笑。」エルニア王国の貨幣では、金貨1枚が約10万円。4~5人家族の1か月の生活費が銀貨15枚(約15万円)だから、金貨10枚(約100万円)は大金だ。リオのクエスト報酬を合わせても、すぐには払えない。

「だって、うちの父ちゃんの一品だもん! 価値あるよ!」リンが胸を張った瞬間、工房の奥からドスドスと重い足音が響いた。カーテンをくぐり、がっしりしたドワーフの男が現れた。40代くらい、肩幅の広い体に、赤い髭がボサボサに生えた鍛冶職人だ。革のエプロンには焦げ跡が残り、手にはハンマーが握られていた。

「リン、ちょっと手伝ってくれ!」男が叫んだが、リオに気づくと目を細めた。「お、お客様か! すまなかったな、初めてだな。俺はガボン、この工房の親方だ。ギルドのサラに聞いたってか? なら、かなりの実力者だな!」

リオは少し照れながら頭を掻いた。「え、俺、リオ。サラさんにいい鍛冶屋って聞いて来たんですけど……。」ガボンの豪快な声に気圧されつつ、剣を手に持ったまま答えた。

ガボンはリオの腰を見つけ、目を丸くした。「おい、その短剣、ちょっと見せてみろ!」リオが腰から短剣を抜くと、ガボンは手に取って火の光にかざした。「おお、こいつはいい! 戦闘用の短剣だな! ブルーメタル製だぜ!」

「ブルーメタル!?」リオは驚いた。ブルーメタルは知っていた。ミリアとの錬金術の練習で、少量だが自分で錬金したことがある。「これ、じいちゃんからもらったやつだけど……ブルーメタル製だったんだ!」

ガボンは髭を撫で、感嘆の声を上げた。「お前、ブルーメタルを知ってるのに、短剣の素材に気づかなかったのか? ハハ、面白いガキだな!」彼は短剣を手に、説明した。「ブルーメタルはミスリルの代替として作られた錬金術の金属だ。ミスリルは貴重な鉱石だが、ブルーメタルはもっと珍しい材料を使う。錬金術の実力者じゃなきゃ作れねえし、材料集めで値段が跳ね上がることもある。貴重さはミスリルが上だが、魔力がよく流れるから、魔法使いや剣士には重宝されるんだ。」

リオは短剣をまじまじと見た。「じいちゃん、こんなすごいものくれてたんだ……。錬金術の練習で、ばあちゃんに教わって少量だけブルーメタル作ったことあるけど、めっちゃ難しかったよ。」

ガボンは目を細め、興味深そうにリオを見た。「お前、錬金術使えるのか? 誰に習った?」

「オシロ村のミリア、俺のばあちゃん。神聖魔法と錬金術を教えてくれてる。」リオは少し誇らしげに答えた。

「ミリア!? あの錬金術師か!」ガボンは声を上げ、リンも「えー、リオさん、すごい人知ってるんだ!」と驚いた。ガボンは短剣を手に、続けた。「なら、話は早え。この短剣、いい素材だ。だが、お前の体格だと短すぎるな。新しい剣、打ってやろうか? 短剣のブルーメタルを再利用して、グリップとガードを作る。剣身は鋼で十分だ。いつかミスリルかブルーメタルが手に入ったら、剣身も強化してやるよ。」

リオは目を輝かせた。「ほんと!? それ、めっちゃいい!」

「ただし、金貨5枚だ!」ガボンはニヤリと笑い、リンが「父ちゃん、ちょっと高くない?」と突っ込んだ。リオは少し考え、クエストで貯めた報酬を思い出した。「金貨5枚なら、なんとか……いける! お願いします!」

ガボンは頷き、工房の奥にリオを連れて行った。「よし、お前の手に合わせてグリップも調整するぜ。ちょっとそこで剣振ってみろ。動き見て、完璧に仕上げてやる。」



新たな剣の完成

工房の試作用スペースで、リオは短剣を振ってみせた。ガルドの指導で磨かれた剣技は、14歳とは思えないキレがあった。ガボンはリオの動きをじっと観察し、時折頷いた。「いい動きだ。剣士としても冒険者としても、大物になるぞ。」

数日後、リオは再び工房を訪れた。ガボンが手渡した新しい剣は、鋼の剣身が鋭く輝き、ブルーメタルのグリップとガードが手にしっくり馴染んだ。柄は黒革で巻かれ、リオの手に合わせて微調整されていた。試しに振ってみると、短剣とは比べ物にならないバランスの良さに、笑みがこぼれた。「すげえ! これ、めっちゃ軽いのに力強い!」

リンがカウンターから飛び出し、拍手した。「父ちゃんの剣、最高でしょ! リオさん、かっこいいよ!」

ガボンは髭を撫で、満足そうに笑った。「ブルーメタルのグリップは魔力をよく通す。お前の神聖魔法とも相性抜群だ。冒険でガンガン使えよ。」

リオは金貨5枚を渡し、剣を腰に差した。「ありがとう、ガボンさん! リンも! この剣で、もっと強い冒険者になるよ!」

「なら、俺の剣でサワラのギルドに名を響かせてこい!」ガボンは豪快に笑い、リンも「またおいでよ、リオさん!」と手を振った。



新たな一歩

サワラの街を歩くリオの腰には、新しい剣が輝いていた。ガルドの剣技、ミリアの魔法、そして新たに手に入れたブルーメタルの剣――それらはすべて、バレンシア家の誇りを継ぐための力だった。市場の喧騒を抜け、ギルドへ向かう道すがら、リオは空を見上げた。「父ちゃん、母ちゃん、じいちゃん、ばあちゃん……この剣で、もっとみんなを助けるよ。」

次のクエストが、彼を待っていた。新しい剣を手に、リオの冒険者としての道は、さらに広がっていく。



リオはサワラの鍛冶工房でガボンとリンに出会い、ブルーメタルの短剣を再利用した新たな剣を手に入れた。ガルドとミリアの指導の下、剣技と魔法を磨きながら、冒険者としての成長を続ける。バレンシア家の誇りを胸に、リオはサワラの街で新たな挑戦に立ち向かう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

処理中です...