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第一章 龍神に覚醒したはずの日々
十一 細く長い道のり
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1・
力無く床に横たわるのは、長毛の猫と犬を合わせたような小動物。体毛は、猫でいうとキジトラというものに近い。
ぐったりとして目を閉じているが死んでおらず、スウスウと寝息を立てている。
僕が唖然として観察していると、エリック様がソファーを立ってその子……小動物のレリクスの前まで歩いて行った。
そしてしゃがみ込み、レリクスに手を伸ばした。
捕まえるのかと思ったら、違った。
「もしもし、失礼します。私と話をしてくれますか?」
エリック様は、ゆっさゆっさとレリクスの体を揺らした。
レリクスは即座に目を開き、触られたのが不快なのか唸りながら跳ねた。
一瞬で部屋の一番端まで行き、そこから僕らを見た。
最初、エリック様も僕も睨んだのに、すぐ驚いた様子で人の言葉を喋った。
「まさか、リュン! こんな場所に──」
言いかけたところで、エリック様が前に立って僕の姿をレリクスから見えないようにした。
「この人間……いえ、龍の子よ。その子を引き渡しなさい。交渉などはしませんよ。返すか返さないか、どちらかです」
「話し合いを求めます。私はこの子の同僚であり養父ともなるエリックと言います。この子、ショーンの幸せの為に、どうか今一度人と話し合いをして頂きたいのです」
「人の言葉など、信用なりません。リュン、こちらに来なさい」
「……」
僕は、黙ったままエリック様の大きな背中を見つめた。
「リュン……貴方の名前はリュンです。産みの母の私が、そう名付けました。きっと何事か理解できていないでしょうが、貴方は龍の子でありつつも、魂はレリクスとして生を受けたのです」
レリクスが言うけれど、意味が理解できない。
ぼんやりしていると、エリック様が振り向いて僕の腕を掴んだ。そして少し体をずらして、僕にレリクスを見せた。
「あの者の言う事は本当だ。ショーンはこの宇宙文明にきっと二人しかいない、レリクス一族の一員だ。そして彼女は、君の魂の母だ」
「……それは、でも、どういう意味なのでしょうか?」
「さっき説明しただろう? レリクスは自分の子を、人の女性のお腹に預ける。君の肉体の母のお腹に、君の魂は預けられたんだ」
「そんな。僕はミーナ母さんの子で、その……小さな動物の子じゃありません。だって僕は、あんな姿をしていません」
僕は腕を引いてエリック様に離してもらおうとしたけど、彼の力は強くて離れない。
戸惑うと、レリクスが言った。
「レリクスの子は、最初に入った肉体ではサナギとして存在しており、その肉体が死ぬまで正体を現しません。一度死ぬ事でしか、レリクスと自覚できる手段はありません。けれどリュンはまだ幼くて、弱々しい存在です。その肉を脱いではいけません」
「そんな、意味の分からないことを、言わないで。エリック様、離して。怖い」
頼むと、エリック様は困った表情で離してくれた。
僕は二歩下がった。
「悪かった。怖がらせるつもりはなかった。ただショーンに、もう一人の母がいることと、真の種族について知らせたかっただけだ。許してくれ」
「エリック様……はい、その、まだ全部は理解できていませんが、事情があるという事は理解しました。それに、僕のために、魂の母という存在と会わせてくれました」
まだまだ見知らぬ猫にしか思えないけれど、その眼差しに宿る愛情のようなものが偽物に思えない。
僕は、エリック様の向こうにいるレリクスの姿を見つめた。僕もレリクス一族というならば、死ねばあのような小動物になるのだろうか。
「リュン。こちらへおいで」
そう呼ばれても、近付こうと思えない。人見知りもあるし、それになんだか、本当に怖い。僕、普通の人じゃないんだ。
僕はエリック様の陰に隠れ、俯いた。
怯える僕のために、エリック様が言ってくれた。
「ショーン……リュンの母君。彼がこのような状態では、話しあいは無理です。こちらで保護を続けて、落ち着いた頃にまた接触を持ちたいと思うのですが」
「…………分かりました。では数日後に、またここに来ます」
「この神殿で滞在されて下さい。少なくとも、賊の侵入は防げます」
「遠慮いたします。我らを滅びに導いた人種族の話など、二度と聞く気にはなりません」
「それはユールレム人の悪行です。我らバンハムーバ人の犯した罪ではありません」
「同じ事です。霊体のレリクスが、人の心を読めぬとお思いですか。しかし貴方がリュンを想う心のみは、本物です。貴方にリュンを預けましょう」
「ありがとうございます。しかし、でしたら一つだけ、質問に答えてもらえますか? ショーンの身の安全のために、どうか」
「……質問とは何ですか」
「貴方は、ショーンが龍神になると分かっていて、彼の肉体を利用したのですか? 子供に力をつけさせるために?」
「……バンハムーバ人ともなれば、それは気になるところでしょうね。私は人の未来を自在に観ることなどできません。現在で力を持つ子供を発見したので、その赤ちゃんを我が子にしただけです。龍神であるならば、その子が不幸になると分かっていたのですから、頼ることなどしませんでした」
「そうですか。お答えいただき、ありがとうございます」
エリック様がホッとしたのが、雰囲気で分かった。
「ショーンは、貴方が訪れるまでこの神殿に留め置きます。お待ちしています」
「ええ……では頼みます」
その言葉の後に静かになったので、もう行ってしまったかと思った。
「……私ができることは、龍神で無くすことです。その子を、ただの人に戻していいかどうか、検討しておいて下さい」
「なん……それは!」
エリック様は叫んだ。けれど、答えはない。
必死な様子のエリック様は、すぐ振り向いて僕の腕をまた掴もうとした。
同時ぐらいに扉が開いて、誰かが声を上げた。
「エリック様!」
エリック様は動揺し、僕の腕を掴まずに扉の方を見た。
「お話があります」
衣装からして国王様なんだろう人が、怒っているような勢いで言った。
「……分かっている」
エリック様は困った様子で行こうとして、でも僕の前に戻った。
「しばらく学校に通えなくなるが、ここでも教えてもらえる。しばらく辛抱してくれ」
「はい……はい、その、エリック様、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ」
僕はエリック様のことを聞いた。エリック様は僕のことを答えたようで、笑顔をくれた。
「では、今日はもう休むといい。色々と済まなかった」
「エリック様……」
エリック様は、悩んでいるようなのに笑顔で行ってしまった。
気付いたら、イツキが傍に立っていた。
「イツキ、いつからいたの?」
「ずっといましたよ。寝室まで、ご案内します」
「うん、あの、イツキ。僕は一体、何者?」
「……」
イツキは、あまり表情に出していないけれど、なんだか辛そうだ。
「ショーン様は、レリクスの魂を持つ龍神様であり、始祖の龍神様の父である神の息子でもあります。ですから、神族として無から有を生み出せます」
「え……」
僕は、余計に増えた問題に、頭が追いつかなくなってきた。
疲れたからもう考えるのを止め、イツキに手を引かれて歩き出した。
泣きそうになったのを、堪えた。
2・
先ほどと同じ部屋にて、四者は顔を揃えた。
「レリクスは眠っていなかった。ただ召喚は成功した。ショーンは意識を強く向けた言葉を、強めに現実化するんだろう」
暗い表情のエリックに、マーティスが鋭い視線を向ける。
「もしくは、眠りに耐性があったのかもしれません。人の依頼で読む文章では、それを打破する威力が無かったのでは」
「あ~……」
あまり口出ししたくないロックは、それでも声だけ出した。
エリックは、頭を掻いた。
「それと、レリクスは交渉などしない。つまり、次に来る時にショーンを連れ戻るから、龍神では無くすと言ったんだと思うが」
「エリック様、レリクスは本気でそのように出来ると言ったように聞こえましたよ」
エリックとマーティスは話しつつも、一切視線を合わせない。
「まあ、嘘である可能性もありますがね。とにかく、私たちの懸念とは逆で、龍神を選別して魂を入れる能力ではなく龍神の力を奪う能力でしたが、バンハムーバにとり危険な存在であると判明しました。少なくとも、レリクスをこのまま放ってはおけません。そうですよね?」
「まあ、それはそうだな。だからホルンの作戦を採用した」
「その作戦をお忘れなきように。まだ道は途中です。ショーン様のお命を救うために、尽力されて下さい」
「そんなに尻を叩くなよ。ただ、次の訪問が最初で最後のチャンスだから、失敗は許されない。俺がショーンに、ちゃんと言い聞かせる」
「そうなさって下さい。貴方様は子供に好かれますからね」
マーティスは、自分が子供時代にエリックに懐いたことを苦々しく思い出した。
「それで……作戦が上手くいけば、ショーンと親の命は取らないんだろうな?」
「何度質問されたとしても、答えは同じです。約束は守ります。ただ、効果がどう出るかは不明なのですよね? 結果が出た後に、決定を再検討しなくてはいけない場合もあります。ですからその場合は、どうかご容赦を」
「ああ。国王でいるのは難しいことだと知っている。マーティスは、どんなことがあろうと国王として任務を遂行してくれ」
「……はい」
マーティスは複雑な思いがありつつも、エリックの言葉に素直に頷いた。
エリックと共に仕事をするのは、とてつもなく苦痛だと感じつつ。
こうして敵対しようかという時にも、温もりをもって守ろうとしてくれる。
人の頭上を飛び越えて、それ以外の問題を広い視点で細々と発見しては、全部ひっくるめて丸く収めようと暗躍する。
五百年を生きたからといって、全員がこんな立派になれる訳じゃないのは、ロック様が証明している。
それどころか、未成年の時に幾つもの大業を成し遂げた。
そんな生きた歴史上の偉人に、仕事とはいえ反目しなくてはいけないこの現状。
最大限の精神的苦痛しか与えられないだろうが! と、マーティスは心で独りごちた。
その後、細々とした問題を話しあった四人は、それぞれの思いを胸に部屋を出た。
力無く床に横たわるのは、長毛の猫と犬を合わせたような小動物。体毛は、猫でいうとキジトラというものに近い。
ぐったりとして目を閉じているが死んでおらず、スウスウと寝息を立てている。
僕が唖然として観察していると、エリック様がソファーを立ってその子……小動物のレリクスの前まで歩いて行った。
そしてしゃがみ込み、レリクスに手を伸ばした。
捕まえるのかと思ったら、違った。
「もしもし、失礼します。私と話をしてくれますか?」
エリック様は、ゆっさゆっさとレリクスの体を揺らした。
レリクスは即座に目を開き、触られたのが不快なのか唸りながら跳ねた。
一瞬で部屋の一番端まで行き、そこから僕らを見た。
最初、エリック様も僕も睨んだのに、すぐ驚いた様子で人の言葉を喋った。
「まさか、リュン! こんな場所に──」
言いかけたところで、エリック様が前に立って僕の姿をレリクスから見えないようにした。
「この人間……いえ、龍の子よ。その子を引き渡しなさい。交渉などはしませんよ。返すか返さないか、どちらかです」
「話し合いを求めます。私はこの子の同僚であり養父ともなるエリックと言います。この子、ショーンの幸せの為に、どうか今一度人と話し合いをして頂きたいのです」
「人の言葉など、信用なりません。リュン、こちらに来なさい」
「……」
僕は、黙ったままエリック様の大きな背中を見つめた。
「リュン……貴方の名前はリュンです。産みの母の私が、そう名付けました。きっと何事か理解できていないでしょうが、貴方は龍の子でありつつも、魂はレリクスとして生を受けたのです」
レリクスが言うけれど、意味が理解できない。
ぼんやりしていると、エリック様が振り向いて僕の腕を掴んだ。そして少し体をずらして、僕にレリクスを見せた。
「あの者の言う事は本当だ。ショーンはこの宇宙文明にきっと二人しかいない、レリクス一族の一員だ。そして彼女は、君の魂の母だ」
「……それは、でも、どういう意味なのでしょうか?」
「さっき説明しただろう? レリクスは自分の子を、人の女性のお腹に預ける。君の肉体の母のお腹に、君の魂は預けられたんだ」
「そんな。僕はミーナ母さんの子で、その……小さな動物の子じゃありません。だって僕は、あんな姿をしていません」
僕は腕を引いてエリック様に離してもらおうとしたけど、彼の力は強くて離れない。
戸惑うと、レリクスが言った。
「レリクスの子は、最初に入った肉体ではサナギとして存在しており、その肉体が死ぬまで正体を現しません。一度死ぬ事でしか、レリクスと自覚できる手段はありません。けれどリュンはまだ幼くて、弱々しい存在です。その肉を脱いではいけません」
「そんな、意味の分からないことを、言わないで。エリック様、離して。怖い」
頼むと、エリック様は困った表情で離してくれた。
僕は二歩下がった。
「悪かった。怖がらせるつもりはなかった。ただショーンに、もう一人の母がいることと、真の種族について知らせたかっただけだ。許してくれ」
「エリック様……はい、その、まだ全部は理解できていませんが、事情があるという事は理解しました。それに、僕のために、魂の母という存在と会わせてくれました」
まだまだ見知らぬ猫にしか思えないけれど、その眼差しに宿る愛情のようなものが偽物に思えない。
僕は、エリック様の向こうにいるレリクスの姿を見つめた。僕もレリクス一族というならば、死ねばあのような小動物になるのだろうか。
「リュン。こちらへおいで」
そう呼ばれても、近付こうと思えない。人見知りもあるし、それになんだか、本当に怖い。僕、普通の人じゃないんだ。
僕はエリック様の陰に隠れ、俯いた。
怯える僕のために、エリック様が言ってくれた。
「ショーン……リュンの母君。彼がこのような状態では、話しあいは無理です。こちらで保護を続けて、落ち着いた頃にまた接触を持ちたいと思うのですが」
「…………分かりました。では数日後に、またここに来ます」
「この神殿で滞在されて下さい。少なくとも、賊の侵入は防げます」
「遠慮いたします。我らを滅びに導いた人種族の話など、二度と聞く気にはなりません」
「それはユールレム人の悪行です。我らバンハムーバ人の犯した罪ではありません」
「同じ事です。霊体のレリクスが、人の心を読めぬとお思いですか。しかし貴方がリュンを想う心のみは、本物です。貴方にリュンを預けましょう」
「ありがとうございます。しかし、でしたら一つだけ、質問に答えてもらえますか? ショーンの身の安全のために、どうか」
「……質問とは何ですか」
「貴方は、ショーンが龍神になると分かっていて、彼の肉体を利用したのですか? 子供に力をつけさせるために?」
「……バンハムーバ人ともなれば、それは気になるところでしょうね。私は人の未来を自在に観ることなどできません。現在で力を持つ子供を発見したので、その赤ちゃんを我が子にしただけです。龍神であるならば、その子が不幸になると分かっていたのですから、頼ることなどしませんでした」
「そうですか。お答えいただき、ありがとうございます」
エリック様がホッとしたのが、雰囲気で分かった。
「ショーンは、貴方が訪れるまでこの神殿に留め置きます。お待ちしています」
「ええ……では頼みます」
その言葉の後に静かになったので、もう行ってしまったかと思った。
「……私ができることは、龍神で無くすことです。その子を、ただの人に戻していいかどうか、検討しておいて下さい」
「なん……それは!」
エリック様は叫んだ。けれど、答えはない。
必死な様子のエリック様は、すぐ振り向いて僕の腕をまた掴もうとした。
同時ぐらいに扉が開いて、誰かが声を上げた。
「エリック様!」
エリック様は動揺し、僕の腕を掴まずに扉の方を見た。
「お話があります」
衣装からして国王様なんだろう人が、怒っているような勢いで言った。
「……分かっている」
エリック様は困った様子で行こうとして、でも僕の前に戻った。
「しばらく学校に通えなくなるが、ここでも教えてもらえる。しばらく辛抱してくれ」
「はい……はい、その、エリック様、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ」
僕はエリック様のことを聞いた。エリック様は僕のことを答えたようで、笑顔をくれた。
「では、今日はもう休むといい。色々と済まなかった」
「エリック様……」
エリック様は、悩んでいるようなのに笑顔で行ってしまった。
気付いたら、イツキが傍に立っていた。
「イツキ、いつからいたの?」
「ずっといましたよ。寝室まで、ご案内します」
「うん、あの、イツキ。僕は一体、何者?」
「……」
イツキは、あまり表情に出していないけれど、なんだか辛そうだ。
「ショーン様は、レリクスの魂を持つ龍神様であり、始祖の龍神様の父である神の息子でもあります。ですから、神族として無から有を生み出せます」
「え……」
僕は、余計に増えた問題に、頭が追いつかなくなってきた。
疲れたからもう考えるのを止め、イツキに手を引かれて歩き出した。
泣きそうになったのを、堪えた。
2・
先ほどと同じ部屋にて、四者は顔を揃えた。
「レリクスは眠っていなかった。ただ召喚は成功した。ショーンは意識を強く向けた言葉を、強めに現実化するんだろう」
暗い表情のエリックに、マーティスが鋭い視線を向ける。
「もしくは、眠りに耐性があったのかもしれません。人の依頼で読む文章では、それを打破する威力が無かったのでは」
「あ~……」
あまり口出ししたくないロックは、それでも声だけ出した。
エリックは、頭を掻いた。
「それと、レリクスは交渉などしない。つまり、次に来る時にショーンを連れ戻るから、龍神では無くすと言ったんだと思うが」
「エリック様、レリクスは本気でそのように出来ると言ったように聞こえましたよ」
エリックとマーティスは話しつつも、一切視線を合わせない。
「まあ、嘘である可能性もありますがね。とにかく、私たちの懸念とは逆で、龍神を選別して魂を入れる能力ではなく龍神の力を奪う能力でしたが、バンハムーバにとり危険な存在であると判明しました。少なくとも、レリクスをこのまま放ってはおけません。そうですよね?」
「まあ、それはそうだな。だからホルンの作戦を採用した」
「その作戦をお忘れなきように。まだ道は途中です。ショーン様のお命を救うために、尽力されて下さい」
「そんなに尻を叩くなよ。ただ、次の訪問が最初で最後のチャンスだから、失敗は許されない。俺がショーンに、ちゃんと言い聞かせる」
「そうなさって下さい。貴方様は子供に好かれますからね」
マーティスは、自分が子供時代にエリックに懐いたことを苦々しく思い出した。
「それで……作戦が上手くいけば、ショーンと親の命は取らないんだろうな?」
「何度質問されたとしても、答えは同じです。約束は守ります。ただ、効果がどう出るかは不明なのですよね? 結果が出た後に、決定を再検討しなくてはいけない場合もあります。ですからその場合は、どうかご容赦を」
「ああ。国王でいるのは難しいことだと知っている。マーティスは、どんなことがあろうと国王として任務を遂行してくれ」
「……はい」
マーティスは複雑な思いがありつつも、エリックの言葉に素直に頷いた。
エリックと共に仕事をするのは、とてつもなく苦痛だと感じつつ。
こうして敵対しようかという時にも、温もりをもって守ろうとしてくれる。
人の頭上を飛び越えて、それ以外の問題を広い視点で細々と発見しては、全部ひっくるめて丸く収めようと暗躍する。
五百年を生きたからといって、全員がこんな立派になれる訳じゃないのは、ロック様が証明している。
それどころか、未成年の時に幾つもの大業を成し遂げた。
そんな生きた歴史上の偉人に、仕事とはいえ反目しなくてはいけないこの現状。
最大限の精神的苦痛しか与えられないだろうが! と、マーティスは心で独りごちた。
その後、細々とした問題を話しあった四人は、それぞれの思いを胸に部屋を出た。
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