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番外☆オルドラン編
13>> 平民として
この機会に名前を『アル』に改名したオルドランはオデットと二人、祖父が領主となる領地の片隅にある村の村長の家に居候することになった。
村長もその家族もオデットたちのことを知っている。オルドランの事情を全て聞いた上で受け入れてくれていた。
村長は生意気な貴族の坊っちゃんを厳しく躾けてちゃんと平民として生きていけるようにするぞと意気込んでいたが、やって来た元高位貴族の子息であるオルドランが思いの外物分かりの良い子供で驚いた。
村長の妻はそれだけ二人が今まで居た環境が大変だったのだろうと察して親心を芽生えさせていた。村長夫婦はオデットの両親よりも年上でオデットとオルドランを孫やひ孫のように思い受け入れた。
同居家族は村長夫妻の他に村長の息子とその嫁と子供二人が居た。村が農村ということもあり、村長の家は大きく、オデットたちの為に用意された部屋は二人には大き過ぎる程だった。
村長の孫はオルドランより少し年上の男児が二人。突然現れたオルドランに孫たちは当然警戒した。元高位貴族だと聞けば平民は誰だって警戒する。孫たちもオルドランがどれほど傲慢ないけ好かないお貴族様だろうと内心怖く思っていた。
だが顔を合わせたオルドランはむしろ平民相手にするには丁寧すぎる挨拶をしたので孫二人は逆に驚かされたのだった。オルドランは知っていた。人に受け入れて貰うにはどうすればいいかを。詰め込まれた侯爵家の跡取りとしての知識は無駄ではなかったし、何よりオルドラン自身がもう既に平民となることを受け入れている。自分と母の居場所を提供してくれる人たちに反感を買う様な真似をしようとすら思わなかった。
名実共に『アル』となったオルドランには無価値となった侯爵家の跡取りとしてのプライドなど既になかった。
◇
アルはまず平民のルールを覚えることから始めた。傷が治ったといってもまだ万全ではない状態の子供のアルにはお手伝い程度の仕事でもやらせるには早いだろうと村長は判断したからだった。平民のルールと言っても教科書がある訳ではない。だからまず村長の妻がオデットとアルに付き添って色んなことを教えた。
大変だったのは子供のアルよりオデットの方かもしれない。下位貴族と言っても貴族は貴族。侯爵家の乳母をしていた時も専属のメイドなどは居なかったが最低限のことはメイドがしてくれていたので平民の家に来て初めてオデットは自分があの状態でも恵まれた環境に居たのだと気付いて驚いたのだった。でも驚いただけで反感などなかった。オデットもアルもむしろ平民となることに喜びさえ感じていたので教えてもらえることを楽しんで受け入れていった。
そんな二人を村長の家族も直ぐに受け入れ二人を支えてくれた。
そしてアルがここに来て5日ほど経った頃だった。
村長が会わせたい人が居ると言って二人を居間に呼んだ。
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