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6>>5人で……
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「……どうした?」
「…………な、んでもないよ……」
エイドリックに声を掛けられて、メロディーは俯いていた顔を上げずに左右に振った。
落ち込んだその様子にエイドリックやセルジュ、ロンゼンにアルドーナは心配そうにメロディーを見つめる。
5人は最近お気に入りの高級ホテルの一室でいつもの様に寛いでいたところだった。
ホテルと云ってもいかがわしい行為に耽っていた訳ではない。誰にも口を挟まれずに友人と寛げる場所として使っているだけだった。男女二人だけなら駄目だが5人もいるのだ。だからこれは不貞行為ではないとメロディーは思っている。
その日もみんなと一緒の時間を作る為にその場所に来ていたのだが、メロディーはミレニアに言われた言葉を忘れる事ができずに少しだけ落ち込んでいた。
エイドリックにも他のみんなにもちゃんと婚約者がいる。学園を卒業してしまえばメロディーはみんなの側には居られない。それが寂しかった。
「メロディー……?」
セルジュが窺う様にメロディーの顔を覗き込む。メロディーが座っているソファの横に移動してきたエイドリックがメロディーの肩を優しく撫でた。その感触にメロディーは顔を上げてみんなを見る。
眉尻を下げて、少し泣きそうな顔で目元を赤くするメロディーは今にも消えてしまいそうな程に儚い。白くなった指を口元に添えて、メロディーはそのぷっくりとした可愛らしい唇を開いた。
「……みんなと……ずっと一緒に居たいだけなのに……」
小さく、溢れ落ちた様なそのメロディーの声に皆が心配げな視線を向ける。
「私……みんなの事が好きだよ……
でもこれってダメな事なんだよね……」
唇を震わせてそんな事を言うメロディーに寄り添い、エイドリックは優しく声を掛ける。
「何が……駄目なんだ?」
「だって……
みんなには婚約者様がいるし……
私なんか身分だって釣り合ってないし……
それに…………“みんなが好き”、なんて…………おかしぃんだよね?」
そう言って辛そうに顔を歪ませて瞳を潤ませたメロディーに、堪らず横に居たエイドリックがその手を取った。セルジュもロンゼンもアルドーナもメロディーのすぐ側に集まって彼女の肩や背中や膝に慰める様に手を触れた。
「駄目なんかじゃないさ」
エイドリックが言う。
「私もメロディーが好きだよ」
セルジュが伝える。
「メロディーは特別なんだ」
ロンゼンが力強く言った。
「一人を選ぶなんて、寂しいこと言わないでくれよ」
アルドーナが辛そうに眉を寄せてそう言った。
「みんな……」
嬉しくて震えるメロディーの手を握りながらエイドリックがメロディーと目を合わせて優しく微笑む。
「私たちは皆、メロディーが特別なんだ。世間的には間違いかもしれない。でも、自分の心を偽って生きるなんてそんなのは死んでいるのと同じだ……
だから、この5人でいる時くらいは自分の心に正直に生きても許されると思うんだ……
私たちのしている婚約は政略的な物で誰一人として婚約者に対して特別な感情は無い。だから私たちがメロディーを愛おしく思っても誰かに否定される謂れは無い。
私たちの愛は私たちにしか理解できない崇高なものなんだ。
だからメロディー……
怯えずに私たちを受け入れて欲しい……必ず私たちがメロディーを守るから……
愛しているよ……
私の子犬……」
「……リック……」
メロディーを囲んで口々に愛を囁く最高級の男たちの声にメロディーは酔いしれる。
愛されている事を実感してメロディーは歓喜の涙をポロリと流した。
男4人と女1人。
歪かもしれないが、この関係が自分たちにとっての『至高の愛の形』なんだと、メロディーは確信した。
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「……どうした?」
「…………な、んでもないよ……」
エイドリックに声を掛けられて、メロディーは俯いていた顔を上げずに左右に振った。
落ち込んだその様子にエイドリックやセルジュ、ロンゼンにアルドーナは心配そうにメロディーを見つめる。
5人は最近お気に入りの高級ホテルの一室でいつもの様に寛いでいたところだった。
ホテルと云ってもいかがわしい行為に耽っていた訳ではない。誰にも口を挟まれずに友人と寛げる場所として使っているだけだった。男女二人だけなら駄目だが5人もいるのだ。だからこれは不貞行為ではないとメロディーは思っている。
その日もみんなと一緒の時間を作る為にその場所に来ていたのだが、メロディーはミレニアに言われた言葉を忘れる事ができずに少しだけ落ち込んでいた。
エイドリックにも他のみんなにもちゃんと婚約者がいる。学園を卒業してしまえばメロディーはみんなの側には居られない。それが寂しかった。
「メロディー……?」
セルジュが窺う様にメロディーの顔を覗き込む。メロディーが座っているソファの横に移動してきたエイドリックがメロディーの肩を優しく撫でた。その感触にメロディーは顔を上げてみんなを見る。
眉尻を下げて、少し泣きそうな顔で目元を赤くするメロディーは今にも消えてしまいそうな程に儚い。白くなった指を口元に添えて、メロディーはそのぷっくりとした可愛らしい唇を開いた。
「……みんなと……ずっと一緒に居たいだけなのに……」
小さく、溢れ落ちた様なそのメロディーの声に皆が心配げな視線を向ける。
「私……みんなの事が好きだよ……
でもこれってダメな事なんだよね……」
唇を震わせてそんな事を言うメロディーに寄り添い、エイドリックは優しく声を掛ける。
「何が……駄目なんだ?」
「だって……
みんなには婚約者様がいるし……
私なんか身分だって釣り合ってないし……
それに…………“みんなが好き”、なんて…………おかしぃんだよね?」
そう言って辛そうに顔を歪ませて瞳を潤ませたメロディーに、堪らず横に居たエイドリックがその手を取った。セルジュもロンゼンもアルドーナもメロディーのすぐ側に集まって彼女の肩や背中や膝に慰める様に手を触れた。
「駄目なんかじゃないさ」
エイドリックが言う。
「私もメロディーが好きだよ」
セルジュが伝える。
「メロディーは特別なんだ」
ロンゼンが力強く言った。
「一人を選ぶなんて、寂しいこと言わないでくれよ」
アルドーナが辛そうに眉を寄せてそう言った。
「みんな……」
嬉しくて震えるメロディーの手を握りながらエイドリックがメロディーと目を合わせて優しく微笑む。
「私たちは皆、メロディーが特別なんだ。世間的には間違いかもしれない。でも、自分の心を偽って生きるなんてそんなのは死んでいるのと同じだ……
だから、この5人でいる時くらいは自分の心に正直に生きても許されると思うんだ……
私たちのしている婚約は政略的な物で誰一人として婚約者に対して特別な感情は無い。だから私たちがメロディーを愛おしく思っても誰かに否定される謂れは無い。
私たちの愛は私たちにしか理解できない崇高なものなんだ。
だからメロディー……
怯えずに私たちを受け入れて欲しい……必ず私たちがメロディーを守るから……
愛しているよ……
私の子犬……」
「……リック……」
メロディーを囲んで口々に愛を囁く最高級の男たちの声にメロディーは酔いしれる。
愛されている事を実感してメロディーは歓喜の涙をポロリと流した。
男4人と女1人。
歪かもしれないが、この関係が自分たちにとっての『至高の愛の形』なんだと、メロディーは確信した。
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