17 / 41
賢人マーリン・ネ・ベルゼ・マルアハ
17
しおりを挟む
「よし、できました。これで船の位置がわかるはずです。」
結局、一時間ほどかかって測量装置が完成した。僕は操舵席でそう言って、できあがった測定装置の真上に手をあてた。
「上空へ!」
手をあてながらそう言うと、ガラスカバーの中で地図がどんどんと動いていった。船の模型もある程度まで小さくなっていき、ある程度のサイズで位置を示すピンに変わる。やがて地図が平面から円状になり、その真ん中には船の位置を示すピンがささっていた。
「どうでしょう。」
僕がそう聞くと、ジョジロウさんがまず誉めてくれた。
「たいしたもんだ。これならバッチリだ。」
マーリンさんは、微笑んでいる。ベントスがガラスカバーにのって中をしげしげと眺めていた。レイミリアさんはまだキャビンでお尻を抑えて動けないようだ。
「で、どっちに向かって行くんだ?」
「そこも任せてください。」
僕はそう答えて、今度はカバーの横に手を置いてこう言った。
「目標、海の精霊」
すると、ピンが刺さったところが移動しはじめる。その動きに合わせて地図の海面上にまっすぐな赤い線が引かれ、船がいるピンから、目的の場所までをつないでいった。
「どうでしょうか、これ。」
「いいんじゃないか、おい!これでバッチリだ。」
ジョジロウさんがそう言う脇で、マーリンさんは感心したようにうなづいている。
「これはどうやって海の精霊の場所を特定できているの?」
感心しながらマーリンさんは僕にそう聞いてきた。
「そこは、じつはベントスのおかげなんです。母が最初にベントスにあった時の話を思い出して、精霊がどういう形で存在しているのかを、ついさっき教えてもらったところなんです。そのおかげで今までなんでこんな何もないところに出てきてたのかも分かりました。」
そうして僕はマーリンさんとジョジロウさんに、詳しい仕組みを説明した。本来、精霊は実態をもたずに霧散している。けれど一応は本体となる核みたいなところが存在していて、それはだけど目には見えない粒子の集まりで移動を繰り返している。
その核のある場所に、これまで銀鈴は連れてきてくれていたということなんだが、僕らにその知識がなく、何も見つけられないまま移動をしてしまったり、逆に精霊も移動を繰り返しているので、それで見つからなかったということらしい。
そこで今度は、その居場所を特定できるように、この船の現在地を特定できる測定装置に組み込んだというわけだ。まあ、銀鈴でイメージして願っただけなので中がどうなって実現できているのかは知らない。
そこまで話すと、今度はマーリンさんが感心したように声をあげた。
「すごいわね、モリトの技術って。中でも銀の鈴は本当に超科学の産物なのね。」
僕はその言葉を聞いて、とても誇らしかった。
◇◇◇
操舵室でジョジロウさんが舵をとり、船は目的の場所を目指して進んでいた。波はそれほど高くなく、風もほとんどない。クルーザーの推進力は、後方につけられた二枚のプロペラと、前方でバランスをとりながら噴き出す海水の力で得られている。プロペラはエンジンにつながっている。そして前方で噴き出している推進器も、エンジンの力で回るタービンを動力にして動いていた。
時間にして、どれくらい進んだんだろう。今回もジョジロウさんが青い扉を使って、船内の時間は緩やかに流れている。力を使いながらもジョジロウさんの意識には、外で流れる時間の経過がリアルタイムで伝わるらしい。それでエンジンを休めるタイミングを測れるようだ。僕は、船に何かあった時にすぐ動けるよう、後部のベッドルームで少し眠ることにした。
その間に船内のキャビンでは、レイミリアさんがマーリンさんに色々なことを聞いていた。キャビンから後部のベッドルームはすぐなので、声が聞こえてくる。
「生まれてからの百年は、だいたいわかったわ。けどすごいわね、西暦十五年とかって、まだ人類が石器とかで戦っていた時代でしょ?」
「私の中ではあなたの方がすごいと思ってます。あれだけしっかりと世界の歴史を教えてきたのに、もうすっかり忘れてしまったんですね。」
大きくため息をつくマーリンさん。僕も人類史はあまり得意じゃなかったけど、石器が使われていたのがもっとずっと昔だってことは知っている。けど、巻き込まれるのは嫌だから口を挟まないことにした。
「西暦がはじまるずっと昔、紀元前のおよそ八千年前から新石器時代というのがはじまりました。確かに石器時代の終わりは、はっきりとは断定できません。なのでレイミリアさんの言うことも間違いとは言い切れませんね。今でもまだそうした生活を続けている人々もいるみたいですから。」
「そっか。大変だね、そういう人たちも。」
たぶん、今一番大変な思いをしているのはレイミリアさんの相手をしているマーリンさんだ。とは、言わないでおく。
結局、一時間ほどかかって測量装置が完成した。僕は操舵席でそう言って、できあがった測定装置の真上に手をあてた。
「上空へ!」
手をあてながらそう言うと、ガラスカバーの中で地図がどんどんと動いていった。船の模型もある程度まで小さくなっていき、ある程度のサイズで位置を示すピンに変わる。やがて地図が平面から円状になり、その真ん中には船の位置を示すピンがささっていた。
「どうでしょう。」
僕がそう聞くと、ジョジロウさんがまず誉めてくれた。
「たいしたもんだ。これならバッチリだ。」
マーリンさんは、微笑んでいる。ベントスがガラスカバーにのって中をしげしげと眺めていた。レイミリアさんはまだキャビンでお尻を抑えて動けないようだ。
「で、どっちに向かって行くんだ?」
「そこも任せてください。」
僕はそう答えて、今度はカバーの横に手を置いてこう言った。
「目標、海の精霊」
すると、ピンが刺さったところが移動しはじめる。その動きに合わせて地図の海面上にまっすぐな赤い線が引かれ、船がいるピンから、目的の場所までをつないでいった。
「どうでしょうか、これ。」
「いいんじゃないか、おい!これでバッチリだ。」
ジョジロウさんがそう言う脇で、マーリンさんは感心したようにうなづいている。
「これはどうやって海の精霊の場所を特定できているの?」
感心しながらマーリンさんは僕にそう聞いてきた。
「そこは、じつはベントスのおかげなんです。母が最初にベントスにあった時の話を思い出して、精霊がどういう形で存在しているのかを、ついさっき教えてもらったところなんです。そのおかげで今までなんでこんな何もないところに出てきてたのかも分かりました。」
そうして僕はマーリンさんとジョジロウさんに、詳しい仕組みを説明した。本来、精霊は実態をもたずに霧散している。けれど一応は本体となる核みたいなところが存在していて、それはだけど目には見えない粒子の集まりで移動を繰り返している。
その核のある場所に、これまで銀鈴は連れてきてくれていたということなんだが、僕らにその知識がなく、何も見つけられないまま移動をしてしまったり、逆に精霊も移動を繰り返しているので、それで見つからなかったということらしい。
そこで今度は、その居場所を特定できるように、この船の現在地を特定できる測定装置に組み込んだというわけだ。まあ、銀鈴でイメージして願っただけなので中がどうなって実現できているのかは知らない。
そこまで話すと、今度はマーリンさんが感心したように声をあげた。
「すごいわね、モリトの技術って。中でも銀の鈴は本当に超科学の産物なのね。」
僕はその言葉を聞いて、とても誇らしかった。
◇◇◇
操舵室でジョジロウさんが舵をとり、船は目的の場所を目指して進んでいた。波はそれほど高くなく、風もほとんどない。クルーザーの推進力は、後方につけられた二枚のプロペラと、前方でバランスをとりながら噴き出す海水の力で得られている。プロペラはエンジンにつながっている。そして前方で噴き出している推進器も、エンジンの力で回るタービンを動力にして動いていた。
時間にして、どれくらい進んだんだろう。今回もジョジロウさんが青い扉を使って、船内の時間は緩やかに流れている。力を使いながらもジョジロウさんの意識には、外で流れる時間の経過がリアルタイムで伝わるらしい。それでエンジンを休めるタイミングを測れるようだ。僕は、船に何かあった時にすぐ動けるよう、後部のベッドルームで少し眠ることにした。
その間に船内のキャビンでは、レイミリアさんがマーリンさんに色々なことを聞いていた。キャビンから後部のベッドルームはすぐなので、声が聞こえてくる。
「生まれてからの百年は、だいたいわかったわ。けどすごいわね、西暦十五年とかって、まだ人類が石器とかで戦っていた時代でしょ?」
「私の中ではあなたの方がすごいと思ってます。あれだけしっかりと世界の歴史を教えてきたのに、もうすっかり忘れてしまったんですね。」
大きくため息をつくマーリンさん。僕も人類史はあまり得意じゃなかったけど、石器が使われていたのがもっとずっと昔だってことは知っている。けど、巻き込まれるのは嫌だから口を挟まないことにした。
「西暦がはじまるずっと昔、紀元前のおよそ八千年前から新石器時代というのがはじまりました。確かに石器時代の終わりは、はっきりとは断定できません。なのでレイミリアさんの言うことも間違いとは言い切れませんね。今でもまだそうした生活を続けている人々もいるみたいですから。」
「そっか。大変だね、そういう人たちも。」
たぶん、今一番大変な思いをしているのはレイミリアさんの相手をしているマーリンさんだ。とは、言わないでおく。
0
あなたにおすすめの小説
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
レオナルド先生創世記
ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる