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聖霊たちの軌跡
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「そう言えば、気を失っている時にだけど、『これは深海に済む、水の精霊の攻撃だ。』って誰かが言ってた。なんかずいぶん昔の服を着てた。」
どこか当たり所が悪かったかな。目つきもなんか怪しいし。せっかく良いところを見つけて僕の中で評価が急上昇なのに残念な人だ。僕はそんなふうに考えて突っ込まないことにする。流す。
「ベントスは飛び去る前に『名を呼ばれました。ですので、行かなきゃ。』と言っていました。四大聖霊のひとつ、風の精霊を呼びつける存在です。そんなのがどこかにいる。まずはその正体を…。」
僕がそこまで言いかけたその時、レイミリアさんの声が小さく「現れたまえ!」と聞こえた。途端に白い光が視界いっぱいに広がっていく。何を銀鈴で願ったの?と振り返るとレイミリアさんの隣に怪しい人が現れていた。
「ちぇ、やっぱ夢かなんかだったかな。出て来いって思って銀の鈴使ったけど、光るばっかりだったね。」
レイミリアさんはそう言ってマーリンさんに微笑んでる。目の前に現れた怪しい人にまるで気がついてないみたいだ。
沢山の装飾が施された白い服を身に着け、頭に月桂樹の冠を着け、両手に小型のハープを持ち、髪は金髪、瞳の色はエメラルドグリーン、目元はさわやかに、口元はキリリと、眉目秀麗とでも言うのか年の頃は十代後半?服装が、白の頭からスポっとかぶる、片襟のない袖なしタイプのものだったので、パッと見絵画なんかに描かれた天使様みたいにも見える。
「やあ。」
不審者は頭を動かして、周囲をひととおり見てから、僕の目線に気がついて言った。僕は同じように頭を動かして、マーリンさんやジョジロウさんの反応を確認した。二人ともこの不審者に気がついていない。たぶん見えても聞こえてもいないみたいだ。
「どうも。見えてる?聞こえてたら何か反応して。」
不審者の言動がなんだかチャラい。手にしたハープを鳴らすような動きも、両手でピースする感じも、なんだか嫌だ。
「なんとか言ってくれよ。でないと、使用する意思なしって判断して銀の鈴は消えてなくなっちゃうよ。使用継続の意思があるのでしたら、今すぐに返事をしなさい。」
な、何を言い出してるんだ…このチャラい不審者が。僕の警戒レベルがあっという間に最高潮に達した気がする。返事をしないと銀の鈴が消えてなくなるだと?そんなことありえるのか?ありえないだろ、いくらなんでも…。
「5」
カウントダウンのつもりか?
「4」
なんだ早くない?ちょっと…
「3」
考えてる余裕が…
「2」
ないじゃない!
「1」
「はい!見えてます!」
僕は思わずそう声に出してしまった。そうして僕を見るレイミリアさんとマーリンさん、ジョジロウさんの視線がとても恥ずかしく感じる。
「どうしたの?ミラク。何が見えてるの?」
レイミリアさんの問いに、マーリンさんとジョジロウさんが僕の目線の先を危ぶみはじめる。
「そっかぁ、見えてたか。前回の時は最後までしらばっくれられちゃって、それでマジで銀の鈴消してあげたんだけど。で、君、名前なんて言うの?」
「ミラクーロ・フィリオス・アイオリア、です。」
レイミリアさんは怪訝な表情で僕を見ている。マーリンさんとジョジロウさんは何かを察してくれたようだ。黙って僕の様子を見ていてくれている。
「フィリオス・アイオリアは覚えてるぞ。良い奴だったな。お前あいつの孫か?それとも子か?」
「ひ孫になります。」
「ひ孫か。なるほどな、外界は更に時が流れたか。」
どういう意味だ?外界って。
「失礼ですが、お名前などございましたらお教えいただきたく、お願い申し上げます。」
言葉はチャラい感じなのに、動きがものすごく威圧感にあふれている。すっと立ってそこに居るだけで、そこにいるなって感じさせ方がものすごく半端ない。巨木が立ってる感じ。この木何の木?的な。無茶苦茶気になる木だ。
「名前?ミカエラ。みんなからはミラちゃんて呼ばれてた。」
気になる木がそう言って、海の方を見た。
「ずいぶん綺麗になったねぇ。ここはどっち?ハバキかな、モリトかな?」
この質問て、さっきマーリンさんが言ってた…?
「ハバキかモリトかって、どこで見分けたらいいんですか?」
僕はマーリンさんにも伝われと思い、少し大きな声で聞いてみた。
「何言って?お前おかしいな、一目瞭然だろう。月はいくつだ?ここ。」
「月?は、ひとつですけど…。」
「んじゃ、モリトだ。そっか、こっちか。あっちはどうなってんだろな。」
顔を上げて空を見るミカエラの目は、とても寂しそうだった。
「あらためて挨拶をさせていただく。余の名はミカエラ・アイオリア。モリトの全権委任公司として仲間たちとと一緒にこの星の管理を任されていた者だ。」
新しい船の客室に、一同の「ヘー。」という声が響く。大き目のソファーを用意して出した客室は、全体的に木目調にしてありとても落ち着いた雰囲気だ。そのソファーへ座ろうとした時に、ミカエラが他のみんなに見えない理由を聞いてみた。そしたらその権限は僕にあると言って、見えるようにする手順も教えてくれた。銀鈴にそうと告げるだけで、あっさりと解決する問題だった。
「許可は、グループを作成すればグループ単位でもまとめてできる。けれどできれば個別に許可を出すようにしてやっておくれ。」
よく意味がわからなかったけど、言われた通りにひとりづつ許可を出す。最初にマーリンさん。マーリンさんはミカエラを見て、あからさまに不審な顔を表に出していた。
「いったいどこから?さっきレイミリアさんが銀の鈴を使われた時に出たんですか?」
いろいろと質問はあるだろうけど、それは後回しにしてもらい、次はジョジロウさん。
「あらら、なんか真っ白だね。」
ジョジロウさんのつぶやきに、ミカエラが「真っ黒クロスケめ。」と笑って返して、それにプチっとキレたジョジロウさんが、青い扉を取り出して、大騒ぎになりそうな一瞬があった。マーリンさんのおかげで回避できてよかった。そして最後にレイミリアさん。
「あ!わが家の暖炉にある天使様にそっくり。」
ミカエラはそれを聞くと、両手でピースをして笑った。どうもこのチャラそうな仕草がジョジロウさんと合わないらしい。イラついた顔で両腕を組んで座るジョジロウさんをなだめながら、マーリンさんとレイミリアさんも席についた。僕はひとり用のソファーにミカエラを座らせて、三人に状況を説明した。
三人はあっさりとこの状況を受け入れて、ミカエラにまずは自己紹介をするよう求めた。
どこか当たり所が悪かったかな。目つきもなんか怪しいし。せっかく良いところを見つけて僕の中で評価が急上昇なのに残念な人だ。僕はそんなふうに考えて突っ込まないことにする。流す。
「ベントスは飛び去る前に『名を呼ばれました。ですので、行かなきゃ。』と言っていました。四大聖霊のひとつ、風の精霊を呼びつける存在です。そんなのがどこかにいる。まずはその正体を…。」
僕がそこまで言いかけたその時、レイミリアさんの声が小さく「現れたまえ!」と聞こえた。途端に白い光が視界いっぱいに広がっていく。何を銀鈴で願ったの?と振り返るとレイミリアさんの隣に怪しい人が現れていた。
「ちぇ、やっぱ夢かなんかだったかな。出て来いって思って銀の鈴使ったけど、光るばっかりだったね。」
レイミリアさんはそう言ってマーリンさんに微笑んでる。目の前に現れた怪しい人にまるで気がついてないみたいだ。
沢山の装飾が施された白い服を身に着け、頭に月桂樹の冠を着け、両手に小型のハープを持ち、髪は金髪、瞳の色はエメラルドグリーン、目元はさわやかに、口元はキリリと、眉目秀麗とでも言うのか年の頃は十代後半?服装が、白の頭からスポっとかぶる、片襟のない袖なしタイプのものだったので、パッと見絵画なんかに描かれた天使様みたいにも見える。
「やあ。」
不審者は頭を動かして、周囲をひととおり見てから、僕の目線に気がついて言った。僕は同じように頭を動かして、マーリンさんやジョジロウさんの反応を確認した。二人ともこの不審者に気がついていない。たぶん見えても聞こえてもいないみたいだ。
「どうも。見えてる?聞こえてたら何か反応して。」
不審者の言動がなんだかチャラい。手にしたハープを鳴らすような動きも、両手でピースする感じも、なんだか嫌だ。
「なんとか言ってくれよ。でないと、使用する意思なしって判断して銀の鈴は消えてなくなっちゃうよ。使用継続の意思があるのでしたら、今すぐに返事をしなさい。」
な、何を言い出してるんだ…このチャラい不審者が。僕の警戒レベルがあっという間に最高潮に達した気がする。返事をしないと銀の鈴が消えてなくなるだと?そんなことありえるのか?ありえないだろ、いくらなんでも…。
「5」
カウントダウンのつもりか?
「4」
なんだ早くない?ちょっと…
「3」
考えてる余裕が…
「2」
ないじゃない!
「1」
「はい!見えてます!」
僕は思わずそう声に出してしまった。そうして僕を見るレイミリアさんとマーリンさん、ジョジロウさんの視線がとても恥ずかしく感じる。
「どうしたの?ミラク。何が見えてるの?」
レイミリアさんの問いに、マーリンさんとジョジロウさんが僕の目線の先を危ぶみはじめる。
「そっかぁ、見えてたか。前回の時は最後までしらばっくれられちゃって、それでマジで銀の鈴消してあげたんだけど。で、君、名前なんて言うの?」
「ミラクーロ・フィリオス・アイオリア、です。」
レイミリアさんは怪訝な表情で僕を見ている。マーリンさんとジョジロウさんは何かを察してくれたようだ。黙って僕の様子を見ていてくれている。
「フィリオス・アイオリアは覚えてるぞ。良い奴だったな。お前あいつの孫か?それとも子か?」
「ひ孫になります。」
「ひ孫か。なるほどな、外界は更に時が流れたか。」
どういう意味だ?外界って。
「失礼ですが、お名前などございましたらお教えいただきたく、お願い申し上げます。」
言葉はチャラい感じなのに、動きがものすごく威圧感にあふれている。すっと立ってそこに居るだけで、そこにいるなって感じさせ方がものすごく半端ない。巨木が立ってる感じ。この木何の木?的な。無茶苦茶気になる木だ。
「名前?ミカエラ。みんなからはミラちゃんて呼ばれてた。」
気になる木がそう言って、海の方を見た。
「ずいぶん綺麗になったねぇ。ここはどっち?ハバキかな、モリトかな?」
この質問て、さっきマーリンさんが言ってた…?
「ハバキかモリトかって、どこで見分けたらいいんですか?」
僕はマーリンさんにも伝われと思い、少し大きな声で聞いてみた。
「何言って?お前おかしいな、一目瞭然だろう。月はいくつだ?ここ。」
「月?は、ひとつですけど…。」
「んじゃ、モリトだ。そっか、こっちか。あっちはどうなってんだろな。」
顔を上げて空を見るミカエラの目は、とても寂しそうだった。
「あらためて挨拶をさせていただく。余の名はミカエラ・アイオリア。モリトの全権委任公司として仲間たちとと一緒にこの星の管理を任されていた者だ。」
新しい船の客室に、一同の「ヘー。」という声が響く。大き目のソファーを用意して出した客室は、全体的に木目調にしてありとても落ち着いた雰囲気だ。そのソファーへ座ろうとした時に、ミカエラが他のみんなに見えない理由を聞いてみた。そしたらその権限は僕にあると言って、見えるようにする手順も教えてくれた。銀鈴にそうと告げるだけで、あっさりと解決する問題だった。
「許可は、グループを作成すればグループ単位でもまとめてできる。けれどできれば個別に許可を出すようにしてやっておくれ。」
よく意味がわからなかったけど、言われた通りにひとりづつ許可を出す。最初にマーリンさん。マーリンさんはミカエラを見て、あからさまに不審な顔を表に出していた。
「いったいどこから?さっきレイミリアさんが銀の鈴を使われた時に出たんですか?」
いろいろと質問はあるだろうけど、それは後回しにしてもらい、次はジョジロウさん。
「あらら、なんか真っ白だね。」
ジョジロウさんのつぶやきに、ミカエラが「真っ黒クロスケめ。」と笑って返して、それにプチっとキレたジョジロウさんが、青い扉を取り出して、大騒ぎになりそうな一瞬があった。マーリンさんのおかげで回避できてよかった。そして最後にレイミリアさん。
「あ!わが家の暖炉にある天使様にそっくり。」
ミカエラはそれを聞くと、両手でピースをして笑った。どうもこのチャラそうな仕草がジョジロウさんと合わないらしい。イラついた顔で両腕を組んで座るジョジロウさんをなだめながら、マーリンさんとレイミリアさんも席についた。僕はひとり用のソファーにミカエラを座らせて、三人に状況を説明した。
三人はあっさりとこの状況を受け入れて、ミカエラにまずは自己紹介をするよう求めた。
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