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精霊探し 水の精霊編
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「もう魚は食べ飽きたよー。さっさと見つけて終わらせて帰ろうよ。ねえ、ミラクー。」
あれから一週間。僕らは今日もまた海にいる。お城での話し合いは結局あのまま、なんだかよくわからないで終わった。ミカエラが、自分のために用意された食事を僕らが先に食べたことが気に入らないと大騒ぎしだして、城の厨房はにわかに大忙し。ジョジロウさんまで駆り出されて、どこかの市場みたいに慌ただしくなっていった。
僕は、料理が出てくるまでの間に、ミカエラに気がかりなことを聞いてみた。銀鈴が出てこなくなったことと、どうやったら使えるのかということをだ。浴室での言葉を思い返して、たぶん聞いてもたいした情報は出てこないだろうなと思っていたら、ミカエラは事も無げに簡単に答えを返してくれた。
「呼び出す道具の形が、銀の鈴から白兎のぬいぐるみに変わっただけのことだ。何か願いがあればいつでも余を呼び出すがよい。」
つまり、実質的に銀の鈴が使えなくなってしまったということらしい。なにせ使うたびに「なんでそんなことを願うのだ?」とか、「そいつは面倒な願いだな。であれば刺身の盛り合わせを十五人前ほど用意してもらおうか。」とか。とにかく面倒になった。そこを何とかしてもらいたくて頭を下げたり食事を振舞ったりいろいろなことをしたけど、結局どうにもならないまま最初の三日が過ぎた。
僕らはとりいそぎ当初の目的通り、海の精霊を見つけてオウニへの道程を教えてもらわなきゃならない。それを知ったミカエラは、とんでもない敵対心をオウニって言葉に向ける。そのせいで更に交渉の余地がなくなってしまった。機嫌だけは食べ物で治ることもその時にわかった。ミカエラも美味しいものを食べると機嫌が直るタイプらしい。…面倒くささの度合いが道具の持ち主と道具の中身でものすっごく似ている。そうしてまた三日が過ぎた。
で、ミカエラとレイミリアさんは似た者同士らしいことがわかったので、とりあえずレイミリアさんに銀鈴と同じように白兎のぬいぐるみ(ミカエラ)を使ってみてもらってみた。この二人、やっぱりとっても気が合うらしい。レイミリアさんが使うと問題なく銀鈴の効果が出た。ミカエラからいちいち煩いこと言われないで使えている。
そうしてようやく七日目になって、太平洋に残してきたヨットの上に戻ってくることができた。前に僕が銀鈴で出した帆船だ。全長三十フィートで三角帆が自慢の、僕にしたら二週間ぐらいかけて船に関して色々調べて考えに考えて想像してた、最高傑作の船だ。けれど、船についてあちこち水浸しになっている様子を見たレイミリアさんに、あっという間に最初と同じ、エンジン式のクルーザーに変えられてしまった。
「魚に飽きたなら、バーベキューやるか?イノシシ獲ってきたぞ。」
ジョジロウさんがかなり大きなイノシシを担いで、海から上がってきた。後ろ足を持たれてぶら下がっているイノシシは、まだフゴフゴと鳴いている。着いてすぐ、船の底にある竜骨という部分に痛みがないか見に潜っていたんだけど、飛び込んだ直後にレイミリアさんが船を変えてしまったものだから、やることがなくて漁でもしてたんだろう。どうしてイノシシを獲ってこれたのかは考えたくもない。たぶん、青い扉で何かしたんだろう。もうそれでいいや。考えるのも嫌だ。
「どこで獲ったのそれ?ってか、まだ生きてるじゃないの!そんなの食べない!とっとと元いたところにもどしてあげて!かわいそうでしょう!」
レイミリアさんが大声を出すと、ジョジロウさんは渋々と青扉を出していた。直後に船のすぐ外に丸い空間の穴みたいなのができた。
「しょうがねえな。んじゃ、戻すぞ。後になってやっぱり肉が食いたかったとか言うなよ。」
そう言ってジョジロウさんが、イノシシの背中を持ってその穴に放り投げる。なんかプギー!って怒ったような声が聞こえる。穴の向こうってどうなってるんだろう?
「はい、おしまい。閉じちゃう。」
シュッと音がして丸い空間の穴が消えた。なんか不思議なことができるようになってる。どうやってそんなことができるようになったんだろう?なんて思いつつ、僕はもう姿形もないヨットの雄姿を思い浮かべて、また気分が下がっていくのを感じていた。
ちなみに、マーリンさんはネ・ベルゼを持って別行動することになった。一応念のためにということで、ジョジロウさんの妹のカゲロウさんがついていっている。あっちは土の精霊探しで、二千年かけて世界中を歩いて回ったことのあるマーリンさんに居場所を探してもらえば確実だろうって。おかげでこっちは、レイミリアさんが野放しの好き勝手し放題。
僕もう帰って寝ようかな…。でも帰るにしても、レイミリアさんにお願いしなきゃなんだよなぁ…。
あれから一週間。僕らは今日もまた海にいる。お城での話し合いは結局あのまま、なんだかよくわからないで終わった。ミカエラが、自分のために用意された食事を僕らが先に食べたことが気に入らないと大騒ぎしだして、城の厨房はにわかに大忙し。ジョジロウさんまで駆り出されて、どこかの市場みたいに慌ただしくなっていった。
僕は、料理が出てくるまでの間に、ミカエラに気がかりなことを聞いてみた。銀鈴が出てこなくなったことと、どうやったら使えるのかということをだ。浴室での言葉を思い返して、たぶん聞いてもたいした情報は出てこないだろうなと思っていたら、ミカエラは事も無げに簡単に答えを返してくれた。
「呼び出す道具の形が、銀の鈴から白兎のぬいぐるみに変わっただけのことだ。何か願いがあればいつでも余を呼び出すがよい。」
つまり、実質的に銀の鈴が使えなくなってしまったということらしい。なにせ使うたびに「なんでそんなことを願うのだ?」とか、「そいつは面倒な願いだな。であれば刺身の盛り合わせを十五人前ほど用意してもらおうか。」とか。とにかく面倒になった。そこを何とかしてもらいたくて頭を下げたり食事を振舞ったりいろいろなことをしたけど、結局どうにもならないまま最初の三日が過ぎた。
僕らはとりいそぎ当初の目的通り、海の精霊を見つけてオウニへの道程を教えてもらわなきゃならない。それを知ったミカエラは、とんでもない敵対心をオウニって言葉に向ける。そのせいで更に交渉の余地がなくなってしまった。機嫌だけは食べ物で治ることもその時にわかった。ミカエラも美味しいものを食べると機嫌が直るタイプらしい。…面倒くささの度合いが道具の持ち主と道具の中身でものすっごく似ている。そうしてまた三日が過ぎた。
で、ミカエラとレイミリアさんは似た者同士らしいことがわかったので、とりあえずレイミリアさんに銀鈴と同じように白兎のぬいぐるみ(ミカエラ)を使ってみてもらってみた。この二人、やっぱりとっても気が合うらしい。レイミリアさんが使うと問題なく銀鈴の効果が出た。ミカエラからいちいち煩いこと言われないで使えている。
そうしてようやく七日目になって、太平洋に残してきたヨットの上に戻ってくることができた。前に僕が銀鈴で出した帆船だ。全長三十フィートで三角帆が自慢の、僕にしたら二週間ぐらいかけて船に関して色々調べて考えに考えて想像してた、最高傑作の船だ。けれど、船についてあちこち水浸しになっている様子を見たレイミリアさんに、あっという間に最初と同じ、エンジン式のクルーザーに変えられてしまった。
「魚に飽きたなら、バーベキューやるか?イノシシ獲ってきたぞ。」
ジョジロウさんがかなり大きなイノシシを担いで、海から上がってきた。後ろ足を持たれてぶら下がっているイノシシは、まだフゴフゴと鳴いている。着いてすぐ、船の底にある竜骨という部分に痛みがないか見に潜っていたんだけど、飛び込んだ直後にレイミリアさんが船を変えてしまったものだから、やることがなくて漁でもしてたんだろう。どうしてイノシシを獲ってこれたのかは考えたくもない。たぶん、青い扉で何かしたんだろう。もうそれでいいや。考えるのも嫌だ。
「どこで獲ったのそれ?ってか、まだ生きてるじゃないの!そんなの食べない!とっとと元いたところにもどしてあげて!かわいそうでしょう!」
レイミリアさんが大声を出すと、ジョジロウさんは渋々と青扉を出していた。直後に船のすぐ外に丸い空間の穴みたいなのができた。
「しょうがねえな。んじゃ、戻すぞ。後になってやっぱり肉が食いたかったとか言うなよ。」
そう言ってジョジロウさんが、イノシシの背中を持ってその穴に放り投げる。なんかプギー!って怒ったような声が聞こえる。穴の向こうってどうなってるんだろう?
「はい、おしまい。閉じちゃう。」
シュッと音がして丸い空間の穴が消えた。なんか不思議なことができるようになってる。どうやってそんなことができるようになったんだろう?なんて思いつつ、僕はもう姿形もないヨットの雄姿を思い浮かべて、また気分が下がっていくのを感じていた。
ちなみに、マーリンさんはネ・ベルゼを持って別行動することになった。一応念のためにということで、ジョジロウさんの妹のカゲロウさんがついていっている。あっちは土の精霊探しで、二千年かけて世界中を歩いて回ったことのあるマーリンさんに居場所を探してもらえば確実だろうって。おかげでこっちは、レイミリアさんが野放しの好き勝手し放題。
僕もう帰って寝ようかな…。でも帰るにしても、レイミリアさんにお願いしなきゃなんだよなぁ…。
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