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精霊探し 水の精霊編
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「おぬし、モリトの端末だら。なんでこげなとこさ来てあそんどる?」
気がつくと僕は真っ白な世界にいた。目の前に、宙に浮かぶ水色のクラゲがいる。
「もうちっと考えて動かんと、またオウニさに怒られっど。だいじょぶけ?」
クラゲが触手を一本伸ばして、僕の額に触れた。
「ん、だいじょぶ。そしたらウチさけえれ。」
「あなたは、ひょっとすると海の精霊様ですか?」
僕は精一杯に頑張ってそうたずねてみた。すると、クラゲがこう答えてきた。
「違うでな。オラ、海じゃなくて、水の精霊つだ。」
つだ?
「し、失礼しました。水の精霊様。僕はアイオリアに古くから住む、オニ・ハバキ・モリの一族に生まれた、ミラクーロ・フィリオス・アイオリアと言います。父の名は、デ・ルミネ・アイオリア。母は、デ・ミゼリト・アイオリア。ここへは話し合いに来ました。」
「んだから、オラはオメにヨはネェ。この白ん間からととっとでてけれ。」
クラゲの姿をした水の聖霊は、まるで取り付く島もない。このままじゃ機嫌が悪くなるだけだろうか?でも、ここで引くわけにはいかない。
「お願いします。僕らは『たそかれの世界』についてもっとよく知りたいのです。そのためにオウニの居場所を探しています。教えてはいただけませんでしょうか?」
「知らん。つかオウニはとうの昔に眠りさついたでよ。今更探しても見つかりっこねえべ。」
それでも見つけなきゃいけないんだ。僕はそう思って話をつづけた。
「水の精霊様、そこをなんとかご協力をお願いします。どんな些細なことでも結構です。ほんのわずかな事でも構いません。オウニがかつていた場所とか、オウニが好きだった場所だとか、そういった事でかまいません。どうかお願いします。」
「ほで、オラ覚えとらんでよ。ぬかくさけんボレラずら。この白ん間からととっとでてけれ。」
え?ボレラずらってどういう意味だろう?
「へ、モチ。ブブリすくっとオラセラめ、タゴさ。この白ん間からととっとでてけれ。」
水の精霊はそう言うと、体がどんどんと拡がっていった。水色のクラゲが視界いっぱいに大きくなる。そこから、一本の触手が僕をめがけてするするっと伸びた。その先端にはギザギザの棘のようなものが見えて、僕の肩に巻き付いてくる。
とても強い痛みが襲ってくる。肩から背中を通じて頭の中まで響く痛みだ。僕はその痛みに耐えかねて大きく悲鳴をあげた。そうして意識がまた遠のいていくのを感じた。
次に気がつくとそこは船の上だった。僕の顔を覗きこむように、レイミリアさんと一人だけのジョジロウさん、そして白兎(ミカエラ)の顔が見えた。
「あ、気がついた。」
レイミリアさんはそう言って僕の目を覗きこんできた。
「大丈夫そうね。驚いたわよ、ジョジさんもあんたもいきなり倒れちゃうから。」
そう言うとレイミリアさんは遠ざかっていった。次に白兎(ミカエラ)の顔が僕の目の前に広がる。
「余も驚いたぞ。そもそも海の精霊がこんな海面あたりでいくら呼んでみたところで顔を出すはずがないのだ。それくらいモリトであればわかることであろう。頑張りすぎはよくないぞ。」
そう言って白兎(ミカエラ)も遠ざかっていった。最後に残ったジョジロウさんが、驚いたような顔で僕に言う。
「坊ちゃん、水色のクラゲが…。」
その言葉に僕はガバッと起き上がった。慌てすぎておでこがジョジロウさんのあごに当たり、ジョジロウさんは後ろ側にのけぞって、僕がおでこを抑えて、そして顔をもう一度突き合わせて、同じことを叫んだ。
「水色のクラゲ!」
僕らは両手をつかんでその場で小躍りした。あれは夢ではなかったんだ。
「ミカエラ!水の精霊に会えた!真っ白なところで水色のクラゲの姿をしてた!」
僕はそう白兎(ミカエラ)に言った。すると白兎(ミカエラ)は両手を組んで、こう聞いてきた。
「真っ白なところ?それは確かか?」
「うん!間違いない。上も下も全部真っ白だった。足元に何の感触もなくって、ふわっと浮いている感じだった。」
「そだそだ、そんな感じだ。あと四方も壁があるわけじゃなく、ずっと遠くまで真っ白って具合だ。それと『この白ん間からととっとでてけれ。』とか言ってたぞ。シロンマってのはたぶん白い間だろう?」
ジョジロウさんも興奮気味にそう言って白兎(ミカエラ)を見た。ミカエラはそれを聞き、ドカッと床に座り込んで何かを考えるように言った。
「白い…白…、となるとあそこ、か。ちっ、精霊め。面倒なところにこもってやがんな。」
それから後も僕とジョジロウさんは興奮気味に、白兎(ミカエラ)に見たり聞いたりしたことを話しつづけた。白兎(ミカエラ)はそれらを聞きながらずーっと黙り込んでいた。
その後も二回、同じことを繰り返し試してみることにした。洋上の舞台でケチャダンスを踊り狂い、トランス状態になってジョジロウさんが増え始め、大合唱の中でふたたび踊り狂い倒れる。でもその後は何度やっても、もう一度あの白い場所へ行くことは叶わなかった。僕らはそれで一旦は諦めて、船を残して城へ戻ることにした。
気がつくと僕は真っ白な世界にいた。目の前に、宙に浮かぶ水色のクラゲがいる。
「もうちっと考えて動かんと、またオウニさに怒られっど。だいじょぶけ?」
クラゲが触手を一本伸ばして、僕の額に触れた。
「ん、だいじょぶ。そしたらウチさけえれ。」
「あなたは、ひょっとすると海の精霊様ですか?」
僕は精一杯に頑張ってそうたずねてみた。すると、クラゲがこう答えてきた。
「違うでな。オラ、海じゃなくて、水の精霊つだ。」
つだ?
「し、失礼しました。水の精霊様。僕はアイオリアに古くから住む、オニ・ハバキ・モリの一族に生まれた、ミラクーロ・フィリオス・アイオリアと言います。父の名は、デ・ルミネ・アイオリア。母は、デ・ミゼリト・アイオリア。ここへは話し合いに来ました。」
「んだから、オラはオメにヨはネェ。この白ん間からととっとでてけれ。」
クラゲの姿をした水の聖霊は、まるで取り付く島もない。このままじゃ機嫌が悪くなるだけだろうか?でも、ここで引くわけにはいかない。
「お願いします。僕らは『たそかれの世界』についてもっとよく知りたいのです。そのためにオウニの居場所を探しています。教えてはいただけませんでしょうか?」
「知らん。つかオウニはとうの昔に眠りさついたでよ。今更探しても見つかりっこねえべ。」
それでも見つけなきゃいけないんだ。僕はそう思って話をつづけた。
「水の精霊様、そこをなんとかご協力をお願いします。どんな些細なことでも結構です。ほんのわずかな事でも構いません。オウニがかつていた場所とか、オウニが好きだった場所だとか、そういった事でかまいません。どうかお願いします。」
「ほで、オラ覚えとらんでよ。ぬかくさけんボレラずら。この白ん間からととっとでてけれ。」
え?ボレラずらってどういう意味だろう?
「へ、モチ。ブブリすくっとオラセラめ、タゴさ。この白ん間からととっとでてけれ。」
水の精霊はそう言うと、体がどんどんと拡がっていった。水色のクラゲが視界いっぱいに大きくなる。そこから、一本の触手が僕をめがけてするするっと伸びた。その先端にはギザギザの棘のようなものが見えて、僕の肩に巻き付いてくる。
とても強い痛みが襲ってくる。肩から背中を通じて頭の中まで響く痛みだ。僕はその痛みに耐えかねて大きく悲鳴をあげた。そうして意識がまた遠のいていくのを感じた。
次に気がつくとそこは船の上だった。僕の顔を覗きこむように、レイミリアさんと一人だけのジョジロウさん、そして白兎(ミカエラ)の顔が見えた。
「あ、気がついた。」
レイミリアさんはそう言って僕の目を覗きこんできた。
「大丈夫そうね。驚いたわよ、ジョジさんもあんたもいきなり倒れちゃうから。」
そう言うとレイミリアさんは遠ざかっていった。次に白兎(ミカエラ)の顔が僕の目の前に広がる。
「余も驚いたぞ。そもそも海の精霊がこんな海面あたりでいくら呼んでみたところで顔を出すはずがないのだ。それくらいモリトであればわかることであろう。頑張りすぎはよくないぞ。」
そう言って白兎(ミカエラ)も遠ざかっていった。最後に残ったジョジロウさんが、驚いたような顔で僕に言う。
「坊ちゃん、水色のクラゲが…。」
その言葉に僕はガバッと起き上がった。慌てすぎておでこがジョジロウさんのあごに当たり、ジョジロウさんは後ろ側にのけぞって、僕がおでこを抑えて、そして顔をもう一度突き合わせて、同じことを叫んだ。
「水色のクラゲ!」
僕らは両手をつかんでその場で小躍りした。あれは夢ではなかったんだ。
「ミカエラ!水の精霊に会えた!真っ白なところで水色のクラゲの姿をしてた!」
僕はそう白兎(ミカエラ)に言った。すると白兎(ミカエラ)は両手を組んで、こう聞いてきた。
「真っ白なところ?それは確かか?」
「うん!間違いない。上も下も全部真っ白だった。足元に何の感触もなくって、ふわっと浮いている感じだった。」
「そだそだ、そんな感じだ。あと四方も壁があるわけじゃなく、ずっと遠くまで真っ白って具合だ。それと『この白ん間からととっとでてけれ。』とか言ってたぞ。シロンマってのはたぶん白い間だろう?」
ジョジロウさんも興奮気味にそう言って白兎(ミカエラ)を見た。ミカエラはそれを聞き、ドカッと床に座り込んで何かを考えるように言った。
「白い…白…、となるとあそこ、か。ちっ、精霊め。面倒なところにこもってやがんな。」
それから後も僕とジョジロウさんは興奮気味に、白兎(ミカエラ)に見たり聞いたりしたことを話しつづけた。白兎(ミカエラ)はそれらを聞きながらずーっと黙り込んでいた。
その後も二回、同じことを繰り返し試してみることにした。洋上の舞台でケチャダンスを踊り狂い、トランス状態になってジョジロウさんが増え始め、大合唱の中でふたたび踊り狂い倒れる。でもその後は何度やっても、もう一度あの白い場所へ行くことは叶わなかった。僕らはそれで一旦は諦めて、船を残して城へ戻ることにした。
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