赤い剣と銀の鈴 - たそかれの世界に暮らす聖霊の皇子は広い外の世界に憧れて眠る。

仁羽織

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精霊探し 水の精霊編

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 「なるほど。白い場所ですか…。」

 「うむ。余はあの時のあの場所ではないかと思うのだが、そなた、どう思う?」

 城に戻り、父上がいる王の間へ行くとそこに居た父上と白兎(ミカエラ)がふたりして密談をするような形で話し合いが始まった。父上は王座に座り、その父上の膝の上に白兎(ミカエラ)が座っている。すぐ傍で見ている僕らには、その様子は可笑しくてしかたない。

 「なんで膝の上なんだ?」

 ジョジロウさんが小声でレイミリアさんにそう言うと、

 「ぬいぐるみだからじゃない?」

 レイミリアさんが笑いをこらえてそう答えた。

 「ミラク、あんたお父様のこと大好きなんでしょ。いいの、あんなで?」

 なんて僕にまで話を振られるものだからつい、

 「しかたありません。父上はアレであれなんですから。」

 と言葉を返すしかなかった。

 そんな様子に気がついて父上からさっさと部屋を追い出されてしまったんだが、それもまたそれで可笑しい。僕らは半年がかりで探していた海の精霊の手がかりらしきものに、ついつい興奮していたんだと思う。城の廊下で三人とも笑い転げてしまった。


 「ほれほれ。ちゃちゃっと歩かんかい!」

 城を出てそろそろ一時間になる。僕らはミカエラに率いられて、アイオリアの市街を北に向かって歩いていた。

 「なんで徒歩なのよ…。鈴でパパっと飛んじゃえばいいでしょぅにぃ…。」

 頭の上に白兎(ミカエラ)をのせてレイミリアさんがそうぼやいた。僕はそのすぐ横を歩きながら、うんうんとうなづく。前を歩いているジョジロウさんとマーリンさんには聞こえていないみたいだ。

 「んとに、どうしようもなく坊ちゃん嬢ちゃんだなあ。少しは自分の足で歩かんと、血の巡りが悪くなるぞ。」

 「そんなの迷信でしょ。歩かないと血の巡りが悪くなるだなんて聞いたことない。」

 レイミリアさん、それは迷信ではないです。足先に流れる血流を心臓に送り返すのに、膝から下の筋肉を動かすといいっていうのは、ほぼ常識として僕も知ってます。と、思いはしたけど言わないでおいた。

 「無知は黙ってさっさと歩け!それとも鞭で叩かれないと歩けないとでも?」

 白兎(ミカエラ)はそう言って、レイミリアさんの頭の上で立ち上がる。次の瞬間その前足?に、ちっちゃな鞭らしきものが現れてビシッと音をたてた。

 「いやぁぁぁあ!」

 音を聞いただけでレイミリアさんは、ものすごい勢いで歩いていく。トラウマとかになってるのかな、あれ…。


 「遅いぞ!さっさとこいや!」

 ものすごい速さで歩き去ったレイミリアさんを追い、僕らは全速力で走っていった。僕の全速力は、普通の人であれば置き去りにできる自信がある。けれど、どうしてなのか僕の方が少し遅れ気味だった。あらためてジョジロウさんとマーリンさんのこういうところが気になる。なぜオニ・ハバキ・モリでもないのにこんなに能力値が高いんだろう?

 そうして僕らは目的の場所についた。白兎(ミカエラ)が、今いる場所の説明をはじめていく。市井の観光旅行みたいだ。

 「さてこの場所だが、もう知っているよな?」

 「はーい!霊峰キンシャの洞窟でーす!」

 レイミリアさんが手を挙げて、トンチンカンなことを言いだす。

 「はい、レイミリアたん。そしたらね、後ろ振り返ってね。」

 白兎(ミカエラ)がすいぶんとご機嫌な調子で、レイミリアさんの頭の上で跳ねて言う。言われてレイミリアさんが振り返ると、白兎(ミカエラ)は黒メガネに漬け髭をつけて、手に持った長めの指棒をまっすぐに前に出して言った。

 「ではレイミリアたん、あちらに見える高く荘厳な美しいフォルムの山は、なんというんだろうね?」

 「はぁ?だから霊峰キンシャでしょ。」

 「そいじゃあよ、あっちにある山は?」

 「あれは高山よ。ドラゴンの巣がある山でしょ。」

 「そしたらあれは?」

 「霊峰キンシャ。何度言わせるのよ。」

 なんとなく思い当たるところがあって、僕はマーリンさんを見た。するとマーリンさんは恥ずかしげもなくスッと立って他人のようなふりをしていた。ジョジロウさんがそうとは知らず、マーリンさんに声をかける。

 「マルアハ様、あのお嬢ちゃんの教育係をしてたんですよね?」

 「ええ…。」

 「やっぱマルアハ様に直接教えを受けると、あんな堂々としていられるんすね。すごいな…。」

 なんだそりゃ。白兎(ミカエラ)とレイミリアさんのコントもまだまだ続いている。僕はここハリル山の洞窟の前に座って、いつ終わるのかなと、待った。

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