赤い剣と銀の鈴 - たそかれの世界に暮らす聖霊の皇子は広い外の世界に憧れて眠る。

仁羽織

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精霊探し 水の精霊編

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 こうして、僕らは白兎(ミカエラ)からも白い光からも、ほとんど説明もないままに白い間へとやってきた。

 砂浜にただボーっと待っていたら、白い光が再び現れて「では行ってらっしゃい。」って。それで着いちゃうんだから、なんだか狐に化かされている感じもする。


 その白い間は、上下四方が真っ白なところだった。…まんまじゃん。

 「この場所は、かつて今王とその仲間とが見つけた。このあたりの名を『エイシャ』と呼ぶ。なぜかはわからぬが、『たそかれの世界』にオウニが残した遺跡のひとつだそうだ。」

 白兎(ミカエラ)がそう説明をはじめた。

 「そしてこの部屋は『望郷館』と呼ぶ。会いたいと思う相手に会えるらしい、その相手が既に自然に帰依しているならばな。」

 周囲を警戒しながらなんだろうか、白兎(ミカエラ)はあたりをきょろきょろと見回している。白兎(ミカエラ)の足の下にあるレイミリアさんが大きな声をだした。

 「ちょっと、なんでよ?お祖母ちゃん!どうしたのいったい。」

 僕もあたりを警戒しながら、横目でちらっと見ると、レイミリアさんは誰かと会話しているみたいだった。その様子を見ていたジョジロウさんが、僕に話しかけてきた。

 「すまねえけど、坊ちゃん、ちょっと周りの警戒を頼んでもいいか?」

 その顔があんまりにも真剣だったので、僕は黙ってうなづいた。

 「いいですよ。何かあれば知らせます。」

 「ありがとう。恩に着る。」

 ジョジロウさんはそう言うと、離れたところで誰もいない壁に向かい何かを話しかけはじめた。

 「ふむ。やはり二人とも、会いたい者がおったか。」

 白兎(ミカエラ)がそう言って、レイミリアさんの頭から飛び跳ね、僕の肩に着地する

 「では坊主、しばらくの間ともに警戒にあたろうか。」

 「大丈夫なんですか?ここにいるんでしょう、水の精霊。」

 「この中にいるかどうかはわからん。居ても居なくても、どこもかしこも似たような気配でいっぱいだからな。」

 白兎(ミカエラ)は、その時他に何かを言いかけたようだった。けれど少し考えた後でこうつづける。

 「この間は、命の素子が満たされている。それらがかつて組み上げていた故人を再現できる場所だ。外界で気配を立った水の精霊も例外じゃあない。」

 白兎(ミカエラ)は僕の肩に座りなおして、ゆっくりと話を続けていく。

 「以前にも何度か、今王に連れられてここに来たが、前は確か地の精霊がここにいてな。理由をたずねたら、『精霊王』とやらに現世から隔離されたとか言っておった。今王との話でそれを思い出したんだ。その時も確か、外界には気配だけ残っててでも会えなんだ。お前らと似たようなことをして、似たような幻覚を見た者がおってな、それでここまで来てみたというわけだが…。」

 いったいいつ父上とここを訪れたんだろう。そのことを僕は聞きたかったんだが、なんて聞いたらいいかを考えていたら、レイミリアさんが傍にやってきてた。

 「ねえ、なんなのここ。おばあちゃんが、私にごめんねって。けど私だってごめんなのに、どうしてなの。」

 そう言ってレイミリアさんは、僕の袖を持ったまましゃがみこんで泣きはじめる。

 「おうおう、ヨチヨチ。レイミリアたんはなーんにも悪くなんかないんだよー。」

 白兎(ミカエラ)は、僕の肩からレイミリアさんの頭の上にまたピョンと移動して、頭を踏むようにして慰めている。ポンポンと柔らかそうな優しい音がしていた。

 白兎(ミカエラ)がそうしてレイミリアさんをなだめていると、今度はジョジロウさんが戻ってきた。ジョジロウさんはちょっとだけスッキリとした顔でこう言う。

 「すまなんだ。代わろう。」

ジョジロウさんも誰かと話をしてきたんだろう。レイミリアさんと同じように、もう亡くなってしまった人と…。

 「そうしたらいよいよ、坊主の番じゃな。そこらの壁に向かっておぬしのヒイ爺さんを呼んでみろ。フィリオス王だ。聞いたことくらいはあるだろう?」

 確かに名前だけは聞いたことがある。僕にもその名が名付けられているし、オリト爺ちゃんがいたころはしょっちゅう聞かされてた話もある。

 「けどフィリオス王は五百年も昔に自然に戻った方ですよ。たしかCE1511だったはず。」

 「たかだか五百年。この白の間は、数万年前の連中が後の世の連中に頼みごとをするために残してたもんだ。…だから、いいから、聞いてこい。オウニとハバキとモリトについてだ。」

 僕は白兎(ミカエラ)の言い方に怪訝な思いがした。けれどフィリオス王との対話にはいろいろと興味もある。なので言われたとおりに壁に向かうことにした。

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