MAXコーヒーから始まる糖度MAXなこじらせ魔法使い達

琉水 魅希

文字の大きさ
15 / 43
第1章 MAXコーヒーが繋いだ奇跡

第15話 蕎麦屋の店主夫婦は昭和の香り。そして昭和といえばおせっかい○○

しおりを挟む

 「…いやっ」

 あ、これ変な想像した俺が悪い。

 ぱっと目に乗せていたハンカチを退けて左へ首を傾けると…

 
 苦しそうに項垂れている友紀さんの姿があった…

 
 意味深で緊張感はあるけど…

 何か病にかかってそうとかではなく。

 悪夢に項垂れているっぽい。

 いやっとか言ってたし。

 う~ん流石に起こしてあげた方が良いよね、うん。

 でもね、俺童貞だからこういう時身体のどこを揺すって起こして良いのかわからないんだ。

 漫☆○太郎先生だったら往復ビンタで「ぶべらっはべらっ」とかやるんだろうけど。

 でも少し汗をかいている、苦しそうだ。

 「大丈夫?うなされてるようだけど…」

 普通にゆっさゆっさと肩を揺すった。

 すると友紀さんの目がぱっと開いた。ホラー映画の一部みたいでちょっと怖かった。

 「あ、はぁはぁ。だ、大丈夫です。怖かったけど…すんでのところで助けられました。」

 (…貴方に。)
 (夢だとわかっていてもあの出来事は悪夢となってたまに見る。さっきもあと一歩でピンチという所で助けてくれた。)
 (あの男の前に現れたのは貴方だった。その直後目が覚めた。そして目が覚めたら貴方がいた…)

 「悪い夢は忘れた方が良いよ、といっても意識すると難しいよね。年越し蕎麦食べて、寒いけど参拝の列に並べばいつの間にか忘れてるよ。」

 「なにそれ、でもありがとうございます。そういえばいつの間にか寝ちゃってたんですね。」
 (実は最初の頃は嘘寝だったんですけど、紳士でしたね。疲れもあるけどそれで安心して寝ちゃったみたい。)

 「蕎麦は逃げないけど、万一混んだらいけないから行こ。車も何台かあるから開店はしてるはずだし。」

 ミラーに映る顔が赤い。夢から覚ませてもらっただけなのに…



☆☆☆☆

 「へいらっしゃい。」

 ラーメン屋のノリかよ。

 おばちゃんの店員に2人用のテーブルに案内された。当然向かい合って座る。さっきの○っくりドンキーでもそうだったけど。

 座るなり開口一番。
 
 「年越し蕎麦、麺固めで卵も固めで、ネギは青ネギと白ネギ半々で、鳴門は徳島、つゆマシマシで。」

 「かしこまり~」とおばちゃん。

 ってあるのかよ。
 
 鳴門は徳島って当たり前だよ。

 なんかテンションがおかしい。

 「冗談はよしこちゃんにして、お決まりになったらそこのベルをちりんと鳴らしてください。」

 池袋にあったメイド喫茶みたいだなぁオイ

 だからテンションおかしい。

 特に理由はない。

 強いて言えば家族・親族以外と年越し蕎麦は初めてなのだ。

 だから妙な高揚感が蕎麦屋の大将の「へいらっしゃい」で拍車がかかってしまったのだ。

 そうに決まってる。

 「あ、俺は実は決まってるんだ。えびと掻き揚げと鳥天蕎麦。友紀さんはゆっくり考えて良いよ。」

 「あ、ハイ。じゃなくてさっきの良くわからないノリに乗り遅れました。」

 (多分悪夢を忘れさせてくれようとしてるんだ。確かに他の事を考えれば気が紛れる。やっぱり優しい。)

 「私はえびと掻き揚げとたこ天蕎麦で。」


 
 蕎麦のトッピングである○○天というのは意外と何でもある。

 蕎麦屋の天ぷら事情は舐めたらいけないってことだ。

 今日は邪道なものは頼まないけど。

 「はい、お待たせ、」

 数分もすれば注文した蕎麦が届いた。湯気が立ち昇り、蕎麦と天ぷらの香りが食欲を一層掻き立てる。

 「では、ちょっと早いけど本年が良き年であったなら其れは幸い、新年は更なる良き年でありますように。」

 長い口上を垂れたが、今年お疲れ様、新年よろしくということだ。

 「私は良い年でした。(年齢もナ)来年はもっと良い年でありたい。うぅん。良い年にしたい、する。」

 どこか決意表明にも聞こえたが、互いにとって今年は良い年であったようだ。

 良い年だからこそ、これまででは考えられなかった家族親族以外との年越し蕎麦であるし。

 決意することで来年はもっと良い年になるよう努力尽力出来るというもの。

 「えびくいてぇ えびくいてぇ えびくいてぇ」

 真っ先にエビ天を頬張る。

 「うまー。甘いものと年越し蕎麦は夕飯の後でも食べられるね。」


 「そうですね。別腹というストレージは最強です。」

 友紀さんは掻き揚げからいった。さくっさくっという音が心地いい。

 良い掻き揚げだな。

 


 「美味かった。」

 「おいしかったです。」

 「多分誰かと食べるってエッセンスがあったのもあるけどね。」

 「もー何言っちゃってるんですか。」

 ぱんっと軽く腕を叩いてくる友紀さん。

 「実際家族以外と食べた記憶がないから…」

 「私も…」

 どよ~ん

 空気を読まない店員のおばちゃんがやっていた。
 
 「はい、これサービス。」

 そう言って差し出されたのは杏仁豆腐。

 「お客さん前一人で来ただろう?でも今日はこんな別嬪な彼女さん連れてきて、旦那からのおごりだよっ」

 ボンッ

 と鳴った気がした、友紀さんから。

 「べべべ、ベッピンサンナンテナンテ…カカ、カノジョサンナンテ…ソレナンテエロゲ?」

 友紀さんが真っ赤になって壊れた。

 「お、おばちゃん、俺達まだ付き合ってないって。」

 「あれ?でも端から見ると初々しい中学生みたいなカップルに見えるけど?」

 (ま、まだって事はそれってつまり・・・?)

 「まーがんばんなさい、童貞青年。どうしようもなくなったらおばちゃんひと肌脱いだげるから。」

 「のし付けてお返しします。」

 
 「つれないねぇ。おばちゃん若い子もいけるんだけどなぁ」

 そういって下がっていった。

 ちなみに友紀さんはまだ固まっていた、心のウインドウズは再起動中で止まっている。

 それにしても今日一日で色々急接近しすぎだ、一年分の運をここで使ったのか?

 来年はないのか?



 蕎麦屋のおかげで嫌でも意識してしまった両人。

 恋愛度パラメーターが存在するならば、仮装大賞でういうところの一気に最高得点になった感じだろうか。


 その後どうにか再起動を果たした友紀さんと美味しく杏仁豆腐はいただきました。

 
 蕎麦屋を出た俺達は神社の方に向かって歩き出した。

 周囲には同じ目的の人達をちらほらと見かける。

 「あ、あの…お友達からお願いします。」

 友紀さんまだ再起動していなかった。

 しかし考えてみれば冬○ミの時点ではせいぜいイベントで会えたら撮影しましょうと言った程度、名前と顔を知る程度の関係だった。

 知り合いからお友達にクラスアップ。

 悪くない。せっかく敬語はやめてタメ口でと言ったり、それこそ近いからとはいえ家まで送る約束。

 これはもう友達と言っても過言ではない。

 「そうだね。おばちゃんの事はともかく、友達良いんじゃないかな。一緒にご飯食べて年越し蕎麦食べて、この後神社で参拝して家まで送るんだ。」

 「それで知り合いってだけじゃ寂しいかも。うん、既にこれは友達の定義には充分だよ。」

 俺の友達の定義って…

 「うん。よろしくというのも変だけど、これからよろしくお願いします。」

 友紀さんが少しだけ敬語をやめた。性格の問題もあるから一概には言えないけど、やはり友達なら敬語は不要だ。

 「じゃ、行こうか。」

 「うん。」

 友紀さんは俺の左袖を掴んだ。

 相変わらず頬が赤いままだ、照れてるところが可愛いと思った。

 恋人ではなく友達になったと認識しただけなのに。

 こうして俺達はたった数時間で晴れて友達となった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

25年間の闘いー奪われた恋、奪い返す命ー

しらかわからし
恋愛
(あらすじ) 戦乱の時代を経て誕生した新生ドイツ共和国。 かつて屑屋としてまた勉強を重ねて薬局や化粧品屋さらには酒場を営み生きていた男のグレッグは、民衆の支持と仲間たちの信頼を得て、大統領として国家の舵を取ることになる。 外交、財政、医療、軍事、そして諜報――共和国の未来を左右する決断が次々と迫る中、グレッグは人間味あふれる言葉と行動で、国と人々を導いていく。 妻ダクマーとの絆、側近たちとの信頼、そして諸外国との緊張と対話。 これは、一人の男が「国家」と「家族」の両方を守り抜こうとする、壮大な政治叙事詩です。 ※グレッグが社会に出た17歳から42歳までの25年間の記録です。 物語は、彼の価値観を形づくった幼少期から始まります。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

診察室の午後<菜の花の丘編>その1

スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。 そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。 「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。 時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。 多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。 この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。 ※医学描写はすべて架空です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...