10 / 27
10.ネズミパニック!?
しおりを挟む「え? ネズミ退治?」
のんびりと穀物の香りに包まれていた昼下がり。ゼルファスとリアンの元に足を運んでいたのは、一人の若い村人だった。
「実は最近、穀物の倉庫にネズミが巣を作っちまって困ってるんだ」
「だから倒してくれって? 俺たちに?」
ネズミの倉庫荒らし。それは確かに困った問題だ。でもそのくらいなら、罠を仕掛ければ人間が処理するよりもスマートに対処出来るだろう。
「それは俺じゃなくて、罠を……」
「いやそれが。何度か罠を仕掛けてはいるんだが、逃げられているんだ。どうやらネズミの中に知恵のある、ネズミの魔物が紛れ込んでるらしい」
「……ネズミの魔物か」
彼の予想は恐らく当たっているだろう。
ネズミの魔物というのは、ネズミというだけあって、魔物としての力は弱い。けれどその代わり、生き延びるための頭脳が優れている。普通のネズミを使役して、集団のボスになっていることも、大いにありえる。
「頼む。さっきの活躍を見込んで、頼むネズミ退治を手伝ってくれないか?」
「……だそうだけど、どうする?」
「やる」
リアンは二つ返事で承諾した。
===
これでまた、リアンに自信が付けばいいと、ゼルファスは思っていた……けれど。
「待て、リアン! 今はやめろ!!」
「え、どうして?」
きらりと眩く剣先が光る。かと思えば、一瞬にして閃光が走った。
ドゴン。
激しい破壊音。まるで朝食での出来事を彷彿とさせる。
「ああああああっ」
ゼルファスは頭を抱えて青ざめた。
「惜しい。あそこにちょうど集団で固まってたのに……」
「固まってたのに、じゃねえよ! あれはアイツらにお前がおちょくられてたんだ! 罠だよ、罠!」
「む。じゃあ逃げられるより早く、剣を……」
「や、め、ろ!」
さっきからネズミ達に遊ばれている。出ては消え、出ては消えを繰り返すネズミ。その度にリアンは攻撃を繰り出すので、倉庫はめちゃくちゃだ。
あとでゼルファスが魔法で直せるとはいえ、さすがに見逃していいでもない。
「チチチチ……」
ネズミの魔物は小馬鹿にするように、部屋の片隅で指示を出している。やれるもんならやってみろ。言葉は通じなくても、まるでそう言っているかのようだった。
「あ、ゼルファス危ない」
「あん?」
カコンッ。
たらいがゼルファスの頭にクリティカルヒット。
「大丈夫、ゼルファス?」
「チチチチチチ」
「……こんの、いい加減にしろよ。クソネズミ」
ゼルファスの鋭い眼光と並々ならぬ圧が場を支配する。
「何これ、冷気?」
数秒後、ネズミは跡形もなく姿を消した。
136
あなたにおすすめの小説
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。
明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。
新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。
しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…?
冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
悪役令嬢の兄に転生!破滅フラグ回避でスローライフを目指すはずが、氷の騎士に溺愛されてます
水凪しおん
BL
三十代半ばの平凡な会社員だった俺は、ある日、乙女ゲーム『君と紡ぐ光の協奏曲』の世界に転生した。
しかも、最推しの悪役令嬢リリアナの兄、アシェルとして。
このままでは妹は断罪され、一家は没落、俺は処刑される運命だ。
そんな未来は絶対に回避しなくてはならない。
俺の夢は、穏やかなスローライフを送ること。ゲームの知識を駆使して妹を心優しい少女に育て上げ、次々と破滅フラグをへし折っていく。
順調に進むスローライフ計画だったが、関わると面倒な攻略対象、「氷の騎士」サイラスになぜか興味を持たれてしまった。
家庭菜園にまで現れる彼に困惑する俺。
だがそれはやがて、国を揺るがす陰謀と、甘く激しい恋の始まりを告げる序曲に過ぎなかった――。
動物アレルギーのSS級治療師は、竜神と恋をする
葉空
BL
SS級治療師、ルカ。それが今世の俺だ。
前世では、野犬に噛まれたことで狂犬病に感染し、死んでしまった。次に目が覚めると、異世界に転生していた。しかも、森に住んでるのは獣人で人間は俺1人?!しかも、俺は動物アレルギー持ち…
でも、彼らの怪我を治療出来る力を持つのは治癒魔法が使える自分だけ…
優しい彼が、唯一触れられる竜神に溺愛されて生活するお話。
完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました
禅
BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。
その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。
そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。
その目的は――――――
異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話
※小説家になろうにも掲載中
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる