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19.何気ないその質問はむしろ答え合わせ
しおりを挟む二人の他愛のないやり取りがようやくひと段落する頃、窓の外はすっかり朝日が森を照らす時間になっていた。
「……で、ゼルファス。今日の朝ごはんは?」
「起きて早々それかよ!」
文句を言いながらも立ち上がるゼルファス。
「お腹すいちゃって」
「俺だけが作るんじゃなくて、一緒にお手伝いしてくれてもいいんですよー?」
「いやいや、風邪明けなのでー。あと、まだ眠いんだなぁこれが」
リアンはそう言うと布団の中に潜った。
「後者の説得力がありすぎるだろ……」
呆れつつも、確かにまだちょっとふらついているような言動のリアンを見て、ゼルファスは一人でおとなしくキッチンへと向かった。
それから数分後。
さっき布団を被ったはずのリアンが、何故かキッチンに姿を現した。
「や」
「は? 何しに来たんだよ」
「暇になっちゃって」
「えぇっ……何それ。っておい、無理すんな。いいって、野菜は俺が切るから!」
早速包丁を握ろうとするリアンを、ゼルファスは慌てて止めた。
眠いと言ってみたり手伝いたいと言ってみたり、なんとも自由な勇者である。
そんなゼルファスの困惑を知ることのないリアンは、マイペースに志願を続けた。
「ねえ、何かやらせて」
「あのなあ」
どうしたもんかと悩むゼルファス。
でもこのまま放置して、勝手に動かれた結果、また鍋が爆発してもたまらない。
「あー……うーん、じゃあこれ。これで鍋をかき混ぜる役!」
ゼルファスは使いかけのお玉をリアンに手渡した。
「おっけー。それで、最後ここに隠し味を入れればいいんだよね?」
「入れなくていいからな?」
ゼルファスは念を押した。
コトコト、トントン。
お料理の完成していく音がキッチンに響き渡る。
朝食は順調に完成に向かっていた。
ゼルファスが料理する姿を眺めながら、ふと呟いた。
「ゼルファスって料理うまいよね」
「森で暮らすなら必要だろ」
「そうかもね。でもさ」
リアンは少しだけ首を傾げる。
「時々不思議に思うんだよ。薬も、魔法も、誰より詳しいし……なんでみんなと暮らさないで、森でひとりで暮らしてるのかなって」
「なんでって、前にも言ったろ。俺は人が苦……」
「もしかして」
リアンは手の動きを止め、ぽつりと呟いた。
「災厄の魔導士だから?」
ゼルファスの手が止まった。
コトコト煮える音だけが、不自然なくらい大きく響いた。
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