第25文化部――活動内容、未定。

椿谷あずる

文字の大きさ
14 / 28

14.野良犬が学校に入って盛り上がるのは小学生まで

しおりを挟む
 
 私、会長、二千翔君、七海君。
 旧校舎の部室を出て、花壇へと向かう四人。……少ない。
 この人数で何が出来るのか。
 そして、この空気。絶妙に気まずい。
 
「一つ目は野良犬が花壇を荒らす件でしたっけ?」
「ああ、そうだ」

 真面目に答える会長を見ながら、私は心の中で小さくうめいた。
 果たしてこの寄せ集め四人で事件を解決できるのか、まるで確証が無い。そもそも七海君に至っては、あまり事情が分かっていない。

「一宮さん、これから本当に部活動やるんだよね?」
「うっ、うん……そうだよ」

 私は頷いた。
 嘘はついていない。たぶん。

「ここが……現場だ」

 放課後の中庭。沈みかけた夕日が花壇の影を長く伸ばす。
 会長は腕を組み、低い声で呟いた。

「え? 現場って何……?」
「なるほど。酷い現場だ……確かにこの足跡、犬のものと見える」
「ああ、犯人はこの辺に住み着いた野良犬だろう」
「しかしその犬が、野良と断定していいのでしょうか」
「ふっ……生徒会の情報網を侮るな。奴は首輪をしていない!」
「なるほど!」
「あれ? なんか僕、置いてきぼりにされてない?」

 七海君の困惑を華麗にスルーして、まるで刑事ドラマのようにノリノリで現場検証を始める二人。
 なにこのテンション。

「高校に野良犬が遊びに来るって、あり得るんですかね?」

 私は花壇を覗き込みながらつぶやく。掘り返しの跡、土の匂い。確かに何かが出入りしている。
 ……野良犬。侵入したときのリアクションがいい小学校ならまだしも、高校にも来るものなのかな。

「ちっ、どうせ低俗な高校生が餌とかあげて住み着いてるんだろ。くだらない」
「え?」

 あれ、今の声?

「みーくん……じゃなかった、三弦君?」

 振り返ると、制服の袖を乱さないように腕を組んだ彼――菜ノ春三弦君こと、みーくんが立っていた。

「お前、今、僕のことみーくんって呼ばなかったか?」

 ギロッと鋭い視線。
 私は慌てて顔を背ける。気のせいだよ。気のせい気のせい。

「そっ、それよりもどうしたのかな? 何か用……とか?」

 お兄さんの四季先輩がいなければ、参加するはずなんて無いって本人も言っていたのに、これは一体どういう事だろう。
 私の素朴な質問にみーくんは、苦い薬を飲み込んだように顔をしかめた。

「兄様が、『自分が行けない代わりにみんなを手伝ってやれ』と。だからこれは間違っても、僕の意思じゃない。勘違いするなよ。後日、寛大な兄様にはひれ伏して感謝を述べろ。いいな?」

 通常運転のみーくん。兄様を宗教のご神体のように重んじている。
 メンバーのうち三人が、あまり感情を逆撫でするのは得策ではないと考えて沈黙しているのに対し、空気を読まず思ったことを口にする人物が一人。

「やだなー三弦君ったら。ひれ伏すなんて、そんな普段の俺じゃあるまいし……ってあああっ何するの!? 俺のパソコン! やめて!」
「こいつは野良犬の餌にする」

 七海君のパソコンが一台、犠牲になった。
 ……はじまったな、第25文化部。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

出戻り娘と乗っ取り娘

瑞多美音
恋愛
望まれて嫁いだはずが……  「お前は誰だっ!とっとと出て行け!」 追い返され、家にUターンすると見知らぬ娘が自分になっていました。どうやら、魔法か何かを使いわたくしはすべてを乗っ取られたようです。  

その断罪、三ヶ月後じゃダメですか?

荒瀬ヤヒロ
恋愛
ダメですか。 突然覚えのない罪をなすりつけられたアレクサンドルは兄と弟ともに深い溜め息を吐く。 「あと、三ヶ月だったのに…」 *「小説家になろう」にも掲載しています。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

この離婚は契約違反です【一話完結】

鏑木 うりこ
恋愛
突然離婚を言い渡されたディーネは静かに消えるのでした。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

処理中です...