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14.野良犬が学校に入って盛り上がるのは小学生まで
しおりを挟む私、会長、二千翔君、七海君。
旧校舎の部室を出て、花壇へと向かう四人。……少ない。
この人数で何が出来るのか。
そして、この空気。絶妙に気まずい。
「一つ目は野良犬が花壇を荒らす件でしたっけ?」
「ああ、そうだ」
真面目に答える会長を見ながら、私は心の中で小さくうめいた。
果たしてこの寄せ集め四人で事件を解決できるのか、まるで確証が無い。そもそも七海君に至っては、あまり事情が分かっていない。
「一宮さん、これから本当に部活動やるんだよね?」
「うっ、うん……そうだよ」
私は頷いた。
嘘はついていない。たぶん。
「ここが……現場だ」
放課後の中庭。沈みかけた夕日が花壇の影を長く伸ばす。
会長は腕を組み、低い声で呟いた。
「え? 現場って何……?」
「なるほど。酷い現場だ……確かにこの足跡、犬のものと見える」
「ああ、犯人はこの辺に住み着いた野良犬だろう」
「しかしその犬が、野良と断定していいのでしょうか」
「ふっ……生徒会の情報網を侮るな。奴は首輪をしていない!」
「なるほど!」
「あれ? なんか僕、置いてきぼりにされてない?」
七海君の困惑を華麗にスルーして、まるで刑事ドラマのようにノリノリで現場検証を始める二人。
なにこのテンション。
「高校に野良犬が遊びに来るって、あり得るんですかね?」
私は花壇を覗き込みながらつぶやく。掘り返しの跡、土の匂い。確かに何かが出入りしている。
……野良犬。侵入したときのリアクションがいい小学校ならまだしも、高校にも来るものなのかな。
「ちっ、どうせ低俗な高校生が餌とかあげて住み着いてるんだろ。くだらない」
「え?」
あれ、今の声?
「みーくん……じゃなかった、三弦君?」
振り返ると、制服の袖を乱さないように腕を組んだ彼――菜ノ春三弦君こと、みーくんが立っていた。
「お前、今、僕のことみーくんって呼ばなかったか?」
ギロッと鋭い視線。
私は慌てて顔を背ける。気のせいだよ。気のせい気のせい。
「そっ、それよりもどうしたのかな? 何か用……とか?」
お兄さんの四季先輩がいなければ、参加するはずなんて無いって本人も言っていたのに、これは一体どういう事だろう。
私の素朴な質問にみーくんは、苦い薬を飲み込んだように顔をしかめた。
「兄様が、『自分が行けない代わりにみんなを手伝ってやれ』と。だからこれは間違っても、僕の意思じゃない。勘違いするなよ。後日、寛大な兄様にはひれ伏して感謝を述べろ。いいな?」
通常運転のみーくん。兄様を宗教のご神体のように重んじている。
メンバーのうち三人が、あまり感情を逆撫でするのは得策ではないと考えて沈黙しているのに対し、空気を読まず思ったことを口にする人物が一人。
「やだなー三弦君ったら。ひれ伏すなんて、そんな普段の俺じゃあるまいし……ってあああっ何するの!? 俺のパソコン! やめて!」
「こいつは野良犬の餌にする」
七海君のパソコンが一台、犠牲になった。
……はじまったな、第25文化部。
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