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15.明らかに無謀なチャレンジ
しおりを挟む「で、ここからどうしましょうか?」
私は会長に訊ねた。
「生徒会流のやり方であれば、まずは対話だが……さすがに犬を相手に会話は出来ないだろうな」
「出来ないでしょうね……」
まあ、当然である。
相手は犬。こちらのルールも理屈も、通じるはずがない。
私達が花壇の前で悩んでいると――。
「そんなの簡単だ。保健所に連絡すればいい」
みーくんが真ん中からズバッと割って入った。
「殺処分!?」
これは強硬派だ。
みーくんらしいといえばらしいけど。案ではあるけど、それはいかがなものか。
「……それは出来れば最後の選択肢に取っておきたい」
「で、ですね。私もそれがいいと思います」
会長の温情により、その案はひとまず保留。よかった。
「じゃあどうするんだ?」
「それは……」
否定した以上、何かしら案を出さねばならない。
だけど、この野良犬問題に満足度100%の答えなんてあるんだろうか……。
沈黙を破ったのは二千翔君だった。
「じゃあこういうのはどうだろう?」
そう言って、花壇のそばでしゃがみこんでいる七海君の肩にポンっと手を置く。
涙目でパソコンの土を払いながら、七海君は二千翔君を見上げた。
「え、何?」
===
夕方の中庭。誰もいない花壇。
のそのそと、どこからともなく、毛並みのくすんだ犬が花壇の前に姿を現した。その瞬間。
――パッ!
まぶしい光と共に黒いモニターが点灯。スピーカーから、やけに明るい声が響き渡った。
「やっほー☆ 花壇で遊ぶワンちゃんこんにちは! 穴掘り遊びは楽しいかもしれないけど、ここは学校。遊んじゃダメだぞっ☆」
「……」
「……」
「……」
一同絶句。
モニターには笑顔の美少女Vtuber。
風に揺れる髪、完璧なウインク。……そして完璧な場違い。
私達の視線が、同時に七海君へと向いた。
「いやいや! 待って、俺のせいじゃないよ! 二千翔君にやれって言われたんだからね!?」
「カラス除けの案山子みたいにならないかと思ったんだがね」
「……いや、無理があるよ」
確かにインパクトは抜群。
肝心の野良犬はというと――画面を一瞬だけ凝視してから、フンっと鼻息を鳴らした。
そして、悪びれもせず堂々と花壇へ踏み込む。ついでに軽くモニターに後ろ脚で砂をかけていた。
「ほらダメじゃん! もうやめて! 俺のパソコンいじめないで!!」
「やっぱり保健所が現実的だな」
みーくんが腕を組み、冷たく結論を下す。
どうやらこの戦い、まだまだ終わりそうにない。
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