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26.スーパーアルバイターな男
しおりを挟む私たちは購買部へ潜入調査するため、南瓜君の先導のもと、廊下を歩いていた。
「……という訳で、彼にはスペシャルデラックスゴージャスパンをあげるかわりに、僕たちの潜入捜査の手助けをしてもらうことになったわけだ」
二千翔がさも当たり前かのようにさらりと言う。
「そーそー、そういうこと」
南瓜君も満足気に頷いた。
「へ、へえ……」
まさか二千翔君が、本当にあのパンを交渉材料に使うとは思わなかった。宣言通りにことが進むなんて……。
パンを渡しただけで成立って、軽い取引だなあ。
「あ、でも」
七海君が手を挙げる。
「南瓜君ってそもそも購買部でもバイトしてるんだよね?」
「そうだよ」
「じゃあ、別に二千翔君から取り引きでパンを譲って貰わなくても、普通に自分で買えるんじゃないの?」
七海君の疑問はもっともだ。
なんなら内部の人間なら、優先的に買えたっていいくらいだろう。
けれど、その指摘は間違っていたらしく、南瓜君は珍しく真顔になって、ゆっくりを首を振った。
「いやいや。あのパンに限ってはバイトといえど、軽々しく買えるものじゃないんだよね」
「そうなんだ、意外」
「購買部のおばちゃんが徹底管理のもと、生徒に平等に行き渡る可能性を秘めたものになっているからさ」
「おばちゃん……!」
いつもニコニコ朗らかに、お店を開いてくれるおばちゃんが、まさかそんな事を考えてお仕事してるとは。
おばちゃんの生徒たちへの愛を感じる。
「ん? あれ? それじゃ、バイトの子ってパン買えないことになるのでは?」
七海君の指摘に、私も「確かに」と頷いた。
当然、バイト中はパン争奪戦には加われない。平等とはいえ、こればっかりは仕方ないのかもしれない。
「大丈夫だよ。バイトが休みの日は、普通に生徒として買いに行けばいいんだから」
「え、でもさっき南瓜君は買えないって……」
「俺は週5で入ってるからね」
「うわ……」
週5。
それは確かに買えないな。学校に何しに来てるんだろうと、疑問に思うレベル。
「これがスーパーアルバイターってことだよ」
得意気に解説を加えた二千翔君に、私は無言を返すことしか出来なかった。
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