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47-3 世界一のケーキ
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店に入ると、まず正面のショーケースが目についた。
宝石のように光るチョコレートや焼き菓子が、ガラス越しに整然と並べられている。
さらに視線を奥へと移せば、サロンへ繋がっていて、ティータイムを楽しむ客達の姿が見えた。
「いらっしゃいませ」
ドアベルに気づいた店員が近づき、ペイトンに名前を確認する。
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
案内されたのはカウンター裏手の階段だった。
客席からは死角になる、ひっそりとした場所だ。二階へ上がると、幅の狭い廊下へ出た。
装飾のない壁が続き、仮設通路のような無機質さが漂っている。
急ごしらえの部屋をあてがわれるのではないか、と疑いたくなる雰囲気だった。
「どうぞ」
店員が二つ並んだ扉の前で立ち止まり、向かって左の部屋へ誘った。
恐る恐る室内へ入ると、廊下の印象とは裏腹に意外なほど広い。
白いクロスがかけられた丸テーブルと椅子が二脚。棚には数冊の本と花瓶が一つ。
陽だまりを束ねたようなミモザの花が飾られている。
大きな出窓からは明るい西日が差し込み、音のない静かな空間が整えられていた。
案内してきた店員は、ペイトンとアデレードが席に着くのを見計らい、
「ケーキはご予約の品をご用意しております。お飲み物など、他に追加のご注文があれば承ります」
と、メニューをそっとテーブルに広げた。
「僕は深煎りの珈琲を。君は?」
「私はアッサムティーがいいです」
「じゃあ、それで」
「かしこまりました」
店員が軽く頭を下げ、静かに部屋を後にする。
「二階があったなんて知りませんでした」
「常連なんじゃないのか?」
「今日で三回目です」
「世界で一番美味しいと評価しているのに?」
「だから、予約が取れないんですってば」
「君は本当に律儀だな」
ペイトンは椅子に背を預けて笑った。それから、ふと思い出したように付け足した。
「くどいようだが、これはポケットチーフの礼だからな。黒魔術なんか使ったら駄目だぞ」
黒魔術という単語に、勿忘草を見に行った夜の記憶が蘇った。
ルグランのケーキを買ってもらうお返しに、ペイトンを傷つけた女達を呪ってやると約束した。
(わざわざ言うってことは、呪って欲しいって意味かな……)
一瞬勘繰る気持ちが芽生えたが、ペイトンが本気になれば、あの女達に報いを与えることなど、きっと造作もないことだ、とすぐに考え直した。
(……律儀な私が律儀に黒魔術を使わないように止めたってことよね)
つまり、本当に呪ってほしくないのだ。そう気づいた瞬間、胸がざらついた。
ペイトンにとっての母親や家庭教師は、自分にとってのレイモンドなんだ、と今になって思い至った。
嫌いになってしまった好きだった人。そこへ土足で踏み込んでしまったことに、激しい後悔が押し寄せてきた。が、
「あぁいうのは、失敗したら自分に跳ね返ってくるんだ」
「え?」
ペイトンの発言に理解が追いつかず、アデレードは間抜けな声を上げた。
「黒魔術は、自然の流れに逆らう力だ。失敗すれば歪みは術者に戻る。かけた呪いの何十倍にもなってな。だから、あんなものに手を出したら駄目なんだ」
一体何を怒られているのか。しょっちゅう黒魔術を使っているみたいに諭されているが、実際に人を呪ったことなどない。
でも、あの約束は冗談ではなかった。そこは勘違いしてほしくない。
どう説明すればよいのか。アデレードは、考えあぐねた末、
「わかりました。呪いません」
と答えた。口に出すと大人の会話とは思えず、笑いが込み上げてきた。
「僕は真面目な話をしているんだぞ」
ペイトンが眉を寄せて言う。
「私も真面目に答えたんですが……。旦那様って、黒魔術に詳しかったんですね」
「詳しいわけがないだろ」
ペイトンが更に眉をひそめるので、アデレードはますます笑えてきて、頬の内側を噛んで堪えた。
しかし、正面に座るペイトンが、半笑いの表情を見逃すはずがない。
「君ねぇ」
呆れた声だったが、ペイトンもわずかな笑みを浮かべている。
「本当にわかってますよ。黒魔術はやめます。別のお礼にしますね」
「だから、いいって言ってるだろう」
「私、基本的にギブ・アンド・テイクの精神で生きているんで。でも、旦那様からは、結構一方的に搾取しちゃっているから、ちゃんとお礼しないといけないと思っているんです」
具体的に言えば不平等契約だが、それは口にしなかった。
「……君にもらったものは多いよ」
「え? 私なんかあげましたっけ?」
想定外の答えにアデレードは目を丸くした。
ペイトンは静かに微笑んでいる。
今日は前髪を上げているから、整った輪郭がより際立って見える。
優しい表情にどきりとして、アデレードは反射的に視線を逸らした。
無性に落ち着かなくなって、そわそわしていると、タイミングよくノックの音が響いた。
続いてドアが開き、銀のワゴンを押した店員が入ってくる。
注文の品が乗せられているが、驚いたことに、ケーキはホールで用意されていた。
(一台作らせたの?)
唖然とするアデレードの目の前で、店員は流れるような動きでティーカップとポットを並べていく。
最後にナイフをすっと構えると、
「お取り分けしますね」
と丸いケーキに滑らかに切れ目を入れた。器用にカッティングされ背の高いケーキが、崩れることなく皿に盛られる。
「では、ごゆっくり。ご用命がありましたら、呼び鈴でお知らせください」
入口脇のベルプルを指し、店員は一礼して退室していった。
「ホールケーキでくるなんてびっくりしました。食べ放題ですね」
目を輝かせるアデレードの様子に、ペイトンは満足げに口元を緩めた。
「あぁ、沢山あるからどんどん食べなさい」
「有難うございます。でも、どう頑張っても八分の五くらいが限界ですよ」
「君、妙にリアルな数字を出してくるな。心配しなくても、残りはバルモア邸に届けてもらえばいい。土産に焼き菓子も用意してあるから」
ペイトンは最初からそのつもりだったような口ぶりで言った。
至れり尽くせりすぎでは? とアデレードは申し訳ない気持ちでいっぱいになったが、
「有難うございます」
と素直に感謝した。
「礼ばかり言ってないで、早く食べるといい」
感謝の数だけお礼はするでしょ、と思いつつ、アデレードは満面の笑みでフォークを手にした。
「じゃあ、遠慮なく頂きます」
大きな白い皿の真っ黒いケーキ。
華美な装飾もないし、ピカピカのコーティングもない。
スクランブル状のチョコが上面にあしらわれているだけの平凡なケーキに見える。
しかし、フォークを入れると驚くほど滑らかに沈んでいく。
ひと口頬張ると、熱で溶けたチョコレートがねっとりと広がり、最初にがつんと甘さがきて、後味は僅かに苦い。
その苦味が後を引いて、自然と次のひと口へと手が伸びる。
「めちゃくちゃ美味しい!」
アデレードは感嘆の声をあげるが、向かいを見るとペイトンはまだフォークすら手にしていなかった。
「どうしたんですか? 食べないんですか? 早く食べてくださいよ」
「あぁ、うん。そうだな」
感想が聞きたくて、アデレードはペイトンに目を向けたままじっと待った。
「そんなに見られても……」
ペイトンは少し困ったように呟いて、ようやくフォークを取った。
丁寧な所作で切り分けたケーキを口に運ぶ。審査員みたいに真面目な顔で咀嚼するので、アデレードはどう反応するか緊張した。
「……すごく甘いけど、不思議と重くないな。美味しいよ」
「そうでしょ? 美味しいでしょ?」
ほっとしてアデレードは、揚々と言った。
「あぁ、君が世界一美味いと評価するだけある。有難う」
「旦那様がお金払うのに、私にお礼を言うのは変ですよ」
だったら「美味しいでしょ」と自慢するのが、そもそもおかしいか、とアデレードは自己矛盾に笑ってしまった。
「美味しいから、僕に勧めてくれたんだろう? だから、礼を言ったんだ」
ペイトンは、珈琲のカップに口をつけながら、どうともないことみたいに言った。
途端にアデレードの目頭がじんわり熱くなった。
そうだよ、と思ったから。そうだよ、そうだよ、と繰り返し、胸が詰まるくらいに同じ言葉が湧き上がってくる。
世界で一番美味しいと感動したから、一緒に食べたいと思ったのだ。あの時も、今も。喜んでくれるかな、と。
とても単純に、ただ、それだけ。あの時は、叶わなかったけれども。
「……まぁ、あれです。悪に手を染めた甲斐があるって感じ」
アデレードは、へへっと笑って大きくケーキを切り分けて頬張った。
そうすれば、喋らなくても不自然じゃない。
口中に広がる黒くて甘い味。世界一の味。お礼を言うのは、やはりペイトンではなく自分の方だとアデレードは思った。
ペイトンが連れてきてくれなかったら、もう二度とこの店に来ることはなかった。実にもったいない話だ。人生の損失だ、と。
宝石のように光るチョコレートや焼き菓子が、ガラス越しに整然と並べられている。
さらに視線を奥へと移せば、サロンへ繋がっていて、ティータイムを楽しむ客達の姿が見えた。
「いらっしゃいませ」
ドアベルに気づいた店員が近づき、ペイトンに名前を確認する。
「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
案内されたのはカウンター裏手の階段だった。
客席からは死角になる、ひっそりとした場所だ。二階へ上がると、幅の狭い廊下へ出た。
装飾のない壁が続き、仮設通路のような無機質さが漂っている。
急ごしらえの部屋をあてがわれるのではないか、と疑いたくなる雰囲気だった。
「どうぞ」
店員が二つ並んだ扉の前で立ち止まり、向かって左の部屋へ誘った。
恐る恐る室内へ入ると、廊下の印象とは裏腹に意外なほど広い。
白いクロスがかけられた丸テーブルと椅子が二脚。棚には数冊の本と花瓶が一つ。
陽だまりを束ねたようなミモザの花が飾られている。
大きな出窓からは明るい西日が差し込み、音のない静かな空間が整えられていた。
案内してきた店員は、ペイトンとアデレードが席に着くのを見計らい、
「ケーキはご予約の品をご用意しております。お飲み物など、他に追加のご注文があれば承ります」
と、メニューをそっとテーブルに広げた。
「僕は深煎りの珈琲を。君は?」
「私はアッサムティーがいいです」
「じゃあ、それで」
「かしこまりました」
店員が軽く頭を下げ、静かに部屋を後にする。
「二階があったなんて知りませんでした」
「常連なんじゃないのか?」
「今日で三回目です」
「世界で一番美味しいと評価しているのに?」
「だから、予約が取れないんですってば」
「君は本当に律儀だな」
ペイトンは椅子に背を預けて笑った。それから、ふと思い出したように付け足した。
「くどいようだが、これはポケットチーフの礼だからな。黒魔術なんか使ったら駄目だぞ」
黒魔術という単語に、勿忘草を見に行った夜の記憶が蘇った。
ルグランのケーキを買ってもらうお返しに、ペイトンを傷つけた女達を呪ってやると約束した。
(わざわざ言うってことは、呪って欲しいって意味かな……)
一瞬勘繰る気持ちが芽生えたが、ペイトンが本気になれば、あの女達に報いを与えることなど、きっと造作もないことだ、とすぐに考え直した。
(……律儀な私が律儀に黒魔術を使わないように止めたってことよね)
つまり、本当に呪ってほしくないのだ。そう気づいた瞬間、胸がざらついた。
ペイトンにとっての母親や家庭教師は、自分にとってのレイモンドなんだ、と今になって思い至った。
嫌いになってしまった好きだった人。そこへ土足で踏み込んでしまったことに、激しい後悔が押し寄せてきた。が、
「あぁいうのは、失敗したら自分に跳ね返ってくるんだ」
「え?」
ペイトンの発言に理解が追いつかず、アデレードは間抜けな声を上げた。
「黒魔術は、自然の流れに逆らう力だ。失敗すれば歪みは術者に戻る。かけた呪いの何十倍にもなってな。だから、あんなものに手を出したら駄目なんだ」
一体何を怒られているのか。しょっちゅう黒魔術を使っているみたいに諭されているが、実際に人を呪ったことなどない。
でも、あの約束は冗談ではなかった。そこは勘違いしてほしくない。
どう説明すればよいのか。アデレードは、考えあぐねた末、
「わかりました。呪いません」
と答えた。口に出すと大人の会話とは思えず、笑いが込み上げてきた。
「僕は真面目な話をしているんだぞ」
ペイトンが眉を寄せて言う。
「私も真面目に答えたんですが……。旦那様って、黒魔術に詳しかったんですね」
「詳しいわけがないだろ」
ペイトンが更に眉をひそめるので、アデレードはますます笑えてきて、頬の内側を噛んで堪えた。
しかし、正面に座るペイトンが、半笑いの表情を見逃すはずがない。
「君ねぇ」
呆れた声だったが、ペイトンもわずかな笑みを浮かべている。
「本当にわかってますよ。黒魔術はやめます。別のお礼にしますね」
「だから、いいって言ってるだろう」
「私、基本的にギブ・アンド・テイクの精神で生きているんで。でも、旦那様からは、結構一方的に搾取しちゃっているから、ちゃんとお礼しないといけないと思っているんです」
具体的に言えば不平等契約だが、それは口にしなかった。
「……君にもらったものは多いよ」
「え? 私なんかあげましたっけ?」
想定外の答えにアデレードは目を丸くした。
ペイトンは静かに微笑んでいる。
今日は前髪を上げているから、整った輪郭がより際立って見える。
優しい表情にどきりとして、アデレードは反射的に視線を逸らした。
無性に落ち着かなくなって、そわそわしていると、タイミングよくノックの音が響いた。
続いてドアが開き、銀のワゴンを押した店員が入ってくる。
注文の品が乗せられているが、驚いたことに、ケーキはホールで用意されていた。
(一台作らせたの?)
唖然とするアデレードの目の前で、店員は流れるような動きでティーカップとポットを並べていく。
最後にナイフをすっと構えると、
「お取り分けしますね」
と丸いケーキに滑らかに切れ目を入れた。器用にカッティングされ背の高いケーキが、崩れることなく皿に盛られる。
「では、ごゆっくり。ご用命がありましたら、呼び鈴でお知らせください」
入口脇のベルプルを指し、店員は一礼して退室していった。
「ホールケーキでくるなんてびっくりしました。食べ放題ですね」
目を輝かせるアデレードの様子に、ペイトンは満足げに口元を緩めた。
「あぁ、沢山あるからどんどん食べなさい」
「有難うございます。でも、どう頑張っても八分の五くらいが限界ですよ」
「君、妙にリアルな数字を出してくるな。心配しなくても、残りはバルモア邸に届けてもらえばいい。土産に焼き菓子も用意してあるから」
ペイトンは最初からそのつもりだったような口ぶりで言った。
至れり尽くせりすぎでは? とアデレードは申し訳ない気持ちでいっぱいになったが、
「有難うございます」
と素直に感謝した。
「礼ばかり言ってないで、早く食べるといい」
感謝の数だけお礼はするでしょ、と思いつつ、アデレードは満面の笑みでフォークを手にした。
「じゃあ、遠慮なく頂きます」
大きな白い皿の真っ黒いケーキ。
華美な装飾もないし、ピカピカのコーティングもない。
スクランブル状のチョコが上面にあしらわれているだけの平凡なケーキに見える。
しかし、フォークを入れると驚くほど滑らかに沈んでいく。
ひと口頬張ると、熱で溶けたチョコレートがねっとりと広がり、最初にがつんと甘さがきて、後味は僅かに苦い。
その苦味が後を引いて、自然と次のひと口へと手が伸びる。
「めちゃくちゃ美味しい!」
アデレードは感嘆の声をあげるが、向かいを見るとペイトンはまだフォークすら手にしていなかった。
「どうしたんですか? 食べないんですか? 早く食べてくださいよ」
「あぁ、うん。そうだな」
感想が聞きたくて、アデレードはペイトンに目を向けたままじっと待った。
「そんなに見られても……」
ペイトンは少し困ったように呟いて、ようやくフォークを取った。
丁寧な所作で切り分けたケーキを口に運ぶ。審査員みたいに真面目な顔で咀嚼するので、アデレードはどう反応するか緊張した。
「……すごく甘いけど、不思議と重くないな。美味しいよ」
「そうでしょ? 美味しいでしょ?」
ほっとしてアデレードは、揚々と言った。
「あぁ、君が世界一美味いと評価するだけある。有難う」
「旦那様がお金払うのに、私にお礼を言うのは変ですよ」
だったら「美味しいでしょ」と自慢するのが、そもそもおかしいか、とアデレードは自己矛盾に笑ってしまった。
「美味しいから、僕に勧めてくれたんだろう? だから、礼を言ったんだ」
ペイトンは、珈琲のカップに口をつけながら、どうともないことみたいに言った。
途端にアデレードの目頭がじんわり熱くなった。
そうだよ、と思ったから。そうだよ、そうだよ、と繰り返し、胸が詰まるくらいに同じ言葉が湧き上がってくる。
世界で一番美味しいと感動したから、一緒に食べたいと思ったのだ。あの時も、今も。喜んでくれるかな、と。
とても単純に、ただ、それだけ。あの時は、叶わなかったけれども。
「……まぁ、あれです。悪に手を染めた甲斐があるって感じ」
アデレードは、へへっと笑って大きくケーキを切り分けて頬張った。
そうすれば、喋らなくても不自然じゃない。
口中に広がる黒くて甘い味。世界一の味。お礼を言うのは、やはりペイトンではなく自分の方だとアデレードは思った。
ペイトンが連れてきてくれなかったら、もう二度とこの店に来ることはなかった。実にもったいない話だ。人生の損失だ、と。
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