フォルトゥナ・フォーチュン

kawa.kei

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十七人目①

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 うーん。 前の下位互換って感じだったわね。
 爽快感はあったけど格落ち感が否めないわ。
 私――星と運命の女神ズヴィオーズは前回死んだ馬鹿の末路を反芻する。

 前々回ぐらい振り切れていたら娯楽としては面白かったけど、前回は何だか中途半端なクズって感じね。
 レベルが違うだけでカテゴリーとしては同じなので、こう尖った何かが欲しかったわ。
 そんな事を考えているとふと引っ張られる感覚。 お、来たわね。

 今回はどんなのが来るのかしら? さぁ、女神の導きの時間よ!


 目の前に現れたのは――子供ね。 
 不健康そうな目つきをした陰気な女児がそこにいた。
 鵡繪野むえの 啞兪子あゆこ。 十三歳、趣味はインターネットとゲーム。

 学校には滅多に行かずに引き籠っており、親に迷惑しかかけないクソガキね。
 まぁ、ガチャを回してくれるなら聖人でもクソガキでも大歓迎よ。
 いつも通りの説明を行うと色々と聞かれた。

 武器とかチート能力貰えるのかと聞いて来たり、具体的にはどんな物が出るのか要はラインナップをはっきりさせろって事ね。
 こいつ次第なので何が出るのかは私にも分からないので、素直にそう答えると使えねえだのなんだのと聞こえよがしに呟くとお試しを回すと言い出した。

 正直、不快だったけど表には出さない。 何故なら私は女神さまだから!
 それにしてもこの生き物、他人を罵る癖に罵っていると認識していないのは何なのかしら?
 
 ――ま、いいわ。

 取りあえずのお試しガチャの結果は――

 SR:異世界転生権

 またか。 最近、初手で転生引く奴多すぎない?
 聞かれたので詳細を聞かせ、SRだと結構いい世界になると思いますよと付け加える。
 それに気を良くしたのか鵡繪野 啞兪子は追加で引くと言い出した。

 はいはい十連ね。 どうぞどうぞ。

 SR:魔法適性(闇)
 R:金貨
 N:銅貨
 R:金貨
 N:銅貨
 N:銀貨
 N:銀貨
 R:身体能力強化(小)
 SR:身体能力強化(中)
 R:茶器

 バラバラと無数のコインが鵡繪野 啞兪子の足元に散らばる。
 まぁ、SRが二つ出たから良い方なんじゃない? 適性は名前そのままで特定分野の魔法の習得が容易になる感じね。 身体能力強化はそのまま。
 鵡繪野 啞兪子はSSR以上が出なかった事が不満なのかこのクソガチャとか言って文句を垂れ流す。

 無言で眺めていると気が済んだのか追加で引くと言い出したわ。
 凄いわこの生き物。 さっきまでボロクソに罵っていた事をもう忘れかけてる。
 人型の鳥か何かかしら? まぁ、追加で引くみたいだしどうぞっと。

 R:金貨
 N:銅貨
 R:金貨
 N:銀貨
 N:銅貨
 N:銀貨
 N:絵画
 N:ドレス
 R:指輪
 N:首飾り

 あっはっは、見事にゴミしか出なかったわねぇ。
 鵡繪野 啞兪子は顔を真っ赤にして暴れまわった後、クソのだゴミだのと罵っていたけどしばらくするとスンと落ち着いてまた引くと言い出したわ。

 引く分には良いけど、一回寿命一年って理解しているのかしら?
 
 N:銅貨
 N:銀貨
 N:銅貨
 N:銀貨
 N:銅貨
 N:銀貨
 SR:特殊魔法適性(精神)
 R:視力強化(小)
 R:金貨
 N:銀貨

 特殊魔法適性は属性にプラスして変わった事ができるようになるみたい。
 「精神」って入っているのは対象の精神に影響を及ぼす――要は洗脳みたいなものね。
 他者を意のままに操れるってレベルじゃないみたいだけど、上手に使えば悪さができそう。

 鵡繪野 啞兪子は馬鹿の一つ覚えのようにまたギャアギャアと汚い鳴き声を上げた後、また引くと言い出した。 今度は何と寿命を凝縮した十年コインでだ。
 意地でもSSR以上を引きたいみたい。 でももう三十年分使ってるからあんまり残ってないんだけど、残りの寿命を全部突っ込むみたい。 前にも居たけど熱くなって視野が狭くなりすぎじゃない。
 
 こいつの寿命は――残り三十二年だから十年コイン三つと二年コイン一つね。
 あっはっは、引き終わったらこいつ速攻で死にそうね。
 どれどれ、結果は――
 
 R:金貨
 SR:聴力強化(中)
 SR:腕力強化(中)
 SR:視力強化(中) 

 うーん。 十年コインを使った割には微妙な結果ね。
 あ、ちなみに最初のRは二年コインよ。 例によって思い通りにいかなかったのでクソガキが暴れていたけど、引いた物の説明だけをして後は無視。
 
 さてと、もう取れる寿命もないし終わりね。
 精々、コインに変換できない端数の人生を謳歌しなさいな。
 鵡繪野 啞兪子がもっと引かせろとうるさかったけど、相手にせずいつもの社交辞令を行う。

 「では、私はこれで。 貴方に良き運命が訪れん事を」

 そう告げて私は鵡繪野 啞兪子の意識を後にした。
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