Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第777話

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 レーザーの躱し方に関しては対策は練って来た。
 まず、あの攻撃の脅威は乱反射により何処から飛んでくるか分からない点にある。
 必要なのは相手の選択肢を減らす事だ。 まずは装甲版を減らす。

 頑張って削ったつもりだが多く見積もっても三割減と言った所だろう。
 それによりパターンがある程度は減らせる。 次に回避について。
 必要なのは距離を取る事。 浮遊している反射板からとにかく離れる必要がある。

 離れれば少なくとも後ろからは飛んで来ない。 最後にこれだ。
 マルメルとケイロンがあらかじめ持ち込んでおいたスモークグレネードをばら撒く。
 無数の爆発と共に大量の煙が噴き上がる。 光学兵器の減衰に特化した煙幕だ。

 無効化は不可能ではあるが、数発なら喰らっても耐えられるはずだった。
 以上の三つの対策を以って「思金神」の最強プレイヤーへと挑む。
 当然、ヨシナリ、ホーコートもグレネードを持参しており、空中にばら撒いて爆破。

 空中にも煙が広がる。 視界がゼロになるが、こちらで用意した代物なのだ。
 煙の成分が分かっていれば無効化する術は存在する。 
 シックスセンスでの同調も済んでいる事もあって、こちらから一方的に見えている形になるはずだ。 

 相手にも同等のセンサーシステムがあったとしても成分分析から入って無効化しなければならない事もあって、しばらくの間は優位に進める事ができる。 
 本来なら真っ先に狙うのはレーザーの発射機構なのだが、形状が完全に変わっているので可能であれば武装、機能の詳細を割っておきたい。 

 サーバー対抗戦の時に見た時は20メートル前後だった大きさが、今は25メートルを超えている。
 タカミムスビはレーザーを連射しながらゆっくりと着地。 
 ケイロンが対物ライフルで反射板を一つずつ潰しながら背面へと回り込もうと移動。
 
 マルメルも反対側からリトル・クロコダイルとアノマリーを実弾に切り替えて同様に反射板を破壊しながら周り込む。 
 あの反射板は一つ一つに重力制御を用いた推進装置が搭載されており、完全に破壊する必要はなく、推進系を潰せば勝手に落ちて使い物にならなくなる。

 直上へと上がったホーコートがバトルライフルで反射板の推進装置を狙って破壊。
 
 「戦友よ。 どうする?」
 「……突っ込もう。 スモークの効果が出ている間にやれる事をやっておきたい」

 正直、あの結界とも言える反射板の影響範囲内に足を踏み入れるのは怖いがやるしかない。
 ちらりとホロスコープのステータスをチェック。 パンドラは現在200%で稼働中。
 フレームのダメージはまだ軽いが蓄積している事には変わりはない。 

 残り時間も徐々にだが減って行っている。 
 まずは確実にあるであろう未知の武器を――不意に空間情報に変動。
 脊髄反射の域で挙動を推測。 空間転移系の武器。

 死角をカバーしつつ加速。 
 転移系は座標を確定させてしまえば転移先を変える事は出来ない以上、安定して当てたければ先回りが基本だ。 ここは敢えて前に出る事で思惑を外す。

 ――反応がやけに大きい――

 違和感があった。 ミサイルやレーザーを移動させる程度ならここまで大きな反応は出ない。
 なら何を転移させる気だ? 次の瞬間、アマノイワトの巨体が丸ごと消えた。
 
 「は??」
 「呆けるな!? 来るぞ!」

 先に反応したベリアルがエーテルの腕を四本束ねて防御。 
 気が付いた時にはタカミムスビは目の前――正確には少し離れているが、サイズ差の所為で既に間合いだ。 ブレード状に伸びた爪を振るわれる。
 
 ヨシナリも咄嗟に噴かして回避行動を取ったが僅かに間に合わなかった。
 防御を切り裂かれ、胴体部分に損傷。 躱しきれなかったが、致命傷だけは避けられた。
 
 「あのサイズで空間転移!? ふざけてる!」

 空間転移に必要なエネルギーは転移させる質量に比例する事もあって、あの巨体が丸ごと転移はないと思い込んでいた自分を殴りつけてやりたいと思いながらアシンメトリーにエーテルを注ぎ込んだフルオート射撃。 

 焦りから加減せずにエーテルを注ぎ込んだお陰で即座にアシンメトリーからエラーメッセージがポップアップ。 内部機構が損傷。
 アマノイワトの両肩のコンテナが解放。 発射口からミサイルではなく束ねられた銃口が顔を出した。
 ベリアルが短距転移。 死角となる足元へ。

 枝分かれした尾――先端にブレードが付いているそれが飛んでくる。
 命中前に無数の銃弾が横から飛んできて尾を弾く。 マルメルだ。
 アノマリーを肩にマウントしながらリトル・クロコダイルをフルオート射撃。

 その間に空いた腕でハンドレールキャノンを構えて撃ちこむ。 
 
 『いい援護だ。 優秀だね』
 
 放った弾体は空を切った。 正確に捉えていたはずだが、転移で躱されたのだ。
 転移先はマルメルの背後。 下から掬い上げるように爪を一閃。
 
 「くっそ、マジかよ!?」

 マルメルは振り返りながらリトル・クロコダイルを構えるが撃ち尽くしたのか弾が出ない。
 ならと両肩のガトリングガンを連射しつつ、強化装甲に仕込んだクレイモアを起爆。 
 とにかくばら撒ける物はばら撒けと撃ちまくるが、上に逃げるという手段がないマルメルに躱す事は出来なかった。

 それでもマルメルは諦めずに後ろに跳んだが、頭部が千切れ飛び、強化装甲を切り裂かれる。
 やられたように見えたが、シグナルはまだ健在。 
 コックピット内部が露出した状態で、必死に機体を操作。 

 背面のバックパックからリトル・クロコダイルの予備のマガジンを取り出して交換し、何とか凌ごうとしたが飛んで来た尾に貫かれる。

 「マルメル!」
 「……悪ぃ。 俺はここまでだ」

 コックピットを破壊されたマルメルのアウグストから力が抜け、持ち上げたリトル・クロコダイルが発射されずに手から零れ落ちた。 シグナルロスト。
 転移によって反応の遅れたユウヤとケイロンが銃撃するが、防御フィールドを展開。

 命中しているが威力が減衰していた。 
 エネルギー流動を視れば斥力フィールドが展開されている事が分かる。
 効果がない訳ではないが、あの重装甲を貫きたいならフィールドの内側に入らなければならない。
 
 タカミムスビはサイズからは想像もできない軽快な動きで走り出す。
 一瞬遅れて無数の銃弾が地上に突き刺さる。 ホーコートだ。
 
 「――。 ――――」
 
 何かを呟いているようだが、上手く聞き取れなかった。
 タカミムスビはそれを聞いて小さく息を吐く。
 
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