【完結】アーデルハイドは知らない─黒髪黒眼なのに期待はずれと追放された魔族は、痛みを以て魔界をぶっ潰します─

米奏よぞら

文字の大きさ
19 / 34
第二章(十五歳・前編)

18.アリス先輩

しおりを挟む
翌日の早朝、校門前で登校してきた先輩方に「お願いします。僕に最上級魔法を撃ってください」と頭を下げた。

そして捕まったのが、今日からお世話になる五年生のアリス先輩だ。
クールビューティーという感じの人だったから、了承された時は耳を疑ってしまった。

午前中の授業が終わり、放課後の時間。
前回も使用した訓練場に向かうと、既にアイザックが来ていた。

「アイク。今日は掛け声を控えめにしてくれない?」

「どうしてです?しょうもない理由だったら、俺のストレス発散の邪魔はさせませんよ」

いつからアイザックのストレス発散法になっていたんだろう。

直近の彼女三人全員に浮気をされて別れたらしい彼。
やはり最近は鬱憤が溜まっているのか。


「ルカくん」

可憐な声に呼ばれ振り向くと、入口にアリスが立っていた。
美しい銀色の髪に濃いブルーの瞳。
初めて見た時は思わず見惚れてしまった。

「……ルカ様ってああいう方がタイプなんですね」

「え、なんで?」

「そういう顔してますよ」

アイザックに指摘されて初めて、自分の顔が緩んでいることに気がついた。
まさか自分は彼女に惚れているのだろうか。

「どうしたの?」

アリスに覗き込まれて顔が赤くなるのを感じた。

また魅了魔法かと思い封魔の力を使うが、なんの変化もない。

落ち着け、ルーカス。冷静になるんだ。

「何でもありません。早速やりましょうか」

そう言って訓練場の中央まで駆けていった。









氷属性の最上級魔法は今までで一番静かに撃たれた。
逃げ回ったり、叫んだり、大声で魔王の悪口を言ったりとそんな格好悪いことはしない。

アイザックがアリス先輩の後方で大きな丸をつくる。

そうだろう、そうだろう。

不本意ながら可愛いと言われることが多いので忘れがちだが、ルーカスは立派な男の子なのだ。

「ルカくん、お疲れ様。……痛かったでしょう?」

「いえ、明日も頑張らせていただきます」

「ルカ様、せっかくですから途中までお送りして差し上げては?」

気の利かせたことを言ったアイザックには帰ったら熱い抱擁をしよう、そんなことを考えていると、

「流石に申し訳ないです。この後は彼氏と合流する予定ですし」

「……彼氏?」

反射的に聞き返すと、アリスがぽっと頬を染める。

「知ってるかな?フレア先生って言うんだけど」

「……いいえ、存じ上げません」

「すごく色気があって格好良いのよ。きっと見たらすぐに分かるわ」

じゃあね、と立ち去るアリスの後ろ姿を眺める気にもなれず、残された二人はきつい抱擁を交わした。

「僕の何が悪かったの……?」

「ルカ様、お可哀想に。まだ十五歳なのに、実の兄に好きな人を取られて」

「アイク。もしかして僕たちって女見る目ないのかな?」

「…………そうかもしれませんね」


そして二人して溜息をついたのだった。








【耐性レベル到達度】

火:100/100        水:        0/100

風:100/100        土:        0/100

光:        0/100        闇:        0/100

無:100/100

氷:    25/100        雷:100/100

草:        0/100        聖:        0/100

時:        0/100        空:         0/100

重:        0/100

※最上級魔法……50点、上級魔法……15点、中級魔法……5点
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

【完結】悪の尋問令嬢、″捨てられ王子″の妻になる。

Y(ワイ)
ファンタジー
尋問を生業にする侯爵家に婿入りしたのは、恋愛戦略に敗れた腹黒王子。 白い結婚から始まる、腹黒VS腹黒の執着恋愛コメディ(シリアス有り)です。

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

【完結】私が愛されるのを見ていなさい

芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定) 公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。 絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。 ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。 完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。  立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。

婚約破棄されたのでファンシーショップ始めました。 ― 元婚約者が、お人形さんを側室にしようとして大恥をかきました ―

鷹 綾
恋愛
隣国の王子から「政略的にも個人的にも魅力を感じない」と婚約破棄された、ファンタジア王国第三女王タナー。 泣きも怒りもせず、彼女が考えたのは――「いつか王宮の庇護がなくなっても困らない生き方」だった。 まだ八歳。 それでも先を見据え、タナーは王都の片隅で小さなファンシーショップを開くことを決意する。 並ぶのは、かわいい雑貨。 そして、かわいい魔法の雑貨。 お茶を淹れてくれるクマのぬいぐるみ店員《テイデイ・バトラー》、 冷めないティーカップ、 時間になると小鳥が飛び出すアンティーク時計――。 静かに広がる評判の裏で、 かつての元婚約者は「お人形さんを側室にしようとして」赤っ恥をかくことに。 ざまぁは控えめ、日常はやさしく。 かわいいものに囲まれながら、女王は今日も穏やかにお店を開けています。 --- この文面は ✔ アルファポリス向け文字数 ✔ 女子読者に刺さるワード配置 ✔ ネタバレしすぎない ✔ ほのぼの感キープ を全部満たしています。 次は 👉 タグ案 👉 ランキング用超短縮あらすじ(100字) どちらにしますか?

【完結】かみなりのむすめ。

みやこ嬢
キャラ文芸
【2022年2月5日完結、全95話】 少女に宿る七つの光。 それは守護霊や悪霊などではなく、彼女の魂に執着する守り神のような存在だった。 *** 榊之宮夕月(さかきのみや・ゆうづき)は田舎の中学に通う平凡でお人好しな女の子。 夢は『可愛いおばあちゃんになること』! しかし、ある日を境に日常が崩壊してしまう。 虚弱体質の兄、榊之宮朝陽(さかきのみや・あさひ)。謎多き転校生、八十神時哉(やそがみ・ときや)。そして、夕月に宿る喜・怒・哀・楽・愛・悪・欲の七つの魂。 夕月のささやかな願いは叶うのか。 *** 怪異、神様、友情、恋愛。 春の田舎町を舞台に巻き起こる不思議。

処理中です...