異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

文字の大きさ
44 / 365
2章 DT、先生になる

42話 家政婦(テツ)は、見た!らしいです

しおりを挟む
 エイビスから受け取った地図を見ながら歩く雄一の隣を歩くテツが不安そうに聞いてくる。

「ユウイチさん、本当にその宿屋に行かれるんですか? 僕、とっても不安しか感じないんですが?」

 不安そうな顔を寄せてくるテツに、フム、と頷く。

 頭の上にいるミュウも雄一の真似をして頷き、ガゥと犬歯を見せる笑みをテツに向ける。

「テツ……証拠過多という言葉を知っているか? 例えば、台所に置いておいた『豆大福』があったとしよう。さあ、食べようとしたら無くなっているんだ。その場にはシホーヌとホーラがいた」

 テツはいきなり雄一は何を言い出すのだろうかと目を白黒させて話をとりあえず聞こう考えたようで雄一の言葉に頷く。

 シホーヌとホーラが、なんで例で使われるのかと拗ねるように雄一を睨みながらも続きが気になるようでテツに倣って頷き、他の面子も聞き耳を立てる。

「そして、2人に問いかけるんだ。食べたのはお前か? とな。勿論、2人は否定する。では、犯人は誰だ、という話になるんだ」
「どうせ、シホーヌに決まってます。あのバカ女神は食い意地が張ってますから」

 澄ましたアクアがそういうと、いつもの恒例の喧嘩を始めようとしたので2人のデコをペシッと叩く事で止めさせると続きの話し始める。

「2人を観察するとな? ホーラはいつも通りどこも変わりがないんだが、シホーヌの口の周りに餡子をお弁当してて手の指先は白くなっており、足下を見ると豆が落ちてたんだ」
「だったら、シホーヌさんがツマミ食いしたんじゃないんですか? こないだも、ユウイチさんのクッキーをツマミ食いしてましたし……あっ!」

 思わず、口を滑らせたテツの頭をスパパァーンと叩くシホーヌの残心をしているところを雄一の大きな手がシホーヌの小さな顔にジャストフィットする。

 掴んだまま、持ち上げて雄一の視線まで上げる。

 痛がるシホーヌの目を覗き込みながら、

「後で、ゆっくりお話をしような? シホーヌ」
「ヒーン、許して欲しいのですよぉ」

 滂沱の涙を流すシホーヌは雄一の手を掴み、幼子のように泣き、許しを請う。

 その様子に呆れた雄一は溜息と共にシホーヌを下ろす。

 とりあえず、手を離した雄一から距離を取るようにしてホーラの胸に飛び込み、チラ、チラ、と雄一を見て様子を窺う駄女神様にキッツイお仕置きをする事を胸に刻んだようである。

 シホーヌからテツに視線を戻した雄一は、「どこまで話したっけ?」と呟いたが自分で思い出せたので続きを話し始める。

「確かに、ここまで証拠が揃うとシホーヌしかいないって思うのが普通だよな? でも、少し考えてみてくれ。いくらシホーヌが底なしの頭の足らなさといえど、証拠を残し過ぎだとは思わないだろうか?」

 それを聞いたアクアがシホーヌに目を向けて、プークスクス、と笑い、指を差す様を見てお前も似たようなもんだと思うが、口にすると脱線するのが目に見えて分かったので黙る事にした。

「どういうことですか?」
「つまりだ、これ以上、証拠を集める必要がないと言えるほど目の前に羅列する状況が嘘臭く見えてきて逆にまったく疑う要素のないホーラが怪しく見えてくるような気がしないか?」
「えーと、えーと、はい! なんとなくそう思えてきました! 前に大学芋を作った時にツマミ食いしたホーラ姉さんが取った芋の空白を他の芋を移動させて、間隔を変える事で偽装するホーラ姉さんの手腕があれば、できるはずですっ!!」

 指を立てて、なるほどっ! と言いそうな顔をしながら喋るテツの背中にドロップキックを仕掛けるホーラがいた。

 狙い通りにテツの背中にクリティカルヒットさせるとテツは地面に顔から突っ込む。

 襲撃に成功したホーラであったが、その結果を見ずに踵を返して逃げようとする。

 だが、肩に手を置く者に逃亡を阻止される。

「ホーラ? 後で、俺に時間を割いてくれないか? 勿論、いいよな?」
「りょ、了解さ、ユウ? お願いだから、お手柔らかにお願いするさ……」

 とほほ……と聞こえてきそうな背中を見せながらホーラは言ってくる。

 テツは、「酷いよ、ホーラ姉さん」と口に入った土を吐き出しながら恨めしそうに見つめるが、「ああっん?」と睨まれると股ぐらに尻尾を隠す犬のように視線を明後日の方向へと向ける。

「まあ、つまるところ、疑う場所が多いからってそうだとは限らないって話だ」
「なるほど、さすがユウイチさん! とてもタメなりましたっ!!」

 うんうん、と頷く雄一の後ろを嬉しそうに着いていくテツを後ろから眺めていた
、シホーヌ、アクア、ホーラとレイアの4人は心の中がシンクロする。


「「「「ダマされてるぅ!!!」」」」


 小さな声だったのでテツは聞き逃したようで、不思議そうに見返すが雄一には聞こえたのか、察したのか分からないが無表情のまま近づくと4人に顔を寄せて内緒話をするように話し始める。

「エイビスは、少なくとも現状は俺に気に入られたいのは間違いないと思う。そのアイツが面子に女の多いのを見て勧めてくる場所だという事を考えた場合、どんな場所だと思うよ?」
「分かるかよ! 後、テツ兄をイジメるなよっ!」

 そう言いつつ雄一の脛を蹴ってくる。

 少し痛かったが耐えた雄一は、

「今から向かう場所は、きっと飯が美味い宿だ。アイツが言ってただろ? 自分の名前を出したらデザートが毎食出るって? つまり、女のツボを突いたような料理やサービスが良い店ってことになると思うんだが……店を変えたほうがいいか?」

 ガシガシ蹴っていた足を止めたレイアが顔を顰めて雄一を睨み、雄一の後方にいるテツに視線を向ける。

 向けた先のテツは、どうしたの? 僕に用? と尻尾を振っている犬のように純真な瞳に耐えれなくなったようでレイアは視線を地面に逃がす。

「ご飯大事! デザートはもっと大事なのですぅ!」
「何もテツが、不幸になると決まった訳ではありません。それにあったとしてもテツなら乗り越えられるはずです」
「世の中、大事な事は沢山あるさ。それと天秤にかけて考えればテツを人身御供する事に躊躇したりしないさ……」

 サラッと掌を返す女達を見て雄一は、口の中だけで言葉にする。

「女って、こえぇ……」

 自分が誘導したとはいえ、女の欲望の闇の濃さに尻込みするが今回は自分は安全圏だと見なかった事にする。

 女達から離れてテツの下へと帰るとテツが声をかけてくる。

「何かあったんですか?」
「いや、そろそろ陽が沈む恐れがあるから急ごうって話だ」

 それに何かあるのは、これからだ、という言葉を飲み込んだ雄一は歩き出す。

 そして、雄一に手を引かれて歩くアリアは背伸びをしてテツの二の腕を叩くと、負けないで、とメッセージを送るような悲しそうな目をすると雄一に手を引かれていく。

 クエスチョンマークを浮かべて立ち止まるテツを置き去りにするように進む者達がチラッと見る目の意味を理解できずに考え込むテツ。

 気付くと皆の背中が遠い所にある事に気付き、走っておいかけながらテツは叫ぶ。

「どういう事なんですかぁ!!」






 陽が沈み切る前になんとか目的地に着いた雄一は扉の上にある看板を読み上げる。

「マッチョの集い亭か……さて、テツ。お前は宿の手続きなどをやったことないよな?」
「えっ? はい、村で生活していましたから、そんな機会ありませんでした」

 雄一は、テツの言葉に大袈裟に慌てるような仕草を見せると棒読みなセリフを言ってくる。

「それはいけないなぁ? そうだ、テツ。ここは、ぶっつけ本番で宿の部屋を取れるかチャレンジだ。こういう事は何事も経験だ。俺達は外で待ってるから、ちゃんと取れたら呼びに来るようにな?」
「はい! きっと良い部屋を確保してみせます!」

 では、行って参りますっ! と敬礼までして任された喜びに震えるようにして、テツは入り口の扉に突撃するようにして入っていった。

 それを見守っていたホーラが雄一の横っ腹を肘で突きながら言ってくる。

「ユウ、テツで安全かどうか確認しようとしてるでしょ? さすがにちょっと酷くない?」

 雄一は、何の事か分からないとばかりに、すっとぼける。

 そして、雄一の視線の先にはワクワクが止まらないとばかりに目を輝かすシホーヌとアクア、それとハラハラして落ち着かない様子のレイアがいた。

 さて、どうなるやらと思って扉を見つめる事、カップラーメンができるぐらいの時間になると店の中から少年の叫び声が聞こえてくる。


 どうやら、アタリだったようである。
しおりを挟む
感想 128

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

処理中です...