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3章 DT,先生じゃなく、寮父になる
87話 振り返ればいつも貴方がいたらしいです
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3人はまずはベへモスの姿を確認する事から始める為に仲良く岩陰から覗きこむ。
話に聞いてた通り、鋭く太く長い牙と3m以上ある背丈のがあるのに地面に届く長い鼻の特徴を確認する。
「凄く力が強そうですね……」
丸太のような腕を見つつ、テツが呟く。
「あんなデカイ図体して、動きが早いよね」
近くを通りかかったウサギを逃げる間を与えずに詰め寄り、鼻で掴まえて捕食するのを顔を顰めるポプリ。
「いや、それ以上に厄介そうなのが、あの全身を覆う自前の皮さ。見た感じ、相当厚そうだし、攻撃がどれだけ通るか不安さ」
全身を覆う皮が余り気味なのか、弛みを見せる。
あれがパンパンに張っていれば、切れ目を入れれば一気にいけそうだが、多少切れようがなんら問題なさそうな厚そうな皮を嫌そうにホーラは見ながら語る。
「ですが、ドラゴン並に強いと聞いていた以上、厄介さは想像してましたし、頑張りましょう」
「まあ、テツの言う通りだけど、アンタが一番気を付けなよ? あの丸太のような腕に当たらなくても圧し掛かられるだけでお陀仏さ」
「ホーラの言う通りよ。そのうえ、私達の攻撃を意識しないといけないんだから牽制を主に立ち回ってよね」
特にポプリの攻撃は余波が範囲が広い。
それをテツに伝えると力強く頷いてくる。
「任せてください。蝶のように舞い、蜜蜂のように刺します!」
「テツ……アンタは馬鹿? 蜜蜂は止めとくさ、蜂の一刺しで死んでしまうから他の蜂にしとくさ」
テツの天然が爆発し、いつものようにホーラに突っ込まれるという日常の光景が生まれ、ホーラとポプリはクスッと笑う。
テツも苦笑いをするのを見て各自、肩に思ってたより力が入っていた事に気付く。
「テツ君のお馬鹿さんもたまには役に立つね」
「ポプリ、たまには、というところが毒が盛り沢山さ?」
テツが、ルルゥ――、と擬音が聞こえそうな涙の流し方をするのを見て、笑みを浮かべる2人。
「さて、馬鹿やるのはこれぐらいにするさ。アタイ達はいつも通りにやるだけさ」
「そうね、いつも通りにテツ君を無視して攻撃を叩きこむからね」
「あれれ? なんで僕だけ、前門の虎、後門の狼みたいな事になってるんですか??」
助けを求めるようにホーラに手を伸ばしてくるテツの手を払う。
「アタイとポプリは散開するよ。言わなくても分かってるとは思うけど風上には行くんじゃないさ」
「ええ、あの無駄に長い鼻が飾りじゃないでしょうしね」
ポプリの返事を聞いて、テツを見つめると顔を引き締めて頷いてくる。
「はい、僕は、2人が行動を開始してから60秒後にアイツに斬りかかります」
「頑張ってアイツから気を引いてね?」
「分かってるとは思うけど、乱戦になったらアンタはポプリの盾になるんだよ?」
ポプリは、雄一に指摘されているように魔法を使う時に足を止めてしまう事が多い。弱い魔法なら問題はないが、威力を意識したものとなると難しいようだ。
テツが頷いてくるのを確認するとポプリに声をかける。
「じゃ、散開っ」
そういうとホーラはテツから右手の方向へにある木を駆け上がると木々を飛び移って移動を開始する。
ホーラは位置取りを気にしながら心の中でカウントダウンをしていると、不意にギルバードの事を思い出す。
ホーラは、これでも結構モテる。
1人で行動してたり、最近だとポプリと行動しているとそれなりの頻度で声をかけられるが、間違いなく今までで一番断るのが気が重い相手であった。
真っ直ぐで全身でぶつかるような告白をしてくる彼に人としては好感を抱けた為である。
彼の姿勢は、今のホーラに取って眩しいものであり、自分も雄一にしないと思っている事を実践してくる。
そのせいか、ホーラは叩きのめした時に嫉妬からプライドを傷つけ過ぎたかと多少、気にしていた。
「ユウに出会う前に……」
そう呟くホーラであったが、自分で自分の言葉を否定するように首を振る。
ギルバードが目を引いたのは、今の自分である。
自分に声をかけてくる者が出始めたのも、雄一と冒険者をするようになって軌道に乗り始めてからである。
自分でもいきいきしているのが分かり、自分に自信を持てるようになってからである。
「もしも、なんて言い出したらキリがないさ」
そう顔を顰めるホーラは何より、今、自分の胸に息づく想いがある。
それは行き先を求めて爆発しそうなエネルギーを発する。それをなかった事にできるものではない。
だからこそ、ホーラはそれを表に出す事を恐れている。
考えてた位置に辿り着いたホーラは頭を振って、今、考えている事を振り払う。
今は、強敵と戦おうとしているところだと自分に言い聞かせる。
それと同時に自分の深い所から、「また、逃げたさ」ともう一人の自分の声に奥歯を噛み締めて耐えた。
ホーラは荒くなっている呼吸に気付き、呼吸を落ち着かせながらカウントが終わるのを待ち続けた。
そして、カウントが0になった時、テツがツーハンデッドソードを抜き身の状態でベへモスの正面から歩いて向かう。
勿論、ベへモスもテツの存在に気付き、表情などないように見えるのに笑ったようにホーラには見えた。
ホーラは、パチンコ鉄球を掴めるだけ取り出すと右手で握り締める。
「出し惜しみはなしさ。『強化するのは、加速。付加するのは回転』」
ホーラの右手が淡い光に包まれる。
額に浮かぶ汗を腕で拭うとパチンコに装填して引き絞る。
放つのは、テツが斬り込み、離れた瞬間を狙う、と思いつつ、その瞬間を待つ。
ホーラの見つめる先では、テツが歩いてくるのを待ち構えるように鼻を揺らすベへモスの姿が傲慢そのものに見えていた。
それを見ていたテツもそう感じたのか、自分の相棒を肩に載せるようにして飛び出す。
そして、挨拶代わりと言わんばかりに大上段から斬りかかるが、文字通り、ベへモスに鼻であしらわれる。
振り払われるように振られた鼻を起点にテツは、押される力に逆らわず、後方へと跳ぶ。
その動きを見ていたホーラは、「今さっ!」と目を見開いて、引き絞っていたパチンコを発射する。
付加魔法をかけていた鉄球は初速からどんどん加速していき、音速の領域へ近づいていく。
加えられた回転が凶悪な螺旋を描き、ベへモスの左目に吸い込まれるように打ちこまれる。
ホーラの攻撃で潰された目の痛みからか、雄叫びを上げる。
その声の大きさはとんでもなく、遠く離れるホーラですら顔を顰める。
近くにいるテツなど耳を塞いで必死に耐えるが、ベへモスが地団駄を踏む振動もあるようでテツの動きは封じられていた。
ベへモスが動けないテツに突進しそうな雰囲気を感じとったホーラは、「危ないっ!」と再び、パチンコに装填するが、その前にでっかい火球がベへモスに直撃して炎に包まれる。
多少、皮膚を焦がしたようであるが、それほどダメージを受けた様子のないベへモスにポプリはプライドが傷つけられたように顔を顰める。
「生意気っ! これならどう?」
おそらく今まで自分の攻撃をまともに食らって、あそこまで平気な相手に今まで会った事がないのであろう。
もっと威力のある魔法を唱えようと思っているポプリは、足を止めて目を瞑って集中を始める。
「あの馬鹿っ!」
慌ててパチンコを乱射するが、突き刺さるがあの分厚い皮で威力を削がれているようで浅いと感じさせる。
ホーラの攻撃を鬱陶しいという素振りは見せるが、無視するとポプリに意識を向けて突進していく。
テツは、ホーラが生み出した僅かの時間を利用して、ベへモスと横手から全力で叩き切るように振り下ろす。
だが、ベへモスの分厚い皮を越えて身を少し切り裂いてただけであるが、突進を止めてたたら踏ませる。
ベへモスはテツを憎悪に染まった目で睨む。
テツは今まで威圧などを雄一に浴びせられた事はあるが、あれほど強い感情の籠ったものを叩きつけられた経験がなく身を竦める。
「馬鹿テツ、アンタも足を止めるなっ!」
ホーラはここでは埒があかないと思い、木から飛び降りるとパチンコを乱射しながらテツ達に近づいていく。
この時の行動をホーラは後に激しい怒りと悔恨の想いに包まれ、生涯忘れない。
ホーラも場の空気に踊らされていたのであろう。本当なら先程の場所から援護に徹するべきだった。
3人ともどこか噛み合っていなかった。いつもなら、自分達の考えが正しいか判断する基準があった。
振り返れば、笑みを浮かべる雄一という姿が自分達の考えが正しいと信じられる心の芯が持てた。
だが、雄一は傍にいない。
自分に自信を持てず、各自、自分のスタンスが貫けてなかった。
ポプリも初撃じゃ不味いと分かった時点で、テツに盾になるのを声かけしてから準備に入るべきだった。
テツも今まで戦った敵より強いと分かっていたのだから心の身構えをしておく必要があった。
ホーラは、ギルバードに偉そうに語ったように遠隔が主で近接に適性がないのに駆けよるというのは愚の骨頂。
そんな3人は自分の実力を発揮できずに翻弄されている。
そして、パチンコを乱射しながら草むらで視界を塞がれたので一旦止める。
時間が惜しいとばかりに草むらに突っこみ、草むらから飛び出すと眼前にはベへモスがいて思わず足を停めるホーラ。
笑ったような気がするベへモスは自慢の牙でホーラを突き刺すように首を振ってくる。
ホーラは慌てて身を捻って避けようとするが、ギリギリかと判断して多少は貰う覚悟を決める。
すると、ホーラとベへモスの間に盾を持った少年が飛び出してくる。盾を牙の横から全身で体当たりをする事で僅かに軌道をずらす。
その僅かがギリギリだったホーラを無事に逃がす。
「カッコ良く、俺様登場っ! なっ! 俺がいて良かっただろ?」
びっしりと顔に汗を掻き、震える足で強がるギルバードであった。
「バカ! 早く逃げるさ」
「助けに来たのにバカはねぇーだろ? 俺はさ……」
ホーラの言葉に振り返ってしまったギルバードは言葉の途中で吐血する。
それを見ていたホーラは唇を噛み締め、泣きそうな顔をしてギルバードの名を叫んだ。
話に聞いてた通り、鋭く太く長い牙と3m以上ある背丈のがあるのに地面に届く長い鼻の特徴を確認する。
「凄く力が強そうですね……」
丸太のような腕を見つつ、テツが呟く。
「あんなデカイ図体して、動きが早いよね」
近くを通りかかったウサギを逃げる間を与えずに詰め寄り、鼻で掴まえて捕食するのを顔を顰めるポプリ。
「いや、それ以上に厄介そうなのが、あの全身を覆う自前の皮さ。見た感じ、相当厚そうだし、攻撃がどれだけ通るか不安さ」
全身を覆う皮が余り気味なのか、弛みを見せる。
あれがパンパンに張っていれば、切れ目を入れれば一気にいけそうだが、多少切れようがなんら問題なさそうな厚そうな皮を嫌そうにホーラは見ながら語る。
「ですが、ドラゴン並に強いと聞いていた以上、厄介さは想像してましたし、頑張りましょう」
「まあ、テツの言う通りだけど、アンタが一番気を付けなよ? あの丸太のような腕に当たらなくても圧し掛かられるだけでお陀仏さ」
「ホーラの言う通りよ。そのうえ、私達の攻撃を意識しないといけないんだから牽制を主に立ち回ってよね」
特にポプリの攻撃は余波が範囲が広い。
それをテツに伝えると力強く頷いてくる。
「任せてください。蝶のように舞い、蜜蜂のように刺します!」
「テツ……アンタは馬鹿? 蜜蜂は止めとくさ、蜂の一刺しで死んでしまうから他の蜂にしとくさ」
テツの天然が爆発し、いつものようにホーラに突っ込まれるという日常の光景が生まれ、ホーラとポプリはクスッと笑う。
テツも苦笑いをするのを見て各自、肩に思ってたより力が入っていた事に気付く。
「テツ君のお馬鹿さんもたまには役に立つね」
「ポプリ、たまには、というところが毒が盛り沢山さ?」
テツが、ルルゥ――、と擬音が聞こえそうな涙の流し方をするのを見て、笑みを浮かべる2人。
「さて、馬鹿やるのはこれぐらいにするさ。アタイ達はいつも通りにやるだけさ」
「そうね、いつも通りにテツ君を無視して攻撃を叩きこむからね」
「あれれ? なんで僕だけ、前門の虎、後門の狼みたいな事になってるんですか??」
助けを求めるようにホーラに手を伸ばしてくるテツの手を払う。
「アタイとポプリは散開するよ。言わなくても分かってるとは思うけど風上には行くんじゃないさ」
「ええ、あの無駄に長い鼻が飾りじゃないでしょうしね」
ポプリの返事を聞いて、テツを見つめると顔を引き締めて頷いてくる。
「はい、僕は、2人が行動を開始してから60秒後にアイツに斬りかかります」
「頑張ってアイツから気を引いてね?」
「分かってるとは思うけど、乱戦になったらアンタはポプリの盾になるんだよ?」
ポプリは、雄一に指摘されているように魔法を使う時に足を止めてしまう事が多い。弱い魔法なら問題はないが、威力を意識したものとなると難しいようだ。
テツが頷いてくるのを確認するとポプリに声をかける。
「じゃ、散開っ」
そういうとホーラはテツから右手の方向へにある木を駆け上がると木々を飛び移って移動を開始する。
ホーラは位置取りを気にしながら心の中でカウントダウンをしていると、不意にギルバードの事を思い出す。
ホーラは、これでも結構モテる。
1人で行動してたり、最近だとポプリと行動しているとそれなりの頻度で声をかけられるが、間違いなく今までで一番断るのが気が重い相手であった。
真っ直ぐで全身でぶつかるような告白をしてくる彼に人としては好感を抱けた為である。
彼の姿勢は、今のホーラに取って眩しいものであり、自分も雄一にしないと思っている事を実践してくる。
そのせいか、ホーラは叩きのめした時に嫉妬からプライドを傷つけ過ぎたかと多少、気にしていた。
「ユウに出会う前に……」
そう呟くホーラであったが、自分で自分の言葉を否定するように首を振る。
ギルバードが目を引いたのは、今の自分である。
自分に声をかけてくる者が出始めたのも、雄一と冒険者をするようになって軌道に乗り始めてからである。
自分でもいきいきしているのが分かり、自分に自信を持てるようになってからである。
「もしも、なんて言い出したらキリがないさ」
そう顔を顰めるホーラは何より、今、自分の胸に息づく想いがある。
それは行き先を求めて爆発しそうなエネルギーを発する。それをなかった事にできるものではない。
だからこそ、ホーラはそれを表に出す事を恐れている。
考えてた位置に辿り着いたホーラは頭を振って、今、考えている事を振り払う。
今は、強敵と戦おうとしているところだと自分に言い聞かせる。
それと同時に自分の深い所から、「また、逃げたさ」ともう一人の自分の声に奥歯を噛み締めて耐えた。
ホーラは荒くなっている呼吸に気付き、呼吸を落ち着かせながらカウントが終わるのを待ち続けた。
そして、カウントが0になった時、テツがツーハンデッドソードを抜き身の状態でベへモスの正面から歩いて向かう。
勿論、ベへモスもテツの存在に気付き、表情などないように見えるのに笑ったようにホーラには見えた。
ホーラは、パチンコ鉄球を掴めるだけ取り出すと右手で握り締める。
「出し惜しみはなしさ。『強化するのは、加速。付加するのは回転』」
ホーラの右手が淡い光に包まれる。
額に浮かぶ汗を腕で拭うとパチンコに装填して引き絞る。
放つのは、テツが斬り込み、離れた瞬間を狙う、と思いつつ、その瞬間を待つ。
ホーラの見つめる先では、テツが歩いてくるのを待ち構えるように鼻を揺らすベへモスの姿が傲慢そのものに見えていた。
それを見ていたテツもそう感じたのか、自分の相棒を肩に載せるようにして飛び出す。
そして、挨拶代わりと言わんばかりに大上段から斬りかかるが、文字通り、ベへモスに鼻であしらわれる。
振り払われるように振られた鼻を起点にテツは、押される力に逆らわず、後方へと跳ぶ。
その動きを見ていたホーラは、「今さっ!」と目を見開いて、引き絞っていたパチンコを発射する。
付加魔法をかけていた鉄球は初速からどんどん加速していき、音速の領域へ近づいていく。
加えられた回転が凶悪な螺旋を描き、ベへモスの左目に吸い込まれるように打ちこまれる。
ホーラの攻撃で潰された目の痛みからか、雄叫びを上げる。
その声の大きさはとんでもなく、遠く離れるホーラですら顔を顰める。
近くにいるテツなど耳を塞いで必死に耐えるが、ベへモスが地団駄を踏む振動もあるようでテツの動きは封じられていた。
ベへモスが動けないテツに突進しそうな雰囲気を感じとったホーラは、「危ないっ!」と再び、パチンコに装填するが、その前にでっかい火球がベへモスに直撃して炎に包まれる。
多少、皮膚を焦がしたようであるが、それほどダメージを受けた様子のないベへモスにポプリはプライドが傷つけられたように顔を顰める。
「生意気っ! これならどう?」
おそらく今まで自分の攻撃をまともに食らって、あそこまで平気な相手に今まで会った事がないのであろう。
もっと威力のある魔法を唱えようと思っているポプリは、足を止めて目を瞑って集中を始める。
「あの馬鹿っ!」
慌ててパチンコを乱射するが、突き刺さるがあの分厚い皮で威力を削がれているようで浅いと感じさせる。
ホーラの攻撃を鬱陶しいという素振りは見せるが、無視するとポプリに意識を向けて突進していく。
テツは、ホーラが生み出した僅かの時間を利用して、ベへモスと横手から全力で叩き切るように振り下ろす。
だが、ベへモスの分厚い皮を越えて身を少し切り裂いてただけであるが、突進を止めてたたら踏ませる。
ベへモスはテツを憎悪に染まった目で睨む。
テツは今まで威圧などを雄一に浴びせられた事はあるが、あれほど強い感情の籠ったものを叩きつけられた経験がなく身を竦める。
「馬鹿テツ、アンタも足を止めるなっ!」
ホーラはここでは埒があかないと思い、木から飛び降りるとパチンコを乱射しながらテツ達に近づいていく。
この時の行動をホーラは後に激しい怒りと悔恨の想いに包まれ、生涯忘れない。
ホーラも場の空気に踊らされていたのであろう。本当なら先程の場所から援護に徹するべきだった。
3人ともどこか噛み合っていなかった。いつもなら、自分達の考えが正しいか判断する基準があった。
振り返れば、笑みを浮かべる雄一という姿が自分達の考えが正しいと信じられる心の芯が持てた。
だが、雄一は傍にいない。
自分に自信を持てず、各自、自分のスタンスが貫けてなかった。
ポプリも初撃じゃ不味いと分かった時点で、テツに盾になるのを声かけしてから準備に入るべきだった。
テツも今まで戦った敵より強いと分かっていたのだから心の身構えをしておく必要があった。
ホーラは、ギルバードに偉そうに語ったように遠隔が主で近接に適性がないのに駆けよるというのは愚の骨頂。
そんな3人は自分の実力を発揮できずに翻弄されている。
そして、パチンコを乱射しながら草むらで視界を塞がれたので一旦止める。
時間が惜しいとばかりに草むらに突っこみ、草むらから飛び出すと眼前にはベへモスがいて思わず足を停めるホーラ。
笑ったような気がするベへモスは自慢の牙でホーラを突き刺すように首を振ってくる。
ホーラは慌てて身を捻って避けようとするが、ギリギリかと判断して多少は貰う覚悟を決める。
すると、ホーラとベへモスの間に盾を持った少年が飛び出してくる。盾を牙の横から全身で体当たりをする事で僅かに軌道をずらす。
その僅かがギリギリだったホーラを無事に逃がす。
「カッコ良く、俺様登場っ! なっ! 俺がいて良かっただろ?」
びっしりと顔に汗を掻き、震える足で強がるギルバードであった。
「バカ! 早く逃げるさ」
「助けに来たのにバカはねぇーだろ? 俺はさ……」
ホーラの言葉に振り返ってしまったギルバードは言葉の途中で吐血する。
それを見ていたホーラは唇を噛み締め、泣きそうな顔をしてギルバードの名を叫んだ。
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