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3章 DT,先生じゃなく、寮父になる
95話 必要なモノと足りないモノらしいです
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次の日の早朝、テツ達の訓練を済ませた雄一は、今日から子供達が増えるから大鍋を2つ使って40人分はあるかという量のポトフを作っていた。
ティファーニアが連れてきた子達は、本人を入れて16人、こちらの家族を入れても30人は届かない。
なのにそんなに作っているかというと、それを下地にカレーを作り、夕飯にしようという考えがあったのである。
その為、今回のポトフは素材の味優先で薄味にしてある。
ポトフを作りながら、せっせとパンを焼いていっているが、明らかに窯の限界が見える。
雄一は、パンは外から定期的に買うという考えもあったが、勿論、買う事もあるが、基本的に自分達で作りたい。
何故なら、これからもっと増える子供達が作る機会を奪いたくないからである。
学校、確かに学力も大事だが、出てからが本番である。そこで社会に出た時の即戦力をつける為に、それぞれ本人の希望と本人の適性の特化した教育を施そうという考えがあった。
男だから、みんな冒険者になる訳じゃない。力仕事じゃない、服や装飾品を作る道に行く者もいるだろう。逆も然りである。
花嫁修業の一環で料理に触れる者や、自活する為に覚えようとするものがいるはずである。
場所の確保は建物を作る計画の中に組み込まれている。パンを焼く窯なども。
いざ、40人クラスの料理を作りだして、雄一は気付いてしまったのである。
鍋や、その他の道具が足りてない事に……
大きさや包丁や皿などの数が明らかに足りてなかった。
「まあ、調理道具関係はシホーヌに声をかけるとして……」
というか、他に依頼したらシホーヌはきっと泣くと雄一は確信に近いものを感じていた。
問題は教育する人材である。
料理や戦闘技術、学力であれば、雄一が代行できるし、ある程度ならテツ達が先生として張り切るだろう。料理は無理だろうが……
だが、専門的な分野となるとどうしても雄一達では手が足りないだけでなく、経験も足らない。
それを打破するキッカケになったのが画師が完成図を描きに来た時である。
画師といっても、絵だけで生活していける者は一握りであろう。商人ギルドで斡旋された仕事などをしながら芸術活動に勤しんでいる者ばかりと雄一は見ていた。
そこで、チップだと言って銅貨20枚握らせてみた。最初は報酬だと思って、嫌な顔をしていたが、チップと知ると嬉しそうにしていた。
外食するなら少し良い飯が食える程度の金額だったのに、目を輝かしているところを見て、やはり楽な生活はしてなさそうだと判断する。
これは画師に限った話ではないだろう。
一通りこなせるが、脚光を浴びずに埋もれるようにしている者や、引退して時間を持て余し気味の老人などがきっといると雄一は考えていた。
だが、それを捜すアテが雄一にはなかった。
「ここはやっぱり、アレクのおっさんに相談するのが賢いかな?」
そうと決まれば、ティファーニアとテツ達を連れて商人ギルドに行く事を決める。
考え事しながらポトフのスープを小皿に取り、味見をしようとするとズボンを引っ張る者が現れる。
雄一は苦笑しながら、眠くて目を擦りながらも、このタイミングを逃さない食い意地が勝るアリアに小皿を渡した。
朝食の準備が済み、配膳を済ませてテーブルに並ぶ、焼き立てのパンと3色の色を意識したサラダの大皿が中央に存在を主張するようにあるのをティファーニアが連れてきた子供達が口を開けて見つめる。
雄一が、サラダを各自の分を盛っていき、ティファーニアがパンを配っていく。
そして、また中央に置き、「食い終わったヤツで、まだ食えるヤツは自分で取って好きに食え」と笑みを浮かべて言うと口を開けてた子達が騒ぎ出す。
我先と座り、食べ始めようとする子供達に雄一は、待ったをかける。
「まだ食うなよ? 家の決まり事があってな?」
雄一は、いただきます、ごちそうさま、を教える。
「これを守れないヤツは、飯抜きだからな?」
元気良く返事する子供達。ティファーニアの家族の子供達にとって、雄一の言葉は絶対である。
ティファーニアは勿論、男の子の年長のバッツも雄一を尊敬している。
そのうえ、ポメラニアンが襲撃してきた時の雄一を離れてたところで見ていた、この子達からすれば、雄一は英雄である。
みんなで元気良く、『いただきます』をすると、賑やかに食事が始まる。
やはり躾をされてた訳ではないので、食べ方か汚い子がチラホラいるがそれは後々と考えるが、手掴みで食べる子だけには食器を使うように言うだけに留めた。
雄一は全体を見渡す。
あれほど無駄にでかいテーブルだと思っていたが、これだけ集まるとすし詰め状態である。
それを微笑ましく見ているとアリアがやってくる。自分の皿を雄一の隣に置くと雄一の膝に座り、クロにウィンナーを上げながら黙々と食べ始める。
もしかしたら、アリアは、みんなが雄一を見て微笑むからヤキモチを焼いたのかもしれないと思うと頬が緩む。
ミュウは何を思ったか、ポトフにフォークを突っ込み、何かを刺すと雄一の口元に差し出す。
「ユーイッ! あーん」
満面の笑顔で言ってくるミュウを呆れた顔で見つめる。
今の流れだけで見れば、いつもの雄一ならデレデレの顔をして口を開けていただろうが、ミュウのフォークの先にあるものは、ニンジンであった。
「あのな? 自分の嫌いな物を俺に食べさせようというのは、どうな……」
雄一がお小言を言いながら油断した瞬間を見抜いたミュウが、ニンジンを雄一の口にねじ込む。
ミュウは、してやったり、と言いたげな笑みを浮かべて、ガゥガゥと体を揺すって喜びを表す。
それを見て大声を上げて、椅子の上に立つ幼女が現れる。
「アタシもやるぅ!」
ポトフの入った皿を持って、こぼさないように急ぐ幼女、王都で雄一に化粧を施した子で名をラフラと言う。
嬉しそうにジャガイモを突き出す子の顔を曇らせるのは忍びなかった雄一はばれないように溜息を吐くとパクリと咥える。
すると、ラフラの後ろに列ができていてビックリする。
「なんで、並んでる?」
同じように並んでるバッツが面白そうに笑いながら言ってくる。
「楽しそうだから?」
雄一は、「なんだと……」と洩らすと先頭にいる前歯が欠けてる少年がサラダのレタスを突き出している。
こうなればヤケだと腹を括った雄一は、「今回だけだからな? 一人一口だけだからな!」というとパクリと咥えた。
そして、何人目か数えるのを止めた頃、トマトを差し出す幼女がいた。
「レイア……お前もミュウと同じか?」
頬を染めたレイアがそっぽ向いて、更に突き出してくるトマトを今度は溜息を隠さず吐くとトマトをパクリと食べた。
雄一は胃袋の限界に挑戦して生還を果たすと洗い物を始めていた。今度はティファーニアも参加してくれた。
「先生、すいません。これからは料理のお手伝いさせて頂きます」
「ああ、頼む。家の面子で料理ができるのが俺しかいないんでな」
ティファーニアは、えっ? と驚いた顔をする。
台所を覗き込んでいた3人、ホーラとポプリに目を向けると慌てて目を反らす2人を見てティファーニアは噴き出す。
「僕は手早くはできませんが、洗い物ぐらいなら、お手伝いできますよ」
そう言うと腕まくりしてティファーニアの隣に行って嬉しそうに洗い物を始める。
洗い物に参加するテツを悔しそうに見つめる2人に苦笑する。
「商人ギルドに行く時になったら呼びに行ってやるから、子供達の相手をしてこい」
雄一にそう言われた2人は、不貞腐れ気味に頷くと庭のほうへと歩いて行った。
ホーラとポプリと入れ替わりするようにして、リホウが疲れからか、ヨレヨレになって現れる。
「アニキ、只今、戻りました」
「おお、おかえり、どうだった?」
雄一は、「朝食は食ったか?」と聞きながら報告を聞く体勢になる。
「いえ、報告済んだら、さすがに寝させてください」
泣き崩れそうに項垂れるリホウに雄一は苦笑しつつ、報告を促す。
「あの資料の裏は取れました。全面的にあれを信用して動いて良さそうです。ただ……」
「ただ、なんだ?」
雄一が聞き返すと、言い難そうに言ってくる。
「調査で書かれてる人数の倍の傭兵、冒険者崩れが集まりつつあります。どちらの為かは分かりませんが、おそらく、こちらの情報は筒抜けと思っておいたほうがいいかもしれません」
雄一は、腕を組みながら一考すると決断する。
「その辺りの情報も欲しいな。その発生源を潰せるなら潰しておきたい」
「ええっ! パスッ! さすがに休ませてくださいよっ!」
雄一はニコニコと笑いながらリホウの肩に腕を廻し、リホウの掌に金貨を握らせる。
「アニキ、今の俺は金じゃなくて、休みが……」
「情報収集のお約束と言えば、夜。そして、定番はどこだ?」
リホウは眠い頭を必死に働かせ始める。
そして、リホウの目に理解の色が浮かぶと、「アニキ!」と感極まった声を上げる。
雄一は口の端を上げて頷くとリホウに伝える。
「報告は、明日の昼でいいぞ」
「やった――! アニキ、愛してるぅ~!」
リホウは、嬉しさを隠せず、スキップをして北川家を後にする。
リホウが去るのを見送った雄一は、洗い物を再開する為にテツ達の下へと帰る。
雄一が離れた事で洗い物を引き継いでいた2人が不思議そうに雄一に聞いてくる。
「先生、何のお話だったのですか?」
「リホウさん、今、子供達に元気良く手を振って、まだスキップしてますよ?」
窓から見える景色にリホウを捉えたテツが言ってくるのを聞いて、爆笑しそうになるが必死に耐える。
「大人は色々あるってことだ。飴とムチも使いよう……食わせ者を扱うのはもっと大変だ、てことだ」
何の事か分からず、首を傾げる2人を急かして洗い物を再開する。
洗い物を済ませるとテツ達4人を連れて、商人ギルドへと向かった。
ティファーニアが連れてきた子達は、本人を入れて16人、こちらの家族を入れても30人は届かない。
なのにそんなに作っているかというと、それを下地にカレーを作り、夕飯にしようという考えがあったのである。
その為、今回のポトフは素材の味優先で薄味にしてある。
ポトフを作りながら、せっせとパンを焼いていっているが、明らかに窯の限界が見える。
雄一は、パンは外から定期的に買うという考えもあったが、勿論、買う事もあるが、基本的に自分達で作りたい。
何故なら、これからもっと増える子供達が作る機会を奪いたくないからである。
学校、確かに学力も大事だが、出てからが本番である。そこで社会に出た時の即戦力をつける為に、それぞれ本人の希望と本人の適性の特化した教育を施そうという考えがあった。
男だから、みんな冒険者になる訳じゃない。力仕事じゃない、服や装飾品を作る道に行く者もいるだろう。逆も然りである。
花嫁修業の一環で料理に触れる者や、自活する為に覚えようとするものがいるはずである。
場所の確保は建物を作る計画の中に組み込まれている。パンを焼く窯なども。
いざ、40人クラスの料理を作りだして、雄一は気付いてしまったのである。
鍋や、その他の道具が足りてない事に……
大きさや包丁や皿などの数が明らかに足りてなかった。
「まあ、調理道具関係はシホーヌに声をかけるとして……」
というか、他に依頼したらシホーヌはきっと泣くと雄一は確信に近いものを感じていた。
問題は教育する人材である。
料理や戦闘技術、学力であれば、雄一が代行できるし、ある程度ならテツ達が先生として張り切るだろう。料理は無理だろうが……
だが、専門的な分野となるとどうしても雄一達では手が足りないだけでなく、経験も足らない。
それを打破するキッカケになったのが画師が完成図を描きに来た時である。
画師といっても、絵だけで生活していける者は一握りであろう。商人ギルドで斡旋された仕事などをしながら芸術活動に勤しんでいる者ばかりと雄一は見ていた。
そこで、チップだと言って銅貨20枚握らせてみた。最初は報酬だと思って、嫌な顔をしていたが、チップと知ると嬉しそうにしていた。
外食するなら少し良い飯が食える程度の金額だったのに、目を輝かしているところを見て、やはり楽な生活はしてなさそうだと判断する。
これは画師に限った話ではないだろう。
一通りこなせるが、脚光を浴びずに埋もれるようにしている者や、引退して時間を持て余し気味の老人などがきっといると雄一は考えていた。
だが、それを捜すアテが雄一にはなかった。
「ここはやっぱり、アレクのおっさんに相談するのが賢いかな?」
そうと決まれば、ティファーニアとテツ達を連れて商人ギルドに行く事を決める。
考え事しながらポトフのスープを小皿に取り、味見をしようとするとズボンを引っ張る者が現れる。
雄一は苦笑しながら、眠くて目を擦りながらも、このタイミングを逃さない食い意地が勝るアリアに小皿を渡した。
朝食の準備が済み、配膳を済ませてテーブルに並ぶ、焼き立てのパンと3色の色を意識したサラダの大皿が中央に存在を主張するようにあるのをティファーニアが連れてきた子供達が口を開けて見つめる。
雄一が、サラダを各自の分を盛っていき、ティファーニアがパンを配っていく。
そして、また中央に置き、「食い終わったヤツで、まだ食えるヤツは自分で取って好きに食え」と笑みを浮かべて言うと口を開けてた子達が騒ぎ出す。
我先と座り、食べ始めようとする子供達に雄一は、待ったをかける。
「まだ食うなよ? 家の決まり事があってな?」
雄一は、いただきます、ごちそうさま、を教える。
「これを守れないヤツは、飯抜きだからな?」
元気良く返事する子供達。ティファーニアの家族の子供達にとって、雄一の言葉は絶対である。
ティファーニアは勿論、男の子の年長のバッツも雄一を尊敬している。
そのうえ、ポメラニアンが襲撃してきた時の雄一を離れてたところで見ていた、この子達からすれば、雄一は英雄である。
みんなで元気良く、『いただきます』をすると、賑やかに食事が始まる。
やはり躾をされてた訳ではないので、食べ方か汚い子がチラホラいるがそれは後々と考えるが、手掴みで食べる子だけには食器を使うように言うだけに留めた。
雄一は全体を見渡す。
あれほど無駄にでかいテーブルだと思っていたが、これだけ集まるとすし詰め状態である。
それを微笑ましく見ているとアリアがやってくる。自分の皿を雄一の隣に置くと雄一の膝に座り、クロにウィンナーを上げながら黙々と食べ始める。
もしかしたら、アリアは、みんなが雄一を見て微笑むからヤキモチを焼いたのかもしれないと思うと頬が緩む。
ミュウは何を思ったか、ポトフにフォークを突っ込み、何かを刺すと雄一の口元に差し出す。
「ユーイッ! あーん」
満面の笑顔で言ってくるミュウを呆れた顔で見つめる。
今の流れだけで見れば、いつもの雄一ならデレデレの顔をして口を開けていただろうが、ミュウのフォークの先にあるものは、ニンジンであった。
「あのな? 自分の嫌いな物を俺に食べさせようというのは、どうな……」
雄一がお小言を言いながら油断した瞬間を見抜いたミュウが、ニンジンを雄一の口にねじ込む。
ミュウは、してやったり、と言いたげな笑みを浮かべて、ガゥガゥと体を揺すって喜びを表す。
それを見て大声を上げて、椅子の上に立つ幼女が現れる。
「アタシもやるぅ!」
ポトフの入った皿を持って、こぼさないように急ぐ幼女、王都で雄一に化粧を施した子で名をラフラと言う。
嬉しそうにジャガイモを突き出す子の顔を曇らせるのは忍びなかった雄一はばれないように溜息を吐くとパクリと咥える。
すると、ラフラの後ろに列ができていてビックリする。
「なんで、並んでる?」
同じように並んでるバッツが面白そうに笑いながら言ってくる。
「楽しそうだから?」
雄一は、「なんだと……」と洩らすと先頭にいる前歯が欠けてる少年がサラダのレタスを突き出している。
こうなればヤケだと腹を括った雄一は、「今回だけだからな? 一人一口だけだからな!」というとパクリと咥えた。
そして、何人目か数えるのを止めた頃、トマトを差し出す幼女がいた。
「レイア……お前もミュウと同じか?」
頬を染めたレイアがそっぽ向いて、更に突き出してくるトマトを今度は溜息を隠さず吐くとトマトをパクリと食べた。
雄一は胃袋の限界に挑戦して生還を果たすと洗い物を始めていた。今度はティファーニアも参加してくれた。
「先生、すいません。これからは料理のお手伝いさせて頂きます」
「ああ、頼む。家の面子で料理ができるのが俺しかいないんでな」
ティファーニアは、えっ? と驚いた顔をする。
台所を覗き込んでいた3人、ホーラとポプリに目を向けると慌てて目を反らす2人を見てティファーニアは噴き出す。
「僕は手早くはできませんが、洗い物ぐらいなら、お手伝いできますよ」
そう言うと腕まくりしてティファーニアの隣に行って嬉しそうに洗い物を始める。
洗い物に参加するテツを悔しそうに見つめる2人に苦笑する。
「商人ギルドに行く時になったら呼びに行ってやるから、子供達の相手をしてこい」
雄一にそう言われた2人は、不貞腐れ気味に頷くと庭のほうへと歩いて行った。
ホーラとポプリと入れ替わりするようにして、リホウが疲れからか、ヨレヨレになって現れる。
「アニキ、只今、戻りました」
「おお、おかえり、どうだった?」
雄一は、「朝食は食ったか?」と聞きながら報告を聞く体勢になる。
「いえ、報告済んだら、さすがに寝させてください」
泣き崩れそうに項垂れるリホウに雄一は苦笑しつつ、報告を促す。
「あの資料の裏は取れました。全面的にあれを信用して動いて良さそうです。ただ……」
「ただ、なんだ?」
雄一が聞き返すと、言い難そうに言ってくる。
「調査で書かれてる人数の倍の傭兵、冒険者崩れが集まりつつあります。どちらの為かは分かりませんが、おそらく、こちらの情報は筒抜けと思っておいたほうがいいかもしれません」
雄一は、腕を組みながら一考すると決断する。
「その辺りの情報も欲しいな。その発生源を潰せるなら潰しておきたい」
「ええっ! パスッ! さすがに休ませてくださいよっ!」
雄一はニコニコと笑いながらリホウの肩に腕を廻し、リホウの掌に金貨を握らせる。
「アニキ、今の俺は金じゃなくて、休みが……」
「情報収集のお約束と言えば、夜。そして、定番はどこだ?」
リホウは眠い頭を必死に働かせ始める。
そして、リホウの目に理解の色が浮かぶと、「アニキ!」と感極まった声を上げる。
雄一は口の端を上げて頷くとリホウに伝える。
「報告は、明日の昼でいいぞ」
「やった――! アニキ、愛してるぅ~!」
リホウは、嬉しさを隠せず、スキップをして北川家を後にする。
リホウが去るのを見送った雄一は、洗い物を再開する為にテツ達の下へと帰る。
雄一が離れた事で洗い物を引き継いでいた2人が不思議そうに雄一に聞いてくる。
「先生、何のお話だったのですか?」
「リホウさん、今、子供達に元気良く手を振って、まだスキップしてますよ?」
窓から見える景色にリホウを捉えたテツが言ってくるのを聞いて、爆笑しそうになるが必死に耐える。
「大人は色々あるってことだ。飴とムチも使いよう……食わせ者を扱うのはもっと大変だ、てことだ」
何の事か分からず、首を傾げる2人を急かして洗い物を再開する。
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