異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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3章 DT,先生じゃなく、寮父になる

96話 適材適所らしいです

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 商人ギルドに向かおうと思ったがシホーヌに食器などの注文をするのを忘れていたので姿を捜すと、ホーラ達とは別、主に男の子達が集まるメンバーの中で一緒に遊んでいるシホーヌとアクアを発見する。

 どうやら鬼ごっこをしているようでシホーヌは子供の単純な連携で家と家の間の隙間に追われ、挟まれて半泣きになっている。
 近くの草むらにはニットワンピースのスカート、お尻がはっきりと出ており、間違いなくシホーヌの次の犠牲者確定であろう。

 そして、無事? に2人が掴まるのを確認した雄一は子供達に声をかける。

「遊んでるところ悪い。ちょっと、残念な子に用があるから貸してくれないか?」

 雄一がそういうとバッツがシホーヌとアクアのお尻を押すようにして雄一の前へと連れていく。

「どっち?」
「金色のほう」

 そういうとシホーヌを突き出すようにしてくる。

「残念な子って何なのですぅ!」

 シホーヌはプンスカと怒りだし、後ろに取り残されたアクアは、「選ばれたのは私じゃない……でも否定された訳でもないような……」と呟き、シクシクと泣く。

「じゃ、お頭の足らないお前に用があるんだが……」
「今度は、お頭! もっと奥さんを大事にするのですぅ」

 雄一は、「はい、はい」と頭をポンポンと叩き、最後にアホ毛を指で弾く。

 弾かれたと同時にシホーヌは「痛いのですぅ!」と騒ぐのを見て、あのアホ毛に少し興味が沸いたが今回は用事を優先する。

「用と言うのは、食器、皿などもそうだが、調理道具などが足らなくなるから追加を頼みたいんだが?」

 プンスカと怒っていたシホーヌであるが、そう言われた瞬間、目を輝かす。

「それはつまり私の腕を振るう出番が来たのですぅ?」
「ない、作る方向では来る事のない出番だ。子供達を殺す気か?」

 雄一が間髪置かずに迷いもなく否定されたシホーヌは目端に涙を溜めて、駄々っ子パンチをしてくる。

 シホーヌに駄々っ子パンチさせながら何事もなかったかのように話を続ける。

「子供達は、今以上に増える予定だ。それに調理実習もする事あるだろうから、それなりの数が欲しいんだ」

 駄々っ子パンチをしていたシホーヌが閃いたような顔をする。

「その調理実習に私も参加……」
「すまん、子供達の安全は俺が守らないといけないから諦めろ」

 心を折られたシホーヌはアクアに抱き付き、アーンアーンと赤子のように泣く。

 アクアは表情をキリッとさせると雄一を見つめてくる。

「では、このアクアが微力ながら……」
「米も炊けんヤツはおとなしくしてろ」

 そう言われた瞬間、視線を明後日に逃がす。

 実はアクアは米を炊く事はできると以前、雄一に嘘を吐いたのである。

 雄一からの視線に耐えられなくなったアクアもシホーヌと共にさめざめと泣き始める。

「まあ、俺からの用事は食器などの追加だ。用は済んだから、戻って遊んできてもいいぞ?」
「もう遊ぶ気も起きないのですぅ」
「中断させられて、やる気が失せました……」

 唇を尖らせながら言うシホーヌとアクアは、チラチラと雄一を見ながら言ってくる。

 勿論、雄一は2人が望むモノが何かは見当がついているが、なんとなく抵抗があったので別の手に訴える。

「あっ~バッツ? 遊びが一段落したら台所にクッキーと牛乳があるから、遊んだ奴らだけで食べてくれ。向こうの女の子が固まってるとこに声をかけてくれな?」
「やったぁ――! ありがとうな、あんちゃん」

 それを聞いた子供達からも嬉しそうな声が聞こえる。

 同じように聞いた大きい子供は、

「頑張って遊んでお腹を空かせるのですぅ~」
「鬼のままで終われませんからね!」

 やる気を漲らせて、スキップしながら子供達に合流しに行く。

 その後ろ姿を見ていた雄一は、「チョロい」と呟き、口の端を上げた。


 シホーヌに用事を伝え終えた雄一は、再び、テツ達と合流する。

 待たせてスマンと詫び、商人ギルドへと向かった。





 商人ギルドにやってきた雄一達は、周りを見渡すという無駄な行為を止めて、いつでも閑古鳥が鳴いているカウンターへと直行する。

 気分はもうV.I.Pである。

 だが、当然、全然嬉しくない雄一であった。

「よう、早速、変更依頼か? 今ならどこでも手を加える事ができるぞ」
「いや、今日は新しい依頼と、その場所で先生をやる予定の奴らを紹介にきた」

 そういうとテツ達をアレクの前に出す。

 テツ達は、簡単な自己紹介をした後、一礼すると雄一の後ろへと戻る。

「まあ、お前さんが先生に推すんだから、問題がないと判断してるんだろうが、さすがにちょっと若くないか?」

 眉を寄せるアレクが雄一に言ってくるが雄一は頬笑みながら答える。

「先生ってのは、教える事より学ぶ事のほうが多いだろ? それは仕事でも同じなんじゃないか?」

 雄一にそう言われたアレクは肩竦めて、「グゥの音も出ないな」と苦笑してくる。

 新人教育をしていると自分の習熟度の甘さを再認識したり、知らないからこそ固定概念のない者の言葉に打ち抜かれたりするのである。

 結果、教えてるつもりで教わってる事があったりする。

「まあ、こいつらが先生をやる上で必要と感じたモノが今後出てくると思う。その時は、相談に乗ってやってくれ」
「ああ、分かった。細々した案件で毎回、お前に許可取りに行くのが面倒だから費用の上限を決めてくれるか。その範囲を超えたら相談に行くから」

 雄一は、アレクに金貨5枚と答えると呆れた顔したアレクに言われる。

「金貨1枚でもいいだろう? 5枚もいいと許可するとネコババしたい放題だぞ?」
「大丈夫だ。俺も人を見てから言ってるからな」

 虚を突かれた顔をするアレクであったが、おっさんが出せる味のある笑みを雄一に向ける。

 雄一も返礼とばかりに口の端を上げる。

「それは期待に応えないとな? で、もう1つの用件は?」
「ああ、学校で学力と武力は鍛えてやれるが、仕事の技術関係となる俺達は素人同然だ」
「なるほどな、画師にチップを渡した話をした時から、そう言ってくる可能性は考えてた」

 雄一は、アレクが片付けられてない机の上の山を切り崩すようにして出してきた資料を見つめて、何か想像付いて目を細めて見つめる。

「これは、ダンガに住む、それぞれの技術を持つモノで商人ギルドに登録している者だ。後、引退して商人ギルドの資格を削除したジイサン、バアサンの名前も入ってる」

 雄一に、「ジイサン、バアサンでも問題ないだろ?」と言うアレクに雄一は頷く。

 雄一は、渡された書類に目を通していくが、後ろにいるテツ達がソワソワしてるのに気付いて振り向く。

「どうした?」
「あの、僕達にもその資料を見せてください」

 そう言ってくるテツを見て、「そりゃ、興味があって当然だな」と言うとテツ達に詫びると読んだ書類をテツ達に渡していく。

「こんな事を教えてくれる人がいる? これは驚きさ、これはアタイも教えて欲しいぐらい」
「あっ、あっ、これなんか、私も小さい頃、教えてくれる人がいたら教わりたかった」

 楽しそうに語る4人を横目に雄一は資料を読み進める。

 ふと、気になる書類を発見する。

『恋のhow to  講師 アレクサンダー』

 それを虚ろな瞳で見つめた雄一は、そっと隣のカウンターのケイトさんの前へと滑らせる。

 雄一の行動に気付いたアレクが書類を横から覗きこみ、「なっ!」と短く叫ぶ。

「ケイト! 見ずに俺に返せっ!」

 そう言われたケイトさんは、ニッコリと笑うとアレクの言葉を無視して書類に目は走らせると「ぶふぅ」と噴き出す。

 体を痙攣させて、取り返そうとするアレクから必死に書類を庇い、正面にいるケイトさんのお客さんにパスして笑いの連鎖が始まる。

 商人ギルド内を回覧板よろしく、と言わんばかりに廻りに廻って雄一の下へと戻ってくる。

 不貞腐れたアレクに雄一はその書類を返却しようとする。

「今回は、御縁がなかったようで……」
「それって、次もないって言ってるよな!」

 アレクが、「この書類の内容は一推しなんだ。是非、持って帰って精査しろ」と言って雄一の手にねじ込もうとする。

 雄一も負けずに、「これを必要とするのは、おっさんだろうがっ!」と言って付き返すという不毛な戦いが帰るまで続いた。

 資料を読み終え、そろそろ、お昼の準備に取り掛からないといけない時間になるとティファーニアが雄一を揺すって言ってくる。

「そういう事だから、またな、おっさん」
「おい、大事なモノを忘れてるぞ!」

 アレクが、必死にアピールしてくるが雄一はそれを無視してテツ達を引き連れて逃げるように帰った。
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