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3章 DT,先生じゃなく、寮父になる
97話 力の活かし方らしいです
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雄一達は、子供達をお昼寝に寝かしつけた後、夕飯の仕込みのカレーの準備に追われていた。
朝食のポトフも10人以上余裕を持ったつもりだったが、雄一の予想を超えて残ると思っていた量が半分になってしまっていた。
その結果、逞しい子供達である事に雄一は頬を緩ませる。
足りなくなった材料を加える為に雄一とティファーニア、テツが野菜の皮むきをしていた。
ホーラとポプリは開き直ったのか、台所の入口の所でアレクに貰った資料を眺めながら、あれこれと夢想してニヤニヤしていたのを皮むきしながら見ていた雄一が声をかける。
「俺達が良かれと思って講師を呼んで、最低、身に付けて欲しい事を覚えさせるのもいいが、子供達の夢などを確認してその道筋に必要な知識の洗い出しが必要だろうな」
「ユウイチさん! もうっ、もうっ、見てるポイントが素晴らしいですぅ。さすがぁ、私の旦那様ぁ」
ポプリが、「まだ、先の話なのにぃ、いやん」と身をくねらせてるのをホーラは、唾を吐きそうな顔をして見つめているのを苦笑いで見守る雄一。
ホーラは気を取り直したのか、それとも、まだトリップ中のポプリを放置する為かは分からないが雄一に視線を向ける。
「じゃ、あの子達が目を覚ましたら確認を取るさ」
そう言ってくるホーラに雄一は首を横に振りながら布巾で手を拭く。
雄一に否定されて、どうして? と雄一に目で訴えてくるホーラに近づくと頭に掌を置く。
「ホーラ、このダンガにいる10歳未満のストリートチルドレンはどれくらいいる?」
「えーと……多分、50人ぐらい……あっ、まさか、ユウ!」
雄一の思惑に気付き、驚くホーラに雄一は笑みを浮かべる。
「ホーラはいつも同じ境遇の子達を見つめて、何かしたいと思ってたんだろう? まだ建物ができるまで青空教室だし、住まわせる場所がまだないから声をかけてもどれくらい集まるか分からないが……やりたいようにやってこい」
雄一はホーラと目線を合わせて、「お前が導いてやれ」と笑みを見せる。
ホーラは、しゃがむ雄一の首に背伸びをして両手を廻し、ギュッと抱き付く。
そんなホーラに雄一はポンポンと優しく背中を叩く。
「ホーラがはにかむように笑ってる。本当に嬉しいのね」
「あのホーラ姉さんはレアですよ? 次はいつ見れるやら?」
見てて心が洗われると微笑むティファーニアに、やれやれ、と言いたげなテツが説明する。
ホーラは俯いたまま、雄一から飛び離れると近くにあったジャガイモを手に持つとテツ目掛けて投げつける。
ティファーニアに説明するのに熱が入り、ドヤ顔するテツの頬を打ち抜く。
痛みに悶絶するテツを呆れた目で見つめるティファーニアが溜息を零す。
「今のはテツ君が悪いわよ?」
テツはダブルパンチにシクシクとしゃがみ込んで泣く。
飛び離れたホーラは頬を朱に染めつつ、未だ悶えるポプリの頭を叩く。
「イタッ、何するのっ! これからユウイチさんと初夜を迎える為に念入りに体を洗ってるところでムネワクな展開だったのにっ!」
どうやら、かなり危険な領域まで突入中だったようである。
正気に戻ったポプリの手を掴むと引きずりだす。
「これから学校を開くって声かけしにいくさ。アンタも手伝いなっ!」
ホーラに引きずられて台所から出て行ったポプリは、「いきなり、どうしたの? それより、貴方の顔、真っ赤だけど大丈夫っ?」という声を響かせる。
ティファーニアは雄一を見つめて微笑んでくる。
雄一はそれに肩を竦めて応えるとお互い笑みを浮かべ合うと野菜の皮むきを再開した。
雄一達に放置されて下準備に戻られたテツは、ガチでヘコミながらも全てを受け入れた老人のような達観した様子で窓から見える青空を眩しげに見つめる。
「また、放置ですか……神様……僕の放置率高くないですか?」
テツは男泣きをする。
だが、テツは今、子供達の中で鼻提灯を作りながら眠る者が神であると認識していない幸せを理解していなかった。
何故なら、知らないから神に縋る事ができるのだから……
テツは強い子だったので、それで気持ちの整理を済ませると皮むきに戻る。
戻ったテツを見て、あっ! と口に手を当ててティファーニアに驚かれて、2度目のヘコミを体験するのは別の話である。
そして、夕食の時間になり、カレーの匂いにやられた欠食児童達の対応に追われながら楽しい夕食が進む。
夕食を食べながらダンガのストリートチルドレン達の話を楽しげに語るホーラから報告を受けながら夜は更けていった。
▼
その深夜。
「俺はねぇ、自分の能力が嫌いだったですよ?」
金髪の髪を後ろに流し、軽薄そうな笑みを浮かべる男が目の前にいる明らかにスタイルから女と分かるメリハリの利いた黒装束に向かって話しかける。
覆面の隙間から出る耳が尖がってるところから、おそらくエルフであると思われる。
男は腰かけながら、「聞いてますか?」と力みもない声で問いかけるが、相手の反応を無視して頷き、話を再開する。
「自分の能力って、どう見ても暗殺向きでしょ? でも俺ってそういうの嫌なんですよ。だから、適当に冒険者やって、適当に生きて、ジジイになってポックリいこうと思いながら生きてたら出会っちゃったんですよ」
沈みゆく月へと視線を移し、続きを口にする。
「そんな時にアニキに出会ったですよ。初めて会った時は、たいした事のないヤツだと思ったんですがね? やりあったら、気付いたら気絶させられてました。これでも相手との実力を計れると思ってたのに分からなかった」
目の前のエルフの女性は汗を滲ませながら、逃げ道を模索するが見つけられないようで舌打ちする。
「まあ、分からないなりに、この人に着いて行ったら適当に生きるにしても今より楽しいだろうと思って、頭下げてなんとか舎弟にして貰えた」
男は嬉しそうに月に向かって笑みを浮かべるが逃げる隙は生まない。
「そして、エイビスという商人の報告を持って行った後、帰り際に言われたセリフは……一生忘れないだろうな」
男は月に向かった両手を広げて、月光浴をするようにしながら月に微笑む。
瞳に焦りを浮かばせるエルフの女性に視線を戻す。
「なんて言ったと思います。アニキは、『お前のその力を使って、俺と一緒に子供達の闇を担ってくれないか?』って言われたんですよ。全身に鳥肌が立つほど震えましたよ。なんでアニキが俺の能力を知ってるかなんてどうでも良くなるほどに……」
神へと真摯に祈るように胸に手を当てる男に恐怖する。
エルフの女性は、はっきりと認識する。
この男にとってそのアニキという者、その周辺以外のモノの価値は等しく同じで無価値だと。
「人から見れば、やってる事は似たようなモノに映るかもしれませんがね? それでも俺は満たされてますよ。誰かの為、そして、それを理解する者に使われる喜びにね」
男はそっと指をエルフの女性に向ける。
それだけでエルフの女性は身を固くする。
それを見つめる男は、失笑すると上げた指を下ろす。
「止めときましょう。アニキは女には甘いですから、きっと1度は見逃すでしょう。特にアンタのような事情を抱える相手ならね」
「本当に見逃すというの?」
疑うように言ってくるエルフの女性に軽薄な笑みを浮かべる男は頷く。
「1度だけです。よく覚えておくといい。アンタ達が敵に廻そうとしてる相手は軍隊相手にも口の端を上げて立ち塞がるような男を相手にしてると」
男は腰を下ろしていた死体の山から立ち上がると背を向けて歩き出す。
去ろうとする男に口を開くか悩む様子を見せたエルフの女性は、男の気が変わる恐れを飲みこんで離れ行く背中に声をかける。
「貴方が言うアニキが見逃す理由は分かった。でも貴方は何故?」
男は、首だけで振り向き、小さく笑みを浮かべる。
「気紛れですよ。そうですね、月明かりの美しさに目を奪われて、1人見逃したと思ってくださいな」
男はそういうと今度は振り向きもせずに去って行った。
エルフの女性は、男の姿が見えなくなると膝から崩れ落ちる。
「あんな男が着き従う相手に敵対するのは馬鹿げてる」
辺りに転がる30人は超える死体を見つめて額の汗を拭う。
「今回の件からは、手を引くしかないわね。でも、私の目的とぶつかった時は……」
エルフの女性は目を閉じて、気持ちの整理をするように呟く。そして、目を開くと男と反対側を目指して歩き出す。
「その時は、死ぬ覚悟をして挑むしかないわね……気が重いわ」
口調の軽さとは裏腹に決死の覚悟を秘めた瞳を前方を見つめて歩き去った。
朝食のポトフも10人以上余裕を持ったつもりだったが、雄一の予想を超えて残ると思っていた量が半分になってしまっていた。
その結果、逞しい子供達である事に雄一は頬を緩ませる。
足りなくなった材料を加える為に雄一とティファーニア、テツが野菜の皮むきをしていた。
ホーラとポプリは開き直ったのか、台所の入口の所でアレクに貰った資料を眺めながら、あれこれと夢想してニヤニヤしていたのを皮むきしながら見ていた雄一が声をかける。
「俺達が良かれと思って講師を呼んで、最低、身に付けて欲しい事を覚えさせるのもいいが、子供達の夢などを確認してその道筋に必要な知識の洗い出しが必要だろうな」
「ユウイチさん! もうっ、もうっ、見てるポイントが素晴らしいですぅ。さすがぁ、私の旦那様ぁ」
ポプリが、「まだ、先の話なのにぃ、いやん」と身をくねらせてるのをホーラは、唾を吐きそうな顔をして見つめているのを苦笑いで見守る雄一。
ホーラは気を取り直したのか、それとも、まだトリップ中のポプリを放置する為かは分からないが雄一に視線を向ける。
「じゃ、あの子達が目を覚ましたら確認を取るさ」
そう言ってくるホーラに雄一は首を横に振りながら布巾で手を拭く。
雄一に否定されて、どうして? と雄一に目で訴えてくるホーラに近づくと頭に掌を置く。
「ホーラ、このダンガにいる10歳未満のストリートチルドレンはどれくらいいる?」
「えーと……多分、50人ぐらい……あっ、まさか、ユウ!」
雄一の思惑に気付き、驚くホーラに雄一は笑みを浮かべる。
「ホーラはいつも同じ境遇の子達を見つめて、何かしたいと思ってたんだろう? まだ建物ができるまで青空教室だし、住まわせる場所がまだないから声をかけてもどれくらい集まるか分からないが……やりたいようにやってこい」
雄一はホーラと目線を合わせて、「お前が導いてやれ」と笑みを見せる。
ホーラは、しゃがむ雄一の首に背伸びをして両手を廻し、ギュッと抱き付く。
そんなホーラに雄一はポンポンと優しく背中を叩く。
「ホーラがはにかむように笑ってる。本当に嬉しいのね」
「あのホーラ姉さんはレアですよ? 次はいつ見れるやら?」
見てて心が洗われると微笑むティファーニアに、やれやれ、と言いたげなテツが説明する。
ホーラは俯いたまま、雄一から飛び離れると近くにあったジャガイモを手に持つとテツ目掛けて投げつける。
ティファーニアに説明するのに熱が入り、ドヤ顔するテツの頬を打ち抜く。
痛みに悶絶するテツを呆れた目で見つめるティファーニアが溜息を零す。
「今のはテツ君が悪いわよ?」
テツはダブルパンチにシクシクとしゃがみ込んで泣く。
飛び離れたホーラは頬を朱に染めつつ、未だ悶えるポプリの頭を叩く。
「イタッ、何するのっ! これからユウイチさんと初夜を迎える為に念入りに体を洗ってるところでムネワクな展開だったのにっ!」
どうやら、かなり危険な領域まで突入中だったようである。
正気に戻ったポプリの手を掴むと引きずりだす。
「これから学校を開くって声かけしにいくさ。アンタも手伝いなっ!」
ホーラに引きずられて台所から出て行ったポプリは、「いきなり、どうしたの? それより、貴方の顔、真っ赤だけど大丈夫っ?」という声を響かせる。
ティファーニアは雄一を見つめて微笑んでくる。
雄一はそれに肩を竦めて応えるとお互い笑みを浮かべ合うと野菜の皮むきを再開した。
雄一達に放置されて下準備に戻られたテツは、ガチでヘコミながらも全てを受け入れた老人のような達観した様子で窓から見える青空を眩しげに見つめる。
「また、放置ですか……神様……僕の放置率高くないですか?」
テツは男泣きをする。
だが、テツは今、子供達の中で鼻提灯を作りながら眠る者が神であると認識していない幸せを理解していなかった。
何故なら、知らないから神に縋る事ができるのだから……
テツは強い子だったので、それで気持ちの整理を済ませると皮むきに戻る。
戻ったテツを見て、あっ! と口に手を当ててティファーニアに驚かれて、2度目のヘコミを体験するのは別の話である。
そして、夕食の時間になり、カレーの匂いにやられた欠食児童達の対応に追われながら楽しい夕食が進む。
夕食を食べながらダンガのストリートチルドレン達の話を楽しげに語るホーラから報告を受けながら夜は更けていった。
▼
その深夜。
「俺はねぇ、自分の能力が嫌いだったですよ?」
金髪の髪を後ろに流し、軽薄そうな笑みを浮かべる男が目の前にいる明らかにスタイルから女と分かるメリハリの利いた黒装束に向かって話しかける。
覆面の隙間から出る耳が尖がってるところから、おそらくエルフであると思われる。
男は腰かけながら、「聞いてますか?」と力みもない声で問いかけるが、相手の反応を無視して頷き、話を再開する。
「自分の能力って、どう見ても暗殺向きでしょ? でも俺ってそういうの嫌なんですよ。だから、適当に冒険者やって、適当に生きて、ジジイになってポックリいこうと思いながら生きてたら出会っちゃったんですよ」
沈みゆく月へと視線を移し、続きを口にする。
「そんな時にアニキに出会ったですよ。初めて会った時は、たいした事のないヤツだと思ったんですがね? やりあったら、気付いたら気絶させられてました。これでも相手との実力を計れると思ってたのに分からなかった」
目の前のエルフの女性は汗を滲ませながら、逃げ道を模索するが見つけられないようで舌打ちする。
「まあ、分からないなりに、この人に着いて行ったら適当に生きるにしても今より楽しいだろうと思って、頭下げてなんとか舎弟にして貰えた」
男は嬉しそうに月に向かって笑みを浮かべるが逃げる隙は生まない。
「そして、エイビスという商人の報告を持って行った後、帰り際に言われたセリフは……一生忘れないだろうな」
男は月に向かった両手を広げて、月光浴をするようにしながら月に微笑む。
瞳に焦りを浮かばせるエルフの女性に視線を戻す。
「なんて言ったと思います。アニキは、『お前のその力を使って、俺と一緒に子供達の闇を担ってくれないか?』って言われたんですよ。全身に鳥肌が立つほど震えましたよ。なんでアニキが俺の能力を知ってるかなんてどうでも良くなるほどに……」
神へと真摯に祈るように胸に手を当てる男に恐怖する。
エルフの女性は、はっきりと認識する。
この男にとってそのアニキという者、その周辺以外のモノの価値は等しく同じで無価値だと。
「人から見れば、やってる事は似たようなモノに映るかもしれませんがね? それでも俺は満たされてますよ。誰かの為、そして、それを理解する者に使われる喜びにね」
男はそっと指をエルフの女性に向ける。
それだけでエルフの女性は身を固くする。
それを見つめる男は、失笑すると上げた指を下ろす。
「止めときましょう。アニキは女には甘いですから、きっと1度は見逃すでしょう。特にアンタのような事情を抱える相手ならね」
「本当に見逃すというの?」
疑うように言ってくるエルフの女性に軽薄な笑みを浮かべる男は頷く。
「1度だけです。よく覚えておくといい。アンタ達が敵に廻そうとしてる相手は軍隊相手にも口の端を上げて立ち塞がるような男を相手にしてると」
男は腰を下ろしていた死体の山から立ち上がると背を向けて歩き出す。
去ろうとする男に口を開くか悩む様子を見せたエルフの女性は、男の気が変わる恐れを飲みこんで離れ行く背中に声をかける。
「貴方が言うアニキが見逃す理由は分かった。でも貴方は何故?」
男は、首だけで振り向き、小さく笑みを浮かべる。
「気紛れですよ。そうですね、月明かりの美しさに目を奪われて、1人見逃したと思ってくださいな」
男はそういうと今度は振り向きもせずに去って行った。
エルフの女性は、男の姿が見えなくなると膝から崩れ落ちる。
「あんな男が着き従う相手に敵対するのは馬鹿げてる」
辺りに転がる30人は超える死体を見つめて額の汗を拭う。
「今回の件からは、手を引くしかないわね。でも、私の目的とぶつかった時は……」
エルフの女性は目を閉じて、気持ちの整理をするように呟く。そして、目を開くと男と反対側を目指して歩き出す。
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