異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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7章 DT包囲網!?

187話 とある親馬鹿がやらかしたことらしいです?

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 雄一が冒険者ギルドに向かった頃、シャーロットとメリーは手を繋いで市場を歩いていた。

 シャーロットは、美少女台無しという具合に口を開けて驚く。

 王都側から雄一が住む場所に向かうまでは、綺麗に整備された街だな、という印象だった。
 だが、海側、王都と反対側は、良く言えば活気に溢れ、表情豊かに商売に励む姿、客を呼び込む者、周りを見渡し買い物を楽しむ者などが至る場所で見かけられる。

 勿論、悪く言えば、煩いであった。

 これでもシャーロットはペーシア王国の城仕えだったので住まいも王都だったから、ペーシア王国で一番栄えてた場所に触れ合って生きてきた。

 全部を見て廻った訳ではないが、パラメキ国は急激な復興が目覚ましいが、ペーシア王国のほうが一枚上だと判断していた。

 見て、驚嘆の思いをさせられたのは、ナイファ国の王都の盛況ぶりは自国と比べて、勝ってる場所を探すのが難しいと言わざる得なかった。
 かろうじて、海鮮物の取り扱いだけは勝てたと言えるが港と隣接する場所が負けてたら笑えない勝利であった事はシャーロットも気付いていた。

 ナイファ国の王都キュエレーでも驚かされたが、ここは別格であった。

 食料品は色とりどりに並び、山のように積まれているのに見てる傍から飛ぶように売れていくのが自然なのか、大八車に積んでいく姿が沢山見られるが誰も驚いてるような顔をしていない。

 更に驚かされたのが露店に無造作に置かれている商品である。

 フラフラとふらつきながらもメリーの手を離さないシャーロットは目を剥き出しにしながら、その露店の商品を間近で見る為にしゃがみ込む。

 震える手で小瓶を掴むと日に翳して中身を確認する。

「どうだい? 安くしておくよ? 3つ以上買ってくれるなら1本サービスするよ」

 そう言う10歳ぐらいの少年が歯の欠けた顔に大きな笑みを浮かべる。

 シャーロットは震える声でその少年に問う。

「これは3級ポーションだな? なのに、こんな無造作に露店に並べて、何故、値段が銅貨10枚で売られてるっ!」
「ああ、お姉さん余所の国の人で、最近、ダンガに来た人?」

 楽しそうに笑う少年は、シャーロットにそう質問を質問で返すと訳知り顔で頷く。

 今のやり取りで、シャーロットもここではこれが普通・・である事に気付かされて思考が停止しそうになる。

 何故なら、ポーションには等級があり1~5のランクがあり、1が良くて、5が悪いというランク付けである。

 素人判断で等級を見分けるのは透明度が知られている。だから、シャーロットも日に透かして透明度を見ていた。

 この銅貨10枚というのが5級ポーションであれば、叩き売りか、とシャーロットも平静でいられたであろう。

 だが、3級ポーションでこの値段は有り得ない。

 ペーシア王国であったら、高級薬品店で箱に入れられて、店頭に置かずに店の奥に仕舞っている。

 値段も安くとも銀貨5枚はする代物である。

 5万円もするモノが1千円売られているのを見て驚くようなものである。まして、大量生産ができず、それだけのモノが作れる者が少なく出回らないから、その驚きは大きい。

「だったら、これを見たら驚いてくれるかな?」

 イタズラ小僧の顔になる少年は、自分の掌を浅くナイフで切ってみせる。

 それに慌てたシャーロットが血止めをする為にハンカチを取り出そうする。

「何をやってるんだ! 無闇に自分を傷つけるものじゃないっ!」
「大丈夫だよ、お姉さん。お姉さんが握ってるポーションをオイラの傷にかけてみてよ?」

 少し痛そうにはしてるが、少しも焦ってない少年に目を白黒させるシャーロットは少年に急かされてビンの蓋を取ると血を洗い流すようにかける。

 かけた場所が一瞬光ったような気がしたが、少年がポーションをズボンで擦りつけるようにして拭くと掌を差し出してくる。

 その掌を見て、シャーロットはびっくりする。

 掌には切り傷跡はあるが血が止まってたからである。

「なんだっ! 3級じゃないのか? こんな事ができるのは2級、下手したら1級じゃないと……」
「らしいね、でもこれがダンガでやっと3級を名乗らせてくれるポーションさ」

 少年曰く、この3級ポーションは2級ポーションを作ろうとした失敗作らしい。

 値段だけでなく、効用まで規格外と知ってシャーロットは少年を問い詰めるように聞く。

「何故、これだけのモノをこんな安く売る?」
「まあ、失敗作という事もあるけど、オイラ達をそう育ててくれたからかな?」

 少年の物言いが理解できずのシャーロットは混乱する。

 育てられたから、そうなるとはどういう事だと思考が停止しかけるシャーロットに更に追い打ちをかける少年。

「ダンガじゃ、薬草は簡単に冒険者ギルド経由で手に入るし、農業として薬草栽培を取り組む兄弟もいる。凄いんだぜ? まだ、量は取れないけど自生してる薬草と比べ物にならないクォリティーだからな」

 少年は兄弟自慢、姉や妹も多くいるようで誇らしげに語り出す。

 少年から聞かされた内容はこうだ。

 鍛冶や彫金する兄弟、姉妹は、専属の冒険者を抱えて、金属や宝石、繊維の採取を依頼する代わりに安く、オーダーメイドの品を提供する事で、持ちつ持たれつの関係を築いているらしい。

 材料に困らないから、何度も試行錯誤を繰り返されるから、どんどん腕は向上していく。

 そして、失敗作は格安で市場に降ろす。

 その降ろした武具や装飾品は、駆け出しの冒険者達や、若い子達に出回る。それを使って良い印象を持つ者がまた、その作った者の物を求めるという循環を生むらしい。

 駆け出し冒険者からすれば、安く手に入り、生き残る確率があがる。作る側はリピーターになってくれるのを期待する。

「す、凄い事は分かった。でも、こうも無造作に置いておいていいのか? それにこれだけのポーションだったら違う場所で転売されるだろう?」

 まだ色々、追い付いてないシャーロットだったが必死に話に着いて行こうとする。

 そう言われた少年は笑みを浮かべるのでシャーロットは目を白黒させる。

「その心配はほとんどないかな? 盗まれる可能性だよね?」

 少年は、「あれを見て」と指を指してくる。

 それに釣られるように見た先では、若い冒険者風の少年達、3人が周りに目を光らせながら歩いている。

 良く見ると違う場所で同じように3人組が見て廻ってるのに気付く。

「ダンガの冒険者が兵達では手に負えない部分をフォローしてくれてるから、ここの事情を知る者なら、まずやらないね」

 なるほど、と納得する。

 シャーロットの目から見ても、周りを見渡す冒険者は腕が立つのが見て取れた。それを見ながら、よくこんな下っ端がするような依頼を受けてる、と思わず思ってしまうぐらいの少年達であった。

 こんな依頼を受ける冒険者がいる事にはびっくりだが、安全性は理解したシャーロットだったが、「転売は?」と聞く。

「それはね、他に運ぶ手間賃と思って、せいぜい儲けさせておけ、と言われてるんだ」

 ニコニコと嬉しそうにする少年に更に驚かされる。

 手間賃にはでかすぎる、と驚くが、『言われてる』という言葉に引っかかりを覚えたシャーロットは誰が言ったか聞くと絶句してしまう。

「ユウイチ父さんにそう言われたんだ。沢山売ってやって、どれだけで仕入れて転売してると知られた時に足元を見て商売してたと知った客がどういう対応するか、身を持って教えてやれって」

 その言葉から、この少年があの学校出身である事を知る。

 ダンガでは3級ぐらいのポーションを作れる人はかなりいると少年は言う。だが、雄一から2級からは当面、ダンガの医者だけに売るように言われて守ってるそうだ。

「これ以上の効果があるものを医者に率先するのは分かるが、何故、止められてるんだ?」
「3級を出回らせて、3級の値段の低下させるのが狙いだってユウイチ父さんは言ってたよ。ここ以外の3級はもっと劣悪らしいから、その薬は貧しい人でも買える値段になるのを期待してる、と言ってたかな」

 雄一がやろうとしているのは、そこまで小難しい事は考えていない。

 市販の薬と処方箋がいる薬のような境界線を作ろうというのが狙いであった。
 その市販の薬が庶民が気軽に買える値段にする為、子供達に頼んだことであった。

 少年は、僕達の薬も出回れば、配達費はかかるだろうが、値段は安くなるはずだと誇らしげに語る。
 自分の仕事を誇りに感じ、自負を持っているのが見てるシャーロットには分かった。

「利益はちゃんと出てるのか?」
「勿論、ちゃんと出るよ。商売だからね!」

 3級の値段は薄利であるが、医者に卸す薬では大きな利益が出ている。当然である。それだけの効果がある薬なのだから。

 とは言っても、シャーロットが知ってる3級の値段よりは安くは設定されている。

 なので、ダンガの医者だけに薬が卸されているので、ナイファ国の重病人は勿論、医者を志す者達が移り住み始めているそうだ。

 放心状態のシャーロットは少年に言われるがままに3級ポーションを買う。

 買って少年の露店を後にしたシャーロットは、手に引いていたメリーはシャーロットでも少年でもなく、市場を行き来する人達を凝視して固まっていた事に今頃気づく。
 どうやら来た時から何も反応しないと思っていたら、最初の段階でフリーズしてたようだ。

 手を引いて、呼び掛けてると肩をビクッとさせてシャーロットを見つめてくるメリー。
 やっと、心が戻ってきたようであった。

 15の自分がこれほど驚いているのだから、メリーが驚かない訳がない。

「嫌なら帰るが?」

 そう聞くと首を横に振るメリーを見て、興味はあるようだと感じた。

 メリーを連れて露店を眺めながら呟く。

「豊富な食糧、守られた治安、高い技術、集まる医療……何より、高い志」

 ペーシア王国全体で見ても、ここと比べられたら、恥ずかしく俯いてしまう。

 ゼクスが父と呼ぶ男、家では主夫が専業と胸を張っている姿を思い出す。

 子供達に纏わり付かれる姿からでは想像できない。そのうえ、国外にまで伝わる、軍を一人で相手にできる最強の男までの噂がある。

「さすがにこれはないな」
「それ、全部本当の話だよ? 綺麗なお姉さん」

 いきなり声をかけられて驚くシャーロットは声の主を見つめる。

 さっきの少年のように露店をする10歳ぐらいの少女が笑顔で見つめる。

 どうやら、考えてた事が全部、口に出ていたと知ったシャーロットは赤面する。

「ユウイチ父さんは国全部の人を相手にしても負けないよ」
「そんな馬鹿な! いくら強いと言っても……」

 この子もあの学校出身かと、シャーロットは額に汗を滲ませる。

 否定するシャーロットの言葉に被せるように少女は言ってくる。

「火の精霊様が泣いて許しを請う相手だよ? ユウイチ父さんは」

 もうシャーロットの許容はだいぶ前から超えており、遠い目をする。

 そんな人が存在してるのもだが、何より、沢山の子供達の世話を自らしてる事が有り得ない。
 普通ならもっと自分に優しい生活を選び、金だけを寄付して誰かに任せるだろう、最大限、善人だとして……

 放心してるシャーロットを見て、何かを思い付いたらしい少女は話しかけてくる。

「2人は仲良し姉妹かな?」
「い、いや、私達は血の繋がりは……」

 否定するシャーロットに達観したような表情をする少女に、「血の繋がりなんて、それほど意味はないよ?」と言われて黙らされる。

 先程の少年もこの少女もまた、血の繋がりのない兄弟、姉妹として強い絆を持っている。その言葉は、シャーロットに反論の余地を与えないほど重かった。

 手を叩くと、別人かと思えるような明るい笑みを浮かべる少女が、

「じゃ、2人の絆の証に私の装飾品なんてどうかな?」

 見て、見て、とアピールする少女の商品を見たシャーロットは眩暈を覚える。

 これもまたペーシア王国の高級店でも、なかなかお目にかかれないような素晴らしい出来の装飾品が並んでいた。
 なのに、働き出した子達が頑張れば、誰かにプレゼントしよう、と思えば買えなくもない値段設定を見せられた。

 もうシャーロットは母国の店に行っても、感動は勿論、無駄に高いな、としか思わないと確信する。

「この子の名前は何て言うの?」
「ん? メリーだが?」

 そう答えると少女は1対の銀のシンプルな腕輪を手にする。

 片方に親愛なるメリーより、と手早く刻むのを見て、慌てて止めようとするが、少女が先に口にする。

「言葉も触れ合いも大事だけど、絆というのは形があるほうが温かいよ?」

 そう言われた瞬間、自分の胸の所にあるペンダントを意識する。

「確かに……」

 シャーロットは、酷くチョロかった。

 別にここで買う必要もないし、他を探すという選択肢もあったが少女の作戦勝ちであった。

「お姉さんの名前は?」
「私は、シャー、いや、家族は、父は、私の事をシャロと言ってくれた」

 少女は、シャロね、と呟きながら、親愛なるシャロより、と腕輪に掘り込むと最後に掘り終えたほうをメリーの右手首に通す。最初のをシャーロットに手渡すと掌を上に向けて笑みを浮かべる少女。

「掘り込み料はマケておくね、銅貨50枚」

 苦笑するシャーロットは素直に支払うとメリーを抱き抱える。

「メリー済まない。探検は今度にしよう。このまま先に進むとお小遣いがなくなるまで色々買わされそうだ」

 少し恨めしそうに少女を見つめるが馬耳東風であった。

 溜息を吐いたシャーロットは、あの規格外が主の家を目指して歩き出した。

 抱きかかえてたシャーロットには見えてなかったが、買って貰った腕輪を見つめるメリーが目を細めて、口許を綻ばせていた。

 今の自分の気持ちを表現できないメリーはギュッとシャーロットに抱き付く。

 シャーロットはメリーに甘えられてると思い、嘆息すると優しく抱きしめ返してやりながら、家路を急いだ。

 勿論、逞しい子供達に物を買わされない為に……
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