352 / 365
11章 DT、見守る愛を貫く
313話 誓いの言葉らしいです
しおりを挟む
「ポロネ」
ダンテの視線の先にいる少女の名を口にして、距離にして10歩程度の所で歩みを止める。
しかし、呼ばれたポロネはピクリとも動かない。
聞こえてない、意識がない、という事は有り得ない。
何故なら、ここはポロネの精神世界であって現実世界ではない。認識してしまえば距離など有って無いようなものである。
それでも反応しないポロネにダンテはショックを受けた様子を見せずに笑いかけ、手を差し出す。
「迎えに来たよ、帰ろう、ポロネ」
まるで、夕飯の時間になっても帰ってこなかった家族を迎えにきたような気楽な笑みを浮かべるダンテの声音にやっと肩が少し跳ね上げるポロネ。
それでも振り返らないポロネに苦笑いを浮かべるダンテが困った風に話しかける。
「アリア達もね、ポロネを連れ戻す為に頑張ってくれたんだよ? そして、最後のバトンを僕に手渡してくれた。なのに、お迎え1つ出来なかったら、僕がアリア達にどんな酷い目に遭わされるか、ポロネも良く知ってるよね?」
自分で言っておきながら、想像するだけで身震いしたようで乾いた笑いを浮かべるダンテにポロネがやっと反応を返す。
「私は帰りません。アリア達にもそう言っておいてください」
「そうか、でも、僕はポロネをこんな寂しい場所から連れ出すよ」
力みのない表情で優しげに見つめるダンテは迷いも感じさせずに自分の意思を伝える。
振り返ったポロネが、いつもなら緩んだ瞳をするポロネが強い感情を込めてダンテを見つめる。
「私は誰でどういう存在か思い出しました。ここにダンテがいるという事はダンテも私が誰か知ってるはずです!」
「うん、知ってる。初代精霊王とその加護を受けた人の間に生まれたんだよね? しかも親の属性を強く受け継ぐだけでなく、他の三属性も扱える……まさに世界の愛し子と呼ばれる存在だよね?」
ダンテの『愛し子』の件で辛そうに眉を寄せたポロネが感情を叩きつける。
「愛し子なんかじゃない! 私は呪われた子、と言われてもしょうがない。少し力を暴走するだけで世界をこれだけ傷つけていく。四大精霊獣が揃っても封印するしかない、分かるでしょ!?」
「逆に言ったら暴走しなければ世界を傷つけないという事にもなるよ。僕がポロネを暴走させないよ」
そう言うダンテが人差し指を立てながら、冒険者の依頼であちこちポロネと一緒に行動した時のポロネの失敗をダンテが繰り出したファインプレイの数々を披露し始める。
一瞬、ダンテは何を言っている? とばかりに混乱したポロネが震え出すと怒りからか強い感情をぶつけてくる。
「ふざけないで! 規模が違い過ぎる。世界と雑用依頼を同じにしないで!」
「そうなのかな? 僕はそうは思わないよ。例えば、国同士の会合があった時、ホスト国は歓迎の宴を開くよね? それは規模が大きいからするの? お友達が遠くから遊びに来るとなったら、御馳走を用意しようと考えたりしないかな?」
少しもビクともしないダンテに苛立ちが募る座り込んでたポロネが立ち上がる。
「だから、規模が違うって……」
「分かってる。僕が言いたいのは規模が大きかろうが小さかろうがやる事は同じだ、と言いたいんだ。後は受け止める側の腹一つだよ。僕は大事なモノを守る為なら世界を相手にするぐらいは平気でするよ」
にっこりと笑うダンテから辛そうに顔を背けるポロネを見つめるダンテは気付いている。
ポロネが発する言葉はダンテ、そしてアリア達に自分という存在が重荷になってしまっているのを降ろして楽になって欲しいと願う為に嫌われるように、どうにもならない現実だと思わせる為にダンテを遠ざけようとしている事に。
お互いを思いやるが為、交われない線、平行線になっている。
ここで理屈や我を強くして無理矢理に交わらせようとすると全てが駄目になる。
彼岸にいるポロネにどうしたらいいか分かるダンテには焦りも悲壮感も存在しない。
「私を助けるという事は、ダンテは私と契約するしかない。今の貴方ならできるかもしれない。でも、それはその仮初の加護があってこそ、切れたらダンテに大きな枷が生まれるよ?」
「そうだね、枷は外す事もできるよ。僕の頑張り次第だよ」
ダンテを諦めさせようとリスクを伝えてくるポロネの声音は先程までの強気なセリフがなりを顰め出す。
それに気付いているだろうが気にしないダンテがあっけらかんと言い放ち、1歩近寄る。
「その枷はきっと精霊感応に一番影響を及ぼすはず。他の精霊とお話どころか見る事もできなくなる。そのせいで魔法を使う事にも影響が生まれるよ?」
「寝たりきりだった僕が動けるようになった頃から見えてた精霊達が見えなくなる……話ができなくなるか、少し悲しいけど、居なくなる訳じゃない。僕がポロネを受け止められる男になったら再会できる友達だからね?」
揺れない笑みを浮かべるダンテを見て、逆に揺れるポロネは被り振る。
「五感を封じられるような目に遭うと分かってまで私を助ける意味なんてない! 私なんて死んで消えてしまえばいい!」
「それだけは絶対に認めない!!!!!」
先程まで穏やかな笑みを浮かべていたダンテだったが激昂する。
すぐに自分が感情を剥き出しにしている事に気付いて照れ笑いを浮かべる。
「ポロネ、悲しい事言わないで。ポロネがいなくなるとアリア達も教会の子供達もきっと悲しむ……僕もね?」
泣きそうな顔で笑うダンテを見つめる事ができなくなったポロネが足下を見つめる。
笑って相手、ポロネを安心させて上げられない事が悔しいダンテは一生懸命に笑いながらポロネの下へと歩く。
俯くポロネの両手を優しく掴み上げる。
顔を上げるポロネの瞳から零れる涙を見て、綺麗だと思うダンテは柔らかく微笑む。
「僕がいつかきっとポロネを平穏な生活を送れるようにしてみせる。だから、ポロネも僕を信用してくれないかな?」
「本当にできるの?」
縋る場所を探す子供のような目をダンテに向けるポロネに雄一がするような自信を感じさせる笑みを意識して浮かべる。
「任せて!」
「お願い、私を日常に連れ戻して……ダンテ!」
声を殺して泣くポロネの手を優しく握り締める。
「約束です。僕は約束を破った事はありません。そして、これからも!」
ダンテは知っている。
交われないなら寄りそうように隣で歩き、手を繋ぐように進む事ができる。
重なり合えばいいと……
ダンテとポロネが見つめ合い、頷き合うと誓いの言葉を口にする。
「「契約」」
▼
疲労困憊で動けなくなっているアリア、レイア、ヒースと離れた場所で意識を取り戻したが動けないスゥが上空に浮かぶ精霊門が開き、そこに強い光が飛び込み、開いてた扉が重い音を響かせながら閉じていくのを見つめ続けた。
そして、友であり家族のエルフの少年、ダンテがやってのけた事に笑みを浮かべる。
やっぱり、自分達の司令塔はできる男だったと誇る穏やかな笑みを浮かべながら、4人は安心したように意識を手放した。
▼
同じように遠くから見守っていた雄一とホーエンは、その光景を腕組みしながら頷いていた。
「なかなかやるな、お前のところの子も?」
「はっ! 家の子なら当然のようにやってのける簡単な事だ。お前が育てた子ならこうはいくまい?」
雄一の物言いに血管を浮かび上がらせるホーエンが身を乗り出してくるので、受けて立つように前に出る雄一の額とホーエンの額がぶつかり合う。
「焼き殺してやろうか?」
「はぁ? 松明の火で焼き殺せるならやってみろよ?」
常人が近くに居ればショック死も有り得る程の威圧が撒き散らせ、睨み合う2人がいつもの喧嘩を始めようとした時、揃って2人が眉を寄せて、ダンテ達がいる方向と逆の後方に顔を向ける。
『ウェンディ! ウェンディ!!』
力の塊となった初代精霊王の加護を受けた男、ポロネの父親が強い力に抑えつけられながら妻であった初代精霊王の名を呼び続ける。
「そういえば、忘れてたな。こいつはこれ以外の言葉は言えんのか? 煩くて敵わん」
「そうだな、ダンテとの契約が済むまでに殺したらどんな影響があるか分からなかったから封じていたが、もういいだろう。喧嘩の邪魔だ」
雄一とホーエンの力の大半を使って抑えつけ、ポロネの父親の力が漏れ出さないように細心の注意を払って囲っていた。
もう必要はないと判断した2人、雄一は巴を握り、ホーエンは両手に炎を宿す。
「俺達にとって色んな意味で先輩よ。お前の失敗から俺はアグートを失う事があろうとも決して我が子を苦しめる事をしないように戒める」
「ふんっ、失った悲しみを耐えれなかった先輩よ。嫁を愛する気持ちと同じぐらいに子供を愛したらこんな事にはならなかっただろうによ?」
そう言い放った直後、抑えつけていた力を解放する。
雄叫びを上げるポロネの父親がダンテが作った精霊門を目掛けて飛ぼうするが先回りしたホーエンが叫びながら攻撃を放つ。
「行かせん! 『紅蓮衝破』!!」
炎を込められた拳を一拍の間もおかずに交互に上から叩きつけるように拳を放つ。
ホーエンに殴り飛ばされるポロネの父親が雄一がいる方向へと飛ばされてくる。
「ああぁ~、相変わらず攻撃に名前を付けるのが好きな奴だ。威力が上がる気がする、と言ってるが変わらんだろ?」
迫りくるポロネの父親を呆れる視線で見つめる雄一の肩に背負われる巴が話しかけてくる。
「じゃったら、ご主人はどうするんじゃ?」
「決まってるだろ? 渾身の力を込めて振り抜く!!」
心が壊れてしまっているポロネの父親に目掛けて雄一は口の端を上げながら巴を力強く振り抜く。
雄一に斬り裂かれたポロネの父親は日の出の光に照らされて朝霧のように消える。
上空にいたホーエンが下りてくるとお互い見つめ合った後、笑みを浮かべ合う。
雄一は巴を地面に突き刺すとファイティングポーズを取る。
「さあ、喧嘩の続きだ!」
「今日は俺が勝つ!!」
そう叫びあった直後、お互いの顔を殴りつけ合う馬鹿が2人いた。
突き刺された巴が銀髪のキツネの獣人の姿になり、近場の岩場に腰掛けながらキセルを吹かす。
呆れを隠さず紫煙を吐く巴がぼやく。
「ほんに男はいくつになっても馬鹿ばかりじゃ。じゃが、それで良い」
微笑ましいモノを見つめるような視線を向ける巴は楽しげに笑い声を上げた。
11章 了
ダンテの視線の先にいる少女の名を口にして、距離にして10歩程度の所で歩みを止める。
しかし、呼ばれたポロネはピクリとも動かない。
聞こえてない、意識がない、という事は有り得ない。
何故なら、ここはポロネの精神世界であって現実世界ではない。認識してしまえば距離など有って無いようなものである。
それでも反応しないポロネにダンテはショックを受けた様子を見せずに笑いかけ、手を差し出す。
「迎えに来たよ、帰ろう、ポロネ」
まるで、夕飯の時間になっても帰ってこなかった家族を迎えにきたような気楽な笑みを浮かべるダンテの声音にやっと肩が少し跳ね上げるポロネ。
それでも振り返らないポロネに苦笑いを浮かべるダンテが困った風に話しかける。
「アリア達もね、ポロネを連れ戻す為に頑張ってくれたんだよ? そして、最後のバトンを僕に手渡してくれた。なのに、お迎え1つ出来なかったら、僕がアリア達にどんな酷い目に遭わされるか、ポロネも良く知ってるよね?」
自分で言っておきながら、想像するだけで身震いしたようで乾いた笑いを浮かべるダンテにポロネがやっと反応を返す。
「私は帰りません。アリア達にもそう言っておいてください」
「そうか、でも、僕はポロネをこんな寂しい場所から連れ出すよ」
力みのない表情で優しげに見つめるダンテは迷いも感じさせずに自分の意思を伝える。
振り返ったポロネが、いつもなら緩んだ瞳をするポロネが強い感情を込めてダンテを見つめる。
「私は誰でどういう存在か思い出しました。ここにダンテがいるという事はダンテも私が誰か知ってるはずです!」
「うん、知ってる。初代精霊王とその加護を受けた人の間に生まれたんだよね? しかも親の属性を強く受け継ぐだけでなく、他の三属性も扱える……まさに世界の愛し子と呼ばれる存在だよね?」
ダンテの『愛し子』の件で辛そうに眉を寄せたポロネが感情を叩きつける。
「愛し子なんかじゃない! 私は呪われた子、と言われてもしょうがない。少し力を暴走するだけで世界をこれだけ傷つけていく。四大精霊獣が揃っても封印するしかない、分かるでしょ!?」
「逆に言ったら暴走しなければ世界を傷つけないという事にもなるよ。僕がポロネを暴走させないよ」
そう言うダンテが人差し指を立てながら、冒険者の依頼であちこちポロネと一緒に行動した時のポロネの失敗をダンテが繰り出したファインプレイの数々を披露し始める。
一瞬、ダンテは何を言っている? とばかりに混乱したポロネが震え出すと怒りからか強い感情をぶつけてくる。
「ふざけないで! 規模が違い過ぎる。世界と雑用依頼を同じにしないで!」
「そうなのかな? 僕はそうは思わないよ。例えば、国同士の会合があった時、ホスト国は歓迎の宴を開くよね? それは規模が大きいからするの? お友達が遠くから遊びに来るとなったら、御馳走を用意しようと考えたりしないかな?」
少しもビクともしないダンテに苛立ちが募る座り込んでたポロネが立ち上がる。
「だから、規模が違うって……」
「分かってる。僕が言いたいのは規模が大きかろうが小さかろうがやる事は同じだ、と言いたいんだ。後は受け止める側の腹一つだよ。僕は大事なモノを守る為なら世界を相手にするぐらいは平気でするよ」
にっこりと笑うダンテから辛そうに顔を背けるポロネを見つめるダンテは気付いている。
ポロネが発する言葉はダンテ、そしてアリア達に自分という存在が重荷になってしまっているのを降ろして楽になって欲しいと願う為に嫌われるように、どうにもならない現実だと思わせる為にダンテを遠ざけようとしている事に。
お互いを思いやるが為、交われない線、平行線になっている。
ここで理屈や我を強くして無理矢理に交わらせようとすると全てが駄目になる。
彼岸にいるポロネにどうしたらいいか分かるダンテには焦りも悲壮感も存在しない。
「私を助けるという事は、ダンテは私と契約するしかない。今の貴方ならできるかもしれない。でも、それはその仮初の加護があってこそ、切れたらダンテに大きな枷が生まれるよ?」
「そうだね、枷は外す事もできるよ。僕の頑張り次第だよ」
ダンテを諦めさせようとリスクを伝えてくるポロネの声音は先程までの強気なセリフがなりを顰め出す。
それに気付いているだろうが気にしないダンテがあっけらかんと言い放ち、1歩近寄る。
「その枷はきっと精霊感応に一番影響を及ぼすはず。他の精霊とお話どころか見る事もできなくなる。そのせいで魔法を使う事にも影響が生まれるよ?」
「寝たりきりだった僕が動けるようになった頃から見えてた精霊達が見えなくなる……話ができなくなるか、少し悲しいけど、居なくなる訳じゃない。僕がポロネを受け止められる男になったら再会できる友達だからね?」
揺れない笑みを浮かべるダンテを見て、逆に揺れるポロネは被り振る。
「五感を封じられるような目に遭うと分かってまで私を助ける意味なんてない! 私なんて死んで消えてしまえばいい!」
「それだけは絶対に認めない!!!!!」
先程まで穏やかな笑みを浮かべていたダンテだったが激昂する。
すぐに自分が感情を剥き出しにしている事に気付いて照れ笑いを浮かべる。
「ポロネ、悲しい事言わないで。ポロネがいなくなるとアリア達も教会の子供達もきっと悲しむ……僕もね?」
泣きそうな顔で笑うダンテを見つめる事ができなくなったポロネが足下を見つめる。
笑って相手、ポロネを安心させて上げられない事が悔しいダンテは一生懸命に笑いながらポロネの下へと歩く。
俯くポロネの両手を優しく掴み上げる。
顔を上げるポロネの瞳から零れる涙を見て、綺麗だと思うダンテは柔らかく微笑む。
「僕がいつかきっとポロネを平穏な生活を送れるようにしてみせる。だから、ポロネも僕を信用してくれないかな?」
「本当にできるの?」
縋る場所を探す子供のような目をダンテに向けるポロネに雄一がするような自信を感じさせる笑みを意識して浮かべる。
「任せて!」
「お願い、私を日常に連れ戻して……ダンテ!」
声を殺して泣くポロネの手を優しく握り締める。
「約束です。僕は約束を破った事はありません。そして、これからも!」
ダンテは知っている。
交われないなら寄りそうように隣で歩き、手を繋ぐように進む事ができる。
重なり合えばいいと……
ダンテとポロネが見つめ合い、頷き合うと誓いの言葉を口にする。
「「契約」」
▼
疲労困憊で動けなくなっているアリア、レイア、ヒースと離れた場所で意識を取り戻したが動けないスゥが上空に浮かぶ精霊門が開き、そこに強い光が飛び込み、開いてた扉が重い音を響かせながら閉じていくのを見つめ続けた。
そして、友であり家族のエルフの少年、ダンテがやってのけた事に笑みを浮かべる。
やっぱり、自分達の司令塔はできる男だったと誇る穏やかな笑みを浮かべながら、4人は安心したように意識を手放した。
▼
同じように遠くから見守っていた雄一とホーエンは、その光景を腕組みしながら頷いていた。
「なかなかやるな、お前のところの子も?」
「はっ! 家の子なら当然のようにやってのける簡単な事だ。お前が育てた子ならこうはいくまい?」
雄一の物言いに血管を浮かび上がらせるホーエンが身を乗り出してくるので、受けて立つように前に出る雄一の額とホーエンの額がぶつかり合う。
「焼き殺してやろうか?」
「はぁ? 松明の火で焼き殺せるならやってみろよ?」
常人が近くに居ればショック死も有り得る程の威圧が撒き散らせ、睨み合う2人がいつもの喧嘩を始めようとした時、揃って2人が眉を寄せて、ダンテ達がいる方向と逆の後方に顔を向ける。
『ウェンディ! ウェンディ!!』
力の塊となった初代精霊王の加護を受けた男、ポロネの父親が強い力に抑えつけられながら妻であった初代精霊王の名を呼び続ける。
「そういえば、忘れてたな。こいつはこれ以外の言葉は言えんのか? 煩くて敵わん」
「そうだな、ダンテとの契約が済むまでに殺したらどんな影響があるか分からなかったから封じていたが、もういいだろう。喧嘩の邪魔だ」
雄一とホーエンの力の大半を使って抑えつけ、ポロネの父親の力が漏れ出さないように細心の注意を払って囲っていた。
もう必要はないと判断した2人、雄一は巴を握り、ホーエンは両手に炎を宿す。
「俺達にとって色んな意味で先輩よ。お前の失敗から俺はアグートを失う事があろうとも決して我が子を苦しめる事をしないように戒める」
「ふんっ、失った悲しみを耐えれなかった先輩よ。嫁を愛する気持ちと同じぐらいに子供を愛したらこんな事にはならなかっただろうによ?」
そう言い放った直後、抑えつけていた力を解放する。
雄叫びを上げるポロネの父親がダンテが作った精霊門を目掛けて飛ぼうするが先回りしたホーエンが叫びながら攻撃を放つ。
「行かせん! 『紅蓮衝破』!!」
炎を込められた拳を一拍の間もおかずに交互に上から叩きつけるように拳を放つ。
ホーエンに殴り飛ばされるポロネの父親が雄一がいる方向へと飛ばされてくる。
「ああぁ~、相変わらず攻撃に名前を付けるのが好きな奴だ。威力が上がる気がする、と言ってるが変わらんだろ?」
迫りくるポロネの父親を呆れる視線で見つめる雄一の肩に背負われる巴が話しかけてくる。
「じゃったら、ご主人はどうするんじゃ?」
「決まってるだろ? 渾身の力を込めて振り抜く!!」
心が壊れてしまっているポロネの父親に目掛けて雄一は口の端を上げながら巴を力強く振り抜く。
雄一に斬り裂かれたポロネの父親は日の出の光に照らされて朝霧のように消える。
上空にいたホーエンが下りてくるとお互い見つめ合った後、笑みを浮かべ合う。
雄一は巴を地面に突き刺すとファイティングポーズを取る。
「さあ、喧嘩の続きだ!」
「今日は俺が勝つ!!」
そう叫びあった直後、お互いの顔を殴りつけ合う馬鹿が2人いた。
突き刺された巴が銀髪のキツネの獣人の姿になり、近場の岩場に腰掛けながらキセルを吹かす。
呆れを隠さず紫煙を吐く巴がぼやく。
「ほんに男はいくつになっても馬鹿ばかりじゃ。じゃが、それで良い」
微笑ましいモノを見つめるような視線を向ける巴は楽しげに笑い声を上げた。
11章 了
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる