女になった俺と、

六月 鵺

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魔法回路と代償

十一

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お喋りなマグカップでコーヒーを飲む。聴いてもいないのに、性別は男で作られて七年。つまり七歳。本来なら大量生産されたマグカップに自我など宿るはずがないが、魔の森のマナに晒され続けたおかげで自我が宿り、言葉の概念も得たと、長々と聴かされる。
物じゃなければ人間の七歳の子供と変わりない。周りの物達には単純にマグと呼ばれているみたいだ。

【お兄ちゃんの唇柔らかいから好きなんだよね~。お兄ちゃんに貰われる前は、硬くて唇ガッサガサの女の人に使われてたから】

唇ガッサガサと聴いて、ゴツくて年齢の割に老けてる女を想像してしまう。
…………仕方ないよな。リサイクル店で買ったやつだしこいつ。

【あの、ルーゲルさん……わたくし、ちょっと苦しいのですけど……】

着ていたチェック柄のシャツから、上品で物静かな声がした。無理矢理着たからか、胸に圧されてボタンが飛びそうになってる。
誰も見てないし、四段目のボタンまで外す。

「……代償とは言え、この胸邪魔だな」

【ええやん、デッカい胸は見てるだけでもええもんやわな。なんなら、わしをその胸に挟んでくれてもええんやぞ?】

啝譚わたん、相変わらず変態~】

啝譚、この日ノ本の国の魔法使いに作られた魔導書は、啝譚って読むのか。

【何ゆうとんねん。男はスケベで丁度ええんや。わしらはあくまで物やねんから、ちょっとえろっちぃこと想像したりゆうたりしたかてバチは当たらんやろ。出来はせんねんから。それよか、女の方がおっそろしいわな】

【女が恐ろしいことには同感だな。女の世界は欲と見栄の張り合いだ。ルーゲル、十分気をつけるんだぞ】

中性的な声の持ち主の魔導書、〈カーユバリィ〉がうんうんと頷いてる。
…………こいつら、女から恐ろしい扱いを受けたのか?それとも、恐ろしい部分を見てしまったのか?これから女として生きていかなきゃならなくなるのに、不安になるようなこと言うなよ……。
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