to be Continued  ~ここはゲームか異世界か~

秋乃ヒダマリ

文字の大きさ
2 / 15
1章 秋山とソレガシ

プロローグ2

しおりを挟む


 ――ヤバい、このままだと死ぬ!!



 早朝五時を回ったころ、青年――秋山あきやまいちは、かれこれ一時間近く目の前の敵との戦闘を続けていた。

 そして今まさに、秋山は死ぬ直前であった。


 ――クソッ! 躱しきれない!!

 とっさにガードのコマンドを連打する。
 敵――カムイと言う名の天狗に似た人型モンスターは待ってなどくれない。

 無慈悲にも繰り出されたカムイの攻撃は、何ともチート級な貫通全属性レーザー。寸でのところでガードはしたものの、秋山のHPは半分ほど持っていかれてしまった。


 ――ふぅ、危なかった。あれは反則だろ……


 幸いにも、カムイはレーザーの反動か、クールタイムの為か牽制攻撃のみで脅威となる攻撃は、今のところ仕掛けてくる様子はない。
 HP三割を切った時に起こる行動パターンの変化と高火力攻撃――おそらくは、あのチートレーザーで仕留めることを前提とした作りなのだろう。
 実際、初見殺しもいいところな速度と威力で、反射神経に自信のある秋山ですらガードするのが精一杯だった。……いや、ガードできたのも半分マグレだった。



 ――いま、プレイしているのは《ゼノシスストーリーオンラインⅡ》通称ゼノストと言うPC専用MMORPG、秋山はこのゲームの配信当初からのプレイヤーであり、現在は世界ランク四位の実力者だった。
 ランキングは毎月、討伐数と貢献度ポイント、総合ステータス値で決まる。ランキング上位の二十位以降は入れ替わりが激しかったが、十位から二十位ともなれば、多少の前後はあるものの顔ぶれは安定していた。
 当然だが、ランキング十位以内に入っている所謂いわゆるランカーと呼ばれる上位者は、装備もさる事ながら、技術的にも圧倒的な強さを持ち、余程の事がない限りランキングの前後すらも無い。
 特に、秋山を含む上位五人に関しては、ここ三年間一度もランキングは変わっていない。まぁ、それ程に戦力の差は大きいという事だ。


 そして、今日はゼノストプレイヤー数《二千万人突破記念》のアップデートの日。
 今回のアップデートではレベルキャップ解放や新装備実装など、様々なイベントが追加されていた。
 中でも秋山が最も注目したイベントが、今回から導入された、毎月一度ランキング上位四十位限定で配布される事になった、《特別ボス出現チケット》だった。
 新ボスで、しかも月に一度きりしか挑戦できないこのイベント。通常ならば攻略情報が出回るまでに解放されたレベルを上げて、ボスのギミック情報を元に装備を整えてから挑むのが定石なのだが、今回のような上位四十人限定で月に一度しか挑戦出来ないとなると、解析が出回らない可能性が高い。
 なにせ、上位ランカーにとって情報は生命線だ、そう易々とライバルに情報を与えたりはしないだろう。

 それに――

 秋山の狙いは別にあった。





 ――《初回討伐者限定報酬》


 大きなイベント、それも上位ランカー限定ボスのドロップ品ともなると、その価値は凄まじい。
そんなボスの初回討伐限定報酬なら言わずもがな、だ。
 恐らく、常連の上位ランカーの殆どが、今を持って秋山の狙いと同じくボスに挑んでいるだろう。
 そんなこんなで、秋山も事前にボスのギミックを予想し準備を行い、メンテナンス終了と共に特別ボス、《カムイ》に挑んでいたのだ。そして今に至る――




 レーザーを寸でのところでガードしたものの、秋山の残りのHPは一割を切っていた。
 持ってきた回復ポーションも既に底を尽きていた。
 このまま攻撃を躱し続けても、次の周期のレーザー確実に死ぬだろう。 しかし、今の秋山には次の攻撃までに、カムイを倒せるほどの技も力もない。おまけに、唯一残っている武器の刀も耐久値は残りわずか――
 対するカムイのHP残量は二割強といったところ、……勝負を賭けるなら此処しかない。


 ――“アレ”を……使ってみる……か?


 “アレ”は、つい先日ひょんなことから入手した見たことも、聞いた事も無い、使いきりのアイテム。
 切り札……と呼べる物なのかすら解らない謎のアイテム。射程範囲が短く、使うことはないとインベントリに死蔵していたアイテム。

 新発見の貴重なアイテムなので少し勿体無い気もするが、なりふり構っては居られない程に秋山は既に手詰まりなのだ。……なにより――


 ゲーマーとして、少しでも可能性があるのなら、やらずにはいられない‼


 カムイから放たれた電撃を躱し、武器を構えて――秋山は全速力でカムイに向かって走り出した。


 二十メートル――カムイの周囲に風が吹き荒れた、と同時に、土魔法で形成された岩を風魔法で加速させた弾丸が秋山に襲い掛かる。秋山は持ち前の反射神経で、速度を落とすことなく刀で左右に捌く。

 十五メートル――即座に放たれた炎と氷の矢の一本が秋山の左頬を掠めたが、大したダメージはなく、構わず走り続ける。


 十メートル…ビュンッ……九メートル……八…――

 秋山は、インベントリから取り出した黒い球体のアイテムを構える。
 “アレ”――《刻》という名の謎アイテム。レア度Ⅴ、《一定時間、時を止めることが出来る》
という何ともチート臭いアイテムなのだが、射程距離が二メートルしかなく、肝心の時間表記が存在しない、いくら調べても情報が全く見つからなかった使い物になるかどうかも解らない未知のアイテムを――


 七……六…ザザァーッ…五メートル――



 ――四…あと少し……ここだ!!


 遂に、射程範囲にカムイを捉えた。


 一拍の間も置くことなくアイテムを発動する。刹那――

 画面が……視界が黒く染まり、文字が現れた。





 ――“Toトゥー Beヴィー Continuedコンティニュー#”



 「……はぁ?」


 その言葉を理解する前に、秋山の意識はその場から

 消えた…――

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 番外編『旅日記』

アーエル
ファンタジー
カクヨムさん→小説家になろうさんで連載(完結済)していた 【 異世界生活〜異世界に飛ばされても生活水準は変えません〜 】の番外編です。 カクヨム版の 分割投稿となりますので 一話が長かったり短かったりしています。

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~

イチイ アキラ
ファンタジー
生まれ変わったら飛べない鳥――ペンギンでした。 ドラゴンとして生まれ変わったらしいのにどうみてもペンギンな、ドラゴン名ジュヌヴィエーヴ。 兄姉たちが巣立っても、自分はまだ巣に残っていた。 (だって飛べないから) そんなある日、気がつけば巣の外にいた。 …人間に攫われました(?)

処理中です...