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1章 秋山とソレガシ
『ヘルプ』
しおりを挟む秋山は現在、ゲームの世界にいるらしい事を把握した。
どうやらオレのゲームキャラ『ソレガシ』として存在しているようだ。
________________________
「まあ、人生の終わりは置いといて――」
まずはこの、異世界(?)ゲームの世界(?) ――ゲーム異世界についてだ。
帰る方法は今のところ分からない、寧ろ帰還方法がない可能性の方が高いと思っている。少なくとも、ゲームのように『メニュー』からログアウトは出来ないみたいだ。
次に……この世界は、オレがやっていたゲームとほぼ同じ世界らしい。
『ほぼ』と言うのは、所々に違いがあるからだ。
さっきナビ(?)が、チュートリアルの時にオレが会話をしていたおっさんはNPC(ノンプレイヤーキャラ)と言っていたが、NPCは会話が出来ないはずだ――というか、そもそも《ゼノスト》にプレイヤー以外の獣人は出てこないはずだ。
他にも細かな違いは色々あるが、いまは置いておこう。
となれば、今やるべきは――
「『メニュー』……よし、あった」
目的の情報源『ヘルプ』である。
帰還方法が分からない現状、次にやることと言えば情報収集と、あわよくば攻略法を調べることだ。
腐っても……異世界でもゲーマー、ここがゲーム異世界であるならば…と、秋山は攻略も視野に入れていた。
「『ヘルプ』Q:ログアウト方法」
一応ね? 確認って大事だし。
同時に、目の前に文字が現れる。
『該当なし』――やっぱりか。ってか、声じゃないんだな。
「Q:通貨は?」
『鉄貨=百G 銅貨=千G銀貨=一万G 金貨=十万G 白金貨=百万G ミスリル貨=一千万G使用時=通貨自動変換。 所持残高 五億八千万G (備考、使用時=金額指定後『インベントリ』◯貨の発声=手元に自動転送)』
手持ちは五億ちょいか……物価が分からんから何とも言えんな。
このゲームは元々少し変わっていて、プレイヤー個人が各ギルドに併設している掲示板や、チャット機能の“シャウト”を介して、売買の募集を掛けて取引することが出来た。
逆に、ゲーム内ショップに売ると、どんなに価値が高い装備でも、一つ一万G程度にしかならない。
必然的にプレイヤー間の取引が主流になり、中盤には億単位のGを持っていて当たり前なのだ。
ちなみに百G以下が存在していないのはゲームの“ショップ”自体に百G以下の物が無かったせいだろう(百Gの商品は粗悪ポーションという名のアイテムだった)――
さあ、次の質問……の前に金がある事が分かったから、まず宿だ。どうやら『メニュー』操作には発声が必要らしい――つまり今の今までオレは傍から見れば、独り言を喋っている変人なのだ。
なるべく小声で喋るようにしているが、どうしても目立ってしまう。結果、周りの視線が集まっていて、何とも居た堪れない状態になっていた。
取り敢えずこの場から離れよう。確かこの辺りにも宿があったはずだ。
そう言えば、この街の宿屋にはゲーム序盤はかなりお世話になったな。中盤からは回復は殆どポーションだったけど……懐かしい
《ゼノスト》を始めたばかりの頃を思い出して、秋山はちょっぴりしんみりした気持ちで懐かし(?)の宿屋へと向かった――
「と、その前に……『インベントリ』金貨十枚」
『インベントリ』と言うのは、アイテムボックスのようなものである。
唱えたと同時に、手の平に袋の様なものが現れる感覚があった。
麻色の小袋だった。 その袋の中には金貨が十枚。
おおー!ホントに出てきた!
「よし、じゃあ行くか――」
そうして、秋山は宿屋へと向かって歩き出した――
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