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伊豆紀行外伝
伊豆紀行外伝 ミヅチの本性と年越しの儀
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鵜渡根島は、人が多くは住めぬ島であり、玲は、島の者に大島で家を与えて移住させ、鵜渡根島にミズチ達の休息地と訓練場所を造っていた。ミヅチは、人の姿を取ると全裸になる。海女姿も多い伊豆周辺では気にされないが、人目が多くなれば気にする者も増える。
特に、ミヅチを妻とする男達が嫌ったので、鵜渡根島に休息所を設けると共に、ミヅチ衆の訓練や装具の改良をおこなっていた。
馬とは、身体構造が異なり、高速で水上を駆けることから、普通の鞍では使い物にならなかった。最初の頃は、ハミや手綱だけで良かったが、攻撃を躱すにあたって、海中に潜ることもあり、海中を高速で駆けると、流れに人が耐えられずに落馬?することも起きていた。水上でも荒ければ波を被ることも多く、ミヅチに乗って戦うのは、困難でもあった。
小舟をミヅチに曳かせて、戦車のようにして戦うという技法だと、ミヅチとの連携が取りにくく、人が大波に煽られて水に落ちて、置いて行かれることも多かった。
波切り鞍が造られたのは、舳先を付けた、小型の竹籠船が作れるようになってからであった。シャチやイルカの背びれのような形から、裾を広げるような波切を付けた鞍は、高速で駆けるミヅチには好まれた。潜ったり波を被るときは、波切りに潜み、攻撃するときは、立ち上がるようにして矢を放つといった訓練をおこなっていた。
ミヅチを戦に使うのは、初めてということもあって、色々な器具が造られていた。潜るときに眼を開けていると、視覚が奪われることから、水晶を削りだしたりガラスを金剛砂で研磨した板を嵌め込んだ眼鏡を造ったり、竹の節を刳り貫いて漆喰で固めた息継ぎも試された。為朝や玲は、兜に頬面を紐で繋いで組み入れて、目の部分にガラスを嵌め込んだものを使っていた。
鎧も、小札を編み込むのではなく、身体に合わせて鉄板を曲げていって造り上げる胸鎧に草摺を着けずに用いていた。兜は、半球状の兜に板を編み込んで、造った形としている。玲は、胸を形状に合わせて大きく造り腰を絞って、紐で繋いでいた。虎正や千代は、互いに同じ飾りを胸に着けるようにしていた。胴回りがないので、甲羅襲と呼んでいた。
衣装についても、下帯だけというのも厳しいので、麻織の抜袴を用意していた。合わせが開いていて、紐で縛るように造られていた。草履についても、塩飽衆が使っている、厚い革を短冊に切って麻紐で織り込んだ麻草鞋を編み上げて、踝まで縛りあげるモノを使っていた。
鵜渡根島で、玲と将は、梃子やミズチと一緒に、魚奇乗訓練を始めていた。為朝は、虎正と、弓の訓練をして欲しいと言われて、漁をおこなっていたが、為朝の機嫌が少し悪かった。
「為朝、気になるのか」
玲は、将に乗る時は、基本的に薄着だ。下帯と長羽織位しか着ない。揺れないように、大きな胸乳にさらしを巻いて、甲羅襲を着けるので、甲羅襲を脱ぐと、ほとんど何も来ていないように見える。朱に染めた長羽織りが、ミヅチに乗って駆ける風に舞うように、広がってはためくと、玲の蒼い肌に映える様に流れていった。
「虎正か、まぁな」
玲が、「石鎚」と名付けた、十丈程の縄に、竹籠造りを中空にして白漆喰で固めた紡錘形の塊が曳航されている。玲は、海へ浮かべている丸太を高速航行で駆けて、丸太の直前で海に潜って、「石鎚」を丸太に叩き突けると、丸太が砕け折れた。
「あれは、凄いな。為朝」
「あぁ、大船の舷側なら砕けるだろうな、虎正。地上では持てぬくらいに重いが、水中なら浮かぶ。ミヅチのようなものよ」
「流石に玲姐だな、為朝」
玲は、ミヅチに衝角が付けれないかと考えていたらしいが、ミヅチに持たせると動きが制約されるので、手持ち武器として造ったものであった。
玲の動きを真似る様にして、愛宕衆が、飛び込んでいった。丸太が叩かれて飛んだり、折れたりしていた。
「あぁ、玲は凄い、、、」
「為朝?」
並走していた、琉威が顔を海上にあげて、笑いながら言って来た。
「ははは、虎正、為朝は嫌なのだ、玲が将と一緒で楽しそうなのがな」
「こら、琉威」
今日は、冴に乗って、矢を放っていた。為朝の強弓ならば、矢で船の舷側を射貫けるが、普通の兵にそれはできない。そういった意味で、ミズチを使った海戦のために造った兵器であった。
瞳も並走してきて、
「あたしらは、玲を見ている為朝が嫌だな」
「そ、それは、ご、すまない」
「乗っているのは、あたしなのにね、為朝」
「冴、悪い」
冴達はそのまま、鵜渡根島の浜へ為朝を連れ込んでいった。海の中で冴は、人の姿で為朝と抱き合いながら、情を交わしていった。瞳が続いて、情を交わして、冴と二人で浜で気をやって眠っていた。
「為朝、あたしも、」
琉威が、しだれかかるように、波間に半身を沈めて、為朝を抱き寄せる。キスを交わして、琉威と情を交わして、二人で抱き合うように、波間にたゆたうと、為朝がふと
「なぁ、琉威、俺はもうお前を抱きあげられそうになくなったが、海に入ると抱きあげられるのは何故だ」
琉威は、成長著しく、二百貫近くあるようだった。
「水があれば、水気を流すことができるから、水から離れると水気が身体に還る」
ちょっと言い難そうに琉威が言って来る
「俺の中にも水があるから、俺の中には流せないのか」
為朝が、言うと、考えたことがなかったみたいに、
「えっ、それは試したことがないよ」
「試してみないか」
少し、意気込んで聞いて来る。
「為朝」
小首をかしげる琉威に、為朝は
「俺はさ、琉威を抱き上げて妻にしたから、抱き上げ続けられるなら、続けたいなって思ったんだ。嫌か」
為朝の言葉に、うるうるしながら、琉威が抱き着いて来て、キスを交わす。
「ん、んっ」
キスを交わし、水気の流れが口腔に生まれて為朝に流れていく。口が離れると、水気が琉威へと戻っていく。
「為朝、離れると、水気が還って来る」
残念そうに告げると、為朝は、
「そうか、水気の流れは受けれるから、離れなければ良いのだろ」
そういって、まだまだ猛り立って、情を交わしていった。琉威からの水気を受け入れていくと、水気が増えるにつれて、受け入れにくくなっていく、為朝は、受け入れていった水気を纏うように淫らに溢れさせ、淫気へと変えて、琉威へと突き入れていく。
「あぁ、た、為朝ぉっ、あぁ、いぃっ」
抱かれながら、琉威から流れ寄せる水気を淫気へと変えて、突き入れていく。琉威が喘ぎ、善がりながらも、抱き着いて来ると、為朝は琉威をそのまま抱上げて浜辺へとあがって、情を交わしていった。
琉威より流れ来る、水気の流れを溢れるように、淫らに換えて、淫気に溢れて突き返されていく流れに、琉威は、淡い蒼白い肌に浮かんだ鱗紋が消えて、
「あぁ、いぃッ、あぁっぁぁッ」
善がりイって気を失うように、為朝の腕の中へと倒れこんだ。
「る、琉威ッ、」
ぐったりとしている琉威を抱き寄せると、二十貫ほどになった身体が軽すぎるように感じた。
「冴ッ、瞳ッ」
気持ちよさそうにして波間に漂う、二人を呼んだ。
「「た、為朝、またするの、え、琉威様ッ」」
浜辺で抱かれている、琉威に驚いて近寄って来た。二人へ、為朝が頼んだ。二人の淡い蒼い肌には、鱗紋が浮かんでいる。
「すまぬ、玲を、呼んでくれ」
「あ、玲姐、わかった」
二人は、慌てて、海へと還っていく。
潮が満ちてきて、浜を洗い、抱きしめている琉威を包んでいくが、目が覚める様子はなかった。脈は鼓動を打ち、吐息が還るも、意識が戻らなかった。
慌てた二人に連れられるように、玲と将が、浜へと駆け寄せてくる。将から飛び降りると、そのまま駆けよって来てきて言った。
「た、為朝、なにがあったのじゃ」
「いや、琉威の水気が水に移せるなら、俺の水に移せるかと思って」
抱きしめている様子から、性行為の最中に水気を移したように見えるが、意識の無い、琉威の身体を、為朝から玲が抱き寄せると、玲に抱けるくらいに軽くなっていた。
「移しただけではあるまい、何をした」
「琉威の水気を受けるのをが難しくなって、水気を淫気に纏って換えて返したんだ」
純粋なエネルギーである、「気」そのものには、種別は無い。色即是空の空そのものである。水という色をした「気」となって、ミズチは纏い大海を泳ぐ。風という色をした「気」となってゴイサギは、天空を舞うのである。水という「気」を奪えば、ミズチは溺れ、風という「気」を奪えば、ゴイサギは地に落ちる。
「為朝、そなたはぁ」
呆れたような、チートっぷりであった。自分に注がれた水の色をした「気」を、自分自身の淫気に纏い換えて、溢れるように突き入れていけば、ミズチの本性を顕してしまう。
「どうなっているのだ。琉威は大丈っ、」
苛立つような為朝の声を征して、玲は、琉威に、腰まで寄せて来た波から水気を受けて、キスを交わして注ぎ込んでいく。淡い蒼白い肌に鱗紋が浮かぶように、戻って来てしばらく続けていると、琉威は気づいた。
「あぁ、あっ、玲姐ぉ、もっとぉ」
気付いた琉威は、玲に抱かれているのに、安心するように、口吸いを交わしていった。
「ほんに、可愛いのぉ、琉威」
玲と琉威は、キスを交わして、水気を注ぎ込んでいくと、蒼白い肌に鱗紋が戻って来た。
「おぉ、琉威」
琉威は、為朝を見て、甘えるように、手を広げてきた。
「ためともぉ、抱っこ」
為朝は、玲を見て、玲が琉威を離すと、抱きついてきた琉威を抱上げた。三十貫近い身体になっていた。
「琉威、すまない」
「琉威は、為朝のためなら、構わないよ」
その言葉を遮るように、玲が怒鳴った。
「駄目じゃ、琉威ッ。二人とも浜に正座じゃ」
鵜渡根島の浜は、岩のような石がごろごろしている浜辺で、白濱のように綺麗ではないので、正座すると痛いのだが、あっという間に二人とも正座した。
「「は、はいッ」」
「為朝、琉威を抱上げたい気持ちはわかるが、琉威の限度を越えてはならぬッ、良いか」
「はッ、はいッ」
「琉威ッ。為朝は海へ出て、そなたに乗れて、本当に嬉しそうに駆けて来た。お前はその為朝から海を奪うのか」
「えっ」
「お前は、為朝が望むなら、イキ殺されても本望であろうが、残された為朝はどうなる」
「あッ」
為朝は、あらゆる戦で、馬を潰して泣いてきた。馬は、必死に為朝に応えようとして、応えるために無理をして死んでいった。そのたびに、哀しみに泣き喚いた漢おとこなのだ、それでも戦に出たくて、馬を潰してきた。海に出て、ようやくに、そのような想いを抱くことなく、潮風に吹かれ、駆け抜けるように巡ることができた。
「あ、玲姐、ごめん」
「琉威、男に捧げるのは、構わぬ。為朝は良き男じゃ、すべてを捧げるほどに愛せよう。されど、命を捨ててはならぬ」
諭すように、言葉を繋いで行く。
「生きて、生きて愛されることを、常に考えよ。良いなッ」
「「はいッ」」
叫ぶように、言葉を返す二人であった。
「為朝、今宵は琉威は渡さぬ。妾と一緒じゃ。皆と一緒に大島へ戻るが良い」
玲が言うと、桃色な感じで宵闇を過ごそうとした為朝は、
「えっ、それは」
為朝が、言葉を募ろうとして、睨まれて止まる。
「琉威の身体は、まだ新たな水気に馴染んで居らぬ。しばらくここからは動けぬ」
言い切ると、為朝の正座を解かせると、満潮の海で琉威を抱きあげる。
「明日潮が満ちる頃に、迎えに来るが良い」
琉威を抱いたまま、玲は、鵜渡根島に造った段々溜池の傍へ造った小屋へと戻った。
帰ろうとする者達に、将が、鵜渡根島にポツンと残った。
「ここで待つのか、将」
「為朝、ぼくは、玲だけのモノだ、ダメか」
寂しそうに、聞いて来る。
為朝が嫌だと言えば、大島へ戻るであろう将に、頭を下げた。
「俺は、まだまだな男だ、将。玲に甘えてばっかりいる、玲を頼む」
「良いのか、為朝」
「玲の側で、玲を護れる役は、俺にはできない。だから頼む」
しっかりと言い切った。
「わかった」
一人の女を愛した二人の男が、波間に視線を交わして、歩み去るのでありました。
帰りは、瞳に乗って行こうとするときに、為朝が聞いた。
「なぁ、あやかしは、本当に善がりイクと本性を顕すというが、ミズチの本性は人なのか」
驚いたように、瞳が、考え込んで、
「えぇ、あたしは、人間だなんて考えたことなかったなぁ、冴は」
聞かれて、冴も思い出すようにしていた。
「イシバ様が『鬼は人なり』って言ってたけど、こういうことなのかなぁ」
それを聞いて、為朝は、
『鬼は人なり』
『水の気を纏いて、ミズチとなる。火の気を纏いて、鬼となる。かつて日ノ本で暮らした者達が、水を征するに、水の気を纏い、火を征するに、火の気を纏っていったとすれば、纏っている気を失えば、人に戻るということか』
「ミズチがミズチであるならば、水を失えば、人となるか」
呟く様に言った。
宵闇に浮かぶ星々が、煌いていた。満ちて来た潮が、少しづつ戻っていく。鵜渡根島には、女護島のように山肌に溜池を重ねて造り、水場の傍に小屋を造っていた。小屋に行って水場の浅瀬に琉威を横たえていた。
気絶するように眠っていた、琉威が目覚めると、傍らの玲を見て、訊いてきた。
「玲姐、なにが起きたんだ」
「琉威。そなたは、水気を奪われていくのを感じたか」
「うん。為朝に抱かれて、気持ちよくて、ふわふわしてた」
「淫気に満ち溢れて、受け入れたであろう」
起きたことの、確認は、スムーズに進んでいった。最初は、与えていた水気が淫気へと換えられて、自らに注ぎ込まれていた流れが、睦事が勢いを増すにつれて、奪われて注がれる流れとなっていった。
「武士たるは、鬼退治の一族とは、良く言ったものよ」
自然と、鬼の力を身に宿して、自分自身の力としていく。鬼の本質は、天然自然に宿る、理を気で満たすことで、自分自身に取り込んで、力として発現するもの。天空は風の気に満ち、地に土の気が溢れ、炎に火の気が宿り、水には水の気が宿る。年月の流れが過行く中で、本性が化生となり、化生が本性となる。
「玲姐、水の気を失えば、ミヅチは人に戻るのか」
琉威が勢い込んで訊いて来る。
「そうじゃな、琉威。おそらく水気を失えば、人に戻れるとは思う」
「年越しの儀を止めてくれないか、玲姐」
「年越しの儀とは、なんじゃ、琉威」
年越しの儀
ミズチ衆は、人の姿を取れる者が基本であった。人の姿を取れねば、親島で暮らすことができない。親島では、人の姿を取れぬ子は、人の母が子であっても間引かれていた。島長の斎は、親島の人が子達と一緒に、女護島で七歳まで一緒に育てていた。海を習い田畑を習い、読み書き算を習いて親島へ還る。七歳までに人の姿がとれぬミヅチは、間引かれる、これが年越しの儀であった。
育てられぬ。昔の日本で多かった間引きは、女護島では違った意味を持っていた。人と交われぬあやかしは、間引くのが掟であった。
「人になれぬ、ミヅチは間引かれる。人になれれば間引かれない。玲姐ぇッ」
「そうか。しかし、琉威。ミヅチに戻れぬようになるかも知れぬぞ」
「それでも、生きれぬよりは良いだろ、玲姐」
「島長殿やイシバ様にも確認せねばならぬな」
確認するように、琉威に言い聞かせる。
特に、ミヅチを妻とする男達が嫌ったので、鵜渡根島に休息所を設けると共に、ミヅチ衆の訓練や装具の改良をおこなっていた。
馬とは、身体構造が異なり、高速で水上を駆けることから、普通の鞍では使い物にならなかった。最初の頃は、ハミや手綱だけで良かったが、攻撃を躱すにあたって、海中に潜ることもあり、海中を高速で駆けると、流れに人が耐えられずに落馬?することも起きていた。水上でも荒ければ波を被ることも多く、ミヅチに乗って戦うのは、困難でもあった。
小舟をミヅチに曳かせて、戦車のようにして戦うという技法だと、ミヅチとの連携が取りにくく、人が大波に煽られて水に落ちて、置いて行かれることも多かった。
波切り鞍が造られたのは、舳先を付けた、小型の竹籠船が作れるようになってからであった。シャチやイルカの背びれのような形から、裾を広げるような波切を付けた鞍は、高速で駆けるミヅチには好まれた。潜ったり波を被るときは、波切りに潜み、攻撃するときは、立ち上がるようにして矢を放つといった訓練をおこなっていた。
ミヅチを戦に使うのは、初めてということもあって、色々な器具が造られていた。潜るときに眼を開けていると、視覚が奪われることから、水晶を削りだしたりガラスを金剛砂で研磨した板を嵌め込んだ眼鏡を造ったり、竹の節を刳り貫いて漆喰で固めた息継ぎも試された。為朝や玲は、兜に頬面を紐で繋いで組み入れて、目の部分にガラスを嵌め込んだものを使っていた。
鎧も、小札を編み込むのではなく、身体に合わせて鉄板を曲げていって造り上げる胸鎧に草摺を着けずに用いていた。兜は、半球状の兜に板を編み込んで、造った形としている。玲は、胸を形状に合わせて大きく造り腰を絞って、紐で繋いでいた。虎正や千代は、互いに同じ飾りを胸に着けるようにしていた。胴回りがないので、甲羅襲と呼んでいた。
衣装についても、下帯だけというのも厳しいので、麻織の抜袴を用意していた。合わせが開いていて、紐で縛るように造られていた。草履についても、塩飽衆が使っている、厚い革を短冊に切って麻紐で織り込んだ麻草鞋を編み上げて、踝まで縛りあげるモノを使っていた。
鵜渡根島で、玲と将は、梃子やミズチと一緒に、魚奇乗訓練を始めていた。為朝は、虎正と、弓の訓練をして欲しいと言われて、漁をおこなっていたが、為朝の機嫌が少し悪かった。
「為朝、気になるのか」
玲は、将に乗る時は、基本的に薄着だ。下帯と長羽織位しか着ない。揺れないように、大きな胸乳にさらしを巻いて、甲羅襲を着けるので、甲羅襲を脱ぐと、ほとんど何も来ていないように見える。朱に染めた長羽織りが、ミヅチに乗って駆ける風に舞うように、広がってはためくと、玲の蒼い肌に映える様に流れていった。
「虎正か、まぁな」
玲が、「石鎚」と名付けた、十丈程の縄に、竹籠造りを中空にして白漆喰で固めた紡錘形の塊が曳航されている。玲は、海へ浮かべている丸太を高速航行で駆けて、丸太の直前で海に潜って、「石鎚」を丸太に叩き突けると、丸太が砕け折れた。
「あれは、凄いな。為朝」
「あぁ、大船の舷側なら砕けるだろうな、虎正。地上では持てぬくらいに重いが、水中なら浮かぶ。ミヅチのようなものよ」
「流石に玲姐だな、為朝」
玲は、ミヅチに衝角が付けれないかと考えていたらしいが、ミヅチに持たせると動きが制約されるので、手持ち武器として造ったものであった。
玲の動きを真似る様にして、愛宕衆が、飛び込んでいった。丸太が叩かれて飛んだり、折れたりしていた。
「あぁ、玲は凄い、、、」
「為朝?」
並走していた、琉威が顔を海上にあげて、笑いながら言って来た。
「ははは、虎正、為朝は嫌なのだ、玲が将と一緒で楽しそうなのがな」
「こら、琉威」
今日は、冴に乗って、矢を放っていた。為朝の強弓ならば、矢で船の舷側を射貫けるが、普通の兵にそれはできない。そういった意味で、ミズチを使った海戦のために造った兵器であった。
瞳も並走してきて、
「あたしらは、玲を見ている為朝が嫌だな」
「そ、それは、ご、すまない」
「乗っているのは、あたしなのにね、為朝」
「冴、悪い」
冴達はそのまま、鵜渡根島の浜へ為朝を連れ込んでいった。海の中で冴は、人の姿で為朝と抱き合いながら、情を交わしていった。瞳が続いて、情を交わして、冴と二人で浜で気をやって眠っていた。
「為朝、あたしも、」
琉威が、しだれかかるように、波間に半身を沈めて、為朝を抱き寄せる。キスを交わして、琉威と情を交わして、二人で抱き合うように、波間にたゆたうと、為朝がふと
「なぁ、琉威、俺はもうお前を抱きあげられそうになくなったが、海に入ると抱きあげられるのは何故だ」
琉威は、成長著しく、二百貫近くあるようだった。
「水があれば、水気を流すことができるから、水から離れると水気が身体に還る」
ちょっと言い難そうに琉威が言って来る
「俺の中にも水があるから、俺の中には流せないのか」
為朝が、言うと、考えたことがなかったみたいに、
「えっ、それは試したことがないよ」
「試してみないか」
少し、意気込んで聞いて来る。
「為朝」
小首をかしげる琉威に、為朝は
「俺はさ、琉威を抱き上げて妻にしたから、抱き上げ続けられるなら、続けたいなって思ったんだ。嫌か」
為朝の言葉に、うるうるしながら、琉威が抱き着いて来て、キスを交わす。
「ん、んっ」
キスを交わし、水気の流れが口腔に生まれて為朝に流れていく。口が離れると、水気が琉威へと戻っていく。
「為朝、離れると、水気が還って来る」
残念そうに告げると、為朝は、
「そうか、水気の流れは受けれるから、離れなければ良いのだろ」
そういって、まだまだ猛り立って、情を交わしていった。琉威からの水気を受け入れていくと、水気が増えるにつれて、受け入れにくくなっていく、為朝は、受け入れていった水気を纏うように淫らに溢れさせ、淫気へと変えて、琉威へと突き入れていく。
「あぁ、た、為朝ぉっ、あぁ、いぃっ」
抱かれながら、琉威から流れ寄せる水気を淫気へと変えて、突き入れていく。琉威が喘ぎ、善がりながらも、抱き着いて来ると、為朝は琉威をそのまま抱上げて浜辺へとあがって、情を交わしていった。
琉威より流れ来る、水気の流れを溢れるように、淫らに換えて、淫気に溢れて突き返されていく流れに、琉威は、淡い蒼白い肌に浮かんだ鱗紋が消えて、
「あぁ、いぃッ、あぁっぁぁッ」
善がりイって気を失うように、為朝の腕の中へと倒れこんだ。
「る、琉威ッ、」
ぐったりとしている琉威を抱き寄せると、二十貫ほどになった身体が軽すぎるように感じた。
「冴ッ、瞳ッ」
気持ちよさそうにして波間に漂う、二人を呼んだ。
「「た、為朝、またするの、え、琉威様ッ」」
浜辺で抱かれている、琉威に驚いて近寄って来た。二人へ、為朝が頼んだ。二人の淡い蒼い肌には、鱗紋が浮かんでいる。
「すまぬ、玲を、呼んでくれ」
「あ、玲姐、わかった」
二人は、慌てて、海へと還っていく。
潮が満ちてきて、浜を洗い、抱きしめている琉威を包んでいくが、目が覚める様子はなかった。脈は鼓動を打ち、吐息が還るも、意識が戻らなかった。
慌てた二人に連れられるように、玲と将が、浜へと駆け寄せてくる。将から飛び降りると、そのまま駆けよって来てきて言った。
「た、為朝、なにがあったのじゃ」
「いや、琉威の水気が水に移せるなら、俺の水に移せるかと思って」
抱きしめている様子から、性行為の最中に水気を移したように見えるが、意識の無い、琉威の身体を、為朝から玲が抱き寄せると、玲に抱けるくらいに軽くなっていた。
「移しただけではあるまい、何をした」
「琉威の水気を受けるのをが難しくなって、水気を淫気に纏って換えて返したんだ」
純粋なエネルギーである、「気」そのものには、種別は無い。色即是空の空そのものである。水という色をした「気」となって、ミズチは纏い大海を泳ぐ。風という色をした「気」となってゴイサギは、天空を舞うのである。水という「気」を奪えば、ミズチは溺れ、風という「気」を奪えば、ゴイサギは地に落ちる。
「為朝、そなたはぁ」
呆れたような、チートっぷりであった。自分に注がれた水の色をした「気」を、自分自身の淫気に纏い換えて、溢れるように突き入れていけば、ミズチの本性を顕してしまう。
「どうなっているのだ。琉威は大丈っ、」
苛立つような為朝の声を征して、玲は、琉威に、腰まで寄せて来た波から水気を受けて、キスを交わして注ぎ込んでいく。淡い蒼白い肌に鱗紋が浮かぶように、戻って来てしばらく続けていると、琉威は気づいた。
「あぁ、あっ、玲姐ぉ、もっとぉ」
気付いた琉威は、玲に抱かれているのに、安心するように、口吸いを交わしていった。
「ほんに、可愛いのぉ、琉威」
玲と琉威は、キスを交わして、水気を注ぎ込んでいくと、蒼白い肌に鱗紋が戻って来た。
「おぉ、琉威」
琉威は、為朝を見て、甘えるように、手を広げてきた。
「ためともぉ、抱っこ」
為朝は、玲を見て、玲が琉威を離すと、抱きついてきた琉威を抱上げた。三十貫近い身体になっていた。
「琉威、すまない」
「琉威は、為朝のためなら、構わないよ」
その言葉を遮るように、玲が怒鳴った。
「駄目じゃ、琉威ッ。二人とも浜に正座じゃ」
鵜渡根島の浜は、岩のような石がごろごろしている浜辺で、白濱のように綺麗ではないので、正座すると痛いのだが、あっという間に二人とも正座した。
「「は、はいッ」」
「為朝、琉威を抱上げたい気持ちはわかるが、琉威の限度を越えてはならぬッ、良いか」
「はッ、はいッ」
「琉威ッ。為朝は海へ出て、そなたに乗れて、本当に嬉しそうに駆けて来た。お前はその為朝から海を奪うのか」
「えっ」
「お前は、為朝が望むなら、イキ殺されても本望であろうが、残された為朝はどうなる」
「あッ」
為朝は、あらゆる戦で、馬を潰して泣いてきた。馬は、必死に為朝に応えようとして、応えるために無理をして死んでいった。そのたびに、哀しみに泣き喚いた漢おとこなのだ、それでも戦に出たくて、馬を潰してきた。海に出て、ようやくに、そのような想いを抱くことなく、潮風に吹かれ、駆け抜けるように巡ることができた。
「あ、玲姐、ごめん」
「琉威、男に捧げるのは、構わぬ。為朝は良き男じゃ、すべてを捧げるほどに愛せよう。されど、命を捨ててはならぬ」
諭すように、言葉を繋いで行く。
「生きて、生きて愛されることを、常に考えよ。良いなッ」
「「はいッ」」
叫ぶように、言葉を返す二人であった。
「為朝、今宵は琉威は渡さぬ。妾と一緒じゃ。皆と一緒に大島へ戻るが良い」
玲が言うと、桃色な感じで宵闇を過ごそうとした為朝は、
「えっ、それは」
為朝が、言葉を募ろうとして、睨まれて止まる。
「琉威の身体は、まだ新たな水気に馴染んで居らぬ。しばらくここからは動けぬ」
言い切ると、為朝の正座を解かせると、満潮の海で琉威を抱きあげる。
「明日潮が満ちる頃に、迎えに来るが良い」
琉威を抱いたまま、玲は、鵜渡根島に造った段々溜池の傍へ造った小屋へと戻った。
帰ろうとする者達に、将が、鵜渡根島にポツンと残った。
「ここで待つのか、将」
「為朝、ぼくは、玲だけのモノだ、ダメか」
寂しそうに、聞いて来る。
為朝が嫌だと言えば、大島へ戻るであろう将に、頭を下げた。
「俺は、まだまだな男だ、将。玲に甘えてばっかりいる、玲を頼む」
「良いのか、為朝」
「玲の側で、玲を護れる役は、俺にはできない。だから頼む」
しっかりと言い切った。
「わかった」
一人の女を愛した二人の男が、波間に視線を交わして、歩み去るのでありました。
帰りは、瞳に乗って行こうとするときに、為朝が聞いた。
「なぁ、あやかしは、本当に善がりイクと本性を顕すというが、ミズチの本性は人なのか」
驚いたように、瞳が、考え込んで、
「えぇ、あたしは、人間だなんて考えたことなかったなぁ、冴は」
聞かれて、冴も思い出すようにしていた。
「イシバ様が『鬼は人なり』って言ってたけど、こういうことなのかなぁ」
それを聞いて、為朝は、
『鬼は人なり』
『水の気を纏いて、ミズチとなる。火の気を纏いて、鬼となる。かつて日ノ本で暮らした者達が、水を征するに、水の気を纏い、火を征するに、火の気を纏っていったとすれば、纏っている気を失えば、人に戻るということか』
「ミズチがミズチであるならば、水を失えば、人となるか」
呟く様に言った。
宵闇に浮かぶ星々が、煌いていた。満ちて来た潮が、少しづつ戻っていく。鵜渡根島には、女護島のように山肌に溜池を重ねて造り、水場の傍に小屋を造っていた。小屋に行って水場の浅瀬に琉威を横たえていた。
気絶するように眠っていた、琉威が目覚めると、傍らの玲を見て、訊いてきた。
「玲姐、なにが起きたんだ」
「琉威。そなたは、水気を奪われていくのを感じたか」
「うん。為朝に抱かれて、気持ちよくて、ふわふわしてた」
「淫気に満ち溢れて、受け入れたであろう」
起きたことの、確認は、スムーズに進んでいった。最初は、与えていた水気が淫気へと換えられて、自らに注ぎ込まれていた流れが、睦事が勢いを増すにつれて、奪われて注がれる流れとなっていった。
「武士たるは、鬼退治の一族とは、良く言ったものよ」
自然と、鬼の力を身に宿して、自分自身の力としていく。鬼の本質は、天然自然に宿る、理を気で満たすことで、自分自身に取り込んで、力として発現するもの。天空は風の気に満ち、地に土の気が溢れ、炎に火の気が宿り、水には水の気が宿る。年月の流れが過行く中で、本性が化生となり、化生が本性となる。
「玲姐、水の気を失えば、ミヅチは人に戻るのか」
琉威が勢い込んで訊いて来る。
「そうじゃな、琉威。おそらく水気を失えば、人に戻れるとは思う」
「年越しの儀を止めてくれないか、玲姐」
「年越しの儀とは、なんじゃ、琉威」
年越しの儀
ミズチ衆は、人の姿を取れる者が基本であった。人の姿を取れねば、親島で暮らすことができない。親島では、人の姿を取れぬ子は、人の母が子であっても間引かれていた。島長の斎は、親島の人が子達と一緒に、女護島で七歳まで一緒に育てていた。海を習い田畑を習い、読み書き算を習いて親島へ還る。七歳までに人の姿がとれぬミヅチは、間引かれる、これが年越しの儀であった。
育てられぬ。昔の日本で多かった間引きは、女護島では違った意味を持っていた。人と交われぬあやかしは、間引くのが掟であった。
「人になれぬ、ミヅチは間引かれる。人になれれば間引かれない。玲姐ぇッ」
「そうか。しかし、琉威。ミヅチに戻れぬようになるかも知れぬぞ」
「それでも、生きれぬよりは良いだろ、玲姐」
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確認するように、琉威に言い聞かせる。
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